「喉の渇き」で考えられる病気・原因はご存知ですか?医師が徹底解説!
喉の渇きを治すには?Medical DOC監修医が対処法や考えられる原因・病気・何科へ受診すべきかなどを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。
監修医師:
村上 友太 医師(東京予防クリニック)
脳神経外科専門医、脳卒中専門医、神経内視鏡技術認定医。日本認知症学会、抗加齢医学会、日本内科学会などの各会員。
「喉の渇き」症状で考えられる病気と対処法
水分をいくら摂取しても喉が渇く、という症状に悩んだことはありませんか。
症状の原因はたくさんありますが、腎臓や糖尿病、自己免疫疾患などが関わっているケースの可能性があります。どんな場合に病院受診を行う必要があるのか解説していきます。
喉の渇きが収まらない症状で考えられる原因と対処法
水分を摂取していても喉の渇きが収まらないといった症状を指します。このような場合、体内の水分が不足して脱水の状態になっている可能性があります。
塩分が含まれたOS-1やスポーツドリンクなどを積極的に飲むことで症状が改善する可能性があります。脱水となる原因は風邪や腸炎などの体調不良が考えられます。
水分をいくら取っても喉の渇きが改善しない場合には、まず内科を受診するとよいでしょう。
喉の渇きと頻尿の症状で考えられる原因と対処法
喉が渇いてたくさん水分をとり、さらに尿も多くなるという症状を指します。このような場合、糖尿病が疑われます。
糖尿病では、糖分が含まれたスポーツドリンクをたくさんのむと、体内の電解質やpHのバランスが崩れるソフトドリンクケトーシスといった症状を引き起こす可能性があります。そのため、喉が渇いたからといってスポーツドリンクばかりをたくさん飲むのは危険です。
もともと血糖が高いと言われている人は、喉が渇いた時には糖分が含まれない飲み物を摂取しましょう。
喉の渇きと頻尿と共に、腹痛や吐き気、呼吸困難感がある場合には、糖尿病内科を受診しましょう。
喉の渇きと吐き気の症状で考えられる原因と対処法
喉の渇きと吐き気が同時にくるような症状がある場合には、水分を一気に摂取せずこまめに摂取することで症状が落ち着く可能性があります。
考えられる病気は、副甲状腺機能亢進症などです。これは何らかの原因により副甲状腺から異常にホルモンが分泌されてしまう病気です。
吐き気が辛い場合には、早めに内分泌内科を受診しましょう。
喉の渇きと咳の症状で考えられる原因と対処法
喉の渇きと共に咳が出るような症状がある場合には、空気の乾燥が原因となっている可能性があります。
冬などで空気が乾燥することにより口の中が乾燥し喉が渇き、気道も乾燥するため咳が出やすくなります。まずは加湿器などを用いて保湿するという対策が大切です。
咳がひどい場合には気管支炎を起こしている可能性があるので呼吸器内科を受診するとよいでしょう。
喉の渇きと頭痛症状で考えられる原因と対処法
喉の渇きと共に頭痛で悩まされるような症状がある場合には、稀ではありますが、尿崩症という病気の可能性があります。この病気は脳腫瘍や脳の損傷、結核などの原因により腎臓における水分の吸収を促進するホルモンの分泌が減り、多尿になる病気です。
主な診療科は脳神経外科や内分泌内科です。
ストレスで喉が渇く症状が起こりやすい主な原因と対処法
ストレスが強く、さらに喉の渇きもひどいという症状を指します。ストレスを感じていると交感神経が優位になり、唾液の分泌が減少し、喉の渇きを感じやすくなるとされています。
まずはストレスを取り除く努力をすること、それが難しければこまめに水分補給をすることが大切です。
基本的には病院受診の必要性はありませんが、ストレスがあまりに強い場合にはうつ病を発症する危険性があるため、精神科や心療内科への受診をお勧めします。
妊娠中に喉が渇く症状で考えられる原因と対処法
妊娠中に喉がかわくといった症状を指します。妊娠中にはお腹の中の赤ちゃんへ送るために身体に必要な水分量も多くなります。そのために喉が渇きやすいといった症状が起こりやすいです。こまめな水分摂取が大切です。
