「鼻声」はアレルギーが原因?医師が対処法など徹底解説!
鼻声の時、身体はどんなサインを発しているのでしょうか?Medical DOC監修医が考えられる病気や何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。
監修医師:
久高 将太 医師
「鼻声」の症状で考えられる病気と対処法
鼻声とは鼻が詰まるなどの原因で起こる、鼻にかかったような声のことです。誰しも一度は経験されたことがあるでしょう。今回は鼻声を起こす病気、対処方法、病院に行くべき症状などを詳しくお話しします。
鼻声の症状で考えられる原因と治し方
普段私たちは声を出す時に喉の声帯を震わせますが、同時に鼻の中の洞窟(副鼻腔炎)などを共鳴させて声を出します。したがって、鼻の通りが悪い、逆に良すぎるなどの共鳴がうまくいかない場合に鼻にかかったような声、つまり鼻声が出てくるのです。鼻声だけではなく、鼻水、鼻詰まり、後鼻漏(喉の奥に鼻水が垂れ込んでくること)、鼻血、嗅覚障害などが同時に起こることがあります。
鼻声の主な原因は鼻の病気です。風邪や副鼻腔炎などの感染症、鼻中隔湾曲症や腫瘍のような物理的な障害、アレルギーなどが考えられます。
すぐにできる対処法は鼻をかむことです。一時的に鼻水がつまっただけであれば症状は簡単に解消します。または、市販のアレルギー薬や点鼻薬、鼻洗浄を行うことでも解消できるかもしれません。
薬を飲んでも治らない、よく繰り返す、鼻以外にも症状があるような方は一度耳鼻咽喉科を受診することをおすすめします。特別な細いカメラでお鼻の中をチェック、病院によってはレントゲンやCT検査で詳しく診察することができます。特に痛みや出血、体の痺れ、目の動かしにくさ・見えにくさがある場合はすぐに受診しましょう。腫瘍が鼻の中を圧迫している可能性があります。
鼻声の症状とストレスで考えられる主な影響と対処法
ストレスと鼻声は直接的な関連はありません。ただし、ストレスによって免疫力が低下することにより感染症になりやすくなることや、食べるものや環境によりアレルギーが出やすくなるなど鼻の中の環境が変わることで鼻声につながることも考えられます。多くの場合には、風邪や副鼻腔炎、アレルギーの病気などが原因になるでしょう。
対処法としては体に疲れを溜めないように規則正しい生活、刺激物をさけたバランスの良い食事を心がけることが大切です。また軽症の場合には一般的なアレルギー薬や風邪薬を内服しても良いでしょう。
症状が長引く、悪化する場合は内科や耳鼻咽喉科受診を検討しましょう。
鼻詰まりや風邪ではないのに鼻声の症状で考えられる原因と治し方
ご自身の自覚症状で鼻づまりなどがない場合でも、実際に鼻の診察を行うと炎症所見が見られたり、鼻が詰まっていることがあります。もちろん、特に異常所見はなく、単に気にしすぎているだけという可能性もあります。
自分ですぐにできる対処法は、あまりないと思われますので、医療機関で相談してみましょう。内科、小児科、耳鼻咽喉科に行くことをお勧めします。
感染や鼻症状を指摘されない場合は逆に鼻の中が広すぎることで空気の共鳴がうまくいかない状態や喉の先天的な形態異常があり空気の流れが悪くなるなどの病態も考えられます。この場合、お薬での改善は難しく、状態によっては手術加療を検討することもあります。
受診時にはしっかりと担当医に他の症状やどんな時に症状がひどくなるかを伝えましょう。鼻の中の空気の流れは人によって異なり、見た目からではわからないこともあるので積極的に詳しい症状や状況を伝えることが大切になります。また、鼻の手術歴がある方は必ず伝えましょう。
鼻声が半年以上治らない症状で考えられる原因と治し方
風邪や副鼻腔炎などの感染症を繰り返すことで長期間にわたって症状が長引くことがあります。この場合には、鼻の中につまりの原因となる邪魔なものがある可能性が高いです。考えられる病気は、繰り返す感染症、鼻中隔湾曲症、ポリープ、腫瘍、難治性アレルギーなどです。
すぐにできる対処法は、市販のアレルギー薬や点鼻薬を使うことですが、ある程度しか症状を抑えることができないでしょう。
