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「寝違え」たときにしてはいけないことはご存知ですか?医師が監修!

 更新日:2023/03/27
「寝違え」たときにしてはいけないことはご存知ですか?医師が監修!

朝起きたとき、首や肩に異常な痛みを感じたことはありませんか。これが寝違えで、首を動かすことも難しくなります。

今回はこの寝違えについて解説していきましょう。そもそも寝違えは病気といえるのでしょうか。

疑問を持つ人も多いので、寝違えたときの対処法や寝違えの治し方についても紹介しています。

また寝違えを起こさないための注意点なども解説しているので参考にしてください。

甲斐沼 孟

監修医師
甲斐沼 孟(上場企業産業医)

プロフィールをもっと見る
大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。

寝違えとは

相談する女性

よくある寝違えは病気なのでしょうか?

寝違えは、寝ているときの姿勢などにより朝起きたときに生じる首から肩にかけての痛みをいいます。メカニズムなど詳細は明らかではありませんが、よくある症状で誰でも1度は経験したことがあるのではないでしょうか。原因についても諸説ありますが寝違えは怪我とはいえず、やはり軽い病気の1種であるといえるでしょう。

寝違えの原因を教えて下さい。

寝違えの原因についてはさまざまな意見や説があるのですが、正確なところは解明されていません。ただ次のようなことが原因で起こりやすくなるのではないかと考えられます。

  • 睡眠中の不自然な姿勢
  • 前日に無理をしたことによる筋肉の痙攣
  • 前日同じ姿勢を続けた
  • 頚椎の関節包(関節を包んでいる膜)の炎症

睡眠中に寝返りをすることなく、同じ姿勢や不自然な姿勢でいると一部の筋肉に血液が流れなくなり、痛みの原因となることがあります。また日頃行わない運動や労働を長時間したことにより、筋肉が痙攣(こむら返り)をおこした状態とも考えられます。過度な運動や長時間同じ姿勢での仕事は、筋肉の疲労や頚椎の関節包の炎症を引き起こす可能性があるのです。これらのことが翌朝の寝違えの症状となって現れる原因の1つといえます。

寝違えの痛みに特徴はありますか?

寝違えは朝起きたときに激しい痛みを感じ、首を動かせない、首から肩にかけての痛みが特にひどく横を向くこともできないほどです。
筋肉痛のような強い痛みが寝起きに現れるのが、寝違えの痛みの特徴です。痛みは徐々に改善していき、数日で通常に戻ります。

寝違えはどのようなときに発症しやすいのでしょうか?

寝違えの多くは寝ているときの状態によって起こります。寝返りをうつことなく同じ姿勢で寝入ってしまった場合などの朝、寝違えの症状が起こることが多いのです。
また数日仕事で同じ姿勢をとることが多く首に負担をかけ続けたり、過度な運動を行ったりした場合にも寝違えを発症しやすくなります。またアルコールを過度に摂取した場合など寝返りできないほど熟睡して、翌日寝違えを発症してしまうこともあります。

寝違えの対処法や治し方

医師

寝違えて痛めてしまった場合、病院を受診した方が良いのでしょうか?

寝違えの痛みは数日で治まるのが一般的で、痛みは徐々に弱まっていき数日で通常に戻ります。その場合には受診の必要はないでしょう。
ただ痛みが異常に強い・数日経っても治まらない・より強くなったなどの場合は、他に病気が潜んでいる可能性もあるので整形外科を受診してください。そして整形外科では次のようなことから寝違えかどうかを診断します。

  • レントゲン撮影
  • 手足のしびれ
  • 手足の動き
  • 深部反射(ハンマーでの反射反応)

特に異常がない場合はそのまま様子を見ますが、気になる症状があればさらに詳細な検査を行います。寝違えと間違いやすい病気には主に次のようなものがあります。

  • 頚椎椎間板ヘルニア
  • 頚椎症性神経根症
  • 頚椎症性脊髄症
  • 強直性脊椎炎

他にも思わぬ病気が潜んでいることもあります。また肩こりから寝違えのような症状が出てしまった場合もあるのです。自己判断せずに受診して、はっきり寝違えと診断されれば安心できるのではないでしょうか。

寝違えたときにしなければならないことはありますか?

寝違えたときには、まず無理に動かそうとせず安静にしてください。炎症や痛みを抑える効果のある湿布薬を痛む部分に貼るのもよいでしょう。また内服の鎮痛消炎薬も有効です。
軽いマッサージは有効な場合もありますが、時間をかけて強いマッサージを行うのはやめましょう。筋肉の痙攣に効果のある漢方薬などもあります。効果を見ながらいろいろと試すためにも、できれば整形外科を受診して治療方法を決めるようにしましょう。

寝違えが治るまでにどのくらい掛かりますか?

