「妄想」の種類・原因・考えられる病気はご存知ですか?医師が監修!

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監修医師:
伊藤 有毅(柏メンタルクリニック)
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専門領域分類
精神科(心療内科),精神神経科,心療内科。
保有免許・資格
医師免許、日本医師会認定産業医、日本医師会認定健康スポーツ医
精神科(心療内科),精神神経科,心療内科。
保有免許・資格
医師免許、日本医師会認定産業医、日本医師会認定健康スポーツ医
妄想性障害とはどのような病気?

妄想の内容はそこまで奇抜なものではないのが一般的で、嫌がらせをされている・相手から好意を抱かれている・毒を盛られたといった現実にも起こりうることが多いとされています。妄想のほかには症状がないのが一般的で、通常は、行動などには特に問題がみられません。そのため妄想以外にも症状がみられる場合には、別の病気が隠れている可能性もあるでしょう。
妄想だけではなく幻覚も強い場合には統合失調症の可能性があります。また、良く眠れない・趣味を楽しめなくなった・好きだった食べ物がおいしく感じないといったことが2週間以上続くような場合には、うつ病などの精神疾患の可能性もあるため注意が必要です。他の病気を発症しておらず妄想性障害だけの場合は、社会生活を問題なく送れることが多く、仕事にも影響しないことが多いでしょう。
好発する年齢は既に人格が形成された50~60代くらいだとされており、人格レベルの低下などはあまりみられないといわれています。妄想性障害の患者は、自分の妄想の内容が事実だと思っています。そのため自主的に病院を受診するケースは少ないのが実情です。家族などに連れられて病院を受診し、治療を受けるケースが多いでしょう。
患者は医師や周りの人に対して不信感を持っていることも多く、治療のために説得をしても応じようとしないケースもあるでしょう。円滑に治療を進めるためには患者に丁寧に接することを心掛け、患者と医師との間で信頼関係を築くことが大事です。
妄想性障害で起こる妄想の種類

この5つのほかにも、自分を過小評価して価値や能力が低いと思い込んでしまう微小妄想や、自分に何かが憑りついているなど外部から支配されていると感じる被影響妄想などもあります。また、統合失調症でも妄想がみられることが多いですが、妄想性障害の妄想と統合失調症の妄想は少し違いがあります。
統合失調症による妄想は突飛で通常ではあり得ない内容が多く、妄想性障害の妄想はどちらかといえば現実的なものが多いといえるでしょう。それではこちらで、妄想性障害で起こる主な5種類の妄想について、それぞれの特徴を詳しくみていきましょう。
被愛型
被愛型とは相手から愛されているという妄想を抱く型です。多くのケースでは、自分よりも地位が上の人が自分に対して好意を持っていると思い込んでしまいます。相手が否定をしても、周りに知られたくないために否定していると考えるなど逆説的行動をとることも多いです。女性に多いとされており、相手が自分の愛に応えないと恨みを持ったり、ストーカー行為に発展したりすることもあります。被愛型の患者は、どちらかといえば社会で孤立していることも多く、引きこもりがちな人が多いと考えられています。
誇大型
自分の能力や価値などを過大に評価する妄想を抱きます。自分は重大な発見をした・高貴な一族の出身だ・卓越した才能を持っているなどと信じ込んでいるのが特徴です。また、自分は選ばれた人間だ、預言者だなどと信じ込んでしまうケースもあります。嫉妬型
恋人や配偶者などが不貞行為をしていると思い込んでしまい、激しく嫉妬をするのが特徴です。通常は男性に多いとされており、突然発症することもあります。嫉妬型は、妄想性障害だけではなく認知症でも良くみられる妄想の1つです。被害型
妄想性障害の典型的なタイプで、自分に何かしらの被害が及ぶという妄想を抱くのが特徴です。他人から嫌がらせをされている・物を盗まれる・毒を盛られるなどと思い込んでしまいます。また、テレビのニュースなどの本来は全く自分が関係ない出来事を自分のことだと思い込んでしまう関係妄想と呼ばれるものも、被害妄想の1つといえるでしょう。相手への不満や怒りなどから、攻撃的になるケースもあります。被害型の妄想は認知症でも起こることがあります。認知症による妄想は物盗られ妄想などの現実的なものが多く、対象も身近な人などはっきりしているケースが多いです。
身体型
体臭や口臭などが強く自分の身体から異臭が発生していると思いこんだり、寄生虫がいると思いこんだりするなど、身体的機能や感覚などに関係した妄想が特徴です。また、身体の形態に異常がある・バランスが不均一・一部が肥大しているなどと思い込んで醜形妄想を抱いてしまうケースもあります。妄想性障害の原因

遺伝的要因
妄想性障害の原因は今のところ不明だとされていますが、妄想性障害を発症している患者の家族の中に妄想性障害の人がいる確率が高いといわれています。つまり、妄想性障害が発症する原因の1つとして遺伝的要素が関係していると考えられるでしょう。身体的虐待
妄想性障害は、妄想性パーソナリティ障害の人にも起こることがあります。妄想性パーソナリティ障害とは、相手に対する根拠のない妄想によって相手に警戒心を持ってしまう症状のことです。相手が自分を陥れるのではないか・利用されるのではないかといった不安を持ってしまい、その結果、人間関係をうまく築けなくなります。妄想性パーソナリティ障害で妄想性障害の症状がみられる場合、幼少期の身体的虐待などが原因になっているケースも考えられるでしょう。
すぐに病院に行った方が良い「妄想」症状は?
妄想のために興奮・緊張が激しく、自分を傷つけたり、他人に危害を与える可能性の高い場合には、すぐに病院受診しましょう。行くならどの診療科が良い?
主な受診科目は、精神科です。 問診、診察、画像検査(CTやMRIなど)などを実施する可能性があります。病院を受診する際の注意点は?
持病があって内服している薬がある際には、医師へ申告しましょう。 患者本人の様子をよく知る人と一緒に受診してください。身近で見ている人だからこそ気づくことが、診断するための重要なヒントになる事があります。治療をする場合の費用や注意事項は?
保険医療機関の診療であれば、保険診療の範囲内での負担となります。まとめ
