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鎖骨の痛みの原因は?考えられる病気・危険なケース・何科を受診すればいいかについても解説

突然鎖骨の痛みを感じたことはないでしょうか。実はさまざまな原因によって鎖骨の痛みが発生する可能性があります。

中には重い病気によるものではないのかと心配になる方もいるでしょう。実は鎖骨の痛む場所によって原因が異なります。

そこで本記事では鎖骨の痛みの原因についてご紹介します。考えられる病気・危険なケース・何科を受診すればいいかについても解説するので参考にしてください。

郷 正憲

監修医師
郷 正憲(徳島赤十字病院)

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徳島赤十字病院勤務。著書は「看護師と研修医のための全身管理の本」。日本麻酔科学会専門医、日本救急医学会ICLSコースディレクター、JB-POT。

鎖骨の痛みの原因は?

虫眼鏡を持った男性医師
鎖骨の痛みはさまざまな原因によって発症する可能性があります。その原因は、痛み方によって判別が可能です。何が原因で鎖骨の痛みが発症しているのかを見分けるためにも、ここでは鎖骨の痛みの原因をご紹介します。

鎖骨が痛いときの原因と治し方

鎖骨の痛み方には、鎖骨の左右のどちらかが痛む場合があります。その際の原因としては、次のようなものが代表的です。

・悪い姿勢
・長時間のデスクワーク
・リンパ節の腫れ

猫背などの悪い姿勢が続いていると、背中の筋肉が張り左右の肩甲骨の間が広がるため、背中の筋肉に凝りが現れるようになるのです。また、巻き肩になり大胸筋も凝りが現れやすくなります。首も前傾するような姿勢となるため、首筋から肩にかけての筋肉が緊張します。このように、首・胸・肩周りの筋肉の凝りが原因となることで鎖骨の痛みを感じることがあるのです。長時間のデスクワークも同様です。猫背などの姿勢になりやすくなることで鎖骨の痛みが生じます。また、長時間のデスクワークはストレートネックなどを引き起こす原因にも挙げられます。ストレートネックとは、通常湾曲している首の骨が真っすぐになっている状態です。この状態が続くと、首の凝りを引き起こすことで鎖骨の痛みを感じるケースがあります。リンパ節の腫れも原因のひとつです。鎖骨の下にはリンパ節があり、この部分が腫れてしこりができて痛みが伴うケースがあります。リンパ節が腫れる理由には、細菌やウイルスの感染や悪性リンパ腫などの可能性が考えられるでしょう。

ストレスで鎖骨が痛む場合

鎖骨の痛みは、ストレスが原因で生じる可能性もあります。ストレスが原因となり、さまざまな病気や体の不調を引き起こして鎖骨の痛みにつながるのです。ストレスを理由に発症したと考えられるものとしては、次のようなものが挙げられます。

・五十肩
・肩こり
・掌蹠膿疱症

五十肩肩こりは、血行不良が原因のひとつに考えられます。そして、血行不良を引き起こしている理由にストレスが関係しているのです。精神的ストレスを抱えると、自己免疫力が落ちたり自律神経が乱れたりするため、血行を悪化させてしまうのです。その結果、五十肩や肩こりを引き起こします。また、ストレスが原因となって発症する掌蹠膿疱症により、関節炎を引き起こして鎖骨の痛みにつながるケースもあります。掌蹠膿疱症とは、掌や足の裏に水ぶくれや膿が繰り返しできる病気です。その合併症で関節炎を発症するケースがあるのです。はっきりとした原因は分かっていませんが、ストレス以外にも喫煙や扁桃炎などが関係していると考えられています。

鎖骨の痛みがある時に考えられる病気

肩が痛む青いシャツの女性
鎖骨の痛みは、さまざまな原因によって発症するとご紹介しましたが、時には深刻な病気によって引き起こされているケースもあります。軽い痛みだと放置していては、病気の悪化を招く可能性もあるでしょう。そのようなトラブルにならないためにも、鎖骨の痛みがある時に考えられる病気をあらかじめ把握しておきましょう。

