「左肩が痛む」原因はご存知ですか?医師が徹底解説!
左肩が痛い時、身体はどんなサインを発しているのでしょうか?Medical DOC監修医が考えられる病気や何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。
監修医師:
柏木 悠吾 医師
「左肩が痛い 」症状で考えられる病気と対処法
肩は日常の様々な動作の中で特に動かすことの多い部位です。
肩が痛いとき、肩まわりの筋肉や骨の異常だけでなく、心臓や首など他の部位の異常が肩に現れてくることもあります。適切な予防方法や病院受診の目安を学んでいきましょう。
左肩が痛い症状で考えられる原因と対処法
左肩を動かしたときに痛みがあるとき、肩関節周囲炎という病気の可能性があります。肩関節周囲炎は、一般的に言う「四十肩」「五十肩」のことを指します。
肩関節周囲炎では、片方の肩の痛みがあり、痛い方の肩を下にして寝ることができない、という人が多いです。
肩周りの筋肉で炎症(上腕二頭筋腱炎、腱板炎)が起きてくるとこのような症状が現れます。
治療は、痛み止めの飲み薬や貼り薬を使用します。また、肩への注射も効果的なことが多いです。痛みを抑えながら、肩を動かすようにリハビリすることをおすすめします。肩の痛みが改善しない場合には、整形外科への受診を検討しましょう。
左肩がズキズキ痛い症状で考えられる原因と対処法
左肩がズキズキ痛いとき、肩関節周囲炎の他に、腱板損傷という病気の可能性もあります。
腱板という、肩まわりのいくつかの筋肉が肉離れを起こすことを、腱板損傷といいます。筋肉が断裂までしている場合は腱板断裂といいます。
腱板断裂は、遠くに手を伸ばそうとしたときや、夜寝ている時の肩のズキズキした痛みが特徴です。
診断にはMRI検査が必要なことも多いため、MRIが撮影できる整形外科を受診すると、診断及び治療がスムーズにすすみます。
ストレスで左肩が痛い症状で考えられる原因と対処法
日常生活でストレスが多い時期に左肩の痛みが出現する方がいます。
ストレスにより、自律神経が乱れ、血流不全が起きることで頭痛や肩痛などをきたしてくる可能性があります。
一番の治療法はストレスの除去ですが、すぐにストレスを0にすることは難しいでしょう。痛み止めは湿布などで痛みを抑えながら、少しずつストレスに対応していくことが重要です。
急に左肩が痛い症状で考えられる原因と対処法
急に左肩が痛くなったとき、心筋梗塞や狭心症など心臓の病気が隠れていることもあります。心臓の異常が、左肩の痛みや、歯・みぞおちなど心臓周辺の臓器の痛みとして現れてくることがあるのです。
高血圧や糖尿病、脂質異常症(高コレステロール血症)などの病気がある方は、心筋梗塞や狭心症を起こす可能性が高くなります。主な診療科は循環器内科です。
痛みが激しいときや階段を上って息が上がるときに症状が悪くなるような場合は、急いで救急車で病院を受診することをおすすめします。
左肩の痛みが取れない・痛みが続く症状で考えられる原因と対処法
左肩の痛みが長引いて取れないときは、首が原因かもしれません。
頚椎症という首の病気では、首の痛みだけでなく、肩や肩甲骨などに痛みが現れることがあります。
首や肩が痛くて、上を向けない、洗濯物を干せないなどの症状が特徴です。
頚椎症の場合、まずは安静にすることが症状を落ち着かせるためには重要です。枕の高さを高めにするのも効果的で、低い枕を使用している方は、タオルを引くなどして高くすると良いでしょう。
症状が強い場合は整形外科を受診し、痛み止めや注射で治療されることが多いです。手術を要する場合もあります。治療の初めから手術となる場合は多くなく、怖がらずにまずは整形外科で相談することをおすすめします。
すぐに病院へ行くべき「左肩が痛い」に関する症状
ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。
前触れのない急な肩痛の場合は、循環器内科へ
心筋梗塞や狭心症の典型的な症状は前胸部の重苦しい痛みです。しかし、急な左肩の痛みや、歯・みぞおちなど心臓周辺の臓器の痛みは心臓の異常のサインとして現れてくることがあります。
心筋梗塞や狭心症は、生活習慣病(高血圧や糖尿病、脂質異常症など)がある場合に、発症する可能性が高くなるため注意が必要です。
左肩の痛みが急に激しく感じる場合は、急いで救急車で循環器内科のある病院を受診することをおすすめします。
受診・予防の目安となる「左肩が痛い」症状のセルフチェック法
- ・左肩を下に向けて眠れない
- ・夜、肩の痛みで目が覚める
- ・痛みが1週間以上続いている
- ・左肩以外に歯・みぞおちが痛い
- ・左肩以外に首・肩甲骨がいたい
- ・肩が痛くて腕を背中にまわせない
