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「乳がん」を疑う「胸のしこり」にはどんな特徴があるかご存知ですか?医師が解説!

「乳がん」を疑う「胸のしこり」にはどんな特徴があるかご存知ですか?医師が解説!

胸のしこりで、身体はどんなサインを発している?Medical DOC監修医が主な原因や考えられる病気・何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

武井 智昭

監修医師
武井 智昭(高座渋谷つばさクリニック)

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【経歴】
平成14年慶應義塾大学医学部を卒業。同年4月より慶應義塾大学病院 にて小児科研修。平成16年に立川共済病院、平成17年平塚共済病院(小児科医長)で勤務のかたわら、平成22年北里大学北里研究所病原微生物分子疫学教室にて研究員を兼任。新生児医療・救急医療・障害者医療などの研鑽を積む。平成24年から横浜市内のクリニックの副院長として日々臨床にあたり、内科領域の診療・訪問診療を行う。平成29年2月より横浜市社会事業協会が開設する「なごみクリニック」の院長に就任。令和2年4月より「高座渋谷つばさクリニック」の院長に就任。

日本小児科学会専門医・指導医、日本小児感染症学会認定 インフェクションコントロールドクター(ICD)、臨床研修指導医(日本小児科学会)、抗菌化学療法認定医
医師+(いしぷらす)所属

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「胸のしこり」症状で考えられる病気と対処法

胸のしこりというと、検診を行っている乳がんという悪性の疾患を連想する方も多いかと思います。実際に診療を行ってみると、乳がん以外でも乳房にしこりができることが比較的よくあります。胸のしこりで不安にならないよう、他の疾患に関しての知識を知っておき、自分の乳房の状態を把握することも重要です。

胸にしこりがあり痛い症状で考えられる原因と対処法

胸にしこりがあり痛みがある場合には乳腺症が考えられます。
乳腺症とは、乳房に痛みを伴うしこりを触れて、乳頭から分泌物などの症状を呈する、悪性疾患ではない良性の疾患群の総称です。月経前に乳腺の張りや痛みが強くなる場合があります。
症状が1ヶ月を越えて続いた場合、痛みがつよく生活に支障がある場合には乳腺外科を受診することをおすすめします。

痛くないが胸にしこりがある症状で考えられる原因と対処法

しこりが石のように固い、動きが悪い、あまり動かない場合には乳がんの疑いがあります。乳がんの場合には脇の下のリンパ節をしこりと触れるなどの場合もあります。このほか、しこりの近くの皮膚にくぼみができる、血性の乳汁が分泌される、乳首が陥没するなどの場合には、早い段階で乳腺外科を受診されることをおすすめします。

胸に動くしこりがある症状で考えられる原因と対処法

乳腺線維腺腫という乳房の良性腫瘍である可能性があります。この疾患の場合、しこりの動きは良好であり、硬さもゴム程度であります。しこりに痛みはなく、コロコロとしていて、よく動きます。しこりが大きくなる場合には、乳腺外科の受診をおすすめします。この疾患は閉経後には消退する傾向もありますが、乳がん発症との関連はなく、特別な治療を必要とする場合も少ないです。しこりが急速に大きくなる場合には手術を検討する場合もあります。

胸の片方にしこりがある症状で考えられる原因と対処法

胸の片方にしこりがある場合には、線維腺腫・葉状腫瘍・乳がんが考えられます。しこりが大きくなる、痛みが生じる、血性の乳汁が分泌される、脇にもしこりが触れる場合には乳腺外科の受診をおすすめします。この一方で、皮膚にただれがある、膿がある、盛り上がっている場合には皮膚の感染症が考えられますので皮膚科受診が推奨されます。

胸に柔らかいしこりがある症状で考えられる原因と対処法

胸のしこりに弾力がある場合には、葉状腫瘍・線維腺腫が考えられます。痛みを伴っている場合には乳腺症が考えられます。この場合には緊急性はありませんが、しこりが大きくなる場合には乳腺外科の受診をおすすめします。
また、肝臓の疾患がある方や、心臓・腎臓の疾患がある方で利尿剤を内服している方でも、胸にしこりが生じる場合があります(男性では女性化乳房と呼ばれます)。この場合は、かかりつけ医に相談してください。

胸に固いしこりがある症状で考えられる原因と対処法

胸に固いしこりを触れる場合、乳腺の痛みや皮膚の発赤・発熱がある場合には乳腺炎が考えられます。発熱や痛みがない場合で、しこりの動きが悪い場合には乳がんが考えられます。前者の場合には授乳との関連がありますので産婦人科の受診、後者の場合には乳腺外科の受診が推奨されます。どちらの場合でも急いで受診をされた方がよいでしょう。

男性で胸にしこりがある症状で考えられる主な原因と対処法

男性で胸にしこりがある場合にはホルモンバランスの変調による女性化乳房が考えられます。思春期から若年である場合には自然に軽快することも多いため、経過観察でよいでしょう。心配であれば小児科・内科を受診してください。
肝臓の疾患で受診をされている方では、肝臓の機能低下の症状の1つである女性化乳房を認めることもあります。この場合には、手にクモの様な発疹、臍の静脈の怒張も認めることも多いです。腎疾患・心疾患で受診をされている方で利尿剤を内服されている方の場合では、薬剤の副作用による女性か乳房を認めることもあります。これらの場合には、まずかかりつけ医にご相談ください。

