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【歯科医師監修】歯のクリーニングを定期的に受けないと口腔内はどうなるの?

 更新日:2024/01/05
【歯科医師監修】歯のクリーニングを定期的に受けないと口腔内はどうなる?

歯のクリーニングのために歯科医院に通うのは、「少し面倒」と思う人も多いのではないでしょうか。しかし、セルフケアで取り残した汚れ(細菌)をそのまま放置することは、むし歯や歯周病のみならず、全身の健康にも影響を及ぼす可能性があるようです。今回は、歯科医院のクリーニングの重要性や具体的な処置の内容などを、「こばやし歯科」の小林先生に解説していただきました。

小林 靖明

監修歯科医師
小林 靖明(こばやし歯科)

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大阪歯科大学卒業。その後、一般歯科医院の勤務医として経験を積む。1999年、大阪府堺市に「こばやし歯科」を開院。むし歯や歯周病などの一般的な治療から高度な治療まで幅広く対応している。「治療を受けに行く」というより「仕事帰りに立ち寄る」という気軽さで来院できるよう、居心地の良い空間作りに努めている。日本アンチエイジング歯科学会の会員。

毎日歯を磨いていても歯科医院でクリーニングが必要なのはなぜ? プロフェッショナルケアの重要性

毎日歯を磨いていても歯科医院でクリーニングが必要なのはなぜ? プロフェッショナルケアの重要性

編集部編集部

1日に2~3回、毎日歯を磨いていても、やはり歯科医院での定期的なクリーニングは必要なのでしょうか?

小林 靖明先生小林先生

はい、必要です。むし歯・歯周病の予防の基本はセルフケア(歯磨き)ですが、「しっかり磨いている」ことと「きちんと磨けている」ことは必ずしもイコールではありません。実際のところ、歯磨きで落とせているのは汚れ全体の6割程度だと思っておいた方がいいでしょう。

編集部編集部

6割程度というと、自分が思っている以上にお口の中には汚れが残っているものなのですね。

小林 靖明先生小林先生

一口に「歯を磨く」といっても、磨き方には人それぞれにクセのようなものがあります。磨けていない場所もだいたいいつも同じで、何もしないとそういう場所には永遠に汚れがたまり続けていきます。例えるなら、雪道を走っていると車が通った場所は綺麗なのに、車が通らない脇道にはずっと雪が残っているような感じです。

編集部編集部

自分では磨けず、たまった汚れを定期的なクリーニングで落としてもらうわけですね。

小林 靖明先生小林先生

そのとおりです。さらに、お口の汚れの中には「着色汚れ」や「歯石」など、歯ブラシや歯間ブラシで落とせない汚れも存在しています。歯科医院のクリーニングには、このようなセルフケアでは落としきれない・落とせない汚れをフォローしながら、お口の環境を整える役割があります。

編集部編集部

セルフケアでは落とせない汚れをそのまま放置すると、どのようなリスクがあるのでしょうか?

小林 靖明先生小林先生

1つは、むし歯や歯周病、口臭のリスクを高めてしまう点です。これに加えて近年は、歯周病の原因菌が体の血管に入り込むと血栓を作ることがわかっており、これが後に心筋梗塞や脳梗塞のリスクを高めることも指摘されています。定期的な歯科医院のクリーニングでお口の菌を減らすことは、今やお口の健康だけにとどまらず、体の健康を保つうえでも非常に重要となってきています。

歯科医院のクリーニングではどんなことをしてもらえる? 「保険」と「自費」で目的が異なる理由とは?

歯科医院のクリーニングではどんなことをしてもらえる? 「保険」と「自費」で目的が異なる理由とは?

編集部編集部

実際に、歯科医院では、どのようなクリーニングをおこなうのでしょうか?

小林 靖明先生小林先生

歯科医院のクリーニングは、保険診療でおこなうものと自費診療でおこなうものの大きく2パターンあります。それぞれで施術の内容や目的が異なります。

編集部編集部

保険と自費、それぞれの内容や目的の違いを教えてください。

小林 靖明先生小林先生

まず、保険診療は基本的に「病気を治すこと」を主な目的としています。したがって、クリーニングについても歯周病を治すことを目的に、歯周病になっている部分の歯石取りを数回に分けて除去するのが一般的です。これに対して、自費診療のクリーニングは「病気の予防」を目的に、着色・歯石を含め、お口全体の汚れを除去していきます。

編集部編集部

そうすると、保険と自費では通院回数も違ってくるのでしょうか?

小林 靖明先生小林先生

一般的にはそうだと思います。保険診療の場合は「数回に分けておこなう」というルールがあるため、一度の施術で全てを終わらせることができません。そのため、歯周病の状況に応じて数回の通院が必要になります。その一方で、自費診療の場合は基本的に1回の施術でお口全体の汚れを除去していきます。

まだまだ知りたい歯科医院のクリーニングに関するQ&A 歯は白くできる? 頻度はどのくらい?

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編集部編集部

歯科医院でおこなうクリーニングは痛くないのでしょうか?

小林 靖明先生小林先生

基本的に痛みはありませんが、歯ぐきに炎症を起こしている場合は多少の痛みが出るかもしれません。その場合は麻酔を使って痛みを和らげるか、もしくは一気にやらずに段階を経てクリーニングをおこなうこともあります。

編集部編集部

歯科医院のクリーニングで歯は白くなりますか?

小林 靖明先生小林先生

歯の表面についた着色汚れは落とせますが、もともとの歯の色を今以上に白くすることはできません。クリーニング後、さらに歯を白くしたい場合は「ホワイトニング」という別の施術が必要になります。

編集部編集部

クリーニングはどのぐらいの頻度で通えばいいですか?

小林 靖明先生小林先生

歯周病治療を目的とした保険診療のクリーニングは、1~2週間に1回の通院で少しずつ歯石を落としていきます。自費診療のクリーニングは1回の施術でお口全体の汚れを除去しますので、2~3カ月に1回が通院の目安となります。

編集部編集部

クリーニングに定期的に通っていれば、歯磨きをサボってもむし歯や歯周病は防げますか?

小林 靖明先生小林先生

残念ながら、歯科医院のクリーニングのみでむし歯・歯周病を予防することはできません。最初にお話ししたとおり、歯科医院のプロフェッショナルケアはあくまでセルフケアをフォローするものなので、口腔ケアのメインはやはりご家庭での歯磨きが中心となります。

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

小林 靖明先生小林先生

歯科医院のクリーニングでは、歯ブラシや歯磨き剤の選び方や患者さんごとに応じた磨き方のアドバイスもおこなっています。歯科医院で定期的にプロフェッショナルケアを受けることは、同時にセルフケアの質の向上につながることもぜひ知っていただければと思います。セルフケアと歯科医院でのプロフェッショナルケアの両立で、お口の環境を整えていきましょう。

編集部まとめ

歯科医院のクリーニングはむし歯・歯周病の予防のみならず、全身の健康維持にも良い効果をもたらすことがわかりました。一方で、保険診療と自費診療ではクリーニングの目的や頻度、費用などが異なるため、クリーニングを受ける際は受診する歯科医院であらかじめよく確認しておくことが大切です。セルフケアのみで満足することなく、歯科医院の定期的なプロフェッショナルもぜひ習慣づけていきましょう。

医院情報

こばやし歯科

こばやし歯科
所在地 〒590-0134 大阪府堺市南区御池台3-8-12
アクセス 南海電車泉北高速線「栂美木多駅」 バスで10分
診療科目 歯科

この記事の監修歯科医師