- ・首を上に向けるのがきつい
- ・シャンプーが痛くてできない
「左肩が痛い」症状が特徴的な病気・疾患
ここではMedical DOC監修医が、「左肩が痛い」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
狭心症・心筋梗塞
狭心症や心筋梗塞といった、怖い心臓の病気が肩の痛みを引き起こすこともあります。
肩の痛みだけでなく、腕の傷みや胃のあたりに痛みが出る場合もあり、これを放散痛といいます。
狭心症、心筋梗塞は心臓を栄養している血管の血流が悪くなり、脂汗が出るような強い胸の痛みが出ることが典型的です。胸の痛みを起こす病気は他にもさまざまありますが、放散痛を伴っている場合は、特にこれらの病気が疑わしくなるため、急いで循環器内科を受診したほうが良いでしょう。
腱板断裂
腱板断裂とは、本来上腕の骨と肩甲骨との間につながっているいくつかの腱が切れてしまう状態です。肩の痛みもありますし、肩に力が入りづらい、腕も回しづらいといった症状が現れます。
治療法は、どの程度痛みが続いているのか、断裂度合い(筋肉の状態)などによります。完全に断裂している場合には、手術を要しますが、痛み止めやリハビリ治療を選択することもあります。超音波検査やMRI検査を用いて詳しく診断することになります。治療方針は整形外科の医師とよくご相談ください。
「左肩が痛い」ときの正しい対処法は?
左肩が前触れ無く痛くなったとき、心筋梗塞などの心臓が原因であることがまれにあります。特に高血圧や糖尿病、脂質異常症などがもともと指摘されている方は注意が必要です。
肩関節周囲炎や腱板損傷など、肩周りの筋肉が原因の場合は市販の痛み止めを飲んで疼痛がやわらぎます。カロナールやロキソニンSなどがあります。
ロキソニンパップなどの貼り薬、アンメルツヨコヨコなどの塗り薬でも痛みは改善します。
ストレッチやマッサージは行っても構いませんが、痛みを我慢しながら無理には行わない方が良いでしょう。スポーツなども一度、整形外科で診断を受けてから再開するのが望ましいです。
痛みが出たらすぐに肩を冷やしてあげましょう。数日から1週間たっている場合は温めるほうが効果的な事が多いです。
日常生活では、定期的な運動で肩をしっかり動かして起きましょう。
四十肩や五十肩では、あまり肩を休めすぎると「拘縮(こうしゅく)」といって、肩が固まってしまいますので、少しずつ動かしておくほうが後々の生活で困らないでしょう。
「左肩が痛い」についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「左肩が痛い」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
突然左肩が痛くなったら何科の病院にかかるべきでしょうか?
柏木 悠吾 医師
突然の左肩痛では、心臓の病気が隠れていることがあります。循環器内科を受診することをおすすめします。
左肩の肩甲骨の周囲が痛いのは肩こりでしょうか?
柏木 悠吾 医師
肩甲骨周囲が痛むとき、肩こりによる痛みの可能性もありますが、頚椎症といって首が原因の場合もあります。整形外科でご相談ください。
左肩と左脇が痛いのですが、原因と考えられる病気を教えてください。
柏木 悠吾 医師
左肩、左脇が痛むときも頚椎症といって首が原因の場合もあります。整形外科でご相談ください。
左肩の痛みは右利きの人に多いのでしょうか?
柏木 悠吾 医師
右利きの肩が特に左肩を痛めやすいということはありません。痛みが続くときは整形外科を受診しましょう。
まとめ
肩の痛みはだれでも経験する可能性のある非常に多い症状です。
しかし、心筋梗塞などの怖い病気が隠れている場合もあり注意が必要です。
肩の痛みが続くようなときは、まずは整形外科でご相談ください。
「左肩が痛い」で考えられる病気と特徴
「左肩が痛い」から医師が考えられる病気は7個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
整形外科の病気
- 肩関節周囲炎(四十肩・五十肩)
- 腱板損傷
- 腱板断裂
- 頚椎症
整形外科に関わる病気が多いのですが、頻度は低いながらも心臓の病気が原因という可能性もありますので注意が必要です。
「左肩が痛い」と関連のある症状
「左肩が痛い」と関連している、似ている症状は7個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
「左肩が痛い」他に、これらの症状が見られる際は、「肩関節周囲炎」「心筋梗塞」「緊張型頭痛」「頚椎症」「腱板損傷」などの疾患の可能性が考えられます。前触れなく急に痛みが出現した場合は、早めに医療機関へ受診しましょう。