すぐに病院へ行くべき「胸のしこり」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

発熱や痛みがある、皮膚が赤く腫れている場合は、乳腺外科・産婦人科へ

このような場合、乳腺炎が考えられ、抗菌薬と鎮痛薬の内服が必要となります。
しこりの動きが悪く石のような硬さである、血性の乳汁分泌がある、脇にもしこりが触れる場合には乳がんの疑いがありますので、乳腺外科を受診してください。

受診・予防の目安となる「胸のしこり」ときのセルフチェック法

  • ・胸のしこり以外に発赤・痛みがある場合
  • ・胸のしこり以外に脇にしこりが触れる場合
  • ・胸のしこり以外に血性の乳汁が出る、乳頭や皮膚が陥没している場合

「胸のしこり」症状が特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「胸のしこり」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

乳腺症

乳腺症とは乳腺の良性疾患の総称です。症状は乳腺の疼痛や張り、ゴツゴツとしこりを触れます。片側・両側の場合もありますが、月経前に大きくなり、月経後に小さくなります。月経に連動して痛みもみられます。
この疾患はホルモンバランスの変調で生じるため、閉経後には自然に軽快します。疼痛がある場合にはまず、鎮痛薬を内服してください。自分自身の判断では腫瘍と判断することが困難であるため、乳腺外科を受診してください。治療としては鎮痛剤の内服や、ダナゾール(女性ホルモンの働きを抑える薬)の処方が行われることがあります。

乳がん

乳がんではしこりは硬く周辺は不整であります。可動性が悪いことも特徴です。乳がんを示唆する症状は以下の通りです。

  • ・皮膚のくぼみ
  • ・乳頭の陥没
  • ・乳首からの血性の分泌物
  • ・脇のしこり

乳癌の原因は乳腺組織の悪性腫瘍であり、放置をしておくと全身に転移する予後が不良となる疾患であります。このため、早期発見、早期受診が重要です。入浴時に乳房のセルフチェックを行い、上記の項目に当てはまれば早急に乳腺外科を受診してください。治療としては外科手術、放射線治療、薬物治療(抗がん剤、分子標的薬、ホルモン治療など)があります。

乳腺線維腺腫

乳腺線維腺腫は10~20歳代の若年女性によくみられ、正常な乳腺組織の細胞が過剰に増えて生じたものです。線維腺腫のしこりは境界がはっきりしており、ゴム程度の硬さで可動性が良好であることが特徴です。
この疾患であれば、大きさは2~3cmを超えることはなく自然に退縮することが多いです。乳がんとは関連はないため特別な治療は不要ではありますが、しこりが大きくなる傾向があれば、乳腺外科の受診をご検討ください。

「胸のしこり」の正しい対処法は?

胸のしこりがある場合には、まずはしこりの大きさ、硬さ、よく動くかどうか、脇にもしこりがないか確認しましょう。これに加えて、皮膚の痛みや発赤・熱感に関しても観察をしてください。
痛みがある場合には解熱鎮痛薬の内服で対応し、しこりが大きくなる傾向がある、硬いなどの場合には早めに乳腺外科を受診してください。

「胸のしこり」症状についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「胸のしこり」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

女性で胸にしこりがある場合、婦人科を受診すべきですか?

武井 智昭 医師武井 智昭 医師

月経に関連してしこりが大きくなる、痛みが強くなる場合には乳腺症が考えられます。この場合にはホルモンバランスの変調が考えられるため、婦人科受診をご検討ください。

胸のしこりが乳がんで悪性の場合どんな感触か自己触診できますか?

武井 智昭 医師武井 智昭 医師

しこりが石のように硬い、動きにくい、まわりが不整である、脇にもしこりがある場合かどうか判断してください。これらの特徴はある程度、自分自身で判断できますが、最終的には専門医の判断を仰ぐことをおすすめします。

胸にしこりがあるかどうかは定期的に調べたほうが良いですか?

武井 智昭 医師武井 智昭 医師

定期的にセルフチェックを行うことが重要です。乳がんの早期発見であれば乳房を保存できる場合が多いです。また、乳がん検診も定期的に受診してください。

授乳中なのですが胸にしこりがあります。病気なのでしょうか?

武井 智昭 医師武井 智昭 医師

授乳中であれば、皮膚からの細菌感染による乳腺炎も考えられます。痛みは熱感が強いときには受診をおすすめします。

男性で胸にしこりがある場合は何科に行けばいいですか?

武井 智昭 医師武井 智昭 医師

まずは内科の受診をおすすめします。肝機能障害、内服薬による影響が懸念されます。

まとめ

胸のしこりの場合、さまざまな疾患があります。日々のセルフチェックも重要ではありますが、しこりの硬さ、痛みや熱感の有無、可動性などに注目してください。心配なことがあれば、早い段階で乳腺外科の受診をおすすめします。

「胸のしこり」症状で考えられる病気

「胸のしこり」から医師が考えられる病気は7個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

乳腺外科の病気

消化器科の病気

治療が必要な病気かどうか自分自身では判断が難しい症状とも言えるので、心配になったら一度受診して相談することをお勧めします。

「胸のしこり」に似ている症状・関連する症状

「胸のしこり」と関連している、似ている症状は11個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

「胸のしこり」症状の他にこれらの症状がある場合でも「乳がん」「乳腺症」「乳腺炎」「線維腺腫」「葉状腫瘍」「肝機能障害」「肝硬変」などの疾患の可能性が考えられます。動悸やほてり、めまいの症状を伴う場合には、早めに医療機関を受診しましょう。