「背中がピリピリする」原因・何科を受診するべきかご存知ですか?医師が徹底解説!
背中がピリピリするとき、身体はどんなサインを発している?Medical DOC監修医が主な原因や考えられる病気・何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。
監修医師:
甲斐沼 孟(上場企業産業医)
「背中がピリピリする」症状で考えられる病気と対処法
日常生活で、背中がピリピリする経験はありませんか。一時的に背中がピリピリする場合は、ゆっくりと安静を保ち、休養をとることで症状が改善されることがあります。しかし、背部に強い痛みや息切れ、呼吸困難、動悸などの症状が合併している場合は、何らかの病気が隠れている可能性があります。
この記事では、背中がピリピリする症状が現れた場合に考えられる疾患や原因について解説し、考えられる病気の症状や対策方法などを紹介していきます。
背中の皮膚がピリピリする症状で考えられる原因と対処法
背中の皮膚がピリピリする症状で最も考えられる原因の一つとして、「帯状疱疹」が挙げられます。帯状疱疹は、免疫力が低下した状態で水ぼうそうを引き起こすウイルスが再活性化し、症状を引き起こすことが知られています。この病気では、体の片側に帯状に痛みがあったりボツボツが集まって皮疹が現れる特徴があります。
帯状疱疹に罹患した場合、アシクロビルやバラシクロビルなど、水痘帯状疱疹ウイルスに特化した抗ウイルス薬の投与が治療方法の一つです。また、帯状疱疹はしばしば強い痛みを伴うため、一般的な鎮痛剤では対処できない場合もあります。そのような場合には、麻薬や脊髄神経ブロックなどを組み合わせる治療を要することもあります。症状が悪化すると入院治療が必要な場合もありますので、心配ならば皮膚科などの専門医療機関を受診しましょう。
背中の神経がピリピリする症状で考えられる原因と対処法
背中の神経がピリピリする症状で最も考えられる原因の一つとして、「椎間板ヘルニア」が挙げられます。椎間板は加齢や外傷、物理的なストレス、喫煙歴、遺伝的要素などの要因によって変性することが知られています。椎間板ヘルニアは、発症場所によって頚椎、胸椎、腰椎の椎間板ヘルニアに分類されます。たとえば、頚椎椎間板ヘルニアは頚椎の動きが多い第3頚椎と第4頚椎の間などに発症することが一般的です。
胸椎椎間板ヘルニアは胸椎に生じ、腰椎椎間板ヘルニアは腰椎の第4腰椎と第5腰椎、またはそれ以下の仙骨領域によく見られます。椎間板ヘルニアは、椎間板に物理的な外力が加わることや加齢などが原因とされています。例えば、スポーツや激しい運動、急に重い荷物を持ったりすることで椎間板に強い圧力がかかり、中央部にあるゼリー状の髄核が突出し椎間板ヘルニアが発症しやすくなります。また、授乳の時の前屈姿勢や中腰などの体勢も原因となり、若い人でも発症する可能性があります。年齢を重ねると、水分の減少や椎間板の変性により椎間板ヘルニアが起こることもあります。
椎間板ヘルニアを予防するためには、日常的にストレッチや運動を行い、体の柔軟性を保ちながら体幹の筋肉を強化することが重要です。心配な場合は、整形外科などの専門医療機関を受診し、相談してください。
背中がかゆくピリピリする症状で考えられる原因と対処法
背中がかゆくてピリピリする症状で最も考えられる原因の一つとして、「胃潰瘍」が挙げられます。
胃潰瘍によって腰痛が引き起こされることがあります。炎症が膵臓などの後腹膜臓器にも広がると、背中がピリピリと痛むことがあります。
胃潰瘍は、ピロリ菌感染や非ステロイド系抗炎症薬の長期服用などによって胃の粘膜が損傷する状態を指します。他にも、喫煙や飲酒、過剰なストレス、刺激物の摂取などによって引き起こされることもあります。胃潰瘍は現代社会で一般的な疾患であり、胃液中の胃酸やペプシンといった成分が胃の保護を担っている粘膜を消化してしまうことで発生します。
胃潰瘍の治療には、規則的な生活を送ることや胃粘膜保護薬の服用が効果的です。これにより症状の改善が期待できます。心配な場合は、消化器内科などの専門医療機関を受診しましょう。
背中がピリピリしてしびれる症状で考えられる原因と対処法
背中がピリピリしてしびれる症状で最も考えられる原因の一つとして、「肋間神経痛」が挙げられます。肋間神経痛は日常的な規則正しい生活や適度な運動が行われている場合には発症しにくいとされています。特に免疫力の低下している人は、帯状疱疹にかかりやすく、それが結果的に肋間神経痛につながる可能性があります。また、脊椎を支える筋肉や靭帯の老化も肋間神経痛の原因となるため、年配の人に比較的多く見られます。
