「呼吸が浅く息苦しい」原因はご存知ですか?考えられる病気も医師が徹底解説!
呼吸が浅く息苦しいのを治すには?Medical DOC監修医が対処法や考えられる原因・病気・何科へ受診すべきかなどを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。
監修医師:
木下 康平(医師)
防衛医科大学校卒業
聖マリアンナ医科大学病院呼吸器内科にて専門研修
自衛隊病院にて呼吸器内科・一般内科診療に従事
資格:内科認定医、呼吸器内科専門医
「呼吸が浅く息苦しい」症状で考えられる病気と対処法
息がしづらい感じがして苦しい時はどのような病気が考えられるのでしょうか?肺がんなどの怖い病気かもしれないと思うと不安ですよね。
今回は息苦しさの原因となる病気と検査などについて説明させていただきます。
発熱と咳があり息苦しい症状で考えられる原因と対処法
息苦しく息を吸っても吸いきれない感じがある、咳や熱がある場合は肺炎などの呼吸器疾患を疑います。
肺炎は細菌やウイルスに感染し、肺が炎症を起こしている状態です。軽症であれば安静にしているだけで治り、風邪と間違われることもあります。しかしながら息苦しさが出るようであれば肺の炎症が広がっている可能性があります。そのような場合は抗菌薬による治療が必要であり、場合によっては入院して酸素投与も必要になることがあります。
発熱を伴い息苦しさが悪化していくようであれば病院に受診しましょう。受診する際は一般内科または呼吸器内科に受診しましょう。
咳が出て呼吸が浅く息苦しい症状で考えられる原因と対処法
発熱はないものの咳と痰が出て、歩いた時などに息苦しさを感じる場合は心不全などの心疾患の可能性があります。
心不全とは血液の循環を行うポンプの機能を持つ心臓が、何らかの原因で弱っている病態です。心不全の症状の特徴として横になると苦しさが増す、脚のむくみが出る、などの症状があります。これらの症状は数日単位で悪化していくことが多いですが、早めの受診をお勧めいたします。病院に受診する際は一般内科、循環器内科または呼吸器内科に受診しましょう。
呼吸が浅く息苦しく動悸がする症状で考えられる原因と対処法
心理的にショックなことがあった後や無理な運動などを行なった後に、呼吸が激しくなり息苦しさや動悸を感じる場合は、心因性の疾患、特に過換気発作の可能性があります。
過換気発作は若年〜中年の女性に多い病気で、心理的な原因で呼吸回数が増えることによって起こる病気です。きっかけとなる原因があることが多く(職場で怒られたなど)、また繰り返し起こすことが多いために診断は比較的すぐにつくことが多いです。
症状を落ち着かせる方法として紙袋を口に当てる方法(ペーパーバック法)というものが有名でしたが、現在は推奨されていません。まずはゆっくりと息を吐くことを意識させることが重要です。
病院では救急科を受診することが多いと思いますが、その際にどのような状況で息苦しさが出現したかを説明できるようにしておきましょう。
突然の胸の痛みの後から呼吸が浅く息苦しい症状で考えられる原因と対処法
突然胸の痛みが出た後に息が吸いづらく苦しい症状が出た場合は、気胸の可能性があります。
気胸は肺の一部分に穴があき、空気が漏れている状態です。背の高い男性や喫煙者に多い病気で、運動の時や咳が出た時に発症することが多いです。基本的には肺に空いた穴は小さくすぐに塞がることが多いですが、穴が塞がらず空気が漏れ続ける気胸も存在します。この気胸は緊張性気胸といい、進行すると重篤な状態になる可能性があります。
息苦しさが軽度な場合は内科または呼吸器内科に受診し、息苦しさが悪化していくようならば救急科に受診するようにしましょう。
息が吐きづらく息苦しい症状で考えられる原因と対処法
タバコの煙やほこりなどを吸い込んだ後に、息が吐きづらい苦しさが出現した場合は喘息や閉塞性肺疾患の可能性があります。喘息は特定の刺激物(アレルゲンと言います)を吸入した際に気管支が一時的に細くなる病気で、ストローで息をするような息苦しさがあります。
閉塞性肺疾患は喘息に似たような症状ですが、喫煙者に起こる病気です。
軽症であれば安静にしていれば改善していきますが、重症であれば入院が必要になることもあります。息苦しさが改善しないようであれば救急外来を受診するようにしましょう。
また軽症であっても繰り返す場合は、一般内科または呼吸器内科を受診して検査や治療を受けてください。
すぐに病院へ行くべき「呼吸が浅く息苦しい」に関する症状
ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。
胸の激しい痛みを伴う症状の場合は、救急科へ
息苦しさと共に胸の激しい痛みが突然出現した場合は、上記で説明した気胸の他にも重篤な病気の可能性が否定できません。これらの症状が出た場合は、救急車を使用してでも受診するべき状態です。急いで病院を受診するようにしましょう。
受診・予防の目安となる「呼吸が浅く息苦しい」ときのセルフチェック法
- 呼吸が浅く息苦しい以外に発熱症状がある場合
- 呼吸が浅く息苦しい以外に横になれない症状がある場合
「呼吸が浅く息苦しい」症状が特徴的な病気・疾患
ここではMedical DOC監修医が、「呼吸が浅く息苦しい」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
喘息
