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「へバーデン結節」の初期症状・発症時にやってはいけないことはご存知ですか?

 更新日:2023/03/27
「へバーデン結節」の初期症状・発症時にやってはいけないことはご存知ですか?

へバーデン結節とは、人さし指から小指の第1関節が腫れたり変形したりしてしまう病気です。原因不明の病気であり、非常に恐ろしい病気といえます。

自分の手に症状が現れたときに慌てることがないよう、具体的な症状や治療方法について把握しておきたいと考えている方もいるのではないでしょうか。

そこで本記事では、へバーデン結節の症状を解説します。検査・治療方法・日常生活の注意点なども詳しく解説するので、参考にしてください。

郷 正憲

監修医師
郷 正憲(徳島赤十字病院)

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徳島赤十字病院勤務。著書は「看護師と研修医のための全身管理の本」。日本麻酔科学会専門医、日本救急医学会ICLSコースディレクター、JB-POT。

ヘバーデン結節の特徴

医師とX線写真10
 

ヘバーデン結節のどのような症状なのか教えてください。

この病気の主な症状としては、人さし指から小指にかけて、第1関節が赤く腫れたり曲がったりするといった状態が挙げられます。腫れている部分が痛むようなこともあります。
また、同様の症状が親指に発症するケースもあるのです。腫れや痛みがあるため、動きも悪くなり強く握ることが難しくなってしまいます。
また、第1関節の近くに水ぶくれの様なものができることがあります。これは、ミューカスシストと呼ばれる粘液嚢腫です。

発症が多くなる年齢は何歳くらいですか?

この病気の発症が多くなる年齢は40代以降です。女性に多く発生します。また、年齢だけでなく、手をよく使う方に発症しやすいという傾向もあります。
さらに、肥満の方に多くみられることも分かっているため、食生活が乱れている方も発症しやすいといわれている病気です。

初期症状はどのようなものですか?

初期症状は、第1関節の腫れ・皮膚の赤み・痛みです。腫れや変形は数年かけて進みます。そのため、初期症状はほんの少しの変形から始まることが多いです。
しかし、時間が経過すると横に曲がるような側方異変と呼ばれる変形や、屈曲した状態で関節が固まるなどの状態へと進みます。
そして、固まり切ってしまうと痛みがなくなる傾向があるのも特徴です。初期症状は、わずかな見た目の変形・腫れ・痛みですが、時間の経過で徐々に悪化していきます。

発症する原因を知りたいです。

この病気の明確な原因は判明していません。しかし、可能性の高い原因がいくつか考えられています。考えられる原因は、次の通りです。
    

  • 加齢
  • 頻繁に手を使用する
  • 主婦
  • 女性ホルモンとの関係
  • 遺伝的要素
  • その他
  •     

加齢は発症リスクの中でも、大きな要素として考えられています。実際に症状が発症した例を調べると、40代以降から多くなっていることが分かっています。
40代が20.7%・50代が28.6%・60代が35.3%・70代が50.5%ほどの方が発症しており、加齢は非常に大きな要素です。また、頻繁に手を使用する方もなりやすいと考えられています。仕事などで手指をよく使用する方は、手指に強く負担がかかっていることから、この病気を発症しやすいと考えられているのです。
主婦の方についても、同様の理由で発症リスクが高いといえます。家事などで細かい作業をする方は、手指を頻繁に使っているためです。女性ホルモンとの関係も考えられています。女性ホルモンが減少する更年期以降の女性は、発症のリスクが高いといわれています。
さらに遺伝的な要素も原因として考えられているのです。親や兄弟など、家族内でこの病気にかかったことがある方がいれば、遺伝が関与している

    可能性があります。
    明確な関連性は分かっていませんが、注意しておいた方が良いでしょう。その他、外傷性・甲状腺疾患・糖尿病などとの合併症も考えられている原因のひとつです。

ヘバーデン結節と間違いやすい病気はありますか?

医療機関で指導、教育、記録する医療従事者

ヘバーデン結節はどのような検査を行うのでしょう

検査は次のようなものを行います。
    

  • 視診
  • 画像検査
  •     

視診・触診では、指の第1関節の腫れ・変形具合・動きの悪さなどを診察します。痛みの有無や熱感などがあるかも確認し、この病気かどうかを確定させるのです。
また、X線による画像検査も行います。これにより、第1関節の骨と骨の間の隙間が狭まっていないか、関節が壊れていないかなどを確認します。骨のとげが突出していないかも確認し、変形性関節症を引き起こしていないかも確認するのです。
この病気との見分けが必要な関節リウマチも、これらの検査で見分けられます。手指に起こる関節リウマチの場合、発症部位は手首・指の第2関節・第3関節 で発症する場合が多いです。第1関節で起こることはほとんどありません。
また、関節リウマチの画像検査では、骨の炎症がみられ溶けている様子がみられます。一方で、このへバーデン結節の場合は第1関節部分にとげのような骨が増殖する状態がみられます。このように、これらの検査結果を用いて診断を行っていくのです。