肋間神経痛はさまざまな要因によって引き起こされる症状であり、治療方法も異なるため、まずは原因を正確に特定することが重要です。軽度の肋間神経痛では内服薬によって症状が改善することがありますが、症状が重度な場合には外科的手術が必要となる場合もあります。早期の発見が重要ですので、少しでも痛みや違和感を感じた場合は内科などの医療機関を受診しましょう。
背中がピリピリ・チクチクする症状で考えられる原因と対処法
背中がピリピリ・チクチクする症状で最も考えられる原因の一つとして、「胸膜炎」が挙げられます。胸膜炎は、肺の表面または胸壁を覆っている胸膜に炎症が生じる状態を指します。胸膜炎の原因はさまざまであり、感染症やがん、膠原病などが主な要因となります。感染症では、細菌性肺炎から胸膜炎が発症することがありますし、インフルエンザや結核も原因となることがあります。また、肺がんが関連する胸膜炎や、関節リウマチや全身性エリテマトーデスなどの膠原病、特定の薬剤、骨折、アスベストなども胸膜炎を引き起こす原因となります。
胸膜炎の症状としては、胸の痛みや息苦しさなどが現れるだけでなく、背中の痛みや咳、発熱などもみられることがあります。また、胸膜炎では胸腔に胸水と呼ばれる液体が溜まり、呼吸困難が増強することもあります。
胸膜炎の治療には、症状を緩和する対症療法と、胸膜炎の原因に対する治療があります。対症療法では、痛みを軽減するために鎮痛剤の使用が検討されるほか、胸水を排出するために胸部に針を刺して液体を抜く処置が行われる場合もあります。心配な場合は、呼吸器内科などの専門医療機関を受診することをおすすめします。
入浴時に背中がピリピリする症状で考えられる原因と対処法
入浴時に背中がピリピリする症状で最も考えられる原因として、「帯状疱疹」や「アトピー性皮膚炎」が挙げられます。入浴すると温水が背中に触れて、それが刺激となって症状が悪化します。
帯状疱疹は前述の通り、免疫力が低下した状態で水ぼうそうウイルスが再活性化し、片側に疼痛や集簇する(ボツボツが集まっている)皮疹が現れる病気です。帯状疱疹に罹患した場合は、水痘ー帯状疱疹ウイルスに特化した抗ウイルス薬の投与が根本治療になります。痛みが強い場合は内服薬の他、脊髄神経ブロックなどを組み合わせることがあります。
アトピー性皮膚炎は、皮膚のバリア機能の障害や免疫系の異常により、慢性的な炎症が皮膚に起こります。主な症状は皮膚の乾燥、かゆみ、発赤、湿疹です。治療としては保湿療法、ステロイド薬や免疫抑制剤の外用があります。
どちらの病気も皮膚科領域の病気であるため、入浴時の皮膚症状がある場合は皮膚科を受診するようにしましょう。
すぐに病院へ行くべき「背中がピリピリする」に関する症状
ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。
強い背部痛や冷や汗症状の場合は、救急外来へ
背中がピリピリする症状以外にも、強い背部痛や冷や汗を認める際には、急性大動脈解離を疑います。
急性大動脈解離は、大動脈の内膜に亀裂が入り、裂けた部分に血液が入り大動脈に平行して血管が剥がれて二層構造になってしまう緊急性の高い疾患です。
この多くは高血圧によって大動脈の壁が劣化することで発生します。
緊急的に降圧薬の投与と、場合によっては外科手術を行って裂け目を覆う治療を実施します。
心配であれば、すぐに救急外来を受診しましょう。
受診・予防の目安となる「背中がピリピリする」ときのセルフチェック法
- 背中がピリピリする以外に背部の強い痛み症状がある場合
- 背中がピリピリする以外に呼吸が苦しい症状がある場合
- 背中がピリピリする以外に動悸症状がある場合
「背中がピリピリする」症状が特徴的な病気・疾患
ここではMedical DOC監修医が、「背中がピリピリする」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
帯状疱疹
帯状疱疹という病気は、水痘(水ぼうそう)帯状疱疹ウイルスを原因として発症する病気のことを意味します。
水ぼうそうと同じウイルスが原因で引き起こされて、体内に潜伏していたウイルスが再活性化することで発症するとされています。
帯状疱疹になると、発症の初めの段階では皮膚が痛痒い、あるいは電気が走ったようにぴりぴりするような痛みを自覚して、時間が経つと帯状に赤みや水疱形成などの典型的な皮膚症状が出現します。
帯状疱疹は水痘-帯状疱疹ウイルスの再活性化によって生じて、帯状疱疹にともなう神経合併症としては帯状疱疹後神経痛が多いと指摘されています。
規則正しい生活を送ること、抗ウイルス薬を投与することで症状改善が期待できます。
心配であれば、皮膚科など専門医療機関を受診しましょう。
椎間板ヘルニア
