膝の痛みは放置NG! 早期『変形性膝関節症』の症状と進行を防ぐ対策【医師解説】

膝の痛みや違和感を「年齢のせいだから仕方ない」と考え、様子を見ている人は少なくないでしょう。しかし、痛みや違和感の背景に早期の「変形性膝関節症」が隠れていることもあります。そこで、進行すると手術が選択肢になることもある変形性膝関節症について、医療法人ベネヴォラ 磯見整形外科医院院長の磯見先生に詳しく解説してもらいました。
※2026年2月取材。

監修医師:
磯見 卓(医療法人ベネヴォラ 磯見整形外科医院)
変形性膝関節症とは、どんな病気?

編集部
変形性膝関節症とは、どのような病気ですか?
磯見先生
膝関節の表面を覆っている軟骨が変性(加齢変化)し、それに伴って関節内に炎症が起きたり、周囲の組織が刺激されたりすることで痛みや動かしにくさが生じる病気です。初期は軽い違和感や動き始めの痛み程度でも、進行すると腫れや変形を伴うようになります。加齢だけでなく、先天的要因や体の使い方、膝への負担の蓄積も関係しています。
編集部
初期の段階は、どのような症状が出るのでしょうか?
磯見先生
立ち上がるときや歩き始めに膝が痛む、階段の上り下りがつらいといった症状が多く見られます。しばらく動くと楽になることもあり、「そのうち治る」と様子を見てしまう人も少なくありません。初期の段階が早期の変形性膝関節症に当たり、放っておくと進行していきます。
編集部
進行する病気なのですね。
磯見先生
そうですね。軟骨は、加齢などで一度変性すると自然に元に戻ることが難しく、膝への負担がかかる状態が続くと、日常生活の中でも徐々に進行していく可能性があります。だからこそ、早い段階で負担を減らす対策を講じることが重要です。歩き方や姿勢の癖に加え、痛みのために体を動かさなくなると筋力低下や体重増加が起こり、膝への負荷がより大きくなります。筋力低下や体重増加も症状を悪化させる要因となっています。
編集部
若い世代でも発症することはありますか?
磯見先生
中高年以降に多い病気ではあるものの、若い人でも発症することはあります。過去のけがやスポーツ歴、仕事や生活習慣による膝への負担が影響することもあり、年齢だけで判断できる病気ではありません。
治療を考えるタイミングと、進行を防ぐためにできること

編集部
変形性膝関節症の治療法について教えてください。
磯見先生
症状の程度に応じて、運動療法や薬物療法などの保存療法から始め、進行した場合に手術療法が検討されます。多くの場合、まずは症状を緩和することからスタートし、膝への負担を減らす治療を進めていきます。
編集部
進行すると、最終的には手術が必要になりますか?
磯見先生
痛みや変形が強くなった場合には、骨切り術や人工膝関節置換術などの手術が選択肢に入ります。手術によって痛みの改善は期待できます。ただし、手術自体の身体的・時間的負担や人工関節の機能的な限界もあるため、できるだけ早い段階で進行を抑えることが重要です。
編集部
進行を抑えるために、どのようなことをすればよいのでしょうか?
磯見先生
進行を抑えるためには、痛みのある膝だけを見るのではなく、姿勢や歩き方など体全体のバランスを評価し、原因に合わせた対策を講じることが重要になります。自分ではなかなか難しいので、理学療法士によるリハビリテーションを受けることをおすすめします。早期の段階で膝への負担を減らす意識が大切です。
早期の変形性膝関節症、リハビリテーションは有効?

編集部
リハビリテーションの内容について教えてください。
磯見先生
当院では姿勢や歩き方をチェックし、関節や筋肉の正しい使い方を伝えています。筋力強化だけでなく、日常生活での体の動かし方を見直しながら、時間をかけて全身のバランスを整えていくことを重視しています。また、必要に応じて足底板(靴の中敷き)などの作製も行っています。
編集部
足底板には、どのような効果がありますか?
磯見先生
足底板を用いて足の接地を整えると、足本来の機能を引き出せて歩行の安定性が高まります。靴が足に合っていない方や歩き方に問題がある場合、足底の一部分、膝関節の片側だけなど、特定の箇所に負担がかかってしまっていることが多いのです。また、足底板があることによって、膝への負担の軽減や姿勢の改善も期待できます。
編集部
先ほど体重増加が話題に上がりましたが、体重管理も重要なのでしょうか?
磯見先生
過体重の人の場合、減量が有効なケースがあります。膝は体重の影響を強く受ける関節のため、体重が減ることで膝への負荷が軽減され、痛みの緩和や進行抑制につながります。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
磯見先生
中高年になって膝の不調を感じた場合は、放置せずに整形外科の受診をおすすめします。現在はレントゲン検査のみならず、エコーやMRIなどによってより早期から変化を捉えることも可能になってきています。将来、人工関節になる事態を回避するためには早く自身の変化に気付き、現状できる策を講じることが重要です。近年は、多血小板血漿(たけっしょうばんけっしょう/PRP)を用いた再生医療的なアプローチ、集束型体外衝撃波(患部に集中的に圧力波を当てて痛みを和らげる治療)、条件が合えば軟骨移植などの治療法も選択肢として広がっています。いずれも早期の介入により、症状の緩和や進行の抑制が期待できますので、膝の痛みに悩まされている人は、我慢せず早めに近くの医療機関で相談してください。
編集部まとめ
変形性膝関節症は、誰にでも発症するリスクがあり、進行すると手術が必要になることもあります。ただし、早期であればリハビリテーションや足底板の作製、生活習慣の見直しなどによって進行を抑えたり、遅らせたりすることができます。膝の痛みや違和感を覚えたら、早めに変形性膝関節症を専門とする医師へ相談しましょう。
医院情報

| 所在地 | 神奈川県逗子市久木8-20-17 |
| 診療科目 | リハビリテーション科、整形外科 |
| 診療時間 | 午前: 月火木金土 9:00~11:30 午後: 月火木金 15:00~18:00 |
| 休診日 | 水・日・祝 |




