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手の痙攣(けいれん)が止まらない場合は脳神経内科へ!考えられる原因や病気などを徹底解説

手の痙攣が気になるとき、身体はどんなサインを発信しているのでしょうか?ここではMedicalDoc監修医が手が震える症状で考えられる病気や何科へ受診すべきかなどを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

村上 友太 医師

監修医師
村上 友太 医師(東京予防クリニック)

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医師、医学博士。福島県立医科大学医学部卒業。福島県立医科大学脳神経外科学講座助教として基礎・臨床研究、教育、臨床業務に従事した経験がある。現在、東京予防クリニック院長として内科疾患や脳神経疾患、予防医療を中心に診療している。
脳神経外科専門医、脳卒中専門医、神経内視鏡技術認定医。日本認知症学会、抗加齢医学会、日本内科学会などの各会員。

「手の痙攣」で考えられる病気と対処法

手がうまく使えないことによる生活への支障は大きいため、一時的であっても、手が震える・痙攣(けいれん)すると心配になりますよね。痙攣は、無意識に筋肉が収縮して体が動いてしまうことですが、一時的に手が震えてしまうものから、持続的に震えるもの、何らかの状況下で震えが起こるものなど、さまざま種類があります。
痙攣のタイプによって考えられる病気や対処法が異なりますので、状況別に解説していきます。

手が痙攣する・手が震える症状の原因と治し方

両手の痙攣や震えがある場合には、どんな時にその症状が現れているかを確認しましょう。
緊張した時や寒いところにいる時など、特定の状況でのみ細かな震えが出る場合には、環境要因による生理的振戦が考えられます。生理的な反応なので病気ではありません。対処法は、その状況に適応するか、その状況を避けることです。
震えの原因には、下記のような疾患の他にも薬物の副作用や低血糖、精神的な影響によるものなどさまざまな原因があります。震えの原因を探るには、どのように震えが出現したのか、どのような状況で出現したのか、他にどのような症状があるのか、薬は何を服用しているかなどの病歴が必要です。病院への受診前にメモなどに話す内容をまとめるとよいでしょう。

パーキンソン病

じっとしている時(安静時)にのみ震えが出現し、物を取るなどの手を動かす時には止まる震えの場合には、パーキンソン病が考えられます。パーキンソン病では寝相が悪くなったり、寝言を言ったりするレム睡眠行動障害や嗅覚障害を伴うことが多く、動きがゆっくりになったり、細かい動きがしにくくなったりします。
症状は左手右手のどちらかから始まり、しばらくして両側とも震えるようになります。手を動かす時には震えが止まるので、震えが生活に支障となることは少ないのですが、動き全体がゆっくりになって転びやすくなるため、注意が必要です。症状を改善するには薬物治療が必要であるため、このような症状が続く場合には脳神経内科に受診してください。

本態性振戦・甲状腺機能亢進症

手を動かす時に震えが出る、あるいは、震えが続いている場合には、本態性振戦甲状腺機能亢進症が疑われます。本態性振戦は良性の病気ですが、片側または両側に震えが出現し、字を書く時やコップを持つときなどに震えが出ます。字が書けない、水をこぼしてしまうなど、生活に大きな支障をきたしてしまいます。生活での支障が大きい場合には、脳神経内科を受診しましょう。
また、甲状腺機能亢進症では震えの他に不眠や動悸を自覚しやすく、汗をかきやすくなったり、体重が減ったりします。治療が必要な病気であるため、早めに内科や内分泌内科を受診してください。

小脳梗塞・脊髄小脳変性症

物を取ろうとしたときや特定の場所に手を伸ばそうとしたときに震えてしまう、位置がずれてしまう場合には、小脳梗塞や脊髄小脳変性症などの小脳の異常による病気の可能性があります。距離感がつかめない、歩くときにふらつくなどの症状も見られます。このような症状が見られた場合には治療が必要な病気の可能性が高いため、すぐに脳神経内科を受診してください。

手が痙攣してピクピクする症状の原因と治し方

突然手がピクピクと痙攣して短時間で終わることがあります。このような場合、てんかん部分発作などが疑われます。
てんかん部分発作は、手だけの症状の場合には片側のみで症状が出現しますが、痙攣が全身に広がって意識を失うこともあるため、同じような発作を繰り返す場合には脳神経内科に受診してください。
また、手を前に出した時などにピクピクと動く場合には肝性脳症の可能性もあります。肝機能障害があり、肌や角膜が黄色くなる、お酒に弱くなるなどの変化がしばしば見られます。放置をすると意識障害となる、肝臓の機能が更に悪化する危険性があるため、このような症状がある場合には早期に消化器内科に受診してください。

人差し指や親指など特定の手指が痙攣する・震える症状の原因と治し方

特定の手指のみが痙攣することもあります。このような場合、その指の使い過ぎが原因である可能性があります。
ピアニストなど指を酷使している場合には、その指を休ませることで症状が軽減するので様子をみましょう。症状が続くようであれば、初期のパーキンソン病や軽症の本態性振戦の可能性もあるため、脳神経内科に受診することも検討しましょう。

手のひらが痙攣する・震える症状の原因と治し方

何かを丸めるように手のひらが痙攣する・震える場合には、パーキンソン病が考えられます。パーキンソン病では体全体の動きがゆっくりとなり、歩行が小刻みになったり、転びやすくなったりします。左右どちらかの片側から症状が始まり、進行すると反対側にも症状が出現します。このような症状が現れた場合には脳神経内科を受診してください。

