首筋の痛みで考えられる病気・原因は?医師が徹底解説!
首すじが痛むとき、原因は何か心配になりますよね。ここではMedicalDoc監修医が首筋の痛みで考えられる病気や対処法・何科へ受診すべきかなどを解説します。気になる症状が続く場合は、迷わず病院を受診してください。
監修医師:
村上 友太 医師(東京予防クリニック)
脳神経外科専門医、脳卒中専門医、神経内視鏡技術認定医。日本認知症学会、抗加齢医学会、日本内科学会などの各会員。
「首筋の痛み」で考えられる病気と対処法
首筋の痛みはよくある悩みの一つですが、さまざまな原因が考えられます。痛む場所や痛み方がによって、心配のいらない場合もあれば、危険な病気のサインである場合も考えられます。首筋の痛みで考えられる病気や対処法を解説していきます。
首の後ろ側が痛む場合の原因と治し方
首の後ろ側(後頸部)が痛む、痛くて首を動かしづらい、手足がしびれる・動かしにくいなどの症状を指します。
このような場合、頚椎症や頸椎椎間板ヘルニアなどが疑われます。
頚椎症(けいついしょう)
頚椎症は、重い頭を支える首の骨(頚椎)に加齢などの影響で変形が生じる病気です。頸椎が変形することで首や肩の痛みが出現します。
頸椎椎間板ヘルニア
頸椎椎間板ヘルニアは、頸部の椎骨どうしの間にあるクッションの役割のある椎間板が突出して、脊髄神経にダメージを与えることで症状が出現します。首や肩、腕に痛みやしびれが出たり、手の細かい動きができなくなったりします。足の運びが悪くなり、歩行障害が出ることもあります(脊髄の障害)。自宅できることは首の動きを必要最小限にすることです。頸椎カラーが必要になるかもしれません。基本的には保存治療ですが、歩行障害や排尿障害のある場合は手術も考慮されるため、症状がひどい場合には整形外科を受診してください。
首の横・耳の下が痛む場合の原因と治し方
首の横や耳の下がズキズキ痛んだり、腫れたりする、などの症状を指します。
このような場合、耳下腺炎やリンパ節腫脹などが疑われます。
流行性耳下腺炎(じかせんえん)
流行性耳下腺炎はおたふくかぜとも呼ばれ、両側の耳下腺が腫れて発熱することが特徴です。耳の下にある耳下腺を押すと痛みが出現し、物を噛む動作時にも痛むことがあります。
リンパ節腫脹
リンパ節腫脹は、首の横・耳の下に多数存在するリンパ節が、何らかの理由で腫れる状態です。ウイルスや細菌による感染症が多いのですが、悪性リンパ腫という悪性疾患の可能性もあります。痛みの原因がウイルス感染症ならば、痛み止めなどの対症療法となります。緊急性はありませんが、症状が長引く場合や疼痛が強い場合は、耳鼻咽喉科を受診しましょう。
首の前側が痛む場合の原因と治し方
首の前側で、のどぼとけの下が腫れて痛むなどの症状が特徴です。
このような場合、亜急性甲状腺炎などが疑われます。
亜急性甲状腺炎
亜急性甲状腺炎は風邪などを原因として、甲状腺内に炎症がおき甲状腺組織が壊れる病気です。炎症による発熱と頸部の痛み、甲状腺ホルモンが多量に分泌されることによって、動悸や多汗などが現れます。発熱や首の痛みが強い方には、症状に応じてステロイドや抗炎症薬の投与が必要です。生活に支障が出る場合には、早めに内科や耳鼻咽喉科を受診しましょう。
首筋の痛みと頭痛がある場合の原因と治し方
首筋の後ろに痛みがあり、締め付けられるような頭痛が後頭部にある、などの症状を指します。このような場合、緊張性頭痛などが疑われます。
緊張性頭痛
緊張性頭痛は、頭痛の中でも頻度が高く、首筋の後ろから頭にかけて締め付けられるような鈍い痛みが出現します。肩こりなど周辺筋肉の緊張が原因になる場合や、精神的なストレスなどが関与する場合もあります。
症状のつらい場合は、脳神経内科や脳神経外科、頭痛外来を受診しましょう。
首筋から背中にかけてズキズキと痛む場合の原因と治し方
首筋から背中にかけてズキズキと強い痛みがあり、痛みが移動するなどの症状が特徴です。
このような場合、大動脈解離が考えられます。
大動脈解離
大動脈解離は、背骨にそって下降する人体で最も太い血管である大動脈の壁の一部がはがれることで発症します。血管の壁がはがれることで強い痛みが出現し、はがれる場所が徐々に移動することで、首筋から背中と広い範囲に痛みがでます。典型的には激痛を感じますが、ごくまれに軽い痛みで留まることもあります。
