「ストレスによる発熱」は何度くらいかご存知ですか?医師が徹底解説!
ストレスによる発熱を治すには?Medical DOC監修医が対処法や考えられる原因・病気・何科へ受診すべきかなどを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。
監修医師:
武田 美貴(医師)
「ストレスによる発熱」の症状で考えられる病気と対処法
発熱にはいろいろな原因がありますが、病院を受診しても原因がわからないこともあります。そのような時に原因として疑われるものの一つに、ストレス性の発熱があります。どのようなときに、ストレスによる発熱が疑われるか解説していきます。
ストレスによる発熱の症状で考えられる原因と治し方
ストレスによる発熱は、「心因性発熱」と呼ばれます。ストレスによって交感神経の働きが強まり、褐色脂肪細胞が熱を産生することで体温が上昇すると考えられています。通常の発熱は感染などによる炎症が原因となり体温が上昇するものなので、解熱剤によって炎症を抑え、体温を下げることができます。一方で、ストレスが原因である心因性発熱は、炎症が存在しないため解熱剤が効きません。また、炎症がないため、体力もそれほど消耗することなく元気そうに見えることがあります。そのせいで仮病と誤解されてしまい、周囲から理解を得られず、精神的にさらにつらくなってしまうこともあります。
発熱が続くけれども病院に行っても原因がわからない場合は、まず休養をとりましょう。気が付かないうちにストレスをためこんで、発熱という形で症状が現れているのかもしれません。休養しても改善しないときは、精神科を受診してストレスの原因と向き合うことも有効です。
ストレスによる発熱と蕁麻疹の症状で考えられる原因と治し方
蕁麻疹は一般的に発熱を伴うことはありません。しかし、蕁麻疹の中には「温熱蕁麻疹」と呼ばれ、皮膚の温度が高まることが原因で蕁麻疹が出てしまう病態があります。このような場合は、発熱と同時に蕁麻疹が出る可能性が十分あります。温熱蕁麻疹であれば皮膚を冷やすことである程度症状の改善が期待できます。あとは一般的な蕁麻疹と同様に抗ヒスタミン剤やステロイドといった炎症を抑える飲み薬や塗り薬を使用します。自己判断での薬の使用は危険ですので、まずは皮膚科を受診して適切な治療を受けましょう。
ストレスによる発熱と頭痛の症状で考えられる原因と治し方
心因性発熱では頭痛を伴うことがしばしばあります。心因性発熱に伴う頭痛は解熱鎮痛剤を飲むことで改善しますが、発熱は改善しない点が特徴です。また、緊張状態が続くことで全身の筋肉が緊張し、「緊張型頭痛」をきたしている可能性も考えられるでしょう。緊張型頭痛では頭痛の他、肩こりや目の奥の痛みも自覚することがあります。
このようなストレスによる発熱と頭痛がある場合、まず休息を取ることをお勧めします。ゆっくり湯船につかって入浴するのも効果的です。入浴により筋肉も緩み、頭痛を解消する効果も期待できます。ただし、中高年以降はストレスによって血圧が上昇し、クモ膜下出血などの重大な脳の病気を起こしている可能性があります。頭痛がなかなか良くならないときは脳神経内科や脳神経外科を受診して異常がないか相談してみましょう。脳や脳血管に異常がなく、緊張型頭痛が原因である場合は、少量の筋弛緩薬で症状が改善することもあります。
ストレスによる発熱と肩こりの症状で考えられる原因と治し方
ストレスを強く感じると、緊張状態で全身の筋肉が収縮します。緊張している時には気づかないうちに肩に力が入って、肩こりを生じる可能性があります。そして、肩こりが慢性的になると、“こり”が首から頭に広がり緊張型頭痛も合併します。
また、更年期の女性では更年期症状として肩こりを自覚するほか、ほてりを感じることが多いです。更年期の女性はホルモンバランスの乱れによる身体的ストレスと、仕事や家庭環境などの年齢特有の心理的ストレスを受けるため、ストレスケアには一層気配りをすべきでしょう。まずは、軽い運動をはじめて緊張を解消することをおすすめします。また生活習慣を整えて、ゆったり過ごすことも検討してください。それでも症状が改善しないときは、まず婦人科を受診して更年期による症状かどうか相談してみましょう。更年期症状であった場合、ホルモン補充療法などで改善することがあります。
ストレスによる発熱が続く症状で考えられる原因と治し方
ストレスによる長引く発熱は、慢性的なストレスによる心因性発熱が考えられます。炎症による発熱と異なり解熱剤が効かないことが特徴です。病院に行っても異常がなく、比較的元気なことが多いので、仮病と間違われることもあります。ただし、自分ではストレスのせいで熱が続いていると思い込んでしまっているだけで、がんや結核、関節リウマチなど、何か病気が隠れている可能性もあります。熱が続くようであればまず内科を受診しましょう。