妊娠中にあまりに喉が渇いている場合には、糖尿病や甲状腺機能異常症などの病気が潜んでいる可能性もあるため、産婦人科の主治医に相談してみるとよいでしょう。
すぐに病院へ行くべき「喉の渇き」に関する症状
ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。
吐き気、腹痛、頻尿、呼吸困難がある症状の場合は、内科へ
突然喉の渇きと頻尿がひどくなり、さらに腹痛・吐き気・呼吸困難がある場合には糖尿病を背景とした糖尿病ケトアシドーシスといった病気を発症している可能性があります。
すぐに入院して点滴による治療が必要なため内科へ受診しましょう。
喉の渇きがひどいが水分が取れない場合は、内科へ
腸炎などで下痢や吐き気があると身体の水分が足りていないのに、十分に水分補給を行うことが難しくなります。脱水が進行すると危険なため、水分を口から摂取できない場合には医療機関で点滴治療を受ける必要があります。まずは内科に受診するとよいでしょう。
受診・予防の目安となる「喉の渇き」のセルフチェック法
- ・喉の渇き以外に頻尿の症状がある場合
- ・喉の渇き以外に吐き気の症状がある場合
- ・喉の渇き以外に頭痛症状がある場合
- ・ 喉の渇き以外に動悸や体重減少、手の震えなどの症状がある場合
- ・喉の渇き以外に目の乾燥症状がある場合
「喉の渇き」症状が特徴的な病気・疾患
ここではMedical DOC監修医が、「喉の渇き」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
糖尿病
糖尿病は血液中のブドウ糖を体内に取り込むインスリンの作用不足による慢性の高血糖症状を特徴とする病気です。1型糖尿病は感染症や自己免疫疾患によりインスリンを分泌する細胞が破壊されることにより発症します。2型糖尿病は遺伝子的要因に加えて食べ過ぎ、運動不足、ストレスなどの要因が絡み合って発症します。
初期の場合には運動療法や食事療法で治療可能ですが進行した場合には飲み薬やインスリンなどの注射が必要となります。
健康診断で高血糖を指摘されたり、喉の渇きや水分を摂りすぎるといった症状が強い場合には、糖尿病内科を受診すると良いでしょう。
腎臓疾患
腎臓の機能が悪くなると一時的に尿が増える時期があり、その場合のどが渇くといった症状が現れます。腎機能が悪くなる原因はさまざまありますが、加齢や高血圧などといった原因が多くを占めています。
腎機能の低下を止めるためには、食事療法や薬を使った治療などを組み合わせる必要があります。健康診断で腎機能の悪化を指摘されたり、尿から蛋白が出ていると指摘された場合には早めに内科や腎臓内科を受診すると良いでしょう。
甲状腺機能亢進症
甲状腺ホルモンが過剰に産生され、全身の代謝が亢進する病気です。原因は自己免疫疾患と考えられており、甲状腺ホルモンの分泌を促す物質に似た抗体が甲状腺に刺激を与えることでホルモンが過剰に産生されます。
治療法は内服での治療となります。首の腫れや動悸、手の震え、体重減少などを認める場合には、早めに内分泌内科を受診すると良いでしょう。
更年期障害
更年期障害は女性に発症する病気というイメージが強いですが、男女問わず発症します。どちらにおいても加齢による性線ホルモンの低下によって全身の不調をきたす疾患です。
ホルモンの補充といった治療や漢方を用いた治療などが一般的です。
更年期症状が継続して日常生活に支障をきたす場合には、医療機関への受診が必要です。
男性の場合は泌尿器科もしくは内科、女性の場合は婦人科へ受診するとよいでしょう。
シェーグレン症候群
シェーグレン症候群は涙腺や唾液腺に炎症を起こす自己免疫疾患です。原因は遺伝的要因やウイルス感染、免疫異常などさまざま考えられます。乾燥症状に対しては点眼薬や人工唾液などを用いて治療を行います。口の渇きと目の乾燥症状が同時にあり、症状が強い場合には、膠原病内科を受診し検査をすることが必要です。
「喉の渇き」の正しい対処法は?