ポリープは鼻の粘膜に炎症がおき、水や液体が貯留することでできます。ステロイドの内服や点鼻で治ることもありますが再発してしまうこともあるため、手術によって除去することが望ましいです。病院によっては日帰りでポリープを除去してくれるところもあります。鼻中隔の曲がりが原因の場合は基本的には薬での対応は困難です。手術で曲がりをまっすぐにすることが推奨されます。アレルギーが関連している場合はお薬の調整で良くなることがあります。一般的なアレルギー薬で良くならない場合は舌下免疫療法などの特殊な治療を行うことがあります。または手術で鼻水を出す神経を切る、むくんだ粘膜を除去し減量する治療も考えられます。
注意すべき病気は腫瘍です。鼻血、痛み、目が動かしづらい・見えにくいなどのような症状は注意が必要です。腫瘍は薬では対処できず、多くの場合手術加療が必要です。種類によっては悪性腫瘍の可能性もあるため、気になった場合はすぐに耳鼻咽喉科を受診してください。
すぐに病院へ行くべき「鼻声」に関する症状
ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。
痛みや出血を伴うような症状の場合は、耳鼻咽喉科へ
一般的な感染症でも痛みを感じる、鼻のかみすぎなどで出血することはあるため見過ごされることがありますが、この痛みや出血は重大な病気のサインになっていることがあります。もしも、痛み止めを頻回に使わないと抑えられない、ひどくなるような痛み、特にきっかけもなく出血を繰り返す場合は早急に耳鼻咽喉科を受診しましょう。腫瘍などのすぐに治療が必要な病気が隠れている可能性があります。これらの症状に加えて目の見えにくい、動かしづらい、顔が腫れてくる、身体が痺れるといった症状がある場合は腫瘍が眼や脳を守る骨を壊し始めている可能性もあるので必ず早急に受診しましょう。
受診・予防の目安となる「鼻声」の時のセルフチェック法
- ・鼻声以外に出血、痛み、顔の腫れがある場合
- ・鼻声以外に眼の見えにくさ、動かしづらさがある場合
- ・鼻声以外に体の痺れ、動かしづらさがある場合
「鼻声」症状が特徴的な病気・疾患
ここではMedical DOC監修医が、「鼻声」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
アレルギー性鼻炎
アレルギー性鼻炎とは、一般的に花粉症と言われるものです。花粉やハウスダスト、動物や虫の毛やフケが体内に入ることで体の免疫が過剰に反応することが原因です。過剰な反応により免疫が活性化し、くしゃみや鼻水を引き起こします。
対処法は、アレルギー薬や点鼻薬で反応を抑えることです。しかし、薬が切れると症状が戻ってしまうことがあります。アレルギーの種類によっては免疫の反応自体を抑える舌下免疫療法、または手術によって粘膜のむくみを除去する、鼻水分泌の原因となる神経を切断することもあります。
市販薬で様子を見ても治らない、繰り返す、増悪する場合。耳鼻咽喉科やアレルギーを専門に行なっている内科や小児科を受診しましょう。
副鼻腔炎
副鼻腔炎とは、一般的には蓄膿症と呼ばれます。副鼻腔とは鼻の奥にある空洞のことです。環境を整え、鼻から吸った空気をあえて空洞に寄り道させることで身体に適切な温度に調整する働きがあります。その副鼻腔が感染を起こすことで炎症が起きます。
抗生剤による治療が必要になります。自然に治ることもありますが、医療機関の受診をお勧めします。軽い症状であれば市販の漢方薬などでも良くなることがありますが、実際に診察してもらい処方してもらうほうが良いでしょう。
市販薬で良くならない、くり返す、熱が出る場合には耳鼻咽喉科を受診しましょう。
急性鼻炎
急性鼻炎とは、一般的に鼻風邪といわれるものです。ウイルスや細菌が鼻の粘膜に付着し炎症を起こすことで発症します。アレルギー性鼻炎の症状と似ています。特に特別な検査は必要ありません。
対処法としては、基本的にアレルギー薬や点鼻薬で症状を抑え、自分の免疫でウイルスや細菌を除去し炎症が治る様子を見ます。
繰り返す、症状が長引く場合は他の病気が隠れている可能性があるので、内科、小児科、耳鼻咽喉科を受診しましょう。
「鼻声」のときの正しい対処法は?