すぐに病院へ行くべき「手の痙攣」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

距離感がない、物を取ろうとすると位置がずれる場合は、脳神経内科へ

物を取ろうとするときに位置がずれてしまい、震えたような動きとなる症状があれば、小脳の異常が原因である可能性を考えます。自分の鼻など、位置がわかっているものにもスムーズには触ることができずにずれることや、まっすぐ歩こうとしてもふらついてしまうこともあります。小脳の脳梗塞脳出血変性疾患などの可能性があり、急に現れた場合にはすぐに脳神経内科を受診してください。

「手の痙攣」症状が特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「手の痙攣」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

本態性振戦

脳の障害が原因となる場合もありますが、特に原因がなく発症することの多い良性の病気です。
震え以外の症状はありませんが、手を動かす際に手の震えが出現して、字が書きづらい、コップがうまく持てないなど日常生活に大きな支障が出ることがあります。飲酒や震える手に重りを付けるなどの加重をかけることで震えが軽減することがありますが、日常生活への支障が多い場合には脳神経内科を受診して薬物療法を受けましょう。薬物療法のみで症状の改善が不十分な場合には手術や超音波による治療が行われる場合もあります。

「手の痙攣」を和らげるストレッチを紹介!

頻度は多くありませんが、手の痙攣が筋肉の疲労による場合にはストレッチが有効なこともあります。また、安静時の震えを代表的な症状に持つパーキンソン病では、ストレッチは体の動きの固さや遅さを和らげることに有効です。

  • 手の筋肉の疲労に対しては十分に指を伸ばす、手首を前後左右に倒してしっかりと筋肉を伸ばすことが有効です。
  • パーキンソン病では首や肩を回す、タオルなどを用いて腕が肩幅を維持するような状態で体をひねるなどの運動を行うことで、効果を実感されることがあります。

「手の痙攣」が起きるときに飲んでも良い市販薬は?

手の痙攣に対して、多くの場合、市販薬は有効ではありません。精神的な問題の影響による痙攣やこむら返りのような筋痙攣では市販の精神安定剤や芍薬甘草湯が有効な場合もあります。
パーキンソン病では、ベンゾジアゼピン系の薬剤が使用できないなどの制限があるため、震えの種類によっては市販薬の服用も注意が必要です。精神安定剤の中にはベンゾジアゼピン系の薬剤を含んでいている場合もあるため、自分で判断せずに、医療機関で相談した方が良いでしょう。

「手の痙攣」についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「手の痙攣」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

手が痙攣するのは緊張やストレスと関連がありますか?

村上 友太(むらかみ ゆうた)医師村上 友太(むらかみ ゆうた)医師

生理的振戦では、多くの場合、緊張やストレスが関連します。

手が痙攣する症状とコーヒーに関係性はありますか?

村上 友太(むらかみ ゆうた)医師村上 友太(むらかみ ゆうた)医師

コーヒーに含まれるカフェインが震えなどの症状に関係することも考えられますが、多くの場合影響はありません。

夕方など空腹時に手が痙攣するのはなぜですか?

村上 友太(むらかみ ゆうた)医師村上 友太(むらかみ ゆうた)医師

空腹時には低血糖により手が震えることがあります。特に糖尿病の治療薬を服用している方に多いです。

アルコール依存で手が震える場合、何科にかかるべきですか?

村上 友太(むらかみ ゆうた)医師村上 友太(むらかみ ゆうた)医師

アルコール依存は心療内科や精神科で治療を行います。
もし、アルコール依存以外の原因が疑われた場合には、脳神経内科にも受診していただく場合があります。

まとめ

手の震えは、環境に依存する生理的振戦や、安静時にも動作時にも震えが出現する本態性振戦などの良性の病気の場合が多いのですが、パーキンソン病や甲状腺機能亢進症などの治療が必要な病気でもおこります。震え以外にも症状がある場合や、震えで生活に支障が出る場合には、内科や脳神経内科への受診を検討するようにしてください。

「手の痙攣」で考えられる病気と特徴

「手の痙攣」から医師が考えられる病気は11個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedicalDOCの解説記事をご覧ください。

脳神経内科の病気

  • 本態性振戦
  • パーキンソン病
  • 薬剤性振戦

内分泌内科・内科の病気

病気ではなく手が震えている場合もあります。病気の場合には、主に脳神経や精神科の病気の症状の一つです。

「手の痙攣」と関連のある症状

「手の痙攣」と関連している、似ている症状は7個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedicalDOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

「手の痙攣」の症状の他に、これらの症状がある場合も「てんかん」「本態性進戦」「パーキンソン病」「適応障害」「アルコール依存症」「適応障害」などの疾患の可能性が考えられます。
複数の症状が見られて改善しない場合には、早めに医療機関への受診をおすすめします。

【参考文献】
日本神経学会HP:
https://www.neurology-jp.org/public/disease/fuzuii_detail.html#furue
国立長寿医療センターHP
https://www.ncgg.go.jp/hospital/navi/03.html
難病情報センターHP
https://www.nanbyou.or.jp/entry/169
みわ内科クリニックHP
https://miwa-clinic.sakura.ne.jp/tremor.html
岐阜赤十字病院:
https://www.gifu-med.jrc.or.jp/thyroid/internal/hyperthyroidism.html
てんかん診療ガイドライン:
https://www.neurology-jp.org/guidelinem/epgl/tenkan_2018_01.pdf