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「足のすねがつる」のは「糖尿病」や「脳梗塞」が原因?医師が徹底解説!

足のすねがつる症状で、身体はどんなサインを発している?Medical DOC監修医が主な原因や考えられる病気・何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

柏木 悠吾 医師

監修医師
柏木 悠吾 医師

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宮崎大学医学部卒業。宮崎県立宮崎病院、宮崎大学附属病院で研修。地元地域に貢献すべく、2022年より橘病院(宮崎県)に勤務。日本医師会認定スポーツドクター。日本整形外科学会、日本骨折治療学会、日本人工関節学会会員。他に日本医師会認定産業医などの資格を有する。

「足のすねがつる」症状で考えられる病気と対処法

日常生活やスポーツ、睡眠時などさまざまな場面で足がつるのを経験された方は多く、何か大きい病気ではと心配になったり、起こった時の対処法など不安を感じることは多いと思います。“足がつる”のは筋肉の収縮によって痛みが出ている状態であり“こむらがえり”や“有痛性の筋収縮”といいます。実は足がつっている時には筋肉がけいれんを起こしてしまっているので痛みがあるのです。この記事では、対処法、病院にいく目安などを詳しく解説していますので、一緒にみていきましょう。

足のすねの外側がつる症状で考えられる原因と治し方

足の外側には下腿三頭筋というふくらはぎの筋肉があり、この部分の筋肉が収縮して痛みをだすと足のすねの外側がつったと感じます。この部分のこむらがえりは、最も多くみられ、生理的なこむらがえりは健康な人の90%以上が経験しています。下腿三頭筋が収縮すると足がぴんと伸びることが特徴です。対処法は、足首をそらすようにして痛みがある筋肉を十分に伸ばすことです。
また、こむらがえりを止めるお薬をもらっている人はお薬をのむことも効果があります。原因には、激しい運動後、加齢、血行不全、電解質異常、脱水症、熱中症、糖尿病、肝硬変などがあります。ストレッチで自然に治れば緊急で病院を受診しなくても良いのですが、暑いところで仕事やスポーツをしてたくさん汗をかいた後に起こり、ストレッチをしても治らないときには熱中症、脱水症、電解質異常などのすぐに対応した方がいい状態の場合もあるので、そのような場合はすぐに病院を受診しましょう。また、夜寝ている時に症状がでることが多いのですが、毎日症状があり、眠るのにも支障がある場合には内科や整形外科を受診して、原因を調べてもらったり、お薬をもらうようにしましょう。

足のすねの前側・むこうずねがつる症状で考えられる原因と治し方

足のすねの前側には前脛骨筋という足首を上げる筋肉や、足の指を伸ばす筋肉があります。足がつるのは筋肉の収縮によって痛みがでている状態のため、症状を落ち着かせるには、筋肉が収縮するのと反対の方向にストレッチをする必要があります。そのため足の前がつった場合には、足首や、足の指を伸ばす方向にストレッチすることが効果的です。考えられる原因も足の外側がつるのと同じように激しい運動、加齢、血行不全、電解質異常、脱水症、熱中症、糖尿病、肝硬変などがあります。ストレッチをしても症状が治らない場合に早めに病院を受診し、症状が治っても、何度も起こる時には、内科や整形外科で相談するようにしましょう。

運動中に足のすねがつる症状で考えられる原因と治し方

運動中にあしのすねがつるのは健康な方でも、水泳中など運動中に筋肉を使いすぎた時に起こります。痛い部分を伸ばすストレッチをすることで数十秒から数分で症状は治まりますが、疼みが残ることが多いです。運動中に起きるこむらがえりの多くはすぐに症状が落ち着くので問題ないことが多いのですが、数分程度でよくならない場合には、脱水症や電解質の異常、筋肉や代謝の病気などを考える必要があります。そのため、よくならないときや運動中にいつも起きるような時には、内科や整形外科を受診するようにしましょう。

夜中に足のすねがつる症状で考えられる原因と治し方

夜中に足のすねがつるのはとても困る症状ですが、夜間睡眠時にふくらはぎがつることは多くの方が経験しています。ふくらはぎに限らず、全身のどこでも起きる可能性があり、ストレッチが効果的です。原因として加齢が言われています。ある研究では高齢者の50%以上が夜間に足がつることを経験しており、起こる頻度は年齢とともに増加すると報告されています。また約8割の方でふくらはぎに起こり、夜間に多く、平均9分間持続するという報告もあります。生理的なものが多いのですが、回数が多く困る場合には薬が使われることがあるので、内科や整形外科で相談するようにしましょう。

すぐに病院へ行くべき「足のすねがつる」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

ストレッチで改善しない場合は、内科へ

通常、こむらがえりは安静時や運動中に起こり、痛みを起こしますが、ストレッチなどの適切な対処により数分で自然に治まります。しかし、激しい運動中にのみ症状が出る時や、何時間も症状が続く時、筋肉のけいれんがあるものの痛みがない場合には、神経の病気や、糖尿病、筋肉の病気、血流の問題などの色々な病気の可能性があります。そのため、内科や脳神経内科、代謝内科、総合診療科などの総合的に診断をしてくれる科を受診することが必要です。

受診・予防の目安となる「足のすねがつる」ときのセルフチェック法

  • ・激しい運動中にのみ足がつる症状がある場合
  • ・何時間も足がつる症状が続く場合
  • ・足がつっているのに、痛みがない場合

「足のすねがつる」症状が特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「足のすねがつる」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

腰部椎間板ヘルニア

腰椎椎間板ヘルニアは椎間板が神経を圧迫してしまい、主に太ももや足に痛みがでる病気ですが、神経の障害のため、足がつることもあります。椎間板への負担の増加や加齢が原因と言われており、保存治療と手術治療があります。放置すると、足の筋力が落ちてしまうことがあるため、早めに整形外科を受診することがおすすめです。

