「ふくらはぎにつったような痛みが続くとき」の原因は?考えられる病気も医師が解説!

ふくらはぎにつったような痛みが続くのを治すには?Medical DOC監修医が対処法や考えられる原因・病気・何科へ受診すべきかなどを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

監修医師:
伊藤 陽子(医師)
目次 -INDEX-
「ふくらはぎにつったような痛みが続く」症状で考えられる病気と対処法
ふくらはぎがつった後、すぐに治まると思っていた痛みが続くと不安に感じることもあるでしょう。そこで今回は、つったような痛みが続く原因と対処法について解説します。
ふくらはぎにつったような痛みが続く症状で考えられる原因と治し方
ふくらはぎがつって強い痛みが出た場合、その後も痛みが続くことがあります。ふくらはぎがつることは「こむら返り」とも呼ばれ、一時的に筋肉が強く収縮されたままロックされ、痛みが発生します。一般的に、こむら返りの痛みは数秒から数分で治まりますが、その後も症状が残ることも少なくありません。腫れや熱感がなく痛みが続くときは、患部を伸ばすようにストレッチをするとよいでしょう。強い痛みが続くときや、だんだんと症状が悪化するときには、整形外科を受診なさってください。
すぐに病院へ行くべき「ふくらはぎにつったような痛みが続く」に関する症状
ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。
歩行中に足が痛み、休むと回復する場合は、循環器内科へ
一度症状が落ち着いても「歩いていると痛みやしびれを感じ、休むと回復する」といった症状があるときには、閉塞性動脈硬化症が疑われます。これは動脈硬化が進行することで生じる病気ですから、早めに循環器内科や心臓血管外科を受診しましょう。
受診・予防の目安となる「ふくらはぎにつったような痛みが続く」ときのセルフチェック法
- ふくらはぎにつったような痛みが続く以外に腫れや内出血がある場合
- ふくらはぎにつったような痛みが続く以外に腰から足にかけてのしびれがある場合
- ふくらはぎにつったような痛みが続く以外に足先が冷たい、足の爪の色が悪い場合
「ふくらはぎにつったような痛みが続く」症状が特徴的な病気・疾患
ここではMedical DOC監修医が、「ふくらはぎにつったような痛みが続く」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
肉離れ
肉離れは、スポーツ中に筋肉が急激に収縮したり引き伸ばされたりすることにより、筋肉の繊維が部分的に切れてしまう怪我のことです。正式には「筋挫傷(きんざしょう)」や「筋断裂(きんだんれつ)」と呼ばれます。肉離れはあらゆるスポーツを行うなかで、さまざまな筋肉に起こりうるものです。とくに短距離走やサッカー、体操競技、テニスなどダッシュやステップ、方向転換の動作がある種目でふくらはぎの肉離れが生じやすいといわれています。肉離れが疑われたら、すぐに「RICE(ライス)処置」を行いましょう。
- 安静(Rest):患部を安静にする
- 冷却(Ice):患部を冷やす
- 圧迫(Compression):患部を包帯などで圧迫する
- 挙上(Elevation):患部を心臓よりも高い位置に保つ
早急にRICE処置をすることで、内出血や腫れ、痛みを抑え、早期回復を促します。肉離れは重症度によって安静、湿布、ぬり薬、内服薬などが必要になります。痛みが強い、RICE処置をしても痛みが続くなど、肉離れが疑われるときには整形外科を受診しましょう。
坐骨神経痛
坐骨(ざこつ)神経痛とは、坐骨神経が圧迫や刺激によって痛みを引き起こす状態の総称です。坐骨神経は腰から膝の裏側へと続く長い神経で、手指ほどの太さがあります。坐骨神経痛の原因となる病気は複数あります。
- 腰椎部分の圧迫:腰椎椎間板(ようついついかんばん)ヘルニア、腰椎分離すべり症、腰部脊柱管狭窄症など
- 骨盤部分の圧迫:骨盤内の腫瘍など
- 坐骨神経部分の圧迫:梨状筋症候群、帯状疱疹など
ほかにも原因がわからないケースもあるようです。坐骨神経痛は、一般的に右半身か左半身のいずれか一方に起こります。お尻から太ももの裏側あるいは外側にかけて、チクチクとしびれるような感覚やうずくような痛みが出てきます。ときには、膝から下も痛むことがあるでしょう。このような症状が続くときには、整形外科を受診してください。一時的な対処法としては、背中を曲げたり椅子に座ったりするとよいでしょう。歩行や階段昇降、膝を伸ばしているときと比べて痛みが和らぐといわれています。坐骨神経痛の原因となる病気がある場合には、それぞれの病気に対する治療が必要です。検査を進めている間、痛みを緩和させるために鎮痛消炎剤や筋弛緩薬などで対応することもあります。
