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“タトゥーのインク”には発がん性物質が! 「悪性リンパ腫」リスク21%増加との研究報告

 公開日:2024/06/28

スウェーデンのルンド大学らの研究グループは、「タトゥーを入れた人は、数年後に悪性リンパ腫と診断される確率が21%高くなる」と発表しました。この内容について上医師に伺いました。

上 昌広

監修医師
上 昌広(医師)

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東京大学医学部卒業。東京大学大学院修了。その後、虎の門病院や国立がん研究センターにて臨床・研究に従事。2010年より東京大学医科学研究所特任教授、2016年より特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所理事長を務める。著書は「復興は現場から動き出す(東洋経済新報社)」「日本の医療格差は9倍 医療不足の真実(光文社新書)」「病院は東京から破綻する(朝日新聞出版)」「ヤバい医学部(日本評論社)」「日本のコロナ対策はなぜ迷走するのか(毎日新聞出版)」。

研究グループが発表した内容とは?

スウェーデンのルンド大学らの研究グループが発表した内容について教えてください。

上昌広 医師上先生

今回紹介する研究は、スウェーデンのルンド大学らの研究グループが実施したもので、研究結果は学術誌「eClinicalMedicine」に掲載されています。

研究グループは、スウェーデンの全国がん登録データベースから、条件にあった1万1905人を対象に研究を開始しました。研究対象者には調査票が送られ、タトゥーの有無やタトゥーを入れた時期・大きさなどについて情報を集めました。調査票に対して、悪性リンパ腫と診断された人の54%にあたる1398人、対照群の47%にあたる4193人から回答が集まりました。

研究の結果、タトゥーのある人はリンパ腫全体のリスクが21%高くなると判明しました。また、リンパ腫のリスクが高まる時期については、最初にタトゥーを入れてから2年未満の人で最も高いこともわかりました。こうしたリスクはタトゥーを入れてから3~10年で減少しましたが、11年以上前に最初のタトゥーを入れた人では再びリスクが増加しました。

研究グループは、今回得られた結果から「タトゥーが悪性リンパ腫のリスク上昇と関連することが示唆された。因果関係を証明するためには、さらなる疫学的研究が早急に必要である」と結論付けています。

研究を実施した背景とは?

今回の研究を実施した背景について教えてください。

上昌広 医師上先生

研究グループが発表した論文では、「タトゥーの人気は近年高まっているが、長期的な健康への影響については明らかになっていない」と指摘しています。タトゥーで使われるインクには、第一級芳香族アミン、多環芳香族炭化水素、金属などの発がん性化学物質が含まれています。タトゥー施術は免疫学的反応を引き起こし、タトゥーインクの注入部位からの移動を引き起こします。タトゥー色素のリンパ節への沈着は確認されていることから、研究グループはタトゥーの露出と悪性リンパ腫との関連を調査しました。

研究グループが発表した内容への受け止めは?

スウェーデンのルンド大学らの研究グループによる発表への受け止めを教えてください。

上昌広 医師上先生

タトゥーとリンパ腫の相関を示す興味深い研究です。ただ、悪性リンパ腫は免疫抑制患者や特定のウイルス感染者で発症しやすく、様々な交絡因子が関与している可能性があり、因果関係ははっきりしません。この研究の追試が必要であると考えます。

まとめ

スウェーデンのルンド大学らの研究グループは、「タトゥーを入れた人は、数年後に悪性リンパ腫と診断される確率が21%高くなることがわかった」と発表しました。今回の研究が進み、因果関係が明らかになることに注目が集まっています。

この記事の監修医師