「熱はないのに扁桃腺が腫れている」症状は何日で治るかご存知ですか?医師が解説!
熱はないのに扁桃腺が腫れているとき、身体はどんなサインを発している?Medical DOC監修医が主な原因や考えられる病気・何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。
監修医師:
磯野 志真(医師)
「熱はないのに扁桃腺が腫れている」症状で考えられる病気と対処法
扁桃が腫れていて発熱を伴う場合、「急性扁桃炎」であることが多いのですが、発熱を伴わずに扁桃の腫れのある患者さんもいらっしゃいます。どのような疾患があるか、本記事で一緒に学んでいきましょう。
熱はないのに扁桃腺が腫れている症状で考えられる原因と治し方
熱がないのに扁桃が腫れている場合は、慢性扁桃炎や反復性扁桃炎などが挙げられます。軽いのどの痛みや違和感、口臭、乾燥が主な症状です。反復性扁桃炎の場合、急性炎症の扁桃炎を何度も繰り返すことが特徴的です。いずれも耳鼻咽喉科を受診しましょう。
熱はないのに片方だけ扁桃腺が腫れている症状で考えられる原因と治し方
熱はないのに片方だけ明らかに扁桃が腫れている場合、扁桃の腫瘍が疑われます。悪性の場合もあるので、早期診断・早期治療のために速やかに耳鼻咽喉科を受診しましょう。
子供で熱はないのに扁桃腺が腫れている症状で考えられる主な原因と治し方
扁桃は2~3歳で大きくなりはじめ、5〜7歳で最も大きくなり、その後に小さくなるといった、生理的な変化があり、扁桃が大きい状態を扁桃肥大といいます。扁桃肥大で最も問題になるのは睡眠時無呼吸で、集中力の低下や日中の強い眠気等がおこり、日常生活に大きな支障が出てきます。診断のために、まずは耳鼻咽喉科を受診しましょう。
すぐに病院へ行くべき「熱はないのに扁桃腺が腫れている」に関する症状
ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。
扁桃が腫れていて、睡眠時にいびきや無呼吸がある場合、扁桃の大きさに左右差がある場合は、耳鼻咽喉科へ
扁桃がはれていて、睡眠時にいびきや無呼吸がある場合、扁桃肥大による睡眠の障害を受けている可能性があります。とくに無呼吸がある場合、日中の眠気や集中力の低下を引きおこすため日常生活に大きな支障を来します。手術で扁桃を摘出する必要がある場合もあるため、早めに耳鼻咽喉科を受診しましょう。
また、扁桃の腫れに左右差がある場合、扁桃の腫瘍である可能性があります。悪性のこともあるので、早急な診断と治療介入のために速やかに耳鼻咽喉科を受診しましょう。
受診・予防の目安となる「熱はないのに扁桃腺が腫れている」ときのセルフチェック法
- ・熱はないのに扁桃腺が腫れている以外に睡眠時にいびきや無呼吸がある場合
- ・熱はないのに扁桃腺が腫れている以外にのどの痛みやのどの乾燥、口臭がある場合
- ・熱はないのに扁桃腺が腫れている以外に時々急性炎症を反復することがある場合
- ・熱はないのに扁桃腺が腫れている以外に扁桃腫大に左右差がある場合
「熱はないのに扁桃腺が腫れている」症状が特徴的な病気・疾患
ここではMedical DOC監修医が、「熱はないのに扁桃腺が腫れている」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
扁桃肥大
扁桃(口蓋扁桃)は、口蓋垂(いわゆる「のどちんこ」)の両脇に存在するリンパ組織で、さまざまな病原体に対して免疫反応がおきる組織であるため、生理的にこどもで大きく発達します。2~3歳で大きくなりはじめ、5〜7歳でピークを迎え、その後小さくなります。扁桃が大きくなった状態を扁桃肥大といいます。
扁桃肥大があると口からのどの空気の通り道が狭くなるので、寝ている際に「いびき」や「睡眠時無呼吸」が起こりますが、最も重大な問題が「睡眠時無呼吸」です。睡眠時に無呼吸があると、集中力の低下や日中の強い眠気で日常生活に大きな支障が出てきますので、重度の睡眠時無呼吸の場合、扁桃を摘出する手術を行うこともあります。子供がいびきをかいていたり睡眠時に無呼吸になっていたりする場合、まずは耳鼻咽喉科を受診しましょう。
慢性扁桃炎・反復性扁桃炎
扁桃炎には「急性扁桃炎」・「慢性扁桃炎」・「反復性扁桃炎」などがありますが、感染によって急激におきるものを急性扁桃炎、喫煙や飲酒が原因で扁桃炎が持続しているものを慢性扁桃炎、急性扁桃炎を何度もくりかえすもの反復性扁桃炎といいます。
「熱がないのに扁桃が腫れている」場合は慢性扁桃炎であることが多く、軽いのどの痛みや違和感、口臭、乾燥が主な症状です。また、反復性扁桃炎の急性炎症を起こしていないときも慢性扁桃炎のような症状が認められます。
口をあけて扁桃をみると扁桃の肥大や発赤、膿の塊の付着などが認められます。治療として、炎症が軽い場合はうがい薬やトローチを使用しますが、反復性扁桃炎で年に4回以上急性炎症をくりかえす場合は手術で扁桃を取ることもあります。
扁桃の腫瘍
扁桃(口蓋扁桃)の大きさが片方だけ大きい場合や喉の違和感が片方だけにある場合は、扁桃の腫瘍(主に中咽頭癌や扁桃悪性リンパ腫など)が考えられます。
中咽頭癌の発生には喫煙、飲酒、ヒトパピローマウイルスの感染の関連がいわれています。早期にはのどの違和感やしみる感じがある場合もありますが症状が軽いこともあり、首のリンパ節への転移による首のしこりで初めて気づかれることも少なくありません。治療は手術・放射線・抗がん剤を組み合わせて行います。
一方、扁桃悪性リンパ腫は原因がはっきりわかっていないのが現状です。のどの痛みや飲み込みにくさといった症状に加え、体重減少や微熱といった全身症状を伴うことがあります。リンパ腫の種類や進行度に応じ治療が異なりますが、抗がん剤と放射線療法が中心です。
いずれも早期発見・早期治療が大切なので、なるべく早めに耳鼻咽喉科を受診しましょう。
「熱はないのに扁桃腺が腫れている」の正しい対処法は?