胸郭出口症候群

胸郭出口症候群とは、鎖骨の下あたりに位置する胸郭出口が何らかの原因によって圧迫や牽引されることによって発症する病気です。胸郭出口には神経や血管などの多くの器官が通っています。これらの器官が圧迫や牽引されることでさまざまな症状を引き起こすのです。痛み以外の主な症状としては、神経障害や血流障害を引き起こします。腕を上げる動作で上肢のしびれ・だるさ・痛みなどが伴い、ひどい場合には刺すような痛みを感じることもあるのです。特に重い荷物を持つ仕事の方や、なで肩の女性に発症しやすいと考えられています。また、頸椎捻挫や肩周辺の外傷によっても発症する可能性があります。

気胸

鎖骨の痛みを引き起こす病気としては、気胸も代表的です。この病気は、肺を包む膜に穴が空いてしまって肺の外側の胸腔内に空気が漏れてしまい、肺がしぼんでしまう病気です。発症の原因には、外傷性気胸自然気胸の2種類があります。外傷性気胸とは、交通事故や高所からの転落などによって、折れた肋骨が肺に刺さることで発症するケースです。また、自然気胸は続発性自然気胸原発性自然気胸に分けられます。続発性自然気胸とは、肺気腫・塵肺・間質性肺炎などの肺疾患をそもそも患っている方が気胸になるケースです。一方で原発性自然気胸は、肺疾患は患っておらず、肺表面にできた嚢胞が破裂して発症する気胸です。鎖骨の痛み以外には、重症な場合に呼吸困難になるケースもあります。若い痩せ型の男性に多くみられる病気です。また、女性にも注意が必要な気胸があります。月経随伴気胸と呼ばれるもので、比較的若い女性にみられる病気です。生理前後に発症する気胸で、横隔膜まで子宮内膜症が広がり、生理の時に横隔膜に穴が開いて空気が胸腔に入ることで発症します。

悪性リンパ腫

悪性リンパ腫によって鎖骨が痛むケースもあります。悪性リンパ腫とは、白血球内のリンパ球という細胞が癌化したものです。通常、リンパ球には病原体などから体を守る働きがあります。しかし、何らかの原因によりリンパ球が癌化して増殖してしまうと、リンパ節が腫れて次第に大きくなり痛みを伴うのです。また、癌のリンパ節転移にも注意が必要です。体の他の部分で癌を発症し、鎖骨のリンパ節に転移している可能性があります。この時にも鎖骨の痛みやしびれを引き起こす可能性があるのです。右の鎖骨近くのリンパ節が腫れている場合には、肺・食道・胃などの消化器系に転移している可能性があるでしょう。左の鎖骨近くのリンパ節が腫れている場合には、胃や膵臓などの腹部に転移している可能性があります。

鎖骨の痛みで危険なケースはどんなとき?

グレーのシャツの左肩
鎖骨の痛みの原因についてご紹介しました。しかし、痛みを感じた際に、深刻な病気によるものではないと考えてしまう方は少なくありません。しかし、先述したような危険な病気の可能性もあります。重い病気による痛みなのかを見極めるためにも、鎖骨の痛みで危険なケースについてご紹介します。

痛みが増していく

鎖骨の痛みで危険なケースとしては、痛みが増していく時です。鎖骨の痛みは一時的なケースが多いです。しかし、痛みが長引いたり徐々に増したりする場合は、何かしらの病気が悪化している可能性があります。例えば、先述したような五十肩の場合でも、関節の炎症が長引くと痛みが次第に増していきます。隠れた病気の悪化を招く可能性があるため、痛みが増している場合には、すぐに医療機関を受診しましょう。また、痛みに関しては、突然の痛みを感じた時にも注意が必要です。突然生じることは危険なケースが多いです。これまでなんともなかったのに、突然痛むような場合もすぐに受診しましょう。

息苦しさがある

息苦しさがある場合も注意が必要です。この症状が現れる際には、気胸や悪性リンパ腫などの病気の可能性があります。一時的な鎖骨の痛みであれば、息苦しさなどを伴うことはほとんどありません。しかし、息切れがしたり呼吸がしにくかったりなどの症状が現れた場合には、他の病気にかかっている可能性があり大変危険です。

鎖骨周辺にしこりがある

鎖骨周辺にしこりがある場合も、危険なケースのひとつです。しこりがある場合は、リンパ節の腫れが考えられます。リンパ節の腫れは、細菌やウイルスの感染によって引き起こされています。また、悪性リンパ腫の可能性もあるでしょう。その場合は、癌化したリンパ球の増殖が考えられるため早期治療が必要です。

鎖骨の痛みは何科を受診すればいい?

