

監修医師:
本多 洋介(Myクリニック本多内科医院)
目次 -INDEX-
アミロイド肝の概要
アミロイド肝(肝アミロイドーシス)は、肝臓にアミロイドと呼ばれる異常なタンパク質が蓄積する病気です。アミロイドは通常、体内で分解されるタンパク質ですが、何らかの原因で分解されずに、肝臓の細胞間に少しずつたまっていきます。アミロイドがたまることで、肝臓の機能が徐々に低下し、さまざまな症状を引き起こします。
また、アミロイド肝は全身性アミロイドーシスの一部として発症することがあり、その場合は肝臓だけでなく、心臓や腎臓などの臓器にもアミロイドが蓄積することがあります。
アミロイド肝は早期に発見するのが難しく、診断が遅れることがあります。しかし、できるだけ早い段階で治療することで、症状の改善や病気の進行抑制が期待できるため、定期的な検査による早期発見を目指すことが大切です。
アミロイド肝の原因
アミロイド肝は本来分解されるはずのアミロイドが正常に分解されずに、肝臓に蓄積することで生じます。アミロイドーシスが起こる主な原因は以下になります。
原発性アミロイドーシス
骨髄(骨の中にある血液を作る組織)の異常が原因で起こるタイプです。骨髄の中の「形質細胞」という細胞が異常なタンパク質を作り出し、アミロイドとして体内にたまります。多発性骨髄腫という血液のがんが関連していることもあります。女性より男性に多い傾向があります。
続発性アミロイドーシス
炎症性の病気が原因で起こるタイプです。関節リウマチや炎症性腸疾患、感染症などが長期間起こることが原因になります。体に炎症反応が続くと、炎症に関わるタンパク質が増え、それがアミロイドとしてたまります。
家族性アミロイドーシス
遺伝子の異常が原因で起こるタイプです。親から子へと遺伝子の異常が受け継がれることで、異常なタンパク質が肝臓で作られ、体内にたまります。特定の地域や家系に多く見られる場合があり、日本では長野県や熊本県に多いことが知られています。
透析アミロイドーシス
長い間、透析治療を受けている方に見られるタイプです。通常なら腎臓から排出される物質が透析で十分に取り除けない影響で、体内でアミロイドが蓄積していきます。主に関節や骨に影響しますが、肝臓にもたまることがあります。
老人性TTRアミロイドーシス
高齢者に見られるタイプで、主に心臓に影響しますが、肝臓にもたまることがあります。加齢にともなって正常なタンパク質が形を変えてたまります。
その他の原因
栄養状態が悪かったり、強いストレスが続いたりすると、体の炎症が持続し、アミロイドが作られやすくなることがあります。これらの状態を改善することが予防や治療につながります。
アミロイド肝の前兆や初期症状について
アミロイド肝で代表的な症状は肝臓の腫れです。肝臓が腫れると、右上腹部の不快感や鈍い痛み、お腹が張る感覚があらわれます。肝臓が過剰に大きい場合は息苦しくなることもあります。
肝臓の腫れによって働きが悪くなると、全身のだるさ、食欲不振、吐き気などが起こります。進行すると皮膚や白目が黄色くなったり(黄疸)、体がかゆくなったりすることもありますが、他の肝臓病に比べると症状は軽いことが多いです。
アミロイドは肝臓だけでなく、体の他の部分にもたまることがあります。心臓にたまると息切れや足のむくみ、腎臓にたまるとむくみや尿の異常、神経にたまると手足のしびれやめまいなどの症状が出ることがあります。
重症になると肝臓の機能がほとんど失われたり、まれに肝臓がもろくなって破れたりすることがあります。
アミロイド肝の検査・診断
アミロイド肝の診断は、血液検査、画像検査、肝生検などを組み合わせて行われます。
血液検査
血液検査でASTやALTなどの値を測定し、肝臓の状態を調べます。また、アミロイドの原因となるタンパク質の種類を調べるための特殊な検査も行うことがあります。
画像検査
腹部の超音波検査、CT検査、MRI検査を行います。これらの検査では肝臓の大きさや形、内部の状態を調べます。超音波検査を行うと、アミロイド肝では正常と異なる肝臓の模様が確認されることが多いです。
肝生検
アミロイド肝の確定診断には、肝臓の一部を採取して調べる肝生検が必要です。細い針を肝臓に刺して少量の組織を採取し、特殊な染色をして顕微鏡で観察します。アミロイドがたまっていると特徴的な変化が確認できます。
アミロイド肝の治療
原発性アミロイドーシスの治療
原発性アミロイドーシスでは、異常な形質細胞の増殖を抑える治療が中心です。抗がん剤などの投与や、特殊な細胞移植を行うことがあります。これらによりアミロイドの産生を抑え、症状の緩和や病気の進行の抑制が期待できます。
続発性アミロイドーシスの治療
続発性アミロイドーシスでは、原因となっている炎症性疾患のコントロールが重要です。関節リウマチなら抗リウマチ薬、感染症なら抗生物質による治療を行います。炎症を抑えることでアミロイドがたまらないようにします。
家族性アミロイドーシスの治療
家族性アミロイドーシスでは、異常なタンパク質を作る肝臓を新しい肝臓に置き換える「肝移植」が選択肢となることがあります。また、異常なタンパク質の働きを抑える薬が使われることもあります。
その他のタイプの治療
透析アミロイドーシスでは、透析方法の変更や腎移植が検討されることがあります。老人性TTRアミロイドーシスには、タンパク質の働きを安定させる薬が使われることがあります。
症状を和らげる治療
いずれのタイプでも根本的な治療に加え、症状の緩和や合併症への対応が必要です。肝機能障害には肝臓を守る薬、腹水(お腹に水が溜まる状態)には水分を体外へ排出させる薬を投与し、全身状態の改善には栄養管理などを行います。状態によっては、他の臓器の症状に対しても適切な治療が必要です。
アミロイド肝になりやすい人・予防の方法
多発性骨髄腫などの血液疾患がある人、関節リウマチなどの慢性的な続く炎症性疾患に罹患している人、家族にアミロイドーシス発症者がいる人、長期間透析を受けている人、高齢者はアミロイド肝を発症しやすいと言えます。
慢性的な感染症がある人、長期間栄養状態が悪い人、強いストレスにさらされている人も、体の炎症が続くことによりリスクが高まる場合があります。
アミロイド肝の発症を予防するには、基礎疾患をしっかり治療することが大切です。また、定期的に健康診断を受けて肝臓の異常を早く見つけることも重要です。家族にアミロイドーシスの人がいる場合は、遺伝子検査を受けることで早期発見できるケースもあります。
参考文献