「中指の付け根を押すと痛い」原因はご存知ですか?医師が徹底解説!
中指の付け根を押すと痛いとき、身体はどんなサインを発している?Medical DOC監修医が主な原因や考えられる病気・何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。
監修医師:
武田 美貴(医師)
「中指の付け根を押すと痛い」症状で考えられる病気と対処法
手は、毎日の炊事や作業、パソコンやスマホの操作でよく使われる関節です。特に中指は無意識に使っていることが多く、痛みを感じたとき原因が思い当たらないことも、よくあります。どんな場合に、病院を受診する必要があるのか解説していきます。
中指の付け根を押すと痛い症状で考えられる原因と治し方
中指の付け根を押すと痛いとき、よくある原因の一つに腱鞘炎があります。腱鞘とは、指の骨をつないでいる腱が通る筒のような構造です。指を使いすぎると、この腱鞘に炎症が起こって、中を通る腱の動きが、スムーズではなくなり、ひどくなると痛みを伴うことがあります。
指をよく使った後に起こる痛みであれば、指を使う動作を少し休むことにより、腱鞘に起こっている炎症がおさまり、痛みがよくなることがあります。中指の付け根に痛みを感じたときは、まず手を使う動作をお休みしてみましょう。2、3日安静にしても痛みがよくならない場合は、腱鞘炎以外の原因も考えられるので、病院を受診してください。この手の腱鞘炎がひどくなると、指が手のひら側に曲がったまま、ばねのようになって開かなくなる「ばね指」という状態になります。安静にしても症状がよくならないときは、整形外科を受診しましょう。
また、手のひらにはたくさんのツボがあります。ツボを押すと痛みを感じることもありますので、中指の付け根を押すと痛いが、手を動かしても痛みを感じない場合、ツボを押している可能性もあります。手のツボは、痛気持ち良い程度に押すようにしましょう。
中指の付け根を押すと痛くてしこりがある症状で考えられる原因と治し方
中指の付け根を押すと痛くてしこりがある場合、変形性指関節症の可能性があります。家事作業や裁縫などで指関節を動かしすぎると、手の中指の関節軟骨がすり減って、骨同士がこすれあってしまうことで、炎症が起こります。この炎症により痛みが出ますが、ひどくなると骨が壊れて関節が変形してしまい、しこりのようにふくれることがあります。指を使う動作をお休みしても痛みがよくならない場合は、変形性指関節症であることもあるので、整形外科を受診しましょう。
またこのような症状が左右両方にある場合は、関節リウマチが疑われます。女性に多い病気で、関節の痛みのほかに手が朝にこわばることが特徴です。治療をしないと、指の関節が変形したり、膝などほかの関節にも同じような症状が出たりすることもあります。肺や血管などにも異常を認めることがあるので、早めに整形外科やリウマチ科の受診が必要です。
足の中指の付け根を押すと痛い症状で考えられる原因と対処法
足の指の付け根に痛みがある場合、モートン病が疑われます。中腰での長時間の作業やハイヒールなどを長時間履くことにより、足の付け根の関節にあるじん帯と足の底の間で、神経が圧迫され痛みが出ます。痛みを感じる部分に小さなしこりを触れることもあります。この場合も、まず中腰の作業を休む、またはハイヒールを履くのを避けるなど、足関節の安静が必要です。それでも痛みがよくならない場合は、整形外科を受診してください。
また足の骨の骨折であることもあります。激しい運動をしていなくても、疲労骨折のように徐々に骨折していくこともありますので、安静にしていても痛みがよくならないときは、日中に整形外科を受診しましょう。
すぐに病院へ行くべき「中指の付け根を押すと痛い」に関する症状
ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。
中指の付け根が赤く熱い場合は、整形外科へ
中指の付け根が痛いとき、痛い部分の皮膚が赤くなったり、熱くなっていたりすることがあります。このような症状があるときは、化膿性関節炎が疑われます。細菌が関節に入りこんで炎症を起こしている状態で、抗菌薬による治療が必要です。放置しておくと、指の関節が破壊されたり、感染が全身に及んで、敗血症という状態になったります。このような症状がある場合、なるべく早く整形外科を受診してください。
受診・予防の目安となる「中指の付け根を押すと痛い」ときのセルフチェック法
- 中指の付け根を押すと痛い以外に朝に手がこわばる場合
- 中指の付け根を押すと痛い以外にしこりを触れる場合
- 中指の付け根を押すと痛い以外に熱をもっている場合
「中指の付け根を押すと痛い」症状が特徴的な病気・疾患
ここではMedical DOC監修医が、「中指の付け根を押すと痛い」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
ばね指
腱鞘炎が悪化した状態で、屈筋腱(指を手のひら側に曲げる腱)の炎症により指の腱が通る筒(腱鞘)に腱がひっかかり、ばねのように指が開らきにくくなる状態になります。このように指が開かなくなったら、すぐに整形外科を受診しましょう。
腱鞘炎
指を使いすぎたとき、指の腱が通る筒に炎症が起こることがあり、痛みの原因になります。まず、指を使う作業をお休みして、安静にします。2、3日安静にしたり、湿布などを使っても痛みがよくならない場合は、整形外科を受診します。
リウマチ
女性に多く、手の関節が痛くなる、朝に手がこわばる、という症状が出ます。左右両方の手関節に症状が出るのも特徴です。治療しなければ悪化し、関節が変形してしまうこともあります。また関節リウマチは、手以外の他の場所、例えば肺や血管にも異常が出ている場合があるので、早めに整形外科やリウマチ科を受診しましょう。
「中指の付け根を押すと痛い」ときの正しい対処法は?