喘息とは、刺激により空気の通り道である気管支が一時的に細くなる病気で、息の吐きづらさが症状として現れます。気管支の刺激となりうるものにホコリや動物の毛やタバコなどがあり、また冬場などの冷たい空気でも悪化する可能性があります。小児期から喘息を持つ方もいますが、大人になった後に発症することもあります。治療法は吸入薬を定期的に吸入することで、適切に吸入を行うことで症状が悪化することはほぼ防ぐことができます。ゼーゼーとした息苦しさが定期的に起こるようならば、呼吸器内科での精査が必要です。
ただし症状が急に悪化することがあり(喘息発作)、この場合は横になることも困難なほどの呼吸困難をきたします。このような場合は救急受診が必要です。
肺炎
肺炎はさまざまな原因で肺に炎症が起きる病気です。原因としては細菌やウイルスなどの感染症が多いですが、薬剤によるもの(薬剤性肺炎)や自己免疫の悪化によるものなどがあります。
また肺炎を起こす部位によっては間質性肺炎という病名になり、治療法が変わることもあります。
ここでは最も多い細菌性肺炎について述べます。
細菌性肺炎になった場合は軽症であれば軽い発熱と咳や痰のみが症状に現れますが、中等症以上では息苦しさが悪化し動くことも困難になりえます。抗生剤(抗菌薬)による治療が必要であるため、発熱と呼吸困難を認めた場合は内科または呼吸器内科へ受診するようにしましょう。
心不全
心不全とは心臓の機能が低下する病態で、原因としては不整脈、弁膜症など多数存在します。
心臓の機能が低下した場合、十分に体に血液が循環することができず肺に水が溜まるなどの症状が見られ、呼吸困難をきたします。足がむくむ、ピンク色の痰が出るなども心不全に特徴的な症状です。
心不全の原因となりうる心臓疾患がある場合は、早めにかかりつけ医に相談するようにしましょう。
元々の心臓病がない場合は、まずは内科に受診し必要であれば循環器内科に紹介受診するようにしましょう。
アナフィラキシー
アナフィラキシーとは、免疫反応が過剰に反応し起こるアレルギーの一つです。
アナフィラキシーの原因はさまざまですが、そばやピーナッツなどの食物や蜂毒などが有名です。また薬剤などでもアナフィラキシーを起こす可能性があります。
アレルギー反応により喉の周囲が膨れることで、窒息に近い症状を来すことがあり大変危険な状態です。
症状が現れた場合はすぐに救急受診が必要です。
以前にも同様の症状が出ており、医師から注射薬のエピペンを処方されているならば、すぐに注射するようにしましょう。
「呼吸が浅く息苦しい」ときの正しい対処法は?
呼吸が浅く息苦しいと感じた場合にすべきことはあるのでしょうか?
患者さんがすべきこととしては、どのような時に、どんな風に苦しくなるかを記録しておくことが大事です。その情報をもとに医師が病気の推測を行うことが可能です。
症状自体への対応は安静にするしかありませんが、息苦しさが悪化傾向にあるようなら自己判断せずに受診することをお勧めいたします。
また、喘息やアナフィラキシーなどの診断が以前からついているならば、医師に処方された発作治療薬を使用するようにしましょう。
「呼吸が浅く息苦しい」症状についてよくある質問<
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「呼吸が浅く息苦しい」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
呼吸が浅く息苦しいときの対処法を教えてください。
木下 康平(医師)
まずは安静にしてください。
安静の状態でも息苦しさが悪化するならば受診するようにしてください。
安静にすることで改善した場合は、緊急性はありませんが症状が持続する際は受診してください。
呼吸が浅く息苦しいときは何科の病気を受診すればいいですか?
木下 康平(医師)
まずは一般内科の受診を検討してください。
呼吸器内科の受診が理想ですが、数が少ないため必要ならば一般内科から紹介受診するようにしましょう。
呼吸が浅く息苦しいのは薬で治りますか?
木下 康平(医師)
病気によるため一概には言えません。
自己判断は危険ですが、喘息の診断されている場合は発作薬を吸入しましょう。
吸入薬で改善しないようなら受診してください。
まとめ 呼吸が浅く息苦しい症状が続くときは呼吸器内科で相談
呼吸が浅く息苦しい時の病気について説明させていただきました。肺や心臓の病気など原因はさまざまです。専門的な判断が必要なことも多いため、これらの症状が出た場合は無理せずにすぐに受診するようにしてくださいね。
「呼吸が浅く息苦しい」症状で考えられる病気
「呼吸が浅く息苦しい」から医師が考えられる病気は8個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
循環器系の病気は胸の痛みを伴うことが多いです。ただし糖尿病などが合併している場合は痛みがないこともあります。呼吸器系による息苦しさはさまざまな病気が原因となります。特徴として咳が伴うことが多いです。
「呼吸が浅く息苦しい」に似ている症状・関連する症状
「呼吸が浅く息苦しい」と関連している、似ている症状は3個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
呼吸器・循環器の病気は息苦しさの他に痛みを呈するものもあります。人によっては息苦しさより痛みの方が強く出る場合もあります。これらの症状が続く場合は一度医療機関を受診しましょう。