治療方法を教えてください。

主な治療方法は、安静対症療法です。指の腫れや熱を持っている場合、患部を冷やしたり、マッサージを行ったりすることで痛みを軽減させる方法をとります。
また、テーピングや装具などによっても痛みの軽減に繋がるので、これらの対症療法によって手指に負担をかけないようにしていきます。強い痛みが伴う場合には、漢方や消炎鎮痛剤を服用したり、湿布や塗り薬といった外用薬を使ったりするケースもあるでしょう。
しかし多くの場合、痛みの症状は数ヶ月~数年で落ち着きます。これらの治療方法で、症状を落ち着かせながら経過を観察しつつ、症状を緩和する方法を選択する方が多いです。

手術が必要な場合はありますか?

症状の度合いには個人差があります。なかには痛みや腫れなどの症状がひどい方もいるのです。対症療法では症状が落ち着かず、日常生活に支障をきたすケースもあるでしょう。その際には手術を行うこともあります。手術方法としては、次のようなものが挙げられます。
  

  • 関節形成術
  • 関節固定術
  •  

関節形成術とは、尖ってでっぱった第1関節の一部分や水ぶくれを切除する方法です。
関節固定術とは、第1関節のぐらつきなどを改善させる方法です。これらの手術を行えば、見た目を改善でき、痛みなどの症状もなくなります。

ヘバーデン結節の注意点と予後

手のX線写真36

ヘバーデン結節でやってはいけないことは?

この病気においてやってはいけないことは、放置することです。異変を感じた場合はすぐに治療する方が良いでしょう。この病気は、10年ほどの期間をかけて徐々に進行していきます。変形し、他の指にゆっくりと症状が広がっていきます。
そして、変形だけでなく、痛みや赤みも同時に発症する場合が多いです。そして、関節が固まると痛みも一緒に引いていきます。炎症を放置すると症状の進行を止められず、悪化も止められないのです。
放置期間が長くなるほど骨の変形が進み、元に戻せなくもなります。そのため、痛みを感じたり見た目に少しでも異変を感じたりした場合には、早めに専門の医療機関に相談しましょう。

ヘバーデン結節は完治する病気なのでしょうか?

痛みや炎症が治ることはありますが、第1関節部分のすり減った骨や変形した骨が完全に元に戻ることはありません。治療はあくまでも痛みや炎症を和らげ、手を使いやすくするための対処となります。
悪化を防ぐこともできるため見た目の改善にもつながりますが、長く放置して変形した骨が戻ることはありません
しかし、早期の治療によって症状を早く緩和させられることは確かなので、症状が現れた場合は早めの治療をおすすめします。

発症後の日常生活における注意点を教えてください。

この病気を発症した場合、指の関節に負担がかかる作業に注意しましょう。関節に負担がかかるような仕事をする場合は、固定するなどして、できるだけ負担が大きくかからないような対策が必要です。
また、進行を悪化させる恐れがある糖分の多い食事を避けて、肥満を進行させないようにしましょう。カロリーの多い食事や糖質の多い食事などは、関節周りに炎症を起こす要因となることが分かっています。摂取量を減らして、肥満の発症や進行を予防しましょう。
また、炎症を抑える働きがある脂肪酸を多く含む食材を摂取することで、症状の悪化を防げます。サバやイワシなどが脂肪酸を多く含む食材です。食事・栄養の管理を行って、日常生活においても症状の悪化を防ぐようにしましょう。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

この病気は、40代以降の女性に多く発症する病気です。しかし、幅広い年代で発症するため、誰しも発症の可能性がある恐ろしい病気でもあります。はっきりとした原因は分かっておらず、治療方法は安静と対症療法となります。
そのため、症状が現れた場合は、治療とともに悪化を防ぐための普段からの注意も必要不可欠です。
正しい治療方法や日常生活での予防方法などを把握して、しっかりと対処していきましょう。早期の治療・予防が症状の悪化を防ぎます。

編集部まとめ

手と新緑
へバーデン結節は、手指に負担がかかることで発症すると考えられている注意が必要な病気です。骨が大きく変形したり炎症が起きたりして、ひどい場合は痛みが伴います。

しかし、早急な治療ができれば、見た目の悪化や炎症を抑えられます。痛みも緩和できるため、辛い症状に悩むことは少なくなるでしょう。

また、発症後は日常生活における予防も大切です。食生活などに気をつけて、症状の悪化を防ぎましょう。

この記事の監修医師