鼻声の原因によっては市販のアレルギー薬や点鼻薬で治ることがあります。
症状を落ち着かせる市販の内服薬には、アレグラ、クラリチンなどが挙げられます。薬の内容によっては眠くなるなどの副作用が起きることがあるので注意してください。
市販の点鼻薬も一定の効果がありますが、使いすぎると、かなり強く鼻粘膜を傷つける、固くしてしまうことがあるため、依存しすぎるのは良くありません。
基本的にはしっかりと医療機関で診察してもらうのが良いでしょう。
アレルギーが原因で鼻声の症状がある場合には、一度医療機関を受診してアレルギー検査で何が原因かを確かめることが大切です。アレルギー治療の基本はアレルギーの原因となる物質に接触しないことが1番です。ハウスダストが原因の場合、こまめに掃除を行う、空気清浄機を使うといった対処法が考えられます。花粉が原因の場合、飛散時期にマスクをしっかりつける、予防的にアレルギー薬の内服を行うなど対策をとることができます。
普段から、強く鼻をかみすぎることは控えましょう。鼻の粘膜を痛め出血すると、耳に負担をかけて耳閉感を引き起こすことがあります。
鼻うがいは水道水ではなく、生理食塩水を使用しましょう。水道水の場合、体の水分バランスと異なるためかえって鼻の粘膜が傷害されてしまうことがあります。
早く治したい時には、医療機関を受診し適切な処方、治療をうけましょう。
「鼻声」についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「鼻声」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
鼻声はどうすれば治るのでしょうか。
久高 将太 医師
原因によります。一般的な感染症やアレルギーの場合は内服、点鼻薬で良くなることがありますが、鼻の構造の問題やできものがある場合は手術などの特別な治療方法が必要になることがあります。
鼻声はどのような声でしょうか。
久高 将太 医師
鼻にうまく空気が通らない、共鳴しないため鼻にかけるような声になります。鼻をつまんで声を出す時に出る声です。
風邪ではないのに鼻声が続くときは耳鼻科に行くべきでしょうか?
久高 将太 医師
その通りです。
一時的な鼻声はアレルギーや副鼻腔炎が原因でしょうか?
久高 将太 医師
その可能性が高いと思います。
鼻声を治すのに効果のある飲み物はありますでしょうか。
久高 将太 医師
あくまでも補助的なものになります。即効性は期待できません。アレルギー反応を抑え、結果的に鼻声を抑えると期待されるものです。
一例ですが、お茶や紅茶などのカテキンが含まれるものはアレルギーを抑える作用があるといわれています。また、コーヒーの中には、クロロゲン酸というポリフェノールが鼻炎、くしゃみ症状に対して効果があるといわれています。
まとめ
誰もが一度は経験のある鼻声の症状にも様々な原因があります。中には重大疾患のサインとなっていることもあり、軽視できないこともあります。めったに経験されない方はもちろんのこと、花粉症などで慣れている方もいつもと違う、長引くなど異変を感じた時には積極的に医療機関を受診しましょう。原因によっては今後同じ病態に悩まずに済むかもしれません。
「鼻声」で考えられる病気と特徴
「鼻声」から医師が考えられる病気は6個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
ほとんどの場合は風邪やアレルギー症状に伴うのですが、中には腫瘍などの重大な病気が原因となっていることもあります。
「鼻声」と関連のある症状
「鼻声」と関連している、似ている症状は4個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
「鼻声」の症状の他にこれらの症状がある場合でも「風邪症候群」「副鼻腔炎」「鼻中隔湾曲症」「鼻ポリープ」「上顎がん」「アレルギー性鼻炎」などの疾患の可能性が考えられます。
全身に見られる症状も併発している場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。