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「ガングリオン」の症状・原因はご存知ですか?医師が監修!

公開日:2022/09/24  更新日:2022/09/21
「ガングリオン」の症状・原因はご存知ですか?医師が監修!

ある日突然手や足にコブのような膨らみができてしまったら、悪い病気の可能性を考えて不安になってしまいますよね。

腫瘤が手首などの常に見える場所にできてしまったなら尚更気になってしまいます。

手首などの関節周辺にできる良性の腫瘤にガングリオンがありますが、どんな症状なのか・痛みの有無・悪性の腫瘍と見分け方など意外と知らない方は多いです。

そんな疑問にお答えするために今回はガングリオンとは一体何なのか、症状及び治療法や医療機関を受診するタイミング・予防法などを解説します。

甲斐沼 孟

監修医師
甲斐沼 孟(国家公務員共済組合連合会大手前病院)

プロフィールをもっと見る
2007年大阪市立大学医学部医学科卒業、2009年大阪急性期総合医療センター外科後期臨床研修医、2010年大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、2012年国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、2013年大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、2014年国家公務員共済組合連合会大手前病院救急科医員、2021年国家公務員共済組合連合会大手前病院救急科医長。 著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など多数。 日本外科学会専門医 日本病院総合診療医学会認定医など。

ガングリオンとは?

ガングリオン

ガングリオンとはどんな病気か教えてください。

  • ガングリオンとは、主に手首周辺にできる良性の腫瘤(しゅりゅう)で、見た目はコブのように感じることが多いでしょう。
  • 大きさは米粒大〜ピンポン玉大くらいで、腫瘤の硬さは硬かったり柔らかかったりと腫瘤によってそれぞれです。
  • ガングリオンは主に関節の周辺や腱鞘のある場所に発症する腫瘤で、身体のあらゆる場所にできる可能性があります。
  • 最も発症しやすい場所が手首の甲側で、ガングリオン全体の7割程度が手首の甲側に集中して発症しています。
  • 手首の甲側以外にガングリオンが発生する場所は以下の通りです。
  • 親指の延長線上にある手首の掌側
  • 掌側の指の付け根(ばね指が生じる場所)
  • 脚のくるぶし
  • 脚の指
  • 膝の半月板
  • 脊椎の椎間板
  • めずらしい例になりますが骨や筋肉・神経に発症する事もあります。

何が原因で発症するのですか?

  • 関節を包む関節包という組織や腱鞘の一部から茎が伸び、その先に風船のような袋状のガングリオン袋が形成されます。
  • そのガングリオン袋の中に関節液や滑液が溜まり、ゼリー状に濃縮されることによりガングリオンが発症します。
  • ただし何故ガングリオンができるのか、発症のメカニズムはまだ解明されていません。
  • 手を使いすぎると腫瘤が大きくなることがありますが、手をよく使う人に多く発症するというわけではありません。
  • ガングリオンのほとんどが自然に発症するものですが、打撲や捻挫などの外傷が原因となるケースもごく稀にみられます。

ガングリオンにみられる症状を教えてください。

  • ガングリオンは良性の腫瘤で、無症状であることも珍しくありません。腫瘤ができた場所や大きさによっては神経を圧迫し、痺れや痛み・感覚の麻痺といった症状が出ることがあります。
  • 特に脚のくるぶしにガングリオンができた場合には、歩けないほどの強い痛みを感じるケースがあります。
  • また、関節付近に大きめのガングリオンができた場合に感じるのが、関節を動かしづらいといった症状です。
  • 痛みなどの症状が出てきて日常生活に支障をきたす場合は、ガングリオンを切除する治療が必要です。
  • 手首周辺に発症することが多いため、痛み等の症状が出ていなくても見た目が気になってしまうという人もいます。

女性が多く発症するようですが何故ですか?

  • 確かにガングリオンは20代~50代の比較的若い女性に多く発症しています。
  • しかし発症のメカニズムが解明されていないため、なぜ女性に多く発症するのかも分かっていません。
  • 手首部分にできることが多いという特徴を持つガングリオンですが、手をよく動かす人が発症する可能性が高いということもありません。

ガングリオンは放置しても大丈夫ですか?

  • ガングリオンは良性の腫瘤です。発症したガングリオンが無症状で日常生活に支障のない場合は、そのまま経過観察としても問題ありません。
  • しかし痺れや強い痛み・感覚の麻痺などの症状があり、日常生活を送ることに困難を感じる場合には治療が必要になります。また、発症した場所によっては見た目が気になるという人もいるかもしれません。
  • 見た目が気になって強いストレスを感じてしまうのであれば、痛みなどの症状が無くても治療することをおすすめします。

ガングリオンの悪性の見分け方は?

