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「耳の中が痛くズキズキする」原因はご存知ですか?医師が徹底解説!

「耳の中が痛くズキズキする」原因はご存知ですか?医師が徹底解説!

耳の中が痛くズキズキする時、身体はどんなサインを発しているのでしょうか?Medical DOC監修医が考えられる病気や何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

森崎 剛史 医師

監修医師
森崎 剛史 医師

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鳥取大学医学部卒業。医学博士。耳鼻咽喉科全般、声の疾患、甲状腺腫瘍を専門に診療にあたっている。日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会認定耳鼻咽喉科専門医、日本内分泌外科学会認定内分泌外科専門医の資格を有する。

「耳の中が痛くズキズキする」症状で考えられる病気と対処法

痛みは炎症のサインです。どんどん悪化する耳の中の痛みは、とても気になりますし、夜も眠れないほどの痛みになることも経験あるかもしれません。小さなお子さんの場合はとくに普段ならとっくに寝ているはずの時間でも大声で泣いて騒ぎ、見ている大人も心配と疲れでヘトヘトになります。どのような病気が考えられるか解説します。

耳の中が痛くズキズキする症状で考えられる原因と治し方

耳の中の痛みは鼓膜より浅い耳の穴である「外耳」、鼓膜の内側の空間である「中耳」、または口をあけしめするための「顎関節」、などに由来します。さらには喉の炎症を離れた耳の奥の痛みとして感じる放散痛もあります。応急処置には、市販薬・家庭用薬の鎮痛剤(痛み止め)を飲むことが挙げられます。耳鼻咽喉科の診察時間外の場合、診察時間まで待ってからでも問題ないことがほとんどです。

たまに耳の中が痛くズキズキする症状で考えられる原因と治し方

痛みが1日のうちで出たりひいたりする場合には、イヤホンの圧迫、綿棒によるセルフケアなどによって耳の穴の入口に近い部分の刺激による軽い炎症が起きているかもしれません。また、平地にいながらにして、高い山から降りてきたとき、飛行機が着陸体制で高度を下げたときのような気圧の変化にともなう耳の痛みが出ることがあり、中耳の換気がしにくくなっているとき(耳管機能低下)に鼻すすりをすることで起こります。これらについてはまず、ここにあげた原因となる行為をやめてみましょう。数日たっても改善しない場合には、耳鼻咽喉科でみてもらうとよいでしょう。

耳の中が痛くズキズキして頭痛を伴う症状で考えられる原因と治し方

頭痛を伴う場合には、脳の周りを包んでいる「硬膜」や、頭蓋骨の中に存在している「内耳」に炎症が広がっている可能性があります。中耳炎が重症化して、となりあう硬膜や内耳に炎症を広げている場合や、稀ではありますが、ANCA関連血管炎というものが中耳に最初に現れている場合に起こります。放置すると急激に悪化することもあります。すぐに薬による治療を開始しなければ危険な状況も考えられますので、早急に耳鼻咽喉科を受診しましょう。

ストレスで耳の中が痛くズキズキする症状で考えられる原因と治し方

あなたがもし疲れを溜め込んでいてストレスを感じている時期や、大きなストレスがかかるライフイベントが終わったタイミングなどの場合、耳の中が痛いと感じることもあります。このような場合には、耳周りにプツプツが出ていないか、左右の耳で音の聞こえ方が違わないか、鏡で左右の顔の表情筋の動きが違わないかをチェックしてください。ストレスで免疫が低下したときに、水痘帯状疱疹ウイルスなどのウイルスによる炎症が耳に発症することが知られています。このウイルスによる耳の痛み、顔の動きにくさ、湿疹、聞こえにくさの症状は、ラムゼイ・ハント症候群と呼ばれます。なるべく早く、遅くとも数日以内に耳鼻咽喉科を受診し早期の治療を開始することが必要です。

すぐに病院へ行くべき「耳の中が痛くズキズキする」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

耳が痛がゆくて、つい自分で綿棒で耳を掻いてしまう場合は、耳鼻咽喉科へ

耳の中がかゆい時、ついつい綿棒で耳掃除を自分でおこなってしまいがちです。しかし、耳の穴(外耳)は骨の上に薄い皮膚が覆っているだけの構造となっており、体の他の部位のように厚い皮下脂肪や結合組織などのクッション層がないため、たとえ軽い力でも、綿棒などの刺激が外耳の皮膚に大きなダメージを与えてしまいます。一度ダメージをうけた外耳はさらにかゆみを増し、また綿棒でダメージを与えるという悪循環に陥ります。ひどい外耳炎となると汁がでたり、その汁が固まって耳が詰まって聞こえにくくなったりします。これを防ぐためには普段から自分で耳掃除をする習慣をやめて、3ヶ月から6ヶ月に一回耳鼻咽喉科で耳掃除をしてもらいましょう。

「耳の中が痛くズキズキする」症状が特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「耳の中が痛くズキズキする」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

急性中耳炎

風邪による喉の炎症が、耳管という喉と中耳をつなぐ管を伝って中耳に広がった状態です。鼻すすりによって中耳が負圧(気圧が低い状態)となり水分が引っ張られて中耳が水たまりになっていると、中耳でより炎症が起こりやすい、細菌が繁殖しやすい状態となります。中耳炎が子どもに起こりやすい理由は、耳管の長さが短く、風邪で鼻すすりを無意識に行ってしまうからです。日毎に症状は進んでしまうので、風邪を引いた後に耳の奥の痛みを感じたら、なるべく早いうち、軽症のうちに耳鼻咽喉科で治療を開始するとよいでしょう。
軽症の場合は鎮痛剤のみで自然と改善しますが、重症で膿が中耳に溜まっている場合には抗生物質の服用や、鼓膜を切開して膿を外に出す必要があります。ひどい場合は内耳炎に進行して、聞こえにくい、ひどいめまいがして立っていられない、などの症状を引き起こすこともあります。

