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「オスグッド病」の症状・原因はご存知ですか?医師が監修!

 更新日:2023/02/28
「オスグッド病」の症状・原因はご存知ですか?医師が監修!

オスグッド病は成長期の子どもが発症する病気です。脛骨粗面部に過剰な負荷がかかることによって、骨の突出や痛みといった症状が現れます。

初期症状が成長痛に勘違いされやすく、放置してしまう方も多いです。しかし、早期に治療を行うことが病気の早期回復につながります。

本記事ではオスグッド病の症状をはじめ、治療方法・放置した際に生じるリスクなどをくわしく紹介します。

オスグッド病の疑いがある方は、病気に関する正しい知識を身につけましょう。本記事を参考にして、適切な方法で病気と向き合ってみてください。

郷 正憲

監修医師
郷 正憲(徳島赤十字病院)

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徳島赤十字病院勤務。著書は「看護師と研修医のための全身管理の本」。日本麻酔科学会専門医、日本救急医学会ICLSコースディレクター、JB-POT。

オスグッド病の原因と症状

膝の痛みを訴える男の子

オスグッド病はどのような病気でしょうか?

オスグッド病は、正式には「オスグッド・シュラッター病」といいます。発症すると、膝の下にある脛骨粗面部の骨が隆起し、痛みが生じることが特徴です。
10〜15歳の成長期の子どもが発症しやすい病気になります。特に、サッカーなどのスポーツを行っている子どもが発症しやすいです。成長期に起こる脚の痛みであることから、成長痛と間違われることもあります。

発症する原因を教えてください。

発症の原因は、成長期に骨が急激に成長することにあります。脚が屈伸運動をする際には、太ももにある大腿四頭筋という筋肉が働きます。骨が成長しても、この大腿四頭筋などの周辺組織の成長は追いついていません。
そのため、運動を行うと大腿四頭筋の力が加わる脛骨粗面には、通常よりも大きな負荷がかかります。その負荷によって脛骨粗面部に炎症や部分的乖離が生じ、病気が発症するのです。このことから、跳躍や走るなど、脚に負担のかかるスポーツをしている子どもが発症しやすくなります。

大人が発症することもあるのでしょうか?

オスグッド病は成長期特有の病気です。そのため、大人になってから発症することはありません。基本的には成長期が終わると治癒します。

どのような症状が見られますか?

特徴的な症状は、脛骨粗面部の骨の突出です。発症すると徐々に隆起してきます。その部分が腫れを起こしたり、熱をもったりすることもあるでしょう。安静時には痛みませんが、脚に負担のかかる運動をした際に強い痛みを感じます。一度痛みが生じるとなかなか引かず、長時間安静にすることが必要です。
さらに、発病中に運動を繰り返し行うと、病気が悪化することにもつながります。そのため、スポーツ活動に多大な影響を及ぼす病気です。

初期症状を教えてください。

発症初期の段階では、脛骨粗面部の骨の隆起は確認できません。運動によって負担がかかっている部分に炎症が起きるのが始まりです。運動時に軽く痛みが生じるようになります。
それを放置して運動を続けると病状が悪化し、炎症の部分が乖離へと進行するでしょう。それによって痛みが強くなったり、骨が突出してきたりします。初期症状では外見上の変化が起こらないため、成長痛と勘違いする人も多いです。

オスグッド病の治療と手術

オスグッド病 サポーター

治療方法を教えてください。

主な治療方法は、安静にすることです。発病したらスポーツを休止し、運動は控えるようにしましょう。痛みが続く間は休むようにしてください。動いても痛むことがなくなれば、スポーツに復帰しても構いません。
ただし、3〜6ヵ月程度は運動によって病気が悪化する可能性があるため、対策をしたうえで行うようにします。オスグッド病用のベルトやサポーターがあるので、それを装着して運動をしましょう。また、痛みが生じている部分にはアイスマッサージを行うことが有効です。
加えて、痛みがあると大腿四頭筋が緊張して柔軟性が失われてしまいます。この柔軟性の低下も、痛みの要因になるでしょう。それを防ぐために、大腿四頭筋を伸ばすストレッチを定期的に行うようにします。アイスマッサージやストレッチは、悪化を防ぐことにも有効です。スポーツに復帰しても、運動の前後に行うようにすると良いでしょう。

手術について教えてください。

治療方法について、基本的には上記で紹介した治療法を行えば問題ありません。しかし、病気が進行し症状が酷くなると手術を行わなければならなくなります。手術が行われるのは、乖離した部分に骨片が残っている場合です。
これは病気がかなり進行した状態になります。手術をすれば治りますが、ここまで進行する前に適切な治療を行っておけば、手術の必要なく治癒することが可能です。

自然治癒することもあるのでしょうか?