  • ガングリオンは良性の腫瘤で、悪性のものはありません。ただし発症したものがガングリオンではなく、他の悪性腫瘍であることも考えられます。
  • その場合は素人が見た目や症状で判断することは難しいため、医師の診断が必要になります。
  • ガングリオンを疑うようなコブ状のものができたら速やかに整形外科を受診してください。

ガングリオンの検査や治療方法とは?

聴診器とパソコン

ガングリオンを診断する際はどんな検査をしますか?

  • 腫瘤が目に見える程度に大きくなっているものである場合、問診と視診・触診で診断が可能です。
  • 診断が困難な場合は腫瘤に注射針を刺し、ゼリー状の内容物が確認されるとガングリオンの診断が下ります。
  • 目に見えないような小さな腫瘤や、注射針を刺すことができないような部位に腫瘤ができた場合には、MRIやエコーによる超音波検査を実施して診断します。
  • 画像による検査は、ガングリオン以外の病気と見分けるためにも非常に有用です。

治療方法を教えてください。

  • 治療方法には保存療法手術療法の2つのパターンがあります。
  • 保存療法とは、腫瘤に注射針を刺してゼリー状の内容物を吸い出す処置を行う方法です。
  • しかし一度で完全に内容物を吸い出すことができず、何回か治療を受ける必要のある場合があるので注意が必要です。
  • 保存療法で再発を繰り返す場合には、手術療法でガングリオンの塊を切除して摘出します。手術療法で治療を行う際には、再発を防止するためにガングリオン袋から伸びている茎も一緒に摘出する必要があります。

ガングリオンは治療で完治しますか?

  • ガングリオンは数回の保存療法を行うことで完治するケースもありますが、再発率が高い事が難点です。
  • 一方、手術療法でガングリオン袋と茎を切除した場合には、保存療法と比べると完治する可能性が高まります。
  • ただし摘出したガングリオンの周辺に今後ガングリオンになる可能性のある組織が残っていると再発してしまうこともあるので注意が必要です。
  • それらの組織も含めて全て取り除くことができれば、完治の可能性を更に高めることができます。

再発することはあるのですか?

  • ガングリオンは、保存療法・手術療法のどちらの治療を行っても再発する可能性があります。保存療法にて治療を行った場合、ガングリオン袋に再びゼリー状の内容物が溜まってきてしまうと再発します。
  • 手術療法は保存療法に比べれば再発の可能性は低くなりますが、それでも再発する可能性はゼロではありません。
  • 再発・治療を繰り返すことになるケースもあります。痛みなどがないのであれば、治療をせずに経過観察の処置を取る選択をしても良いでしょう。
  • 治療をするかしないかは、主治医としっかりと相談して決めてください。

ガングリオンの予防と受診の目安

問診する女性

ガングリオンを予防する方法を知りたいです。

  • ガングリオンの発症メカニズム自体がまだ解明されていないため、確実な予防方法は現在のところありません。
  • ただしガングリオンができた箇所の関節を使いすぎると腫瘤が大きくなることがあるため、患部を酷使しないように留意しましょう。

ガングリオンの受診の目安を教えてください。

  • 患部に痛みや痺れを伴う場合は、すぐに整形外科を受診することをおすすめします。
  • 痛みやしびれ等の症状がなくても、コブらしき腫瘤が身体にできているのを確認したらなるべく早めに整形外科を受診してください。
  • ガングリオンは良性の腫瘤ですが、他の悪性の病気を発症しているケースも考えられます。「これはきっとガングリオンだろう」と自己判断をするのは危険です。
  • しっかりと病院で診断してもらってください。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

  • ガングリオンは、関節包(関節を包む組織)や腱鞘(腱を包む組織)に何らかの組織変性が生じることによって、主に30歳代前後の女性の多くで手や指の関節部に腫瘤が形成される疾患です。
  • 腫瘤そのものは内容物の量によって大きくなったり小さくなったりすることがガングリオンの特徴のひとつですが、必ずしも手指関節部を日常的によく使用していると発症するわけではありません。
  • ガングリオンは、痛みなどの症状を伴わないことも多く見受けられ、発症に気付かないケースも比較的経験されますが、手首など神経近傍部に発生した巨大なガングリオンが神経圧迫を呈すると、患部の痛みやしびれ、感覚麻痺、筋力低下など様々な症状を引き起こすことが知られています。
  • ガングリオンらしきコブ状の腫瘤が見つかった場合は、速やかに整形外科を受診して医師の診断を仰いでください。

編集部まとめ

医療イメージ

ガングリオンは良性の腫瘤のため、命に危険を及ぼすものではありません。

しかし他の悪性の病気と見分けるためにも、手首や身体の関節周辺に気になるコブができたら早めに整形外科を受診してください。

また、ガングリオンを治療しても再発の可能性が残ります。

そのため、痛みなどの症状がない場合は治療しないということも選択肢のひとつです。医師と相談しながら、上手に付き合っていきましょう。