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「膝が腫れる」のは「痛風」や「関節リウマチ」が原因?医師が徹底解説!

「膝が腫れる」のは「痛風」や「関節リウマチ」が原因?医師が徹底解説!

膝が腫れるとき、身体はどんなサインを発している?Medical DOC監修医が主な原因や考えられる病気・何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

中川 龍太郎

監修医師
中川 龍太郎(医療法人資生会 医員)

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奈良県立医科大学卒業。臨床研修を経て、医療法人やわらぎ会、医療法人資生会南川医院に勤務。生活習慣病や肥満治療、予防医学、ヘルスメンテナンスに注力すると同時に、訪問診療にも従事している。日本プライマリ・ケア連合学会、日本在宅医療連合学会、日本旅行医学会の各会員。オンライン診療研修受講。

「膝が腫れる」症状で考えられる病気と対処法

運動の後や怪我、もしくは何もしていないのに、膝が腫れてしまったという経験はありませんか?いろいろな原因がありますが、年代によってなりやすい病気は変わります。以下で解説いたします。

膝が腫れる症状で考えられる原因と対処法

膝が腫れる症状で考えられる疾患として、半月板損傷があります。詳細は後述しますが、半月板損傷とは、膝関節にある「半月板」という軟骨が損傷した状態です。
損傷の原因はさまざまで、運動での急な切り返し動作や、膝への直接的な衝撃、または加齢に伴う軟骨の劣化などが挙げられます。
特徴的な症状は、膝の腫れ、膝を曲げ伸ばしする時の痛みなどです。さらに進行すると膝が固定されて動かなくなる(ロッキング)といった症状が現れることもあります。
症状が続く場合や痛みが強い場合は、病院を受診しましょう。専門科は整形外科です。損傷の程度や位置によっては手術が必要になることもあります。緊急性はありませんが、平日日中のできるだけ早い日程で受診してください。

膝が腫れていて痛い症状で考えられる原因と対処法

膝が腫れていて痛い症状の場合、変形性膝関節症の可能性があります。
変形性膝関節症について詳細は後述しますが、簡単にいうと膝の軟骨がすり減り、膝が変形する病気を指します。
膝関節でクッションの役割を持つ軟骨がすり減ることで、膝のスムーズな動きが困難になり、痛みを伴うことも多いです。
原因は、加齢や肥満、関節の酷使や外傷、遺伝的な要因などが考えられます。
特徴的な症状は、朝や動き始めた時、冷え込んだ時の膝のこわばりや痛みなどです。

症状が進行すると、膝の痛みは常に現れて、階段昇降が難しくなったり、膝の形が変わったりすることもあります。また、膝関節の中に水が溜まったりすることもあります。
治療は、痛みを和らげるための内服治療やリハビリ、サポーターや矯正靴の使用などです。これらの治療で改善しない場合には、手術が選択されることもあります。
変形性膝関節症は徐々に進行するため、早期受診と早期治療が大切です。症状が気になる場合は、日中に整形外科を受診しましょう。

膝が腫れていて曲げると痛い症状で考えられる原因と対処法

膝が腫れていて曲げると痛い症状の場合、滑液包炎の可能性があります。滑液包は、筋肉や腱が骨の上を通るところで、これらの動きをスムーズにするための袋状の構造です。この滑液包に炎症が起きた状態が滑液包炎となります。滑液包は膝以外にもいろいろな関節に存在しますが、今回は特に膝の滑液包炎について解説します。
主な原因は、膝関節の使いすぎや、外傷、感染、関節の疾患(関節リウマチなど)が考えられます。膝で言えば、長時間の立ち仕事や特定の動作を繰り返すことにより、膝の滑液包に過度な負荷がかかることが滑液包炎の引き金となることがあります。
特徴的な症状は、膝関節を曲げると出る痛みや、腫れ、赤み、熱感などです。
治療は、炎症を抑えることが中心となります。保存的治療として、安静、冷却、抗炎症薬作用のある痛み止め(ロキソニンなどの非ステロイド性抗炎症薬)の内服や塗布が一般的です。症状が重度の場合、炎症が慢性化している場合は、ステロイドの注射やリハビリテーションが考慮されることもあります。
緊急性はありませんが、症状が続く場合は病院を受診しましょう。専門科は整形外科です。日中に受診してください。