疑わしい症状が出現した場合には、すぐに内科や循環器内科を受診しましょう。
首筋が痛くて吐き気を伴う場合の原因と治し方
首筋の後ろが痛く、頭痛も出現して、それらの症状がひどいために吐き気を伴う、などの症状を指します。
このような場合、緊張性頭痛や椎骨動脈解離などが疑われます。
椎骨動脈解離
椎骨動脈解離は、背骨の付近を通る動脈の壁の一部がはがれてしまう病気です。突然の首筋の痛み、それに続く吐き気などがおこります。ゴルフなどの首を急に回す動きも発症するきっかけになり得ます。動脈の壁が剥がれる度合いによっては、出血が漏れてくも膜下出血を発症することもあります。
突然発症する首筋の痛みや吐き気は注意が必要です、すぐに脳神経外科や脳神経内科を受診しましょう。
首筋が突然ピキッと痛くなる場合の原因と治し方
首筋が突然ピキッと痛み、痛みがひどいために動かせなくなるような症状が当てはまります。
このような場合、外傷性頚部症候群などが疑われます。
外傷性頚部症候群
外傷性頸部症候群は、ケガや交通事故などのはっきりとした原因がなく、左右を向いただけのような日常生活の行動でも発症します。
基本的には安静が治療になり、市販の痛み止めなども効果的です。症状が長引くような場合は、整形外科を受診するようにしてください。
すぐに病院へ行くべき「首筋の痛み」に関する症状
ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。
首筋の痛みが急激に起こり程度が強い場合は、救急科へ
首筋の痛みが、重大疾患の初期症状であることも考えられます。
心臓の血管が詰まってしまう急性心筋梗塞では、肩周辺~首筋の痛みとして発症する場合があります。また、大動脈の壁の一部がはがれる大動脈解離では、首筋周辺の強い痛みとして起こる場合もあります。首筋に強い痛みが突然感じられる場合は、緊急度の高い疾患である可能性もあるため、すぐに救急車を呼んで病院を受診しましょう。
「首筋の痛み」が特徴的な病気・疾患
ここではMedical DOC監修医が、「首筋の痛み」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
緊張性頭痛
緊張型頭痛は、慢性頭痛のなかでも最も多い頭痛で、慢性頭痛の7~8割を占めます。スマホの操作やデスクワーク中にとる不自然な姿勢、ストレスや疲労などが原因で、首筋の筋肉が緊張することで血管を圧迫し、血液の循環が悪くなることで起こると言われます。
頭部から首筋にかけて、重く締めつけられるような鈍い痛みが生じます。また、筋肉の緊張による影響によって、めまいや吐き気を生じることもあります。これらの症状は繰り返されることもあります。
治療は、症状を緩和するための治療と、発作を予防するための治療の2本柱です。頭痛を緩和するには、一般的な痛み止めが効果的です。まずは市販の鎮痛薬を試してみましょう。また、頭痛の予防には、日常生活で首の筋肉に負担がかからないようすることが基本です。肩や首に負担のかからない姿勢をとることや、軽い運動やマッサージなどが効果的です。日常的にストレスを溜めないような工夫や、十分な睡眠時間を確保することも、症状を緩和させるでしょう。
生活習慣の改善のみで頭痛が治らない場合には、薬物治療を行うこともあります。
頭痛症状がつらい、日常生活に支障がでている場合は、脳神経内科、脳神経外科で相談しましょう。
「首筋の痛み」を和らげるストレッチを紹介!
ストレッチの一つとして、椅子の上でも簡単にできるものを紹介します。
- まず、椅子に腰かけた状態で身体の前で両手を組みます。
- 鼻から息を吸って、吐きながら背中を丸めて肩の後ろや腕を伸ばしましょう。
- 次に、伸ばした手のひらを返したら、再度息を吸って吐きながらさらによく伸ばしましょう。
これで肩回り・背部のストレッチができます。
凝り固まった筋肉はすぐには元通りにはなりませんが、普段の生活習慣の見直しと、こまめなストレッチや運動を大切にしてください。
「首筋の痛み」があるときに飲んでも良い市販薬は?
