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尿路感染症の症状や原因、治療方法とは?

 更新日:2023/03/27

尿路感染症(読み方:にょうろかんせんしょう)とはどんな病気なのでしょうか?その原因や、主にみられる症状、一般的な治療方法などについて、医療機関や学会が発信している情報と、専門家であるドクターのコメントをまじえつつ、Medical DOC編集部よりお届けします。

この記事の監修ドクター:
平野圭 医師(平野医院 院長)

尿路感染症とは

腎臓、膀胱、尿道、前立腺、精巣、精巣上体などの尿の通り道に起きる感染症全般のことをいいます。
腎臓から尿管までを上部尿路といい、炎症が起こした場合には上部尿路感染症といいます。代表的疾患は尿の通り道を逆行して腎臓に炎症がおこる腎盂腎炎(じんうじんえん)です。
膀胱から尿道までを下部尿路といい、炎症を起こした場合には下部尿路感染症といいます。代表的疾患は、膀胱炎です。これが尿管を通して腎盂まで感染が波及すると腎盂腎炎へと発展します。

平野圭 医師 平野医院 院長監修ドクターのコメント
尿路感染症は誰でもなりやすい、とても身近な病気です。年齢による差はなく、若い人から高齢者までどの人にもかかる可能性があります。大きな特徴としては、男女で比べると女性のほうがなりやすいことが挙げられます。その理由は、女性のほうが尿路感染症の原因となる大腸菌が発生しやすい肛門と尿道の距離が近いからです。尿路感染症の症状として膀胱炎になるのもやはり女性が多く、男性はほとんど膀胱炎にはなりません。男性が尿路感染症になる場合は、性交渉による感染が多く、症状も尿道炎になることが多いです。

尿路感染症の症状

・上部尿路感染症
一般的に症状の出現は急激で、発熱、炎症が起こっている側の背部痛、血尿、寒気、嘔気、嘔吐が特徴的です。下記に記載する下部尿路感染症の症状も同時にみられることがあります。

・下部尿路感染症
尿意をもよおす頻度が多い、排尿中や排尿後に痛みがあるなどの症状が見られます。下腹部の痛みと、しばしば腰の下部の痛みを伴うことがあります。前立腺炎、精巣上体炎などは発熱を伴う事が多くみられます。
尿がいつもよりくさい、尿に血液が混じるという症状も見られることがあります。

平野圭 医師 平野医院 院長監修ドクターのコメント
排尿痛、頻尿、沁みる、残尿感といった自覚症状を感じたら、尿路感染症である確率が高いです。軽症のうちなら投薬で治るので、我慢をせず、早めに診察を受けることをおすすめします。ただ頻尿の場合、尿路感染症ではなく、過活動膀胱である可能性もあります。その場合は排尿痛や沁みたりといった症状があるかどうかが見極めのポイントになります。高齢者の場合、痛みのない頻尿の場合は尿路感染症ではなく過活動膀胱である場合が多いです。尿路感染症のなかでも、血尿が出るのは重症のサインです。一見、血尿が出ていないように見えても検査をすると血尿になっている場合もあります。放っておくと腎盂炎になるので、やはり早めの治療がおすすめです。

尿路感染症の原因

尿の出口から細菌が逆行して発症することが最も多いです。
尿路感染症は小児、性的活動期、高齢者に多い疾患です。
原因菌としては大腸菌が最も多く、肺炎桿菌やブドウ球菌も見られます。

平野圭 医師 平野医院 院長監修ドクターのコメント
尿路感染症の原因は大腸菌や、尿道の近くにある雑菌です。不衛生にしていたり、汚い手で触ったりすることで雑菌が増え、感染しやすくなります。女性の場合、生理中はどうしても下着の中がムレたり不衛生になって雑菌が繁殖しやすくなるので、ナプキンをこまめに取り替えるなどして、雑菌が発生しないように気をつけましょう。他にも、身体を冷やすのも感染しやすくなります。そのため冬に発症することが多いですが、夏も冷房の効いた環境にいる人と、やはり身体が冷えて発症しやすくなります。ガードルなど締め付けの強い下着や通気性の悪い下着も雑菌が繁殖しやいので注意が必要です。普段からまめに手を洗う習慣をつけ、清潔を心がけるのも、尿路感染症の予防に役立ちます。

尿路感染症の検査法

尿路感染は尿の中の細菌を確認することで診断します。
尿道の出口には普段から存在する細菌(常在菌)があり、それはとは異なる炎症の原因菌を尿培養検査を行なって突き止めます。さらに、原因菌に対する適切な抗菌薬がどれかを判定します。
また、炎症反応として、尿中の白血球や赤血球の上昇や、血液検査で白血球、CRPという値の上昇を認めることで診断します。
膀胱炎、尿道炎では血液検査上、ほとんど異常はありませんが、腎盂腎炎や、前立腺炎、精巣上体炎では、白血球、CRPという炎症反応が上昇することが多いです。
画像検査は必要に応じて、超音波検査、レントゲン検査、排泄性尿路造影検査、CT検査などを行います。

尿路感染症の治療方法

原因によって治療を行いますが、一般的には抗菌薬(抗生物質)を投与します。
発熱のない膀胱炎の場合は通常、抗菌薬を3日間程度服用すれば治るとわれます。

多くの場合は抗菌薬服用後24時間で症状の改善を認めます。しかし高熱があって腎盂腎炎が疑われた場合は抗菌薬の投与は2週間程度必要です。また、高熱を伴う腎盂腎炎や前立腺炎などの場合、入院治療が必要となる場合があります。

結石による腎盂腎炎の場合は緊急で尿管ステントという尿の通り道を確保するための管を内視鏡的に挿入する場合があります。

平野圭 医師 平野医院 院長監修ドクターのコメント
大腸菌や雑菌の繁殖を防ぐことが尿路感染症の一番の予防法です。手や下着を清潔に保つのはもちろんですが、日常生活のちょっとした習慣が感染の原因になっていることもあります。例えば女性に意外と多いのが、お小水の後トイレットペーパーで拭き取る時に、方向を間違っている方がいます。肛門側(後ろ)から尿道(前)に向かって拭いてしまうと、大腸菌が尿道についてしまい、感染するリスクが高くなります。トイレットペーパーで拭くときは、前から後ろに向かって拭くことを心がけてください。大腸菌が残っていると感染しやすくなるので、トイレットペーパーだけでなくシャワートイレを使って清潔に保ち、菌が残らないようにしましょう。性交渉によって感染することも多いので、自分だけでなくパートナーにも注意が必要です。不潔な手で触ると雑菌が尿道につき、かかりやすくなります。手を清潔にすることはもちろんですが、性交後は早めにシャワーを浴びたり身体を洗うなどして雑菌を洗い流すと良いでしょう。排尿をすることも尿道に入りかけていた雑菌を洗い流すことができるので予防につながります。ビデなどを利用するのもいいでしょう。一度でも尿路感染症にかかった事があると、排尿を少なくするために水分を控える人がいますが、これは逆効果です。排尿すると雑菌も尿と一緒に排出されるので、むしろ小まめに水分を摂って排尿することが予防につながります。女性は特に冷えている時、生理中にかかりやすいので気をつけましょう。

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