運動後に膝が腫れる症状で考えられる原因と対処法

運動後に膝が腫れて痛みも伴うような症状の場合、オスグッド病の可能性があります。これは成長期の一時的な病気で、成長とともに改善する病気です。一般的には“成長痛”と表現されることもあります。10-15歳ごろの子供に多く、膝の皿の骨のやや下の部分(脛骨結節)が徐々に盛り上がり、痛みや熱を伴うこともあります。しっかり休むと痛みは改善するのですが、スポーツを始めると再燃します。
ご自身でできる対処法は、まずこの痛みが出ている時期はしっかりと休むことです。
その上で、大腿四頭筋(太ももの前面の筋肉)のストレッチや痛む場所のアイシングが効果的です。

痛みが改善したらスポーツなど競技復帰も可能です。ただし、発症から3-6ヶ月程度は再燃の可能性はあります。本来であればしっかりとこの間は休むことが推奨されますが、大事な大会などの際は、スポーツ前後に上記ストレッチやアイシングを入念に行なったり、膝のベルトを装着した上で競技することをお勧めします。
専門科は整形外科です。緊急性はありませんので日中に受診してください。

突然、膝が腫れる症状で考えられる原因と対処法

突然、膝が腫れる症状のことを指します。この場合、基本的には何らかの外傷、それも前十字靭帯(ACL: Anterior Cruciate Ligament)損傷の可能性が考えられます。
前十字靭帯は、膝関節の安定性を維持するための重要な靭帯の一つです。この靭帯が損傷すると、膝の不安定性や痛みが生じることがあります。主な原因は、スポーツ活動中に起こる急な方向転換や、膝への直接的な衝撃、膝が自然な範囲を超えて曲がるような動きがあります。サッカーやスキー、バスケットボールなど、切り返す動作など急な方向転換が求められるスポーツにおいて特によく見られます。症状は膝の痛みや腫れ、歩行時や立ち上がる際の不安定感、「ポキッ」という音がする、などがあります。
治療方法は、損傷の程度や患者の生活環境、希望により異なります。軽度の損傷であれば、リハビリテーションによる保存的治療が中心となります。しかし、靭帯が完全に断裂している場合や、スポーツ選手で早期の復帰を望む場合は、手術が推奨されることが多いです。
専門科は整形外科です。前十字靭帯損傷は、適切な治療とリハビリテーションにより、多くの場合は良好な結果が期待できます。早期の受診と、指示に従った治療が重要となります。

膝が腫れていて熱がある症状で考えられる原因と対処法

膝が腫れていて、腫れている部分に熱も伴う場合、痛風発作の可能性があります。
痛風について詳細は後述しますが、尿酸結晶が関節に炎症を引き起こす病気を指します。
痛風は、過剰な尿酸によって、尿酸結晶という物質が沈着することで引き起こされます。特徴的な症状は、急激な痛みと赤い腫れなどです。触れるだけで非常に強い痛みを感じることが一般的です。
自身でできる対処法は予防法になります。つまり、食事療法や生活習慣の改善も重要になります。

治療としては、炎症や痛みを抑えるための薬物治療、尿酸値を下げる薬物治療が中心となります。また、予防として食事療法や生活習慣の改善も重要となります。
痛風は再発しやすい病気なので、継続的な治療と尿酸値の管理が必要です。急激な痛みや腫れが現れた場合、痛風の発作の可能性が考えられるため、整形外科や内科を受診しましょう。緊急性はありませんので日中のできるだけ早い日程で受診してください。

痛みはないが膝が腫れている症状で考えられる原因と対処法

痛みはないのに膝が腫れている症状の場合、関節リウマチの可能性があります。
関節リウマチについて詳細は後述しますが、これは自己免疫が誤って自分の関節を攻撃してしまう病気です。それによって、関節のこわばりや腫れや痛み、そして機能障害が生じることが特徴的です。ただし初期の症状では痛みは伴わず、ただ膝が腫れていたり、こわばりだけが目立つというパターンもあります。
治療は、炎症を抑える薬や免疫抑制薬、関節の保護や機能を回復するためのリハビリテーションという手段があります。
関節リウマチは徐々に進行する病気のため、早期発見と継続的な治療が重要です。特にひざの関節の腫れやこわばりが急に出現したり悪化した場合は、医師に相談しましょう。専門科は整形外科や膠原病内科です。緊急性はありませんので日中に受診してください。

