「首の片側のリンパを押すと痛い」原因はご存知ですか?対処法も医師が徹底解説!
首の片側のリンパを押すと痛い時、身体はどんなサインを発しているのでしょうか?Medical DOC監修医が原因・考えられる病気や何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。
監修医師:
鎌田 百合(医師)
「首の片側のリンパを押すと痛い」原因と対処法
首のリンパが痛むととてもつらいですね。放置していいのか心配になることもあるでしょう。ここでは、首の片側のリンパを押すと痛い場合に考えられる原因や対処法について解説します。
首の片側のリンパを押すと痛い原因と対処法
首の片側のリンパが痛む場合に考えられる病気としては、リンパ節炎が代表的です。リンパ節炎とは、細菌やウイルスなどの感染によってリンパ節が腫れる病気です。首のリンパが腫れ、痛みや発熱を伴います。
風邪のようなウイルス感染の場合は自然に軽快する場合もあります。しかし細菌感染が疑われる場合は、抗生剤による治療を行う場合があります。痛みが強い、なかなか痛みが引かないなどといった場合は、内科や耳鼻科を受診しましょう。
首の片側のリンパを押すと痛く、腫れている原因と対処法
腫れている場合、リンパ節炎も疑われますが、側頚のう胞の場合もあります。
側頚のう胞とは、首の横側にできる先天的な袋状の構造物です。普段はしこりがあるだけで無症状ですが、感染や炎症を起こすと腫れて痛みや赤みを伴うことがあります。感染した場合は抗生物質で治療を行います。しかしのう胞があると感染が再発するリスクがあるため、手術で摘出することが一般的です。
熱があり首の片側のリンパを押すと痛い原因と対処法
熱がある場合、リンパ節炎のほかに、亜急性甲状腺炎の可能性があります。首の前に甲状腺という組織がありますが、この甲状腺内に炎症が起こることで発症します。甲状腺内に貯留されていた甲状腺ホルモンが血中に流れ出て、甲状腺ホルモンの値が上昇し、発熱や動悸を起こします。
甲状腺が腫れ、痛みを起こすことが特徴的です。両側が腫れることが多いですが、甲状腺の片側だけ腫れる場合、首のリンパの腫れと間違うこともあります。
亜急性甲状腺炎は、できるだけ安静に過ごすことが重要です。軽症の場合は安静にすることで自然におさまります。しかし、発熱や痛みが強い場合はステロイドなどの投薬を行うこともあります。甲状腺疾患が疑われる場合は、内分泌内科を受診しましょう。
熱はないが首の片側のリンパを押すと痛い原因と対処法
リンパ節炎も熱が出ない場合がありますが、そのほかに悪性リンパ腫である可能性も考えられます。悪性リンパ腫は、体にあるリンパ節で腫瘍化したリンパ球が増殖する病気です。熱が出ないことが多く、通常は痛みを伴いません。しかし、急速に腫れが大きくなる場合は痛みを伴うこともあります。
悪性リンパ腫を疑う場合、血液内科を受診しましょう。
首の片側のリンパを押すと痛く、頭痛がする原因と対処法
リンパ節炎や亜急性甲状腺炎は、頭痛を起こす可能性があります。そのほかにも、菊池病も頭痛が起こる可能性があります。菊池病は、亜急性壊死性リンパ節炎ともよばれ、比較的若い人に多い、良性疾患です。
2~3週間の経過で、リンパが腫れて痛みが出ます。発熱を伴うことが多く、頭痛や疲労感などのリンパ以外の全身の症状も起こります。解熱鎮痛剤で対症療法を行うことで自然に治癒することが多い疾患ですが、症状が強い場合はステロイドなどを使用することもあります。
菊池病はリンパ節炎などのほかの病気と症状が似ていて、見分けがつかない場合もあります。菊池病を疑う場合は、耳鼻科を受診して医師に相談しましょう。
首の片側のリンパを押すと痛く、喉も痛い原因と対処法
喉の痛みが強い場合、伝染性単核球症の可能性もあります。伝染性単核球症は、エプスタイン・バーウイルスによって引き起こされるウイルス感染症です。喉の痛み、首のリンパの腫れ、発熱などが起こることが特徴です。
安静に療養することで自然に回復することが知られており、解熱鎮痛剤などの対症療法を行います。
「首の片側のリンパを押すと痛い」の特徴的な病気・疾患
ここではMedical DOC監修医が、「首の片側のリンパを押すと痛い」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
リンパ節炎