脳梗塞

脳梗塞は脳の血管の動脈硬化や、血栓によって脳の血管が詰まってしまい、手足の麻痺や、しゃべりづらさ、意識障害などが出てしまう病気です。生活習慣病である高血圧や糖尿病、高コレステロール血症やある種の不整脈が原因ですが、脳梗塞を起こして時間が経つと神経のコントロールがうまくいかず、手足の痙縮(つっぱり)やこむらがえりを起こすこともあります。こむらがえりはストレッチや飲み薬で対応しますが、症状が強い場合や、他の症状がある場合にはかかりつけや内科を受診するようにしましょう。

糖尿病

糖尿病を放置していまい悪化すると、神経の障害が起きてしまいます。神経は筋肉の動きをコントロールしているので、足の筋肉のコントロールができずに、足がつってしまうことがあります。治療は原因である糖尿病の治療ですが、一度ダメージを受けた神経は戻るのに時間がかかる場合や、元に戻らない可能性も高いため早めの治療が必要です。足がつっているときにはストレッチや飲み薬などで対応し、糖尿病のコントロールを少しずつ良くしていくことが重要です。主治医がいれば症状について一度相談し、主治医がいない場合には内科を受診しましょう。

「足のすねがつる」の正しい対処法は?

足がつった時には、慌てずゆっくりと痛い部分を伸ばすストレッチをしましょう。医師から既に予防の薬をもらっている時には薬の内服もして大丈夫です。病院でこむらがえりに処方される薬に「芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)」という漢方薬があるのですが、市販薬でも購入できるのですぐに病院を受診できない方は一度お試しいただいても大丈夫です。他にも足がつった後の筋肉の痛みにはアセトアミノフェンやロキソプロフェン、湿布などの市販薬が有効です。用法容量を守って使用していただき、市販薬で効果がないときには漫然と使用せず医師に相談するようにしましょう。
ストレッチの方法ですが、足の前がつる時には足首を伸ばす方向に、足の裏がつる時には足首を逸らす方向にストレッチをして、痛い部分の筋肉もマッサージしてあげてください。足がつって筋肉の痛みがある時には炎症を抑える目的で冷やしてもよいですが、基本的には温めた方が血流がよくなるためおすすめです。これらの処置をして数分たっても足のつりが治まらないときや、他の部分にもけいれんが広がっているときには早めに病院を受診するようにしてください。

「足のすねがつりやすい」ときの予防法・対策は?

足がつる原因はまだ完全には解明されていませんが、治療薬として、ビタミンBやビタミンE、マグネシウム、タウリンなどの有効性が報告されています。また筋肉疲労や冷えによる血行不良などが原因となることもあるため、ビタミンやミネラルが不足しないように乳製品、大豆製品、葉野菜、魚介類など、バランスのとれた食事を心がけましょう。脱水症や電解質異常も原因となるため、電解質が含まれている水分を適度にとることが必要です。また寝る前に入浴、ストレッチをして、ストレス緩和と睡眠を十分とるように努めましょう。

「足のすねがつる」症状についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「足のすねがつる」ときについてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

足のすねが攣ったときはどう対処したら良いですか?

柏木 悠吾 医師柏木 悠吾 医師

あわてず痛い部分を伸ばすストレッチをしましょう。

頻繁に足のすねがつる場合、何科の病院に行けばいいですか?

柏木 悠吾 医師柏木 悠吾 医師

まずは電解質の異常や神経疾患、筋肉の病気などの内科的な病気が隠れている可能性がないかを調べるために内科の病院の受診をお勧めします。

足のすねがつるのは何かの栄養が不足していますか?

柏木 悠吾 医師柏木 悠吾 医師

ビタミンやミネラル不足が原因の場合もありますが、明らかな原因がないことが多いです。ポイントはバランスのよい食習慣をすることだと思います。

糖尿病とすねがつる症状に関連性はありますか?

柏木 悠吾 医師柏木 悠吾 医師

糖尿病による末梢神経の障害で足がつることがあります。

肝臓が悪いと足のすねがつることはありますか?

柏木 悠吾 医師柏木 悠吾 医師

肝硬変に合併して筋肉のけいれんが起こることがあり、原因の1つと考えられます。

まとめ

足がつっている時には、足の筋肉がけいれんを起こしてしまっているので、しっかりストレッチをしてあげることが最も重要です。明らかな原因がないことが多いのですが、加齢や脱水症、ミネラル不足で起こることもありますので、日々のストレッチやマッサージ、食習慣の改善も有効です。おさまらない時や何度も繰り返すときは一度病院を受診して相談するようにしましょう。

「足のすねがつる」症状で考えられる病気

「足のすねがつる」から医師が考えられる病気は7個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

整形外科の病気

  • 腰椎椎間板ヘルニア
  • こむら返り

脳神経内科の病気

原因には加齢など生理的なものから、薬剤、ミネラルバランス(電解質)の乱れ、脱水症、熱中症によるミネラルの不足、神経の病気、筋肉の病気、血流の問題などさまざまな病気が考えられます。

「足のすねがつる」に似ている症状・関連する症状

「足のすねがつる」と関連している、似ている症状は3個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

「足のすねがつる」症状の他にこれらの症状がある場合でも「糖尿病」「下肢静脈瘤」「脱水症」「肝硬変」「腰椎椎間板ヘルニア」「こむら返り」「脳梗塞」などの疾患の可能性が考えられます。ストレッチなどセルフケアで改善しない場合には、早めに医療機関を受診しましょう。