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膀胱炎が女性に多い理由を専門医が解説 原因や膀胱炎になりやすい人の特徴、性行為時の注意点とは?

公開日:2022/09/08
膀胱炎が女性に多い理由を専門医が解説 原因や膀胱炎になりやすい人の特徴、性行為時の注意点とは?

特に女性に多くみられる膀胱炎。中には何度も繰り返し発症してしまう方もいます。そこで膀胱炎が女性に多い理由や、発症しやすい人の特徴、再発を予防するための注意点について「つくばウロケアクリニック」の黄鼎文(ファン・ティンウェン)先生に話を聞きました。

黄 鼎文

監修医師
黄 鼎文(つくばウロケアクリニック)

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筑波大学医学専門学群卒業。川口市立医療センターにて初期研修、埼玉県立がんセンター泌尿器科、土浦協同病院泌尿器科、厚生中央病院泌尿器科にて後期研修を修了。昭和大学横浜市北部病院女性骨盤底再建センターにて助教、亀田総合病院ウロギネコロジーセンターにて医長、亀田総合病院泌尿器科にて医長、牛久愛和総合病院泌尿器科にて医長を務める。専門分野は女性泌尿器科、泌尿器一般。日本泌尿器科学会専門医・指導医、日本排尿機能学会専門医、日本泌尿器内視鏡学会(現・日本泌尿器内視鏡・ロボティクス学会)腹腔鏡技術認定の資格を持つ。

膀胱炎の症状や原因は? 何科に行けば治療できますか?

膀胱炎の症状や原因は? 何科に行けば治療できますか?

編集部編集部

膀胱炎とはどんな病気ですか?

黄 鼎文先生黄先生

膀胱炎は、尿をためる役割のある膀胱の粘膜に炎症が起こり、尿を溜めたり排尿したりする膀胱の機能に障害が生じる病気です。また、膀胱炎と一言でいってもいくつかの種類があり、「急性(単純性)膀胱炎」「複雑性膀胱炎」「出血性膀胱炎」「間質性膀胱炎」に分類されます。一般によくいわれる膀胱炎の多くは、急性膀胱炎です。

編集部編集部

急性膀胱炎では、どんな症状がみられるのでしょうか?

黄 鼎文先生黄先生

排尿痛、頻尿、尿の混濁が主な症状です。排尿時に差し込むような痛みが生じ、特に排尿の終わりに痛みが強くなります。また、排尿回数が増え、頻繁にトイレに行きたくなることもあります。尿には、細菌と戦うために集まった白血球や炎症部分の分泌液、膀胱の剥がれた粘膜が混入するため、色が濁ってしまうこともあります。このほか、残尿感や血尿などがみられることもあります。通常、急性膀胱炎では発熱は伴いませんが、発熱がある場合には「腎盂腎炎」(じんうじんえん)が疑われます。

編集部編集部

膀胱炎の原因は何ですか?

黄 鼎文先生黄先生

急性膀胱炎の原因のほとんどは細菌感染によるものです。尿道を介して外部から膀胱内に細菌が入ることで引き起こされます。特に女性に多くみられます。なかにはウイルス感染によるものもあります。

編集部編集部

「膀胱炎かな?」と思ったら、何科に行けば良いのでしょうか?

黄 鼎文先生黄先生

基本的には泌尿器科で対応しますが、女性では婦人科で対応しているところもあります。

膀胱炎が女性に多い理由は「大腸菌」も関係している?

膀胱炎が女性に多い理由は「大腸菌」も関係している?

編集部編集部

なぜ膀胱炎は女性に多いのでしょうか?

黄 鼎文先生黄先生

女性は、肛門や膣が尿道口と近い場所にあるほか、尿道が4cm程度と男性の1/4程度の長さしかありません。そのため、菌が侵入して膀胱まで到達しやすい構造になっているのです。本来、閉経前の女性は、膣内の常在菌が膣を強い酸性に保ち、有害な菌を繁殖させないように守っています。しかし、性行為などによって大腸菌が繁殖するなどして、膀胱炎が発症しやすくなってしまうのです。一方、閉経後の女性は膣内の常在菌が減少傾向にあるため、膀胱炎を繰り返しやすい環境になっていると考えられます。

編集部編集部

原因となるのは主に大腸菌ですか?

黄 鼎文先生黄先生

ほとんどが大腸菌です。ほかに5〜10%程度、黄色ブドウ球菌が原因として確認されています。このほか、プロテウス、肺炎桿(かん)菌、エンテロバクター、シュードモナス属などの感染によって生じることもあります。

編集部編集部

病院では、どんな検査を行うのでしょうか?