オスグッド病は、運動をして患部に負荷がかかるほど悪化する病気です。痛みがあるにもかかわらずスポーツを続けていると、自然治癒どころかさらに病気は進行してしまいます。
病気が発症したら、患部に負担をかけないようにすることが大切です。しばらく安静にしていれば、投薬の必要もなく治癒するでしょう。

痛みを抑える方法はありますか?

基本的には、運動をしなければ痛みが生じることはありません。患部にはアイスマッサージを行うことで、症状の軽減が期待できるでしょう。
しかし、病状が悪化すると痛みが強くなったり、歩行などの軽い動作でも痛みが生じるようになったりします。その場合は、痛み止めを服用したり、湿布を貼ったりすることが有効です。

オスグッド病のリハビリ

整形外科・リハビリにきたアジア人女性

オスグッド病は治りますか?

オスグッド病は治る病気です。早期に治療を行えば症状は軽く済み、予後も良好な傾向にあります。しかし、完治していないのにスポーツを行ったり痛みがあるのに運動をしたりすると、病気の再発・悪化のリスクがあります。発症したら完治するまで治療を続けることが重要です。

リハビリは必要でしょうか?

痛みが生じると大腿四頭筋が緊張し、柔軟性が低くなります。柔軟性の低さはオスグッド病再発の要因となるため、大腿四頭筋をほぐすストレッチやリハビリが必要です。
また、大腿四頭筋やハムストリングスの筋力の低下も再発につながります。つまり、筋力の強化が再発の防止に有効です。そのため、過剰な負荷がかからない程度の軽い運動をリハビリとして実施することをおすすめします。

放置するリスクを教えてください。

オスグッド病は比較的予後が良好なことから、放置されやすい病気です。しかし、治療を行わずに放置していると、症状が悪化する可能性があります。痛みが強くなり、運動が行えなくなるでしょう。スポーツ選手の場合、痛みが続いて練習に参加できず、スポーツをやめなければならなくなったり競技の変更が必要になったりするリスクがあります。
また、早期に治療を行うことで、早期回復が見込めるでしょう。初期症状の治療は比較的簡単に行えますが、進行すると手術が必要になる場合もあります。脚に痛みが生じたら放置せず、医療機関を受診するようにしてください。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

オスグッド病は適切な治療を行えば完治する病気です。しかし、初期の症状が成長痛のものと似ていることから、放置してしまうケースが多々あります。放置すると病気が悪化するリスクがあり、生活に様々な支障が生じるでしょう。
 成長期の子どもで、特にスポーツを行っている場合は、脚に痛みが生じたらオスグッド病を疑ってみてください。病気の早期発見が、早期回復につながります。早めに医療機関を受診して、痛みの原因を診断してもらいましょう。

編集部まとめ

膝 病気イメージ(カラー)
オスグッド病は、スポーツを行っている成長期の子どもが発症する病気です。脛骨粗面部の骨の隆起や、運動時の痛みなどの症状が現れます。

基本的には安静にすることで病気の完治が見込めます。スポーツを行っている方は休止し、患部を休めるようにしましょう。

ストレッチも治療に効果的です。スポーツに復帰した後も、運動の前後にはストレッチを欠かさずに行いましょう。

オスグッド病は予後が良好であることと、症状が成長痛に似ていることから放置されやすい病気です。しかし、放置をすると症状悪化のリスクがあります。

オスグッド病の疑いがあれば無理をせず、運動は控えるようにしてください。治療を行えば完治しますので、焦らずじっくりと治療に取り組みましょう。

この記事の監修医師