驚いている医師
肋骨の痛みを自覚した際の受診すべき診療科目は、症状によって異なります。しびれや痛みなどの症状であれば、整形外科を受診しましょう。しかし、痛みだけでなく息苦しさなどを伴う場合には、呼吸器外科などの受診が必要です。また、鎖骨の周りにしこりが確認できた場合には、内科や血液内科などを受診するといいでしょう。

「鎖骨の痛み」についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「鎖骨の痛み」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

鎖骨の痛みとストレスは関係がありますか?

村上 友太(むらかみ ゆうた)医師村上 友太(むらかみ ゆうた)医師

鎖骨の痛みがストレスと関係することもあると考えられています。
ストレスが多い生活を送ると、自己免疫力が落ちたり、自律神経が乱れて血流が悪くなり、五十肩(肩関節周囲炎)や肩こりの原因となってしまう可能性があります。鎖骨に痛み、凝り、違和感を生じることもあります。
痛みが出てしまった場合は、鎮痛成分のある湿布薬を活用するなどの対処法がありますが、良くならない場合は整形外科を受診しましょう。
日頃から睡眠を十分にとり、バランスの良い食事を取り、無理のない範囲で適度な運動を取り入れ、ストレスが溜まらないよう気をつけましょう。筋肉の疲れをとるビタミンB群、血行を良くするビタミンE群を含む食事を心がけましょう。
冷房などで体を冷やしすぎないようにすることや、同じ姿勢を長く続けないようにすることも重要です。

朝起きたら鎖骨が痛い場合の対処法を教えてください。

村上 友太(むらかみ ゆうた)医師村上 友太(むらかみ ゆうた)医師

朝起きたら鎖骨が痛い場合は、寝違えや関節リウマチの可能性が考えられます。
寝違えであれば、痛む方向に動かさないようにしましょう。数時間から数日で痛みが改善していくことが多いのですが、痛みが強い場合や痛みが続く場合は、別の病気の可能性がありますので、整形外科を受診しましょう。
関節リウマチは朝にこわばりや痛みが見られることが多いです。30-40代の女性に多く発症し、貧血や微熱が出ることもあります。関節リウマチは自己免疫疾患の一つであると考えられており、病院での検査・治療が中心となります。早めに整形外科・リウマチ科を受診しましょう。

鎖骨が痛くてひびが入っているかもしれない場合は何科を受診したら良いですか?

村上 友太(むらかみ ゆうた)医師村上 友太(むらかみ ゆうた)医師

肩や腕を打った後に鎖骨に痛みが残っているなど、骨折が疑わしい場合は患部を触らずに安静にし、早めに整形外科を受診しましょう。

まとめ

肩の不調を相談する女性
鎖骨の痛みは、肩こりなどによって誰しも発症する可能性がある症状です。しかし、中には関節の炎症といった病気の可能性もあります。

また、中でも気胸や悪性リンパ腫は危険度の高い病気です。症状としては、鎖骨の痛みだけではないため、違和感を感じた場合にはすぐに医療機関を受診しましょう。

何気ない痛みだと思う方も多いですが、中には恐ろしい病気が悪化しているケースもあるため注意が必要です。

「鎖骨の痛み」で考えられる病気

「鎖骨の痛み」から医師が考えられる病気は22個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedicalDOCの解説記事をご覧ください。

整形外科の病気


内科の病気


皮膚科・呼吸器科の病気

  • 掌蹠膿疱症性関節炎
  • 自然気胸
  • 緊急性気胸

鎖骨の痛みということで、主に骨の部分が痛むので整形外科の病気が多くなりますが、内科的に早めに治療を要する病気も考えられます。

「鎖骨の痛み」に似ている症状・関連する症状

「鎖骨の痛み」と関連している、似ている症状は9個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについては詳細はリンクからMedicalDOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

「鎖骨の痛み」症状の他に、これらの症状がある場合「胸郭出口症候群」「悪性リンパ腫」「がんのリンパ節転移」「気胸」「肩関節周囲炎」「掌蹠膿疱症」「関節リウマチ」「鎖骨骨折」などの疾患の可能性が考えられます。
複数併発している場合は、なるべく早く医療機関への受診をおすすめします。

この記事の監修医師