すぐに病院へ行くべき「膝が腫れる」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

高熱も見られる場合は、整形外科へ

膝が腫れて、膝が熱をもつだけでなく、体温自体が高くなっている場合、化膿性膝関節炎の可能性があります。これは本来菌がいないはずの膝の関節内に細菌が入り込んで増殖し、化膿してしまうという病気です。
治療は、膝関節の徹底的な洗浄と迅速な抗生物質の点滴投与です。 関節に溜まった膿は注射器で抜いて清潔な水で洗います。また、この膿を培養検査に出して、効果的な抗生物質を投与します。ただし、炎症が非常に強い場合は、手術で切開して徹底的に洗浄するという方法も検討されます。化膿性関節炎では強すぎる炎症のために関節破壊が起きてしまい、元通りにはならないからです。
歩けないほどの膝の痛みや高熱も同時に見られた際は、すぐに医療機関を受診しましょう。整形外科で診察を受けることが望ましいですが、夜間休日であれば救急外来の受診も検討してください。

受診・予防の目安となる「膝が腫れる」ときのセルフチェック法

  • 膝が腫れる以外に膝の痛みがある場合
  • 膝が腫れる以外にこわばりがある場合
  • 膝が腫れる以外に赤みがある場合

「膝が腫れる」症状が特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「膝が腫れる」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

半月板損傷

半月板損傷とは、膝関節の内部にある「半月板」という月の形をした軟骨が損傷した状態を指します。半月板は、大腿骨(太ももの骨)と脛骨(膝より下、スネの骨)の間にあり、関節の安定性を保つ役割や、衝撃を吸収するクッションの役割を果たしています。
損傷の原因はさまざまですが、運動中の急な方向転換、膝への直接的な衝撃、または加齢に伴う軟骨の劣化などが挙げられます。
症状としては、膝の腫れや痛み、特に膝を曲げ伸ばしする時の痛みが特徴的です。さらに、膝の中で「ポキッ」という音がする、膝が固定されて動かなくなる(ロッキング)といった症状が現れることもあります。
半月板損傷を放置すると、膝の動きが悪くなるだけでなく、関節の他の部分へもダメージが及びます。
症状が続く場合や痛みが強い場合は、整形外科の受診をおすすめします。損傷の程度や位置によっては手術が必要になることもあります。
命に関わるものではないので夜間に救急受診までする必要はありませんが、平日日中のできるだけ早い日程で受診してください。

痛風

痛風は、尿酸の過剰な蓄積により、関節や他の組織に尿酸結晶という物質が沈着することで引き起こされる疾患を指します。尿酸結晶が関節に沈着すると、急激な炎症反応を引き起こし、関節痛や腫れを生じます。
症状の出る部位として最も一般的なのは足の親指の関節ですが、膝や足首、指関節など他の関節でも発症することがあります。膝の場合、急激な痛みと共に赤く腫れ上がり、触れるだけで非常に痛みを感じることが一般的です。また、膝関節の中に水が溜まることも多くあります。
痛風の主な原因は、尿酸を過剰に生成する食生活や腎臓の機能障害、遺伝的要因などが考えられます。特に、レバーや魚卵、アルコールの摂取が多い食生活は、尿酸の生成を増加させるとされています。
治療としては、発作時の炎症や痛みを抑えるための薬物治療や、尿酸値を下げる薬物治療が中心となります。また、予防として食事療法や生活習慣の改善も重要となります。
痛風は再発しやすい病気なので、継続的な治療と尿酸値の管理が必要です。急激な痛みや腫れが現れた場合、痛風の発作の可能性が考えられるため、整形外科や内科を受診しましょう。緊急性はありませんので日中のできるだけ早い日程で受診してください。