首筋の痛みがあるときに、市販の痛み止めが効果的なことがあります。
とくに、頭痛などの痛みの緩和には効果的で、ロキソプロフェンなどが有効成分に配合された鎮痛剤が一例です。
ただし、首筋の痛みの原因によっては効果がない場合もあります。心臓や血管が原因の痛みであれば、病院で正確な診断と治療をしなければ命に関わる場合もあります。
普段と違う痛み、初めて感じる突然の強い痛みなどであれば、まずは医療機関で相談するようにしてください。
「首筋の痛み」についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「首筋の痛み」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
首筋が痛いときはどのような湿布を使うと良いですか?
村上 友太(むらかみ ゆうた)医師
寝違え、筋肉痛、怪我による痛みのような場合は湿布が効果的です。
急に発症した痛みに対しては冷湿布が効果的です。一方で、慢性の痛みに対しては血行改善が期待できる温湿布が効果的です。
肩凝り(肩こり)が原因で首筋の痛みや頭痛が現れる場合は何科へ受診すべきですか?
村上 友太(むらかみ ゆうた)医師
肩こりが原因となって、日常的に頭痛が起きてつらい、仕事も手につかない場合は、まず市販の痛み止めを試してみましょう。それでも改善しなければ受診することを検討しましょう。
肩や首筋の痛みがメインであれば、整形外科で相談しましょう。頭痛がひどい場合には、脳神経内科や脳神経外科、頭痛外来を受診すると良いでしょう。
四十肩・五十肩と首筋の痛みには相互関係はありますか?
村上 友太(むらかみ ゆうた)医師
首筋の痛みといわゆる四十肩・五十肩の相互関係はあると思われます。
四十肩・五十肩というのは俗称で、正確には肩関節周囲炎といわれるものです。これは肩関節の周りに炎症が起こっているという状態で、具体的には肩関節を構成する腱板という部分に炎症が起こる腱板炎や、上腕二頭筋の一部に炎症が起こる上腕二頭筋長頭腱炎などが挙げられます。
そして、これらの痛みが首筋まで及ぶことや、頭痛の原因になることは考えられます。
四十肩・五十肩の状態では、肩関節の可動域が狭くなっていると考えられます。ご自身で、またはマッサージなどをうけ、徐々にほぐしてあげることが必要になります。
まとめ
首筋の痛みは多くの方が悩んでいる症状のひとつで、首の症状だけではなく頭痛の原因にもなります。日常の生活習慣が原因になることが多く、日ごろから上手に付き合っていく必要がある症状です。症状によっては、命に関わる病気が隠れている場合もあるため、注意が必要です。
普段と違う首筋の痛みには注意しながら、上手に症状をコントロールしていきましょう。
「首筋の痛み」で考えられる病気と特徴
「首筋の痛み」から医師が考えられる病気は15個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedicalDOCの解説記事をご覧ください。
整形外科の病気
- 変形性頚椎症
- 肩関節周囲炎(四十肩、五十肩)
首には、重要な血管や神経、多くの筋肉があるため、首筋の病気を発症する原因はさまざまあります。
「首筋の痛み」と関連のある症状
「首筋の痛み」と関連している、似ている症状は8個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについては詳細はリンクからMedicalDOCの解説記事をご覧ください。
「首筋の痛み」症状の他に、これらの症状がある場合も「緊張性頭痛」「流行性耳下腺炎」「外傷性頸部症候群」「椎骨動脈解離」「大動脈解離」「心筋梗塞」「亜急性甲状腺炎」「頸椎症」「頸椎椎間板ヘルニア」などの疾患の可能性が考えられます。
複数併発している場合は、なるべく早く医療機関への受診をおすすめします。
・日本整形外科学会HP
https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/spinal_disc_herniation.html
https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/whiplash_injury.html
・日本耳鼻咽喉科学会HP
http://www.jibika.or.jp/citizens/daihyouteki2/keibu_disease.html
・厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou11/01-05-27.html
・一般社団法人 日本内分泌学会
http://www.j-endo.jp/modules/patient/index.php?content_id=44
・日本医師会
https://www.med.or.jp/chishiki/zutsu/002.html
・参天製薬
https://www.santen.co.jp/ja/healthcare/eye/eyecare/stretch/index2.jsp