リンパ節炎とは、リンパ節炎とは、細菌やウイルスなどの感染によってリンパ節が腫れる病気です。風邪、咽頭炎、扁桃炎などに伴って首のリンパが腫れ、痛みや発熱を伴います。皮膚、耳、鼻、目など首に近い部位での感染症を起こすと、炎症が首のリンパ節に波及してリンパ節炎を発症します。
1つのリンパ節が腫れる場合もあれば、多数のリンパ節がゴロゴロと腫れる場合もあります。細菌感染の関与が疑われる場合は抗生剤投与を行います。痛みが強い場合は消炎鎮痛剤を投与します。
リンパ節内に膿が溜まっている場合を化膿性リンパ節炎とよびます。膿が溜まっている場合は、穿刺して膿を出す必要があります。
伝染性単核球症
伝染性単核球症は、エプスタイン・バーウイルスによって引き起こされるウイルス感染症です。感染力が強く、唾液や口腔分泌液を介して感染が広がります。
症状は首のリンパの腫れ、発熱、喉の痛みなどが挙げられます。だるさが強く起こり、血液検査では肝機能障害が認められます。症状は強いですが、対症療法で様子をみることで自然治癒します。
悪性リンパ腫
悪性リンパ腫は、体にあるリンパ節で腫瘍化したリンパ球が増殖する病気です。リンパ節は首だけでなく脇、足の付け根など体のあらゆる部位にあり、全身のさまざまなリンパ節が腫れます。
痛みを伴わない場合が多いですが、進行が急速の場合は痛みを伴うことがあります。悪性リンパ腫に特徴的なB症状(発熱、体重減少、盗汗)が起こることもあります。
悪性リンパ腫を疑う場合は血液内科を受診しましょう。
「首の片側のリンパを押すと痛い」時の正しい対処法は?
首のリンパが痛い場合、まずは安静にして十分体を休め、体力を回復させましょう。痛みが強い場合は、市販の解熱鎮痛薬を使用しても良いでしょう。リンパ節炎の場合は自然に改善する場合もあるため、様子をみることも可能な場合があります。
しかし、痛みが強い場合、高熱を伴う場合など、症状が強い場合は抗生物質などの治療が必要となる場合があります。この場合は、耳鼻科や内科を受診するようにしてください。
「首の片側のリンパを押すと痛い」についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「首の片側のリンパを押すと痛い」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
首の片側のリンパを押すと痛い時、何科を受診すればいいのでしょうか?
鎌田 百合(医師)
首のリンパ節が痛む場合、耳鼻科もしくは内科を受診しましょう。一般的にリンパ節炎などの感染症であることが多く、その場合は耳鼻科、内科で治療が行われます。そのため、どちらかの診療科を受診すると良いでしょう。
ストレスが原因でリンパ節炎を発症することはありますか?
鎌田 百合(医師)
過度なストレスでリンパ節炎が起こる可能性はあります。ストレスは体の免疫機能を低下させ、細菌やウイルスなどの感染症にかかりやすくなります。ストレスを感じたら十分な休養を取り、ストレス発散することが重要です。
まとめ
首のリンパを押すと痛い場合に考えられる病気や対処法について解説しました。痛みを伴っている場合、細菌やウイルスの感染症によるものの可能性があります。しかし経過観察をしても良くならない場合、治療が必要であることもあります。痛みが強いなど、強い症状を伴う場合は医療機関を受診し医師に相談しましょう。
「首の片側のリンパを押すと痛い」で考えられる病気
「首の片側のリンパを押すと痛い」から医師が考えられる病気は7個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
血液の病気
耳鼻科の病気
- 側頚のう胞
- 菊池病
内分泌科の病気
- 亜急性甲状腺炎
首の片側のリンパを押すと痛む場合、感染症など多くの病気が考えられます。痛みが強い場合ははやめに医療機関を受診しましょう。
「首の片側のリンパを押すと痛い」に似ている症状・関連する症状
「首の片側のリンパを押すと痛い」と関連している、似ている症状は4個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
関連する症状
- 甲状腺が腫れている
- 首の片側のリンパが腫れているが痛みがない
- 耳の下が腫れて痛みがある
- 首の筋肉がこわばっている
様子を見ていても改善しない場合や、強い痛みを伴う場合には、早めに医療機関を受診するようにしましょう。