関節リウマチ

関節リウマチは、自己免疫疾患の一つで、体の免疫システムが誤って自分自身の関節組織を攻撃し、炎症を引き起こす病気を指します。この炎症によって、関節の腫れや痛み、そして機能障害が生じることが特徴的です。
主な症状は、関節の腫れ、痛み、こわばりなどが挙げられます。特に朝、起きた直後のこわばりが長時間続くことが多いです。関節リウマチは、手や足の小さな関節を中心に症状が出やすいですが、膝を含む大きな関節にも影響が及ぶことがあります。膝の場合、膝の腫れや痛み、動きの制限が生じることが一般的です。関節リウマチの進行により、関節の変形や骨の破壊が進むことがあります。
治療としては、炎症を抑える薬や免疫抑制薬、関節の保護や機能を回復するためのリハビリテーションが行われます。
関節リウマチは慢性的に進行する疾患のため、継続的な治療が必要です。症状が急に悪化する場合や、新たな症状が出現した場合は、医師に相談しましょう。専門科は整形外科や膠原病内科です。緊急性はありませんので日中に受診してください。

変形性膝関節症

変形性膝関節症は、膝関節の軟骨が次第にすり減って、膝の形が変形してくる疾患を指します。軟骨は、骨と骨の間のクッションとしての役割を果たしているため、それがすり減ることで膝の動きが困難になり、痛みを伴うことが多くなります。
主な原因は、加齢、肥満、関節の過度な使用や怪我、そして遺伝的な要因などが考えられます。特に、長年にわたるスポーツや重労働が関与することが多いと言われています。長い年月をかけて生じる病気ですから、高齢者に多い傾向にあります。
初期の症状では、特に朝や動き始めた時、または冷え込んだ時に膝のこわばりや痛みを感じることが多いです。症状が進行すると、膝の痛みが常時現れるようになり、階段の昇降が困難になったり、膝の形が変わったりすることもあります。
治療としては、まず痛みを和らげるための内服治療やリハビリ、関節の動きをサポートするサポーターや矯正靴の使用などがあります。症状が進行し、これらの治療で改善しない場合には、膝関節置換術という手術が選択されることもあります。
変形性膝関節症は徐々に進行する病気であるため、早期の受診と適切な治療が大切です。夜間や休日に痛みが増したからといって急いで救急受診する必要はありませんが、症状が気になる場合は、整形外科を受診しましょう。

「膝が腫れる」ときの正しい対処法は?

膝が腫れている時のセルフケアは、『炎症を抑えること』が重要になります。
具体的には、

  • とにかく安静にする
  • 冷やす
  • 体重をできるだけかけない
  • 抗炎症薬作用のある痛み止め(ロキソニンなどの非ステロイド性抗炎症薬)を飲む

といった方法があります。冷やすのは薬局で売られているようなアイシングスプレーでも良いですし、氷嚢などを使うのも効果的です。また痛み止めは市販のものでも構いません。
しかしこれらを行なっても改善がない場合やすぐに病院を受診しましょう。

「膝が腫れる」症状についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「膝が腫れる」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

膝が腫れているときは何科の病院を受診したらよいですか?

中川 龍太郎医師中川 龍太郎(医師)

まずは整形外科を受診しましょう。

膝が腫れているのですが水が溜まっているのでしょうか?

中川 龍太郎医師中川 龍太郎(医師)

水が溜まる場合もありますが、絶対に溜まっているというわけではありません。

膝が腫れているときに自分でできる対処法はありますか?

中川 龍太郎医師中川 龍太郎(医師)

とにかく安静にすること、荷重をできるだけかけないこと、抗炎症薬作用のある痛み止め(ロキソニンなどの非ステロイド性抗炎症薬)を飲む、といった方法はご自身でもできる対処法になります。

まとめ 膝が腫れているときは変形性膝関節症の可能性あり

膝が腫れる病気について解説しました。年齢や痛みが出た背景によっていろいろな病気の可能性が考えられます。ご自身で判断するのは難しいので、まずは整形外科の医師に相談してみましょう。

「膝が腫れる」症状で考えられる病気

「膝が腫れる」から医師が考えられる病気は8個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

整形外科の病気

膝が腫れる症状の場合、基本的に整形外科の病気になりますので、早めに整形外科を受診するようにしましょう。

「膝が腫れる」に似ている症状・関連する症状

「膝が腫れる」と関連している、似ている症状は3個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 膝がこわばる
  • 膝の痛みで長時間歩けない

「膝が腫れる」以外にこれらの症状が見られる際も、変形性膝関節症や半月板損傷の可能性はあります。複数認める場合は、一度病院で精査してもらいましょう。

この記事の監修医師