もし、何も異常が見られないようであれば、ストレスを減らす生活習慣を意識してみてください。例えば、一度仕事のペースを落としたり、リフレッシュできるような趣味に打ち込んでみたりと思い切って休むことが大切です。
ストレスによる発熱と下痢の症状で考えられる原因と治し方
腸管には神経が多く存在しており、脳がストレスを感じると自律神経を介して腸に伝わり、腸管の運動に異常を引き起こします。この症状が非常に強く日常生活に支障をきたしている場合、過敏性大腸症候群と診断されます。過敏性大腸症候群には下痢型、便秘型、混合型があり、下痢型では1日に3回以上激しい腹痛を伴った下痢が起こります。過敏性腸炎そのもので発熱することはないため、発熱がある場合は心因性発熱を合併しているか、過敏性腸炎ではなくウィルスや細菌による感染性腸炎である可能性を考える必要があります。まずはストレス解消を意識して生活してみましょう。それでも症状が続く場合はストレス以外の原因があるかもしれません。消化器内科を受診することをお勧めします。
ストレスによる発熱と喉の痛みの症状で考えられる原因と治し方
ストレスを感じると、自律神経が乱れ、喉に違和感や痛みを感じることがあります。これは「咽喉頭異常感症」と呼ばれ、主な原因はストレスですが、慢性炎症、アレルギー、乾燥なども関連していると言われています。喉の痛みに発熱が伴うと、風邪と間違ってしまうことがありますが、解熱鎮痛薬を飲んでも症状が改善しないことが特徴です。まずゆっくり休養をとってみましょう。喉の痛みには、のど飴を食べたり、部屋を十分加湿して乾燥を防いだりすることも有効です。
セルフケアのみでは改善しない場合は内服薬を使用します。メンタル面の要素が大きい場合は抗不安薬や抗うつ薬、漢方薬(半夏厚朴湯)が処方されますが、逆流性食道炎や慢性扁桃炎など身体的な要因が関連していると判断された場合は、それぞれの原因に応じた治療を行います。ストレスが原因だと感じる場合は心療内科への受診をお勧めします。ストレスの影響があるかどうか分からない場合は、耳鼻咽喉科への受診をご検討ください。
すぐに病院へ行くべき「ストレスによる発熱」に関する症状
ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。
発熱と喉の痛みに関節痛が伴う場合は、耳鼻咽喉科へ
発熱の原因として、扁桃炎があります。喉の奥にある口蓋扁桃に炎症が起こる病気で、急性扁桃炎と何度も繰り返す慢性扁桃炎の2種類があります。特に急性扁桃炎は悪化すると扁桃に膿が溜まり、生命に関わる重篤な状況になるリスクがあります。また扁桃炎では反応性関節炎といって、関節以外の部位の感染症後に起こる無菌性の関節炎が起こることがあります。扁桃炎の原因はウイルスや細菌の感染です。特に子供の場合、扁桃炎の原因が溶連菌であった場合、リウマチ熱・急性糸球体腎炎・心内膜炎などの病気を引き起こすこともあります。38度以上の熱が続いて喉が痛い場合は、なるべく早く耳鼻咽喉科(小児の場合は小児科)を受診してください。
受診・予防の目安となる「ストレスによる発熱」のときのセルフチェック法
- ストレスによる発熱以外に下痢などの便通異常がある場合
- ストレスによる発熱以外に頭痛・肩こりなどの症状がある場合
- ストレスによる発熱以外に蕁麻疹がある場合
「ストレスによる発熱」症状が特徴的な病気・疾患
ここではMedical DOC監修医が、「ストレスによる発熱」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
心因性発熱(ストレス性高体温症)
精神的なストレスが脳内のホルモンを刺激して、交感神経が亢進することで体温が上昇する病態です。
- なにかのイベントやストレスがかかるような予定の前に38度以上の高熱が一過性に出て、予定が終わったりキャンセルになったりすると良くなるような場合
- 慢性的なストレスが原因で微熱がだらだらと続く場合
の2種類があります。
熱のわりに元気で重篤感がない、一般的な解熱剤が効かない、体温が上がるときに寒気がないといった点が特徴です。発熱が続く場合、まず病院を受診して、発熱の原因となる疾患がないか診断してもらいましょう。原因がない場合、心因性発熱の可能性が高くなります。心因性発熱が疑われた場合は、まずストレスの原因を取り除く、リラックスを心がけるなどが重要です。生活を整え、十分な睡眠を心がけます。それでも改善しない場合は、精神科・心療内科を受診して、相談してみることをおすすめします。
「ストレスによる発熱」の正しい対処法は?
