「二の腕が痛い」原因とは？後ろに回らない・内側が痛む場合も医師が解説！

二の腕が痛いとき、身体はどんなサインを発している？Medical DOC監修医が主な原因や考えられる病気・何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

監修医師：
柏木 悠吾 医師

「二の腕が痛い」症状で考えられる病気と対処法

「二の腕が痛い」という症状は誰しも経験したことがあると思います。ケガや力仕事をした後など、骨・筋肉が原因であるケースが多く見られますが、他にもさまざまな原因が考えられます。病院受診をする必要がある状況や症状について解説していきます。

二の腕が痛い症状で考えられる原因と対処法

肩や肘の近くに突然のひどい痛みを感じる症状がある場合、上腕二頭筋腱損傷・断裂が考えられます。
上腕二頭筋腱損傷・断裂は、肩を動かした際に肩に近い二の腕に痛みを感じます。症状は物を持ち上げたり、引っ張ったりすることで悪化します。そのほかの症状には、二の腕の腫れやあざ、筋力の低下があります。
本症と診断されたらまず二の腕を安静に保つことが重要です。重たい物を持ったり、腕や肩を動かすことを避けます。痛みの部分をアイスパックなどで冷却することで、痛みが緩和することもあります。痛みが強い場合は、痛み止めの薬で対処することもあります。
主な診療科は、整形外科です。レントゲン写真や超音波検査、 MRI検査で健の断裂を確認し診断します。緊急性はないため日中の受診を行いましょう。

二の腕が痛く腕が上がらない症状で考えられる原因と対処法

腕に激しい痛みを感じ、動かすことができない症状がある場合、上腕骨近位端骨折かもしれません。
上腕骨近位端骨折は交通事故や転倒などの強い外力によって、二の腕に突如激しい痛みを感じます。二の腕を動かすことができないのが特徴です。
本症と診断されたら三角巾で固定し、肩関節を安定させます。
また骨折の程度によっては、手術適応となることもあります。
主な診療科は、整形外科です。レントゲン撮影やCT検査で診察します。緊急性が高いため、急いで近くの整形外科を受診しましょう。

二の腕を動かすと痛い･後ろに回らない症状で考えられる原因と対処法

腕や肩を動かすことで、張り・凝り・痛みを感じる症状がある場合、肩こりの可能性が考えられます。
肩こりは首から肩・腕にかけて痛みを感じます。痛みが強いと頭痛や吐き気を伴うこともあります。
本症と診断されたら肩甲骨周辺の筋肉のマッサージやストレッチで痛みを緩和することをお勧めします。
主な診療科は、整形外科です。レントゲン撮影やMRI検査によって診察します。緊急性はないため日中の受診を行いましょう。

右腕・左腕など片方の二の腕が痛い症状で考えられる原因と対処法

左右どちらかの肩や腕にピリピリとした強い痛みを感じる症状がある場合、帯状疱疹などが考えられます。
帯状疱疹は左右どちらかの二の腕に、針で刺されたようなピリピリとした痛みを感じます。その後痛みの部分に発疹が出るのが特徴です。
本症と診断されたら抗ウイルス薬や鎮痛薬、塗り薬で治療します。痛みは徐々に軽快していきます。自宅では患部を清潔に保つように心がけましょう。
主な診療科は、皮膚科です。緊急性はないですが早期の治療が重要ですので、なるべく早めに皮膚科やかかりつけ医を受診しましょう。

二の腕の内側がピリピリ・ズキズキ痛い症状で考えられる原因と対処法

肩や腕にピリピリとした痺れを感じる症状がある場合、頚椎椎間板ヘルニアが可能性として考えられます。
頚椎椎間板ヘルニアは首や肩、腕に痛みや痺れが出るのが特徴です。日常生活では箸が使いにくくなったり、ボタンをかけづらくなったりします。
本症と診断されたら首の安静保持を心がけ、頚椎カラー装具を用いることもあります。痛みが強い場合は、痛み止めの内服や神経ブロックで痛みを緩和することもあります。症状がひどい場合は手術適応となることもあります。
主な診療科は、整形外科・脊椎外科です。MRI検査で診察します。緊急性はないですが生活に支障をきたすため、なるべく早く日中に近くの整形外科・脊椎外科を受診しましょう。

二の腕が痛くだるい・しびれる症状で考えられる原因と対処法

二の腕の筋肉痛や筋力低下などの症状がある場合、多発性筋炎かもしれません。
多発性筋炎は筋肉の痛みや力が入らなくなったり、疲れやすくなるといった症状を感じます。その他に発熱や全身倦怠感、食欲低下がみられることもあります。
本症と診断されたら入院しステロイド治療が開始されます。悪性腫瘍が合併していることもあり、その場合は悪性腫瘍の治療を先行して行います。
主な診療科は、膠原病内科です。緊急性が高いので、急いで近くの膠原病内科やかかりつけ医を受診しましょう。

すぐに病院へ行くべき「二の腕が痛い」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

ケガをした後の二の腕の痛みの場合は、整形外科へ

外傷（ケガ）をした直後の二の腕の痛みの症状は、上腕骨近位端骨折を疑います。
上腕骨近位端骨折は高齢者に好発する脆弱性骨折としてよくみられます。
交通事故など強い外力が加わった時は若い方でも受傷し得ます。
痛みにより二の腕が挙げられない、強い痛みで動けないなどの症状が出現します。
痛み以外にも、腫脹・紫や青色変化などがみられます。
まずは三角巾で肩関節を固定し、冷却をしてください。
主な診療科は整形外科です。緊急性が高い場合もありますので、お近くの病院をすぐ受診しましょう。

