「手のひらを押すと痛い」原因とは？膨らみを押すと痛い場合も医師が解説！

手のひらを押すと痛いとき、身体はどんなサインを発している？Medical DOC監修医が主な原因や考えられる病気・何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

監修医師：
柏木 悠吾 医師

手のひらを押すと痛い」症状で考えられる病気と対処法

手のひらを押した時に痛みを感じた経験はありませんか。怪我などわかりやすいきっかけがない場合には心配になりますよね。実はこの症状の原因にはさまざま考えられます。どのような場合に病院受診をする必要があるのか解説していきます。

手のひらを押すと痛い症状で考えられる原因と対処法

手のひらや足、肘や膝などを押すと痛む症状がある場合、関節リウマチを疑います。関節リウマチは、関節内に存在する滑膜が異常増殖することで関節内に炎症を起こします。それにより、関節が破壊され全身症状を合併することもあります。
すぐにできる処置はありません。適切な休養と栄養が症状進行防止に重要であることがわかっています。
主な診療科は、整形外科もしくは膠原病内科です。緊急性はありませんので、日中の受診をしましょう。

手のひらの真ん中を押すと痛い症状で考えられる原因と対処法

手のひらの真ん中を押すとビリビリと痛む症状がある場合、手根管症候群を疑います。手根管症候群は、手根管というトンネルで正中神経が圧迫されることで起こります。示指、中指のしびれや痛みが主な症状になります。
すぐにできる処置は、手を振ったり、指を曲げ伸ばしすることです。または、安静にし、消炎鎮痛剤を使用することが主な治療です。難治性の場合は、手術を行うこともあります。
主な診療科は整形外科です。緊急性はないので、日中の受診を行いましょう。

手のひらにしこりがあり押すと痛い症状で考えられる原因と対処法

手のひらにあるしこりやできものを押すと痛む症状がある場合、ガングリオンを疑います。ガングリオンはなかにゼリー状の物質が詰まった腫瘤です。神経の側にできると神経を圧迫して、しびれや痛みを起こします。
ガングリオンは、腫瘤のみで無症状なら放置して問題ありません。大きくなるもの、痛みが強いもの、神経が圧迫されているものは治療の必要があります。
主な診療科は整形外科です。緊急性はないので、日中の受診を行いましょう。

手のひらの親指の付け根の膨らみを押すと痛い症状で考えられる原因と対処法

手のひらの親指の付け根の膨らみを押すと痛む症状がある場合、母指CM関節症を疑います。母指CM関節症は、第一中手骨と大菱形骨の間の関節の軟骨が摩耗し変形する疾患です。
すぐにできる処置は、消炎鎮痛剤を貼ったり飲むことです。痛みが強く変形が高度の場合は手術が必要になることもあります。
主な診療科は整形外科です。緊急性はないので、日中に受診しましょう。

手のひらの薬指・小指の付け根を押すと痛い症状で考えられる原因と対処法

手のひらの薬指・小指の付け根を押すと痛い症状がある場合、Guyon管症候群を疑います。Guyon管症候群は尺骨神経がGuyon管というトンネルで圧迫されることで起こります。小指や薬指のしびれや痛みや骨間筋の萎縮などの症状を認めます。
すぐにできる処置は安静にすることです。軽快しない場合は手術が必要になることもあります。
主な診療科は整形外科です。緊急性はないので、日中に受診を行いましょう。

すぐに病院へ行くべき「手のひらを押すと痛い」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

けがを伴う手のひらを押すと痛い場合は、整形外科へ

けが（外傷）を伴う手のひらを押すと痛い症状がある場合、舟状骨骨折を疑います。舟状骨骨折は手根骨骨折では最も多く、若年者が手をついた際に受傷することが多いです。圧痛部位で特徴的なのは、解剖学的嗅ぎタバコ窩です。
手術治療が必要であることもあるので、手術が可能な総合病院の整形外科を受診しましょう。受傷したらなるべく腕を三角巾で吊り、冷却してください。

受診・予防の目安となる「手のひらを押すと痛い」ときのセルフチェック法

• ・手のひらを押すと痛い以外にしびれの症状がある場合
• ・手のひらを押すと痛い以外に腫脹がある場合
• ・手のひらを押すと痛い以外にしこりがある場合

「手のひらを押すと痛い」症状が特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「手のひらを押すと痛い」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

