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神経を残せるむし歯と残せないむし歯の違いとは?神経を残すための治療法を解説

 公開日:2026/05/06
神経を残せるむし歯と残せないむし歯の違いとは?神経を残すための治療法を解説

むし歯は症状の進行などにより神経を取ってしまう治療が必要になることもある疾患です。それでは、神経を残せるむし歯と残せないむし歯にはどのような違いがあるのでしょうか。
神経を残して治療を行える条件や、神経を残せない場合の治療法などについて解説します。

松浦 京之介

監修歯科医師
松浦 京之介(歯科医師)

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歯科医師。2019年福岡歯科大学卒業。2020年広島大学病院研修修了。その後、静岡県や神奈川県、佐賀県の歯科医院で勤務。2023年医療法人高輪会にて勤務。2024年合同会社House Call Agencyを起業。日本歯科保存学会、日本口腔外科学会、日本口腔インプラント学会の各会員。

むし歯で神経を残せるかどうかの判断基準

むし歯で神経を残せるかどうかの判断基準

むし歯とはどのような病気ですか?

むし歯は、簡単にいえばお口のなかにいる細菌が作り出す酸によって、歯が溶かされていってしまう病気です。
お口のなかにはさまざまな細菌がすんでいますが、そのなかには食事などの際に口腔内に入ってきた糖を分解し、酸性物質を作り出す菌がいます。しっかりと食後の歯磨きなどを行って細菌や糖の量を抑えていれば酸は少量のため歯は溶かされにくいのですが、細菌や糖が多いとそれだけ酸の量も増え、これが歯を溶かしてしまうのです。
なお、むし歯にはCOと呼ばれる経過観察の段階と、C1からC4と呼ばれる治療が必要な4つの段階があります。COは酸によって歯がもろくなっているものの、まだ穴が開くような溶け方はしていない段階で、再石灰化という機能で健康な状態に戻れる可能性がある段階です。
C1以降は実際に歯が溶かされてしまっている段階で、この段階になると自然回復は難しいため、歯科医院での治療が必要です。
むし歯の治療は感染している部分を物理的に取り除く対応が必要で、C1以降は歯を削る治療が行われます。

神経を残せるむし歯と残せないむし歯の違いはなんですか?

神経を残せるむし歯と残せないむし歯の違いは、神経にまで細菌の感染が進行しているかどうかです。
むし歯は歯の表面にあるエナメル層から始まり、少しずつ歯の内部へと進行していく病気です。上述のC1からC4というのはその進行している状態による呼び名で、エナメル層という歯の表面の硬い部分までの進行であればC1、その内側にある象牙質と呼ばれる部分ならC2と呼ばれます。
そして、C3と呼ばれる段階は象牙質の内側にある、歯髄と呼ばれる歯の神経が集まっている場所に進行しているむし歯で、神経に感染が広がるとむし歯の進行も早くなり、また神経が直接刺激にさらされるため強い痛みを生じることから、神経を取り除く必要が生じます。
ただし、C3の段階であっても神経をすべて取り除くのではなく、感染部位だけ除去し、後は殺菌作用のある薬などで治療するという治療が行える場合もあります。
なお、C3よりさらに進行しているC4の段階は、歯の大部分が溶かされてむし歯が歯の根まで進行している状態です。この段階の場合は神経も感染によって死滅している場合が多く、痛みも感じなくなります。C4の場合、神経自体は死滅していますが、そのまま残しておくと膿が作られて根尖性歯周炎などのトラブルにつながるため、死んだ神経などを丁寧に除去する必要があります。

神経を残せるむし歯かどうかの判断基準を教えてください

神経を残せるかどうかは、歯の神経の感染がどの程度かによって決まります。神経までむし歯が広がっていなければ神経を残せますし、神経まで感染が広がっていても、殺菌などによって炎症を回復させられる程度であれば、神経を残せる可能性があります。
最終的には歯科医師が直接診断を行い、神経を残せるかどうかの判断を行いますが、目安としては冷たいものなどを当てるとしみるが、離して数秒たてば痛みがおさまるような状態であれば神経を残せる可能性が高いといえます。
一方で、ズキズキとした痛みが継続していて夜も眠れないほどというような状態であれば、神経を残しておくことは難しいでしょう。
ズキズキとした痛みが生じてもすぐのタイミングであれば神経を残せる可能性があるので、何よりも早く歯科医院に相談することが大切です。

神経を残せるとどのようなメリットがありますか?