受診・予防の目安となる「二の腕が痛い」ときのセルフチェック法

• ・二の腕が痛い以外に動かすことができない場合
• ・二の腕が痛い以外にしびれがある場合
• ・二の腕が痛い以外に筋力の低下がある場合

「二の腕が痛い」症状が特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「二の腕が痛い」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

帯状疱疹

帯状疱疹は体内に潜んでいるヘルペスウイルスの一種によって起こる病気です。左右どちらかの腕に発生すると、二の腕の痛みが出現します。ピリピリと刺すような痛みと小さな水ぶくれが帯状に生じます。
治療は抗ウイルス薬が中心です。皮膚症状や痛みを早期に和らげ、合併症や後遺症を軽減します。
主な診療科は、皮膚科です。緊急性はないですが早期の治療が重要ですので、なるべく早めに皮膚科やかかりつけ医を受診しましょう。

肩こり

肩こりでは、首筋・首の付け根から肩にかけての張りや痛みが現れます。
肩こりにはさまざまな筋肉が関係していると言われていますが、特に僧帽筋が関係しています。痛みが強いと頭痛や吐き気を伴うこともあります。
パソコン作業が多い人やもともと姿勢がよくない人、運動不足や精神的なストレスなどが原因と言われています。
レントゲン撮影やMRI、血圧測定など複合的に判断します。
肩こりは治療も大事ですが、予防が大切です。同じ姿勢を続けないこと。蒸しタオルなどで肩の疲労をとること。適度な運動をすること。これらを日々気をつけるだけで経過は変わってきます。
肩こりと診断されたら肩関節周囲の筋肉をほぐしたり、ストレッチすることをお勧めします。
主な診療科は、整形外科です。緊急性はないため日中の受診を行いましょう。

頸椎椎間板ヘルニア

頚椎椎間板ヘルニアは首や肩、腕に痛みや痺れが出現し、進行すると上肢の麻痺も出現する病気です。日常生活では箸の使いづらさ、ボタンのかけづらさ、字の書きにくさを自覚します。
レントゲンやMRI、診察所見で診断をします。
治療は、首を安静にすることを心がけましょう。痛みが強い場合は、痛み止めの内服や神経ブロックで痛みをやわらげることもあります。これらの方法で改善がない場合や四肢脱力、歩行障害、膀胱直腸障害などがあれば手術が選択されます。
主な診療科は、整形外科・脊椎外科です。痛みの症状のみであれば緊急性はありませんので、日中に受診しましょう。麻痺や歩行障害がある場合はすぐに病院を受診した方がいいケースもあります。ご不安な方はお近くの病院にご相談ください。

上腕骨骨折

上腕骨近位端骨折は、転倒したり肩を打撲したりするなどの外傷によって発症する腕の骨折です。この部分は骨粗鬆症で骨が弱くなる部分の代表部位でもあり、二の腕に急激に痛みを感じます。
痛みの他にも、腫脹・色調変化・熱感などの症状が出現します。
レントゲンやCT検査で診断します。
すぐにできる処置は、冷却し腕を大きな布で肩から吊ることです。また、その処置をした直後に病院を受診してください。
治療は保存治療と手術治療があります。どちらにせよまずは三角巾やバストバンドで固定し、肩関節を安定させます。骨折の程度や種類によっては、手術となることもあります。
主な診療科は、整形外科です。稀に骨折が血管や神経を損傷することがあります。そう言った場合は緊急性が高いため、急いで近くの整形外科を受診しましょう。

多発性筋炎

多発性筋炎では、筋肉痛、疲労感、倦怠感、力の入りづらさなどが主な症状です。筋炎症状に加えて、皮膚症状・関節炎・間質性肺炎を合併します。
多くの場合、しゃがみこむと立ち上がりにくい、話しづらいなどの症状を訴えられます。
診断は、筋肉に異常をきたす他の病気を除外し、筋電図やMRI、筋生検で確定診断をします。
治療はステロイドによる薬物治療が主です。場合によっては、免疫抑制剤を併用することもあります。筋力低下を予防するため、早期からのリハビリテーションも大切です。
主な診療科は、膠原病内科です。なるべく早く膠原病内科を受診しましょう。

「二の腕が痛い」ときの正しい対処法は？

二の腕の痛みを落ち着かせるためには、まず安静にすることです。
市販薬の内服は可能ですが、胃を荒らす副作用がある薬もあるので薬局にいる薬剤師に聞くことをお勧めします。なお、症状を緩和させる市販薬には、ロキソニンS、イブ、バファリンなどがあります。
肩こりがある場合には、肩関節周りのマッサージやストレッチによって二の腕の痛みが改善する可能性があるので、一度試してみるのも良いでしょう。
応急処置でも症状が治らない場合は整形外科を受診しましょう。

まとめ

「二の腕が痛い」という症状は、重いものを持って移動した時など日常的に経験することがあると思います。そういったわかりやすいエピソードがあれば別ですが、思い当たるエピソードがない状態で痛みを発している場合には何らかの病気を発症している可能性があります。お気軽にお近くの病院を受診してくださいね。

「二の腕が痛い」症状で考えられる病気

「二の腕が痛い」から医師が考えられる病気は11個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

思い当たるエピソードがない状態で痛みがある場合には、自身の症状を確認して受診を検討しましょう。

「二の腕が痛い」に似ている症状・関連する症状

「二の腕が痛い」と関連している、似ている症状は9個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

「二の腕が痛い」症状の他にこれらの症状がある場合でも「上腕骨骨折」「上腕二頭筋腱断裂」「肩こり」「頚椎椎間板ヘルニア」「骨腫瘍」「多発性筋炎」「リウマチ性多発筋痛症」「関節リウマチ」「帯状疱疹」などの疾患の可能性が考えられます。
激しい痛みがある場合には、早めに医療機関を受診しましょう。