「疲れすぎるとどうなる」かご存じですか?現れる症状や病気を医師が解説!

疲れすぎるとどうなるのでしょうか?メディカルドック監修医が主な原因や考えられる病気・何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

監修医師:
関口 雅則(医師)
目次 -INDEX-
疲れすぎるとどうなる?疲労で現れる症状の一覧
現代社会では、仕事や家庭、育児などに追われる中で「疲れが取れない」と感じる人が増えています。疲れが蓄積すると身体と心の両方にさまざまな不調が現れ、生活の質や健康を脅かす可能性があります。本記事では、疲労が限界に達すると現れやすい症状について詳しく解説します。
心身に疲れが溜まってくるとどんな影響がある?
疲れが蓄積していくと、日常生活のパフォーマンスが徐々に低下していきます。身体が重く感じられ、だるさや強い倦怠感がずっと続きます。集中力や判断力が低下することで、仕事や勉強でミスが増えたり、効率が悪く感じたりすることも多くなります。その結果、些細なことでもイライラし、気分が不安定になるケースも増えます。 夜になっても眠りが浅く、特に朝になっても疲れが十分に取れない実感が強くなります。
こうした不調が長引いて、慢性的な体調不良や疲れすぎて限界の症状が現れた際は、早めの休養や医療機関への相談が重要となります。
疲れで身体に現れる症状
疲れが限界を超えると、身体にさまざまな不調が現れます。筋肉痛や肩こり、全身のだるさが起こり、頭痛やめまい、動悸が生じることもあります。発汗の異常や手足の冷え、自律神経の乱れが体温調節の不調を招きます。また、食欲不振や胃腸の不調、下痢や便秘を繰り返すことも少なくありません。皮膚には湿疹やニキビなどのトラブルが見られ、微熱や免疫力低下による感染症リスクも高まります。
これらの症状が長引く場合は、単なる疲労でなく貧血や甲状腺疾患などの病気が潜んでいる可能性もあります。症状が改善しなければ、早めの医療機関受診が大切です。
疲れで心に現れる症状
疲労が蓄積すると、精神面にもさまざまな影響が現れます。やる気が起きず、何事にも興味を持てなくなり、気分の落ち込みや不安、焦りを感じやすくなります。日常でイライラや怒りっぽさが目立ち、感情のコントロールが難しくなりがちです。さらに、思考力や判断力が低下し、些細な問題にも悩みやすくなります。また、人とのコミュニケーションが億劫になり、話すことすら負担に感じることもあります。
こうした精神的な不調が続く場合、適応障害やうつ病などのメンタルヘルスの病気に発展するおそれがあるため、できるだけ早く家族や医師へ相談しましょう。
心身に疲れがたまる主な原因と対処法
日常生活のさまざまな要因が、知らず知らずのうちに心身の疲れを蓄積させています。ここでは主な原因ごとに、その特徴と具体的な対処法について解説します。
睡眠不足やストレス
睡眠不足が続くと身体が十分に回復できず、翌日以降もだるさが残りやすくなります。ストレスが慢性的にかかることで自律神経のバランスが崩れ、心も体も休まらない状態が続くため、さらに眠りが浅くなり、疲れがより蓄積されやすくなります。
こうした場合はまず睡眠時間を確保し、リラックスできる時間を持つことで心身の緊張を和らげることが大切です。また過度なストレスがある場合は、信頼できる人や専門家に相談するのも効果的です。
食事・飲酒・喫煙などの生活習慣の乱れ
不規則な食生活や栄養バランスの偏り、過度な飲酒や喫煙といった生活習慣の乱れも、疲れやすさを招く大きな要因となります。
食事が偏ると身体に必要なエネルギーやビタミン・ミネラルが不足し、日常的に疲労を感じやすくなります。アルコールやたばこは一時的なストレス解消にはなっても、最終的には内臓への負担となり、回復を妨げます。
毎日の食事を見直し、バランスよく栄養を摂ることや、飲酒・喫煙の量をできるだけ減らすことが、疲れを蓄積させないためのポイントです。
貧血・甲状腺疾患などの病気・疾患
慢性的な疲労の影には、貧血や甲状腺疾患、糖尿病などの内科的な病気が隠れていることもあります。
貧血になると全身に酸素が十分に行き渡らなくなり、常にだるさや立ちくらみを感じるようになります。また、甲状腺機能の異常は代謝のバランスを崩し、やる気の低下や体重の変化、強い疲労感などを引き起こします。
こうした場合は早めに医療機関で必要な検査や治療を受けることが重要です。疲れが何週間も続く場合には、一度医師に相談しましょう。
赤ちゃんや子育てによる疲労
特に赤ちゃんや小さな子どもを育てている時期は、夜間の授乳やお世話による慢性的な寝不足や、自分の時間が持てないストレスで、親の心身の疲労が蓄積しやすくなります。
