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  4. 「冷え性」の改善法・原因はご存知ですか?医師が漢方についても解説!

「冷え性」の改善法・原因はご存知ですか?医師が漢方についても解説!

冷え性改善のための対処法と原因・考えられる病気や何科へ受診すべきかをMedical DOC監修医が解説します。手足の冷えなど、気になる症状が続く場合は迷わず病院を受診してください。

楯 直晃 医師

監修医師
楯 直晃 医師(リアラクリニック)

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2013年 熊本大学病院 初期臨床研修医
2015年 熊本大学病院 総合診療専門修練医
2018年 国立熊本医療センター 救急集中治療部医員
2020年 リアラクリニック名古屋院院長
2021年 メディカル・テート株式会社 CEO

救急科専門医、抗加齢医学専門医、プライマリケア認定医、内科認定医、産業医、健康スポーツ医、医療経営士、禁煙サポーター、日本産婦人科学会会員、厚労省緊急避妊研修修了、厚労省緩和ケア研修修了

「冷え性」で考えられる病気と対処法

いつも手足が冷えている、寒くて寝付けないなどといった症状がみられる冷え性。女性に多くみられる冷え性ですが、どのようなことが原因で起こるのか。冷え性を少しでも改善させるために参考にしていただけたらと思います。

冷え性で考えられる原因と治し方

​​冷え性とは、血流が悪くなることで起きる症状の一つです。血行が悪くなることで、血液が毛細血管に流れにくくなり、身体に必要な栄養素や酸素が行き届かなくなったり、老廃物が排出されないといったことが起こります。そのため、冷え性になると様々な不調がみられるようになります。また気温や季節に関係なく身体が温まらないので、真夏であっても冷え性の症状は出ます。冷え性が起こる原因には、筋力や基礎代謝の低下、ストレスや自律神経の乱れ、喫煙などがあります。しかし、冷えが病気に伴って現れている場合もあります。甲状腺機能低下症やレイノー病などによる冷えの場合は、冷え性の治療ではなく、その原因となる疾患の治療が必要となります。

女性の冷え性で考えられる原因と治し方

女性は、男性よりも筋肉量が少なく脂肪が多いため、冷えが起こりやすいです。筋肉は体温上昇に大きな役割を果たしており、脂肪は冷えると温まりにくい性質があります。また月経による血液不足やダイエット、過度な食事制限による鉄分不足により、手足など末梢までに血液が行き渡らなくなり、冷えを感じやすくなります。さらにホルモンバランスの変化により、自律神経が乱れることも冷えの原因の一つです。そして女性はスカートや薄着により、身体が冷えてしまいがちです。足首や首筋に太い血管が通っているので、そこを冷やすと冷えを助長してしまいます。きつめの靴下や下着などの身体を締め付けるものは血流の流れを悪くし、冷えを招くので注意が必要です。

男性の冷え性で考えられる原因と治し方

冷え性は女性に多い傾向にありますが、男性でも冷え性になる可能性はあります。男性にみられる冷え性は、筋肉量や基礎代謝の低下、加齢による臓器機能の衰えが原因となることが多いです。男性の冷え性は、手足の冷えだけでなく、頻尿や肩こり、腰痛といった症状により気づくケースがあります。軽い運動習慣をつけたり、生活習慣の見直しをすることが大切です。またタバコは急激に血管を収縮させて、血液の流れを悪くします。冷えで困っている方は、禁煙をするように心がけてみましょう。

手足の冷え性・末端冷え性で考えられる原因と治し方

手足の冷えは、冷え性の中でもよくみられる症状の一つです。手先や足の指といった末梢部位は、心臓に遠い位置にあるため、どうしても血行が行き渡りにくく、冷えを感じやすくなります。また手や足のつま先がキンキンに冷えるといった症状だけでなく、頭痛や肩こりなどの症状もみられます。手足の冷えや末端に冷えを感じる方は、その部位だけを温めても改善されません。お腹や腰といった身体の中心部もしっかり保温することが大切です。

すぐに病院へ行くべき「冷え性」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

息切れやむくみが出る場合は、循環器内科へ

少し動くだけでも息が切れる、むくみが出やすいといった症状がある場合は、心臓病の可能性があります。心臓は、全身に血液を循環させるポンプの働きを担っており、心臓機能が低下すると、血液のめぐりが悪くなります。その結果、手足まで十分な血液が行き渡りにくくなり、冷えを感じやすくなります。また全身から心臓に戻ってくる血液も十分に送り出せないため、全身にむくみが出やすくなります。冷えの他にむくみや息切れがある場合は、循環器内科を受診しましょう。

「冷え性」が特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「冷え性」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

膠原病

膠原病とは、全身の血管や皮膚、関節、筋肉などに炎症がみられる病気の総称で、全身性エリテマトーデスやリウマチなど数種類の病気が含まれます。発症は、遺伝的な要素だけではなく、ウィルス感染や紫外線などにより引き起こされることもあります。膠原病の症状は、発熱やだるさ、関節痛や息切れ、皮疹など、非常に多岐に渡ります。発熱や全身の皮疹や痛みが続く場合は、一般内科や膠原病内科、総合診療科を受診しましょう。

甲状腺機能低下症

甲状腺機能低下症とは、甲状腺ホルモンの分泌量が減り、新陳代謝が低下する病気です。その原因としては、橋本病や甲状腺手術後の影響が頻度として多くを占めます。甲状腺機能低下症は、男性よりも女性に多くあらわれるという特徴があり、主な症状として、無気力、疲れやすい、寒がり、むくみなどがあります。これらの症状が一度に出現するわけではなく、診断に難渋することもあります。治療は、主に甲状腺ホルモンの補充となります。主な診療科は、代謝内分泌科ですが、甲状腺専門外来を開いている医療機関もあります。