熱はないのに扁桃が腫れている場合、のどの痛みを伴っているのであれば、応急処置として、アセトアミノフェンを含む市販の消炎鎮痛剤や市販のトローチを使用してみたり、うがいをしてみたり、市販のマスクや加湿器などで加湿をしてみたりしましょう。すこし症状が和らぐかもしれません。数日様子をみても改善しない場合や、発熱・のどの強い痛み・嚥下時ののどの痛みを伴う場合は、急性扁桃炎を発症している可能性があり、抗菌薬を使用する場合があるので耳鼻咽喉科を受診しましょう。
「熱はないのに扁桃腺が腫れている」症状についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「熱はないのに扁桃腺が腫れている」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
熱がないけど喉の扁桃腺が腫れて痛いときは何科を受診すべきですか?
磯野 志真 医師
熱がなく、痛みを伴う扁桃の腫れは、慢性扁桃炎や反復性扁桃炎の可能性があります。まずは耳鼻咽喉科を受診してみましょう。
熱がなくて扁桃腺が腫れているのは何日くらいで治りますか?
磯野 志真 医師
慢性扁桃炎のように扁桃の炎症が慢性的に起こっている場合は、腫れは治まらないかもしれません。反復性扁桃炎では急性炎症を繰り返すのが特徴ですが、急性扁桃炎になった場合に抗菌薬を開始すれば1~2週間で炎症が治まることが多いです。
扁桃腺が腫れる前兆・扁桃炎の初期症状はありますか?
磯野 志真 医師
反復性扁桃炎で急性炎症が起きる前兆や初期症状として、のどの痛み・嚥下の際ののどの痛み・高熱が生じることが多いです。
熱はないのに扁桃腺が腫れているのは薬で治りますか?
磯野 志真 医師
慢性扁桃炎や反復性扁桃炎の場合、炎症が軽い場合はうがい薬やトローチを使用しますが、反復性扁桃炎で年4回以上、急性炎症を繰り返している場合は手術で扁桃を摘出して治療する必要がある場合もあります。
まとめ 熱がないのに扁桃腺が腫れたら扁桃肥大、慢性扁桃炎、反復性扁桃炎の可能性が高いですが、扁桃の腫瘍にも要注意
熱がないのに扁桃が腫れている場合、扁桃肥大・慢性扁桃炎・反復性扁桃炎の可能性が高いですが、扁桃の腫瘍の可能性もあります。鏡でご自身の口の中をみて扁桃がはれていて、いびきや無呼吸、のどの痛み、扁桃の腫れの左右差などがあれば、耳鼻咽喉科を受診しましょう。
「熱はないのに扁桃腺が腫れている」症状で考えられる病気
「熱はないのに扁桃腺が腫れている」から医師が考えられる病気は4個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
耳鼻咽喉科の病気
- 扁桃肥大
- 慢性扁桃炎
- 反復性扁桃炎
- 扁桃の腫瘍
健康診断などで指摘されることもありますが、一度耳鼻咽喉科を受診して確認してもらうことをお勧めします。
「熱はないのに扁桃腺が腫れている」に似ている症状・関連する症状
「熱はないのに扁桃腺が腫れている」と関連している、似ている症状は9個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
関連する症状
- 喉が痛い
- 飲み込むときのどが痛い(嚥下痛)
- 口がにおう(口臭)
- のどの乾燥
- いびきをかく
- 睡眠時無呼吸
- 扁桃腺の腫れ
- 喉に違和感があるが痛くない
- リンパが腫れる
「熱はないのに扁桃腺が腫れている」症状の他にこれらの症状がある場合でも「扁桃肥大」「慢性扁桃炎」「反復性扁桃炎」「扁桃の腫瘍」などの疾患の可能性が考えられます。睡眠時にいびきや無呼吸がある場合や、のどの痛みや乾燥、口臭がある場合、時々急性炎症を反復することがある場合、扁桃腫大に左右差がある場合には、早めに医療機関を受診しましょう。