育児中はつい自分のケアを後回しにしがちですが、短い時間でも意識して休息を取ること、家族や周囲のサポートを積極的に利用することが心身の負担を軽減するうえでとても大切です。育児の悩みは一人で抱え込まず、地域の相談窓口や専門家の力も借りながら乗り越えましょう。
すぐに病院へ行くべき「疲れ」に関する症状
ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。
疲れすぎて特定の症状が現れた場合は、症状に応じた専門科へ
例えば、強い動悸や息切れ、普段と異なるめまいや意識の消失がある場合は、循環器内科や神経内科などの専門医の受診が適切です。そのほか、食欲不振が続いたり、急に体重が減少したりする場合は、消化器内科の受診をおすすめします。慢性的なだるさに加えて、微熱や発汗異常が見られる際には、甲状腺疾患や感染症の可能性を考えて内科を受診しましょう。
受診時には、症状が始まった時期や経過、変化した点などを医師に具体的に伝えることで、適切な診断と治療につながります。急に体の異常を感じた時、症状が強くなった時、または日常生活に支障をきたす場合は、自己判断せずすぐに受診してください。
病院受診・予防の目安となる「疲れすぎた」ときのセルフチェック法
疲れを感じたときに病院受診を考える目安として、いくつかのセルフチェック項目があります。以下のポイントに該当する場合は専門医の相談を検討しましょう。
・眠っても疲労が全く回復しない場合
・普段より極端なだるさが続いている場合
・急に動悸や息苦しさが悪化した場合
・食欲不振や体重減少が増してきた場合
・発熱や微熱が続き、倦怠感もある場合
・めまい、ふらつき、集中力の低下が目立つ場合
・抑うつ症状や、興味関心が著しく低下した場合
症状が日常生活に影響し始めている、改善の兆しが見られない場合には、早めに医療機関への受診や専門医の診察を受けてください。
「疲労」が原因の病気・疾患
ここではメディカルドック監修医が、「疲労」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
慢性疲労症候群
慢性疲労症候群は、日常生活に影響を与えるほどの強い疲労感が6か月以上続く病気です。この疾患は、軽い運動や活動でも極度の疲労が残り、充分な休養を取っても改善しないのが特徴です。原因ははっきりしていませんが、感染・免疫異常・ストレスなどが関与していると考えられています。
治療は、休息を基本に、精神的サポートや生活リズムの見直し、症状に応じた薬物療法が行われます。倦怠感が何か月も続き、日常生活が送りづらいと感じたら内科や心療内科を受診しましょう。
休日無気力症候群
休日無気力症候群は、平日は元気に過ごせるのに、休日になると急激に気力や体力が低下し無気力になってしまう状態です。過剰な緊張やストレスを平日抱え続けることで、休日に心身がリセットできなくなるのが要因とされています。
生活や仕事の負担を調整し、休日も適度な活動やリラックスを意識して過ごすことが重要です。症状が続く場合や日常生活に支障が出る場合は、心療内科や精神科で相談するとよいでしょう。
うつ病
うつ病は、強い落ち込みややる気の低下に加え、持続する倦怠感や睡眠障害、食欲低下など、身体的な症状も出現する精神疾患です。ストレスや生活環境の変化、身体疾患などがきっかけになることも多く見られます。
基本的な治療は休息を優先することです。必要に応じて薬物療法やカウンセリングが行われます。2週間以上気分の落ち込みや無気力感、強い疲労が続く場合は精神科や心療内科の受診が推奨されます。
貧血
貧血は、血液中の赤血球やヘモグロビンが減少することで全身への酸素供給が低下し、継続する疲労感や動悸、息切れ、めまいなどが現れます。女性や高齢者に多く、出血や鉄分不足、慢性疾患が原因となることが多いです。
治療は原因に応じた薬物療法や食生活の改善が基本です。ふらつきや強い疲れ、顔色が悪いなどの症状が続く場合は内科を受診してください。
心不全
心不全は心臓の機能が低下して血液を十分に送り出せなくなる状態で、強い疲労感や息切れ、むくみ、体重増加などの症状を引き起こします。高血圧や心筋梗塞、弁膜症などが原因となります。
治療は薬物療法や生活指導が基本で、重症例では手術の適応が検討されます。動くとすぐに息苦しくなる、足のむくみが消えないなどの症状がある場合、循環器内科で早めに相談しましょう。
甲状腺疾患
甲状腺機能低下症や甲状腺機能亢進症などの甲状腺疾患も、強い疲労感やむくみ、体重の増減、発汗異常などさまざまな症状を引き起こします。原因はホルモンの異常によるもので、生活習慣や遺伝などが関係することもあります。
治療はホルモン補充療法や薬物療法が中心です。疲労感に加えて体温調整がうまくいかない、体重が急激に変化した場合は内分泌内科や内科の受診を検討しましょう。
「疲れがたまった」ときの正しい対処法は?