神経を残せると、下記のようなメリットがあります。

  • 歯の色の変化を防げる
  • むし歯の再発時に早期発見がしやすい
  • 歯の強度を保ちやすい

神経を取ってしまうと、歯の内部の色が変化し、歯が黄色などに変色する可能性があります。神経が残っているとこうした変化を防ぎやすく、見た目を良好に保ちやすいといえます。
また、神経が残っていることで、むし歯が再発した際にも痛みなどの刺激を感じ取れるため、早期発見と早期治療をしやすくなります。神経がないと痛みが生じないため、気が付いたら深くに進行し、ほかの歯などにも影響してしまう状態になる可能性が高まります。
また、神経を取り除く根管治療を行う際には、歯の内部を広げる根管拡大などの処置を行うため、歯がもろくなりやすいというデメリットがあります。神経を残せる場合はこうした処置が不要なため、歯の強度を保ちやすく、歯根破折などのトラブルを防げます。

神経を残せる治療法について

神経を残せる治療法について

歯髄まで進行していても神経を残せる治療法はありますか?

歯髄までむし歯が進行してしまっている場合でも、直接覆髄法と呼ばれる治療を行えば神経を残せる可能性があります。
直接覆髄法は神経のうえに殺菌力がある薬剤を塗布し、殺菌を行いながら神経を保護する治療で、具体的にはMTAセメントという殺菌性の高い素材を使用する治療があります。

神経を残せるむし歯治療は保険診療で受けることができますか?

歯髄への感染が軽微の場合、水酸化カルシウム製剤を用いる直接覆髄法で神経を残せる可能性があり、この治療は保険適用でも行われています。
ただし、保険適用での治療は成功率が高いとはいえず、治療の数年後に神経が死んでしまう場合もあるとされています。
高めの成功率を目指すことができるMTAセメントを使用した直接覆髄法の場合、保険診療だと材料費で歯科医院が赤字になってしまうことから、自費診療での提供が一般的です。

神経を残せる治療を受けるためのポイントを教えてください

神経を残せる治療のためには、何よりもまず感染が軽い状態で治療を受けることが大切です。感染が広がってしまうと、例え優れた治療法があったとしても神経を残すことが困難となります。
逆に、歯がしみるような軽度の痛みの段階で検査と治療を受ければ、神経を残しつつ、治療自体も簡単な内容で終えられる可能性があります。
歯の健康を維持するためには、定期的な歯科医院の受診なども行い、早めにトラブルを見つけて治療できるようにしましょう。

神経を残せない場合の治療法

神経を残せない場合の治療法

神経を残せない場合はどのように治療しますか?

神経に感染が広がってしまっている場合は、神経を除去して細菌を徹底的に取り除く根管治療が行われます。
根管治療で歯の内部まで徹底的に殺菌し、感染の解消が確認できたら、歯を土台に整形してそのうえから被せ物などの人工の歯を取り付けて噛み合わせを回復させます。
ただし、感染の広がり方などによっては歯を残しておけず、抜歯して入れ歯インプラントなどの治療が必要になる場合もあります。

神経を残せないとどのようなリスクがありますか?

神経を残せず、神経を除去した後の歯は、再度むし歯に感染しても痛みなどを感じることができません。そのため、気が付いたら歯の内部でむし歯が広がり、その影響によって作られた膿が歯茎に蓄積され、強い痛みなどを生じさせることもあります。
また、神経を残せない場合に行う根管治療は、根管拡大という処置で歯の内部を広げる対応が必要であるため、歯根部分がもろく折れやすくなるというデメリットがあります。歯根部分が折れてしまうとその歯は抜歯が必要になるため、根管治療で歯の寿命を延ばせたとしても、神経が残っている歯と比べれば寿命が短い歯になりやすいといえます。

編集部まとめ

編集部まとめ

歯の神経を残せるかどうかは、むし歯の進行が歯髄にまで到達しているかどうかによって異なります。歯髄まで到達していても軽度の炎症であれば神経を残せる可能性があり、神経を温存するためにはとにかく早めに歯科医院を受診して治療を受けることが大切です。
神経への感染が軽微ならMTAセメントなどによる治療で神経を残せる場合もあるため、歯科医師とよく相談して適切な治療を検討してみましょう。

この記事の監修歯科医師