認知症 (1/9ページ)

認知症は特定の病名ではなく、脳の病気や障害により認知機能や生活機能が低下した状態です。認知機能の低下によって日常生活や仕事に支障をきたしてしまいます。認知症は、2025年には日本人の約19%にあたる675万人が発症すると推定されており、まさに「国民病」とも言えるでしょう。
ここでは「データで分かる認知症の現状と今後」「近年、注目を集めているMCI」「認知症の予防・対策」などについて解説します。「認知症のリスク予測ができるチェックリスト」もあるので、ぜひ活用してみてください。
けっして他人事にはできない認知症についての知識を深めて、予防や進行抑制に努めましょう。
認知症の基礎知識
認知症にはいくつか種類があり、記憶力の低下が主な症状となる「アルツハイマー型認知症」が代表的です。そのほかに、幻視により認知機能の変動が目立つ「レビー小体型認知症」、性格が変わって非常識な行動をとりやすくなる「前頭側頭型認知症」、脳梗塞を原因で発症する「血管性認知症」などもあります。認知症の主な原因は、「脳細胞の異常な変化」「脳卒中」「頭のケガ」などが挙げられます。
認知症の症状としては、下記が挙げられます。老化と見分けがつかないこともあり、早期では見逃してしまう可能性がある点に注意です。
- 物忘れが激しい
- 時間や場所がわらない
- 判断力の低下
- 新しいことを覚えられない
- 身の回りのことができない
- 怒りっぽくなる
- ふさぎ込む
- 誰かに自分のモノを盗られたと思い込む
- 今まで苦労なくできていたことに時間がかかってしまう
最近注目されている「MCI」とは?
本人や周囲の人が認知機能の低下を自覚しているものの、日常生活に支障がない状態を「MCI(Mild Cognitive Impairment:軽度認知障害)」と言います。MCIの状態から認知症に進行をしていくにつれ、日常生活での支障が増えてきます。ただし、MCIは健常な状態と認知症の中間の状態であり、認知症に進行したり、反対に健常な状態に戻ったりする可能性もあります。
データで見る認知症




認知症の予防・対策
多くの研究で報告・推奨されている認知症の予防法がいくつかあります。
運動習慣を身につける
定期的な身体活動は、アルツハイマー型認知症の発症を抑制すると報告されています。研究によると、積極的な運動習慣を持つ人は、運動習慣のない人と比べて認知症リスクが約0.62倍に低下することが示されています。
余暇活動をする
余暇活動、つまり趣味を見つけて、それに時間を使うことも認知症予防に有効です。余暇活動は、知的要素(ゲーム、囲碁、麻雀、映画・演劇鑑賞など)、身体的要素(スポーツなど)、社会的要素(友人と会う、ボランティア、旅行など)などが挙げられます。これらの活動を通じて社会との関わりを持ち、新しい刺激を受けることで、認知症の発症抑制に効果的であるという報告があります。
アルコールを控える
認知症予防のためには、アルコール摂取を控えることが重要です。特に長期間にわたるアルコールの摂取は、脳に悪影響を及ぼし、記憶や判断力の低下を引き起こすリスクがあります。適量だとしても認知症のリスクを高める可能性があるため、飲酒習慣を見直しましょう。
動脈硬化対策をする
血管性認知症の予防には、動脈硬化に対する対策が必要です。高血圧、脂質異常症、糖尿病などの疾患が指摘されたことがある場合は、放置せずに医師の診察を受けて、適切な治療をおこなうことが重要です。
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監修医師からのコメント:
田頭 秀悟先生(たがしゅうオンラインクリニック)
認知症は、高齢化に伴い近年増加傾向にある病気です。一方で、自分では自覚することが難しく、家族が感じた違和感を契機に発見されることも珍しくありません。特にもの忘れによって生活に支障を感じる場合などは、第三者からの目線で見てどうであるかについて意見をもらうことも重要です。認知症チェックリストもそのうちの一つとして活用してみてください。ただし、あくまでもチェックリストの結果は目安に過ぎず、絶対的なものではありません。心配な場合は医療機関や市町村の地域包括支援センターなどで相談することを検討しましょう。
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そして何より、認知症は予防が大事です。最近は運動や栄養の重要性が指摘されるようになっています。身体を作るタンパク質(肉、魚、卵など)を十分に摂取し、散歩や体操などの無理のない運動を日頃から取り入れてみたり、十分な睡眠時間を確保したり、規則正しい生活を送ることで認知症を予防していきましょう。