まず指を使う作業をできるだけお休みして、関節の安静を保ちます。安静とともに湿布など痛みを抑える薬も有効です。関節の使いすぎが原因であることが多いので、マッサージやストレッチのし過ぎには注意です。安静にしていても症状がよくならないときは、2,3日を目安に、整形外科を受診してください。
「中指の付け根を押すと痛い」症状についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「中指の付け根を押すと痛い」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
中指の付け根を押すと痛いときは何科の病院を受診すべきですか?
武田 美貴(医師)
整形外科を受診します。ただし、手のひらのツボを押しているだけのこともあるので、押したときは痛いけれど、指を動かしても痛くない場合は、様子を見ていてもよいでしょう。
手の中指の付け根を押すと痛いのですが、ばね指なのでしょうか?
武田 美貴(医師)
ばね指のほかに、軽い腱鞘炎や関節リウマチである可能性もあります。ばね指は、手のひら側に曲げた指が開きにくくなる状態ですが、ゆっくりであれば開くことができます。指を安静にしていて、開きにくい状態が改善するようであれば、ばね指、または軽い腱鞘炎の可能性が考えられますが、指が開きにくい状態が長く続く場合は、整形外科を受診してください。
中指の付け根を押すと痛いのは放置しても問題ないですか?
武田 美貴(医師)
ほとんどの場合は問題ありません。ただし痛い部分に熱感や強い痛みがある場合は、早急に整形外科を受診してください。また手のひらのツボを押している場合もあるので、動かしてもあまり中指の関節に痛みを感じない場合は、様子をみていてもよいと思います。
中指の付け根を押すと痛いのはパソコンの使いすぎが原因ですか?
武田 美貴(医師)
パソコンの使い過ぎも、中指の付け根の痛みの原因になることがあります。少しパソコンをお休みして、痛みがよくなるか観察してみてください。同じような症状は、スマホの使いすぎでも起きることがあるので、注意してください。また、最近はマウスでもトラックボール式のマウスを使っていると、従来型のマウスよりも中指の動きが多くなることもあります。そのような場合、違った形のマウスに交換するのもよいでしょう。
まとめ 中指の付け根を押すと痛いときは腱鞘炎の可能性あり
中指の付け根の痛みの原因は、腱鞘炎であることが多いですが、関節リウマチなど全身の病気である可能性も考えられます。痛みがあるときは無理せず、まず中指の安静を保ってください。それでも痛みがよくならないときは、整形外科を受診して相談してください。
「中指の付け根を押すと痛い」症状で考えられる病気
「中指の付け根を押すと痛い」から医師が考えられる病気は9個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
自己免疫系の病気
感染症の病気
- 化膿性関節炎
その他の病気
- 疲労骨折
- 神経線維腫
手の痛みは狭い範囲の症状であっても生活の質を下げてしまいます。また、単なる手の使いすぎだけでなく、全身疾患の症状の一部である可能性もあります。
「中指の付け根を押すと痛い」に似ている症状・関連する症状
「中指の付け根を押すと痛い」と関連している、似ている症状は7個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
「中指の付け根を押すと痛い」症状の他にこれらの症状がある場合でも「腱鞘炎」「ばね指」「変形性指関節症」「モートン病」「手根管症候群」「関節リウマチ」「化膿性関節炎」「疲労骨折」などの疾患の可能性が考えられます。朝に手がこわばる場合やしこりや熱感を伴っている場合には、早めの医療機関への受診を検討しましょう。