閉塞性動脈硬化症
閉塞性(へいそくせい)動脈硬化症とは、動脈硬化が進み手足の血管が狭くなったり(狭窄)、詰まったり(閉塞)する状態のことです。閉塞性動脈硬化症の原因である動脈硬化は、高血圧や喫煙などが原因で血管への負担がかかることや、脂質の多い食事でコレステロールが動脈の内部に付着することなどで進行します。なお、手足の動脈が狭窄、閉塞すると栄養や酸素が行き届かなくなり、手足が冷たくなったり、痛みが出たりします。閉塞性動脈硬化症の症状は4段階に分けられ、詳細は下記のとおりです。
- Ⅰ度:冷感・しびれ
- Ⅱ度:間欠性跛行(かんけつせいはこう)/歩行中に足に痛みやしびれが生じ、休むと回復する
- Ⅲ度:安静時痛
- Ⅳ度:潰瘍・壊死
これらの症状がみられたら、循環器内科や心臓血管外科を受診しましょう。手足の動脈硬化が進行している場合は、脳や心臓、腎臓の血管でも動脈硬化が進行している可能性がありますので、早めに受診してください。
治療法は、症状の程度によって異なります。Ⅰ度程度であれば、経過観察となり、禁煙や歩行が推奨されるでしょう。Ⅱ度になると禁煙のほかに生活習慣の改善、薬物療法、運動療法を行います。同時に血糖や血圧、コレステロールの管理も必要です。症状が改善しないときには、血行再建術を行うこともあります。血管再建術とは、狭窄、閉塞している部分で血管を広げる、硬くなった血管の内側を取り除き、血液を流す方法です。Ⅲ度、Ⅳ度の場合は、痛みを取り除いたり全身状態の悪化を防いだりするために血行再建術が必要となります。
「ふくらはぎにつったような痛みが続く」症状の正しい対処法は?
痛みがこむら返りによるものであれば、ふくらはぎを伸ばすようにストレッチすると痛みが緩和することもあります。床に座った状態で痛い方の足を前に伸ばし、つま先をすねの方にゆっくりと引いてみてください。こむら返りの発症には水分不足やナトリウム、カリウムなどの電解質不足が影響するとも考えられているため、水や麦茶、スポーツドリンクなどで水分や電解質の補給も忘れずに行いましょう。痛みを抑えたい場合には、消炎鎮痛成分の入った塗薬や貼り薬を使用するのも1つの方法です。また、漢方薬である芍薬甘草湯も、痛みの緩和に役立つ可能性があります。これらの対応をしても症状がよくならない場合や、強い痛みが続くとき、原因がはっきりせず痛みが続くときには整形外科を受診なさってください。
「ふくらはぎにつったような痛みが続く」症状についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「ふくらはぎにつったような痛みが続く」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
つった状態を放置するとどうなりますか?
伊藤 陽子(医師)
つった状態を放っておくと、筋肉が強く収縮した状態が続き、痛みが長引く可能性があります。ふくらはぎがつったら、できるだけ早く筋肉を伸ばしましょう。
つった痛みがずっと続く原因について教えてください。
伊藤 陽子(医師)
つったときに筋肉の繊維が傷ついてしまうと、痛みが長引く可能性があります。
ふくらはぎがつって数日経っても痛いのは何が原因でしょうか?
伊藤 陽子(医師)
お伝えしているように、つったときに筋肉の繊維が傷ついたためです。これは、筋肉痛の影響が数日続くのと同様です。ただし、日ごとに痛みが強くなる場合やまったく改善しない場合には、別の原因も考えられるため、整形外科を受診なさってください。
まとめ ふくらはぎがつったら、早めにストレッチを。
こむら返りの影響でふくらはぎのつった痛みが続く場合は、ストレッチや水分補給を行いましょう。ただし、時間とともに痛みが悪化したり、内出血やしびれ、足先の血行不良といった症状が伴ったりする場合は注意が必要です。肉離れや閉塞性動脈硬化症などの病気の可能性も考えられるため、早めに医療機関を受診なさってください。
「ふくらはぎにつったような痛みが続く」症状で考えられる病気
「ふくらはぎにつったような痛みが続く」から医師が考えられる病気は4個ほどあります。各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
ふくらはぎにつったような痛みが続くのは、病気の影響かもしれません。気になる方は、医療機関の受診を検討しましょう。
「ふくらはぎにつったような痛みが続く」に似ている症状・関連する症状
「ふくらはぎにつったような痛みが続く」と関連している、似ている症状は4個ほどあります。各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
ふくらはぎの不調は痛みが続くだけでなく、さまざまな症状として現れます。ご自身の症状に近いものがあれば、参考にしてください。