貧血

鉄分不足になると貧血が起こり、冷え性や体がだるいといった症状が起こります。女性の場合、月経の影響で貧血気味になったり、過度なダイエットでも鉄分不足になることはあります。これらが原因で、末梢の血液循環が悪くなるために、手足が冷たくなることがあります。鉄はブロッコリーなどの緑黄色野菜、レバーや煮干しに多く含まれます。食品やサプリメントをうまく活用することで貧血対策になります。貧血は血液検査ですぐにわかりますので、冷え性やだるさを感じる場合は内科を受診しましょう。

閉塞性動脈硬化症

閉塞性動脈硬化症とは、主に動脈硬化の進行により、足の血管が狭くなったり、詰まったりする病気です。動脈硬化は、糖尿病や高血圧、脂質異常症、肥満、喫煙などの生活習慣病がある方ほど引き起こしやすい病気といえます。動脈硬化が進行することで、足の冷えやしびれなどの症状がみられます。治療としては、動脈硬化自体を著しく改善させることは難しいため、動脈内に血栓ができないように抗血小板薬の内服をすることがあります。閉塞性動脈硬化症は、内科、循環器内科、心臓血管外科で扱う病気になります。

バージャー病

バージャー病は、血管壁が何らかの原因により炎症を起こし、それにより足や腕の血管が狭くなったり、血栓により詰まりが起こります。主な症状は、足や手の冷えやしびれ、血流が悪くなることで指先などが真っ白もしくは紫色に変色した状態などの症状がみられます。原因は特定されていませんが、喫煙者がよく発症していることから、タバコが大きく関与しているとされています。

「冷え性」の正しい改善法は?

冷え性を改善させるには、まず身体全体を温めて血行を改善することを心がけましょう。入浴や半身浴などで外側から体の芯まで温めたり、飲み物や食べ物で内側から温めるのもいいでしょう。運動で体を動かすことにより、全身の血行改善につながります。そして筋力を上げることで血行が良くなると同時に、体温が高くなり基礎代謝が上がります。散歩や軽いジョギングをするなど、日常生活の中で歩く距離を増やすことを意識してみてください。またマッサージやストレッチにも血行を改善する効果があります。

「冷え性」対策で医師が薦める漢方薬・飲み物・食べ物は?

ビタミンやミネラル不足は、冷え性の原因になります。無理な食事制限や偏った食事は代謝の低下や冷え性につながるので、食生活の見直しはとても大切です。代謝に関わるビタミンB群を積極的に摂るようにしたり、貧血の原因になる鉄分、葉酸、ビタミンB12も重要な栄養素です。また生姜やネギといった身体を温める作用のある食べ物はいくつかあり、これらは漢方治療としても取り入れられています。冷え性に効く漢方薬には、人参養栄湯(にんじんようえいとう)、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)など多くあります。新陳代謝が悪くなり全身が冷える方には人参養栄湯、上半身がのぼせて下半身に冷えを感じる方には桂枝茯苓丸など、冷え性の原因や症状によって使い分けます。

「冷え性」についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「冷え性」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

冷え性は万病の元というのは医学的に本当でしょうか?

楯 直晃 医師楯 直晃 医師

慢性的な冷えがあると身体に様々な不調を起こしやすくなります。冷えの原因に合わせた治療や正しい対策を行うことが大切です。

足が特に冷たくなる冷え性でつらいのですが病院で相談できますか?

楯 直晃 医師楯 直晃 医師

足の冷えがひどい場合は、まずは内科や循環器科でご相談されることをお勧めします。

自分がどんなタイプの冷え性かチェックする方法を教えてください。

楯 直晃 医師楯 直晃 医師

まずはご自身の冷えの特徴を把握されると良いでしょう。インターネットで冷え性タイプを診断できるセルフチェックサイトがいくつかありますので、そちらを参考にしてみるのもよいでしょう。

手足が冷えていなくても冷え性ということはありますか?

楯 直晃 医師楯 直晃 医師

内臓が冷えるタイプの冷え性には、手足に冷えがみられない場合があります。このタイプの冷え性は、冷えを自覚しにくい反面、風邪を引きやすい、下痢をしやすい、疲れやだるさが残りやすいなどの症状があります。

冷え性と冷え症は別のものでしょうか?違いは何ですか?

楯 直晃 医師楯 直晃 医師

西洋医学の場合、「冷え性」は体質をさします。診断や検査では特別な異常がみられず、手足の冷えや寒気など身体が冷えている状態です。それに対して「冷え症」は東洋医学では、その症状に対するきちんとした治療が必要な場合をさします。

まとめ

冷え性と一言にいっても、症状や原因には個人差があります。慢性の冷えは、身体に様々な不調を招きますので、日常生活の見直しや運動などを習慣化させることがとても重要になってきます。ご自身のできるところから少しずつ始めてみるといいでしょう。

「冷え性」で考えられる病気と特徴

「冷え性」から医師が考えられる病気は8個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

症状の程度には個人差があります。治療可能な病気が原因であれば、その病気の治療によって冷え性は改善する可能性があります。

「冷え性」と関連のある症状

「冷え性」と関連している、似ている症状は10個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

「冷え性」の他に、これらの症状が見られる際は、「甲状腺機能低下症」「自律神経失調症」「閉塞性動脈硬化症」「月経前症候群」「更年期障害」などの疾患の可能性が考えられます。生活習慣の改善を図ってもなかなか改善しない場合は、早めに医療機関へ受診しましょう。