ドケルバン病

ドケルバン病は手首に生じる腱鞘炎のことです。短母指伸筋腱と長母指外転筋が通る第一コンパートメントに生じます。妊娠出産期の女性や更年期の女性に多く生じます。手をよく使う職業の人もなりやすいです。
対処法は局所の安静や投薬、注射です。改善しない場合は腱鞘切開術を行うこともあります。主な診療科は整形外科です。緊急性はないので、日中に受診しましょう。

ガングリオン

ガングリオンはなかにゼリー状の物質が詰まった腫瘤です。神経のそばにできると神経を圧迫して、しびれや痛みを起こします。
ガングリオンは、腫瘤のみで無症状なら放置して問題ありません。大きくなるもの、痛みが強いもの、神経が圧迫されているものは治療の必要があります。
注射で内容液を吸引したり、力を加えて潰す治療法もあります。再発するなら手術で摘出することもありますが、再発することも多いです。
主な診療科は整形外科です。緊急性はないので、日中の受診を行いましょう。

手根管症候群

手根管症候群は、手根管というトンネルで正中神経が圧迫されることで起こります。示指、中指のしびれや痛みが主な症状になります。
妊娠出産や更年期の女性に多いです。また、手をよく使う職業の人もなりやすいです。
すぐにできる処置は、手を振ったり、指を曲げ伸ばしすることです。または、安静にし、消炎鎮痛剤を使用することが主な治療です。難治性の場合は、手根管を開放する手術を行うこともあります。
主な診療科は整形外科です。緊急性はないので、日中の受診を行いましょう。

母指CM関節症

母指CM関節症は、第一中手骨と大菱形骨の間の関節の軟骨が摩耗し変形する疾患です。ものをつまむ時やビンの蓋を開けるときに痛みを自覚します。母指に力を必要とする動作で手首の母指の付け根付近に痛みが出ます。
すぐにできる処置は、消炎鎮痛剤を貼ったり、痛み止めを飲むことです。痛みが強く変形が高度の場合は手術が必要になることもあります。
主な診療科は整形外科です。緊急性はないので、日中に受診しましょう。

「手のひらを押すと痛い」の正しい対処法は？

手のひらを押した時に痛みが出現する場合には、まずは動作を止めたり、安静にしてみましょう。
夜間痛や示指・中指のしびれの場合は、手根管症候群が疑われますので、指の曲げ伸ばしをしてみてください。もし、この指の曲げ伸ばしマッサージで改善する場合は、手根管症候群かもしれませんので、頻繁にこの症状が起こる場合には、整形外科で相談するのが良いでしょう。
痛みを取るために、市販薬を内服することは可能ですが、眠くなる副作用がある薬もあるので薬局にいる薬剤師に聞くことをお勧めします。症状を緩和させる市販薬には、ロキソニンS、イブ、バファリンなどがあります。また、市販薬は胃を荒らすこともあります。もともと胃潰瘍の既往がある方や、嘔気がある方は飲むのを控えましょう。湿布や貼付薬も用いていただいても良いでしょう。
早く治したい場合や応急処置をしても症状が治らない場合は、整形外科の受診をお勧めいたします。

まとめ

「手のひらを押すと痛い」症状は誰しもが経験したことがあると思います。症状はさまざまですが、病院で早期に治療が必要な疾患もあります。お気軽に医療機関を受診してください。

「手のひらを押すと痛い」症状で考えられる病気

「手のひらを押すと痛い」から医師が考えられる病気は10個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

知らず知らずのうちに骨折や炎症が起こって、症状が出現していることもあります。

「手のひらを押すと痛い」に似ている症状・関連する症状

「手のひらを押すと痛い」と関連している、似ている症状は6個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

「手のひらを押すと痛い」症状の他にこれらの症状がある場合でも「手根管症候群」「へバーデン結節」「関節リウマチ」「母指CM関節症」「Guyon管症候群」「ガングリオン」「手根骨骨折」「閉塞性動脈硬化症」「バージャー病」などの疾患の可能性が考えられます。症状がなかなか改善しない場合は、早めに医療機関を受診しましょう。