まずは水分補給が大切です。一度にたくさん取るのではなく、少量をこまめに摂ることでより症状の改善につながります。また、糖尿病の方が糖分を含んだ清涼飲料水をたくさん飲むことで、ソフトドリンクケトーシスという病気を引き起こす可能性があります。そのため、糖尿病や高血糖の指摘がある人が喉の渇きがある場合には、糖分を含まれていない飲み物を飲むようにしましょう。
また口の渇きを和らげるための市販薬(バイオティーン®︎)も販売されており、これらを使用するのも症状の改善につながる可能性もあり試してみるとよいでしょう。
下痢などで身体の水分が不足している場合には、OS-1®︎などの経口補水液がよい選択肢となります。
水分を取る時にはこまめに取ることの他に、常温で飲むこともポイントです。
またドライマウスの治療に効果的な食事として、唾液の分泌を促進するケルセチンというポリフェノールを含むブロッコリーや玉ねぎや長ネギなどがよいとされています。普段の食事で注意して摂取してみるのもよいでしょう。
水分をしっかり摂取して、加湿も十分にしているのに口の渇きが治らない場合には、背景に治療が必要な病気が潜んでいる可能性があります。早めに医療機関に受診して調べてみるとよいでしょう。
「喉の渇き」についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「喉の渇き」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
異常に喉が渇くのは何かの病気の可能性がありますか?
村上 友太(むらかみ ゆうた)医師
糖尿病やシェーグレン症候群など治療が必要な病気の可能性があります。異常に喉が乾く状態が継続する場合には、内科を受診するとよいでしょう。
夜に喉が渇いて目が覚める原因は何でしょうか。
村上 友太(むらかみ ゆうた)医師
部屋の加湿が十分でない時や口呼吸をしてしまっている場合には夜に喉が渇いて目が覚める可能性があります。部屋の環境調整や呼吸に注意してみましょう。
いくら飲み物を飲んでも喉が渇くのですが対処法を教えてください。
村上 友太(むらかみ ゆうた)医師
水分を十分に摂取しても喉が渇く場合には糖尿病などの病気が隠れている場合があります。無理せず早めに内科を受診しましょう。
頻尿で喉が渇くときの対処法を教えてください。
村上 友太(むらかみ ゆうた)医師
頻尿により水分が失われている可能性があります。まずはしっかりと水分補給をしましょう。頻尿の原因は尿路感染症や膀胱の異常、糖尿病などの可能性が考えられます。症状が続く場合には内科を受診しましょう。
まとめ
水分をとっているのに喉が渇いて仕方がないという症状はつらいものです。生理的な喉の渇きではなく病気によって喉が渇いてしまうという可能性もあるので、症状がつらい場合には早めに医師に相談してくださいね。
「喉の渇き」で考えられる病気と特徴
「喉の渇き」から医師が考えられる病気は8個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
腎臓内科の病気
- 慢性腎障害
膠原病内科の病気
内分泌代謝内科の病気
- 更年期障害
- 妊娠
水分をとっているのに喉が渇く症状が続く場合には、一度検査を行うことを考慮するのが良いでしょう。
「喉の渇き」と関連のある症状
「喉の渇き」と関連している、似ている症状は4個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
「喉の渇き」症状の他に、これらの症状がある場合も「尿崩症」「シェーグレン症候群」「糖尿病」「腎臓疾患」などの可能性が考えられます。
なかなか改善しない場合にはなるべく早く医療機関への受診をお勧めします。