ラムゼイ・ハント症候群

ほぼすべてのひとに、いつのまにか感染している水痘帯状疱疹ウイルス。普段は体のいろいろな場所にある神経の中で眠っている状態で何も症状をおこしませんが、ストレスなどで免疫が弱くなった時に活動を再開し神経で炎症を起こすことで、その神経が通っている部分に発疹や痛みを引き起こします。内耳から脳への経路も神経の束でできており、この神経の束に炎症がおこった場合に耳の痛み、耳の湿疹、顔の動きにくさ、聞こえにくさ、めまいなどの症状が起こり、ラムゼイ・ハント症候群と呼ばれます。
なるべく早く、遅くとも数日以内に耳鼻咽喉科を受診し早期のステロイド治療、抗ウイルス薬による治療を開始することがその後の神経の回復度合いに有利となります。

外耳炎

外耳は骨の上に薄い皮膚が覆っているだけの構造となっており、体の他の部位のように厚い皮下脂肪や結合組織などのクッション層がありません。そのため、たとえ軽い力でも、綿棒などの刺激が外耳の皮膚に大きなダメージを与えてしまいます。ひどい外耳炎になると汁がでたり、その汁が固まって耳が詰まって聞こえにくくなったり、皮膚の防御機能が低下した部分にカビが生育したりします。
これを防ぐためには普段から自分で耳掃除をする習慣をやめて、3ヶ月から6ヶ月に一回耳鼻咽喉科で耳掃除をしてもらいましょう。歯医者さんで定期的にケアしてもらうのと同じで、病気がなくても耳鼻咽喉科でメンテナンスしてもらって良いのです。

「耳の中が痛くズキズキする」ときの正しい対処法は?

基本的に応急処置は痛みを和らげることですが、市販の鎮痛薬を飲むことは問題ありません。ロキソニン、イブ、バファリンなどが商品名についているものは、病院でもよく使う薬と主成分が同様です。痛いから、汁が出るからと言って、綿棒など長いものを使って自分で掃除しようとしたり汁を拭き取ったりすると、かえって傷つけてしまうこともあるのでやめましょう。鎮痛薬は根本的に痛みの原因を治す作用はないので、数日であきらかな改善の傾向がみられない場合には必ず耳鼻咽喉科を受診しましょう。
イヤホンを使用すると痛みが増強する場合には、イヤホンの接触自体が炎症の原因となっていることも考えられるので、しばらく使わないほうがよいでしょう。また、睡眠中に枕に耳が当たるのは良いのか気になるかもしれませんが、枕に耳が押し当てられていても痛みを感じない場合は問題ありません。

「耳の中が痛くズキズキする」についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「耳の中が痛くズキズキする」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

耳の中がズキズキ痛むときに市販薬は有効ですか?

森崎 剛史 医師森崎 剛史 医師

多くの場合、市販の鎮痛薬はよく効きます。ただし、ウイルスが引き起こす神経炎による痛みには、病院の処方薬でないと効果が乏しいでしょう。

耳の中が痛くズキズキする症状は自然治癒するのでしょうか?

森崎 剛史 医師森崎 剛史 医師

軽い外耳炎や軽症の中耳炎であれば、自分での耳掃除をやめること、鼻すすりをやめること、で自然治癒が見込めます。

耳の奥がズキンと痛む場合病院は何科を受診すべきですか?

森崎 剛史 医師森崎 剛史 医師

耳鼻咽喉科を受診してください。

イヤホン・ヘッドホンは耳の中がズキズキ痛い症状に影響しますか?

森崎 剛史 医師森崎 剛史 医師

耳の穴に挿し入れるタイプのイヤホンは、耳の穴を圧迫しますので痛みの原因になります。

まとめ

外耳、中耳、内耳、隣接する臓器である硬膜、顎関節、少し距離のある喉、など耳の中の痛みはさまざまな場所の炎症を示すサインであり、早期に治療を始めることでより改善する確率が上がる性質をもった病気もあります。自己判断をせず耳鼻咽喉科で相談し、適切な対処をしていきましょう。この記事を通して、鼻すすりをすること、耳掃除を自分ですることが危険なことであると認識していただければ嬉しいです。

「耳の中が痛くズキズキする」で考えられる病気と特徴

「耳の中が痛くズキズキする」から医師が考えられる病気は14個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

耳鼻咽喉科の病気

耳にある臓器自体と、それ以外にも隣接する臓器、神経でつながる喉などの炎症でも耳の中の痛みは起こります。

「耳の中が痛くズキズキする」と関連のある症状

「耳の中が痛くズキズキする」と関連している、似ている症状は7個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

「耳の中が痛くズキズキする」他に、これらの症状が見られる際は、「外耳炎」「急性中耳炎」「真珠腫性中耳炎」「ANCA関連血管炎性中耳炎」「内耳炎」「ラムゼイ・ハント症候群」「鼓膜炎」「急性咽頭扁桃炎」「顎関節症」「耳管機能低下」などの疾患の可能性が考えられます。痛みがひどい場合やなかなか治らない場合は、早めに医療機関への受診を検討しましょう。