加齢とともに私たちの体は劣化し、その一例として「椎間板」も劣化していきます。椎間板ヘルニアとは、背骨を構成する骨の間にある椎間板が何らかの要因で変性し、近くの脊髄神経に触れたり炎症を起こしたりすることで発症する病気です。
椎間板ヘルニアは、体重による負荷や生活習慣などの環境的要因によって引き起こされることが多いです。また、骨粗鬆症などの骨の劣化も発症の背景と関連していると考えられています。
適正な体重を維持することは重要であり、体重が重すぎると背骨に負担がかかります。日常生活では、姿勢を変えることや重い荷物を持つ際に腰部への負荷を軽減する工夫が効果的です。整形外科などの専門医療機関を受診し、相談することをおすすめします。
肋間神経痛
肋間神経痛は、肋骨に沿った神経がズキズキと痛む症状を引き起こす疾患です。痛む場所や範囲が明確であり、左右両側での発症は比較的稀とされています。
肋間神経痛の治療方法は原因によって異なります。軽度の場合は消炎鎮痛薬の内服による治療が行われます。しかし、症状が重度である場合には外科的手術が必要なこともあります。そのため、症状が軽度のうちに早めに受診することが重要です。一般的な目安として、胸の痛みが2〜3日以上続く場合は内科などの医療機関を受診することをおすすめします。
「背中がピリピリする」ときの正しい対処法は?
背中がピリピリする症状が軽度である場合は、深呼吸を繰り返したり体を冷やさないように注意したりすることをお勧めします。皮膚が乾燥している場合は保湿剤を使用することも有効です。体が冷えると血行不良が起こり、筋肉の緊張や肋間神経痛の誘発につながることがあります。
生活習慣を整え、自己ケアを実施しても症状が改善しない場合は、市販の鎮痛薬(アセトアミノフェン錠など)を一時的に使用し、経過を見ても良いでしょう。ただし、長期間服用しても症状が改善しない場合は、重篤な疾患が存在する可能性があるため、専門医療機関を早めに受診しましょう。
「背中がピリピリする」症状についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「背中がピリピリする」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
背中がピリピリするときは何科に行けばいいですか?
甲斐沼 孟(医師)
背中がピリピリする症状を認める際には、肋間神経痛などを疑いますので、まずは内科などを受診して鑑別診断してもらいましょう。
風邪を引いたときに背中がピリピリするのは問題ないですか?
甲斐沼 孟(医師)
風邪をひいたときに背中がピリピリする症状を認める際には、帯状疱疹を合併している可能性があります。早めに皮膚科を受診して、適切な治療を実施してもらいましょう。
ストレスが原因で背中がピリピリすることはありますか?
甲斐沼 孟(医師)
ストレスが原因で免疫力が低下して、胸膜炎などを発症して背中がピリピリする症状が出現する可能性もあります。心配であれば、最寄りのクリニックなどに受診して相談しましょう。
まとめ 背中がピリピリするときは帯状疱疹の可能性あり
背中がピリピリする症状は、心臓や呼吸器、肋骨周辺部、皮膚など様々な身体の部位に関わってくる場合があるので、症状の度合いによっては致命的な病気が潜んでいる可能性が考えられます。
背中がピリピリする症状が改善しない際には、さまざまな病気を鑑別として挙げる必要があり、症状の悪化がないかどうかを含めてより一層気を配る必要があります。
症状がひどい際には、迷わずに早急に専門医療機関を受診して身体の健康に注意するように心がけましょう。
今回の情報が参考になれば幸いです。
「背中がピリピリする」症状で考えられる病気
「背中がピリピリする」から医師が考えられる病気は7個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
消化器系の病気
循環器系の病気
整形外科の病気
内科の病気
皮膚科の病気
背中がピリピリする症状が日常生活に支障をきたしている場合や、何らかの他の症状も伴っている場合には、病気が隠れている可能性があります。
「背中がピリピリする」に似ている症状・関連する症状
「背中がピリピリする」と関連している、似ている症状は4個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
「背中がピリピリする」症状の他にこれらの症状がある場合でも、「胃潰瘍」「椎間板ヘルニア」「肋間神経痛」「帯状疱疹」「急性大動脈解離」「胸膜炎」「気胸」などの疾患の可能性が考えられます。背部の強い痛み、息切れや呼吸の苦しさ、動悸などの症状を伴う場合には、早めに医療機関を受診しましょう。