黄 鼎文先生黄先生

尿検査を行い、白血球や菌の数を計測します。さらに、菌の種類を特定するために、尿の培養検査を追加して行うこともあります。

膀胱炎の治し方・治療や繰り返さないための予防法を解説 「性行為」が原因になることも

膀胱炎の治し方・治療や繰り返さないための予防法を解説 「性行為」が原因になることも

編集部編集部

膀胱炎の治療法について教えてください。

黄 鼎文先生黄先生

主な治療法は抗生物質の内服です。しかし、抗生物質が効き、尿検査の結果でも改善しているにも関わらず、症状だけが続く場合は、漢方薬を使用することもあります。内服に加え、治療中は十分な水分摂取を心掛け、排尿とともに細菌を体外へ排出するようにすることも重要です。治療が遅れると菌が腎臓まで移行し、腎盂腎炎になって高熱が出る恐れもあるため、注意が必要です。

編集部編集部

膀胱炎は何日ぐらいで治りますか?

黄 鼎文先生黄先生

通常、抗生物質の内服から1~2日程度で症状は軽減し、3~5日程度で治癒するでしょう。しかし、抗生物質を内服しても治らない場合には、菌の種類が異なることが考えられるため、追加検査を行ったり、専門医を受診したりする必要があります。

編集部編集部

自然に治ることもありますか?

黄 鼎文先生黄先生

急性膀胱炎の場合は、自然治癒することもあります。症状が出始めた早期にはそれほど細菌が増えていないため、免疫力が正常である状態で適切に対応すれば、薬を飲まなくても自然治癒することがあるのです。薬を内服してもしなくても、膀胱炎の治療では水分を十分に摂ることが重要です。実際に、軽度の膀胱炎であれば、しっかりと水分を摂るだけで治るケースもあります。

編集部編集部

膀胱炎を繰り返さないための予防法はありますか?

黄 鼎文先生黄先生

水分を多めに摂ることです。また、尿を我慢していると膀胱内に細菌が繁殖しやすくなるので、なるべく我慢しないようにしましょう。女性は肛門や膣、尿道口の距離が近いため、排尿や排便後は拭き方に注意し、前から後ろ(尿道口から肛門の方)に拭くことも意識してください。また、温水洗浄便座(ビデ)は膣内の細菌を尿道に押し込むことがあるので、膀胱炎を繰り返しやすい人は使用を控えた方が良いでしょう。

編集部編集部

ほかにも予防法があれば聞いておきたいです。

黄 鼎文先生黄先生

このほか、おなかを温めると膀胱への血流量が増え、細菌と戦う白血球や酸素、栄養が膀胱に届き、炎症を起こした膀胱粘膜の修復を速やかに行うことができます。寝不足や体の疲れは免疫力の低下を招くため、規則正しい生活習慣を心がけ、体を休めることも重要です。さらに、性行為の後は排尿するようにすることも有効でしょう。

編集部編集部

性行為が膀胱炎の原因になるとはどういうことですか?

黄 鼎文先生黄先生

しばしば膀胱炎の原因となりますね。性行為によって、一部の細菌が膀胱内に侵入してしまうことが考えられます。また、性交渉により尿道にダメージを受けると、そこで細菌が繁殖する可能性もあるのです。そのため、性交直後にトイレで排尿をし、膀胱内を空にすることで、細菌の繁殖を防ぎ、膀胱炎を予防することができます。また、性交中の膣の乾燥は尿道のダメージを引き起こす恐れがあるため、性交中に膣の乾燥が気になる場合には、潤滑剤を使用することも有効です。

編集部編集部

ありがとうございました。最後に読者の皆様にメッセージをお願いします。

黄 鼎文先生黄先生

膀胱炎は、普段の免疫力を高めることで、ある程度再発を予防することが可能です。免疫力を高めるためには、日頃の規則正しい生活習慣が重要です。十分な水分摂取とともに、バランスの良い食生活や十分な睡眠を心がけましょう。

編集部まとめ

女性は尿道が短く、菌が侵入しやすい形態的な特徴から膀胱炎を発症しやすいということでした。また、性行為がきっかけで膀胱炎を発症することもあるといいます。膀胱炎を予防するためには、性行為後の排尿や規則正しい生活習慣を心がけるほか、尿意を感じたらトイレを我慢しないようにすることも重要です。治療の有無に関わらず、十分な水分摂取も行いましょう。

医院情報

つくばウロケアクリニック

つくばウロケアクリニック
所在地 〒305-0821 茨城県つくば市春日3-1-1 つくばクリニックセンタービル4F
アクセス つくばエクスプレス「つくば駅」より車5分
診療科目 女性泌尿器科、泌尿器科、漢方内科