寝違えてから症状が治まるまでの期間は人によって、またそのときの症状によって違います。
数時間で治まる場合もあれば1週間近く痛みが続くときもあるのです。少しずつ痛みが軽減され数日で治るというのが寝違えの痛みの特徴ですが、痛みがだんだん強くなる、数週間経っても痛みが続くときには受診が必要です。

早く治す治し方はありますか?あれば教えて下さい。

寝違えを早く治す方法としては、消炎鎮痛効果のある湿布薬を痛む部分に貼ることや鎮痛消炎薬を飲むなどが挙げられます。ただこれは一時的に痛みを抑える方法なので、治るまでにはやはり数日必要になるでしょう。
筋肉や筋膜に直接局所麻酔を注射する方法などもあります。整形外科では、さまざまな方法の中から症状に合った治し方を提案できるので相談されるとよいでしょう。

寝違えのときの注意点と予防方法

注意

寝違えたときにしてはいけないことなど注意点を教えて下さい。

寝違えは誰でも経験したことのある疾病で、痛みが強いために何とか早く痛みを鎮めたいと強くマッサージを行ったり痛む首を動かしたりしがちです。
しかしそれは返って逆効果のことが多いのです。寝違えたときにしてはいけないことがいくつかあります。挙げてみましょう。

  • 無理に痛む箇所を動かさない
  • 痛む箇所を強く揉むなどしない
  • 過度なストレッチなども行わない
  • 寝違えの症状に合っていない湿布を使う

痛むからといって動かさないのはいけないと思い無理やりに動かそうとする人がいますが、却って痛みが強くなってしまうこともあります。同様に強いマッサージや過度なストレッチもよくありません。
マッサージやストレッチは軽く無理のないように行ってください。寝違えの症状によって湿布も選ぶ必要があるので湿布薬は処方されたものを使うようにしましょう。

よくマッサージが良いと聞くのですがしない方が良いのでしょうか?

血流が悪くて首や肩が痛い場合には、マッサージが有効なこともあります。ただ強くすると逆効果で痛みがひどくなることもあるのです。状態を見ながら弱めのマッサージを行うことが必要です。自己判断で行うのではなく医師に相談するなど充分に注意して行ってください。

痛みが強い場合、どのように対処したら良いですか?

寝違えで痛みが強い場合には、鎮痛剤を服用して痛みを抑えることも効果的です。しかし、痛みが強い場合寝違えではなく別の病気のことも考えられるので、整形外科を受診して診断を受けることも考えてください。
寝違えだからといって安易に考えないで、しっかりと対処することが大切です。とはいえ痛みが強い場合は少しでも早く何とかしたいものです。
筋肉の痙攣で症状が出ているなら、筋肉や筋膜に局所麻酔を注射する方法で症状が比較的早く改善することもあるので、受診時に相談してください。

寝違えを予防する方法があれば知りたいです。

寝違えの予防の1つに体を柔軟に保つこと、そして就寝中の充分な寝返りができるということがあります。そのためには寝具やパジャマにも工夫が必要です。
ゆったりとしたパジャマ・体が沈み過ぎない寝具・寝返りをしやすい枕などを使用しましょう。そして就寝前に過度にアルコールを摂取したり、同じ姿勢で長時間仕事を行ったりしないことも予防につながります。
なぜなら飲み過ぎや疲れていることで寝返りも打てないほど寝入ってしまうことが寝違えの原因となることがあるからです。寝違えの原因になりそうなことをできるだけ排除することが、寝違えの予防となるのです。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

朝起きると、突然首から肩にかけて激しい痛みに襲われるのが寝違えです。首が動かせないほどの痛みは本当に辛いものです。
寝違えの原因はまだ明らかになっていませんが、とにかく無理に動かそうとせずに安静にしながら痛みが治まるのを待ちましょう。痛みが強くなる、長く続くという場合は他の病気が潜んでいる場合もあるので必ず整形外科を受診し診断を受けてください。

編集部まとめ

女医
比較的多くの人が経験する寝違えについて解説しました。寝違えは痛みが激しいので少しでも早く痛みをやわらげたいと誰もが考えます。

その結果、自己判断から間違った対処をしてしまいかえって痛みを増長させることもあるのです。

痛みが強い場合や長引く場合には整形外科を受診して診断を受けるとともに、痛みをやわらげる方法なども相談しましょう。

痛みが治まったら寝違えを予防するためにも、就寝環境を快適にする工夫についても考えてみてください。

この記事の監修医師