発熱は一般的には炎症が原因となって起こります。発熱が出たときの対処法は、安静と解熱剤の内服ですが、ストレスによる発熱は炎症が原因でないため、解熱剤が効かないのが特徴です。したがって、ストレスが原因と思われる発熱の場合、リラックスすることを心がけ、ゆっくり休養しましょう。体を温めると身(筋肉)も心も緊張がとれるので、入浴や温かいハーブティーもおすすめです。アロマが苦手でなければ、好きな香りを嗅ぐと、リラックス効果が高まります。
もちろん発熱の原因はストレスだけではないので、まずは病気が隠れていないか内科を受診して調べてもらいましょう。特にこれといった病気がないようであれば、焦らず発熱が良くなるのを待ってみてもよいと思います。
「ストレスによる発熱」症状についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「ストレスによる発熱」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
ストレスによる発熱は何度くらいですか?
武田 美貴(医師)
37℃前後の微熱のことが多いのですが、38℃以上の高熱が出ることもあります。
ストレスによる発熱の特徴を教えてください。
武田 美貴(医師)
一般的な解熱剤が効かない、熱の割に元気、寒気や咳などの風邪症状がない、抑うつ状態である、などが特徴です。
ストレスによる発熱に解熱剤は効果的ですか?
武田 美貴(医師)
ストレスによる発熱は炎症が関係しない発熱なので、一般的な解熱剤は効果がないことが多いです。
まとめ ストレスによる発熱はストレスマネージメントで予防
ストレスによる発熱が疑われたとき、診断されたご本人には強いストレスを受けた自覚がないことがあります。また解熱剤が効かなかったり、熱の割に元気なので仮病と誤解されたりすることがあり、かえってストレスとなることがあります。周囲の理解を得られにくいことは精神的につらいことですが、そういう時には精神科・心療内科の先生とよく相談してください。ストレスによる発熱は、身体からのSOSサインです。ゆっくり休養をとって、リラックスするように心がけましょう。
「ストレスによる発熱」症状で考えられる病気
「ストレスによる発熱」から医師が考えられる病気は9個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
消化器系の病気
- 感染性胃腸炎
自己免疫系の病気
その他の病気
短期間の発熱であれば、様子をみていることで改善することがあります。しかし、発熱が長期間続く場合や喉の痛みやひどい下痢などの症状がある場合では、感染が原因の発熱であることがあります。
「ストレスによる発熱」に似ている症状・関連する症状
「ストレスによる発熱」と関連している、似ている症状は5個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
関連する症状
- 気持ちが落ち込む
- 喉が痛い
- 全身がかゆい
- 全身がだるい
- ほてる
発熱していないにもかかわらず、ほてりを感じたり、全身のだるさを自覚したりするような場合も、ストレスが原因かもしれません。対して、ストレスによる発熱では咽頭痛などの風邪症状は乏しいことが特徴です。ストレスが症状の原因かどうか分からない時は、まずは内科を受診しましょう。