疲れを感じたときにはそのまま無理をせず、まずは心身を回復させることが大切です。ここでは医学的におすすめされる正しい対処法について解説します。
休養・睡眠を充分に確保しましょう
疲れがたまったときには、何よりも休養と十分な睡眠が最優先です。疲労が蓄積すると睡眠の質も低下しがちですが、意識的に寝る時間を30分でも長く確保したり、寝る前のスマートフォンやパソコンの使用を控えたりすることで、深い眠りを得やすくなります。
週末も無理な予定を入れずに、体を横たえる時間をしっかり取る習慣が重要です。また、昼寝をうまく取り入れることで、脳を休ませる効果も期待できます。
疲労回復に一番効く方法とは?
疲労回復にはタンパク質やビタミンB群などを含んだバランスの良い食事を心がけることが重要です。また、軽いウォーキングやストレッチなど無理のない運動を続けることで、血行が改善され疲れが取れやすくなります。
入浴や好きな音楽、自然に触れる時間を持つことも、心身のリラックスに役立ちます。
仕事や家事を一人で抱え込みすぎず、周囲の協力を得ることも忘れないようにしましょう。
もし疲れが長期間続く場合は、早めに専門家へ相談することが大切です。
「疲れすぎる」症状についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「疲れすぎる」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
疲れすぎて休んだ方が良いときの症状は何でしょうか?
関口 雅則(医師)
心身ともに強いだるさが続き、仕事や家事が手につかない、または眠っても全く回復しない感覚がある場合は、無理をせず休むことが必要です。イライラや気分の落ち込み、食欲不振、微熱や動悸などが重なるときは早めに休養を取り、必要に応じて医療機関に相談しましょう。
疲れすぎて限界なときの症状は何でしょうか?
関口 雅則(医師)
疲れが限界に達すると、体が強く重だるく感じ、簡単な動作でも息切れやめまい、動悸などが起こることがあります。頭痛やふらつき、思考力の低下、無気力感や強い不安感などもみられるため、これまでにない体調不良が続く場合は早めに専門医を受診してください。
疲れを感じたときに効果的な対処法は何でしょうか?
関口 雅則(医師)
疲労回復にはまず休養と十分な睡眠が不可欠です。バランスの良い食事や、軽い運動(ストレッチやウォーキング)、入浴や好きな音楽でリラックス時間を持つことも効果的です。
日常生活の中で無理をしないようペースを調整し、疲労が長引く場合は早めに医師へ相談することをおすすめします。
まとめ 疲れすぎたときは心身にさまざまな症状がおきる
疲れが溜まりすぎると、身体だけでなく心にもさまざまな不調が現れるようになります。倦怠感、集中力の低下、不眠や気分の落ち込みといった症状が続いた場合は、無理せずしっかり休養を取ることを心がけてください。今回の記事では、疲労の主な原因や現れる症状、それに対する具体的な対処法や医療機関の受診目安について解説しました。疲れが長引く場合や今までにない異常を感じたときは、早めの相談や受診が重要です。日々の生活の中で体調や気分の変化に気づいたら、それを軽視せず正しいケアや周囲の協力を得て、健康的な毎日を維持することを意識しましょう。
「疲労」症状で考えられる病気
「疲労」から医師が考えられる病気は13個ほどあります。各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
感染症
- インフルエンザ
- 慢性感染症
疲労が続く場合は体のサインを見逃さず、早めに医療機関へ相談しましょう。
「疲労」に似ている症状・関連する症状
「疲労」と関連している、似ている症状は8個ほどあります。各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
疲労だけでなく他の症状が目立つ場合も、放置せず早めの受診が安心です。

