FOLLOW US

目次 -INDEX-

  1. Medical DOCTOP
  2. 症状から調べる
  3. 心臓・血管
  4. 「汗が止まらない」原因は?取れる対策・考えらえる病気を医師が解説!

「汗が止まらない」原因は?取れる対策・考えらえる病気を医師が解説!

汗が止まらない時、身体はどんなサインを発しているのでしょうか?Medical DOC監修医が考えられる病気や何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

村上 友太 医師

監修医師
村上 友太 医師(東京予防クリニック)

プロフィールをもっと見る
医師、医学博士。福島県立医科大学医学部卒業。福島県立医科大学脳神経外科学講座助教として基礎・臨床研究、教育、臨床業務に従事した経験がある。現在、東京予防クリニック院長として内科疾患や脳神経疾患、予防医療を中心に診療している。
脳神経外科専門医、脳卒中専門医、神経内視鏡技術認定医。日本認知症学会、抗加齢医学会、日本内科学会などの各会員。

目次 -INDEX-

「汗が止まらない」症状で考えられる病気と対処法

汗が止まらない症状で考えられる病気には、熱中症や更年期障害がよく知られていますが、感染症や甲状腺の病気、糖尿病などさまざまな可能性があります。運動後や緊張時に大量の汗が出て生活に支障をきたす多汗症というものもあります。それぞれの病気とその対処法についてご紹介します。

汗が止まらない症状で考えられる原因と治し方

汗が止まらない場合には、結核などの感染症、更年期障害やバセドウ病などの内分泌疾患、糖尿病などが原因として考えられます。また向精神薬などの薬の副作用でも全身に多くの汗がみられます。
発汗は体温を下げるための体の機能で、暑いときや運動をすると上がった体温を下げるために汗がでる温熱性発汗、緊張した時に手のひらや足の裏などに発汗する精神性発汗、辛いものを食べた時に鼻などに汗をかく味覚性発汗などがあります。
発汗を止めるには、制汗効果のある塩化アルミニウム製剤を患部に塗ることが有効ですが、もし病気が原因の場合はその病気の治療が必要です。疑わしい場合は皮膚科や内科を受診しましょう。

急に汗が吹き出して止まらない症状で考えられる原因と治し方

急に汗が吹き出して止まらなくなることがあります。このような場合、更年期障害などによるもの、危険なものには心筋梗塞などによるショックなどが考えられます。
更年期障害については後述しますが、40歳代以降の性ホルモンの分泌量の変化が原因で起こるさまざまな体の不調のことです。
急に汗が吹き出して止まらないのに加え、頻脈、顔面が蒼白になる、体全体が冷たくなり冷や汗がでるなどの症状があれば、ショックを起こしている可能性があります。

ショック

ショックとは、何らかの原因で臓器への酸素の供給量が低下し全身の重要な臓器や組織に十分な血流が保てなくなっている状態です。心筋梗塞やアナフィラキシーなどが原因となりますが、どちらも非常に危険な状態ですので、すぐに内科や救急科を受診しましょう。

夏になると暑くて汗が止まらない、入浴後に汗が止まらない症状で考えられる原因と治し方

夏になると暑くて汗が止まらない、または、お風呂上がりやシャワー後に汗が止まらなくなった経験がある方も多いでしょう。このような場合、温熱性発汗が考えられます。

温熱性発汗

温熱性発汗とは、暑い環境下や運動後、入浴後などに体温が上がった時に、体温を下げるために全身から汗を分泌するものです。暑い日は体温が上昇しますが、汗を出し、それが蒸発する際の気化熱を奪い体温を下げて体温を一定にたもとうとする体の働きがあります。暑い時に汗を大量にかくのは自然なことですが、その汗の量が多くて生活に支障をきたす場合は多汗症と診断されることもあるので、皮膚科に相談することも検討しましょう。
また、暑い環境や高い湿度の環境では熱中症になってしまうことがあります。熱中症とは、体温が上がり、重要な臓器が高温にさらされたりすることにより発症するさまざまな障害のことです。大量の汗をかいたり、立ちくらみ、倦怠感などの症状が現れます。
できるだけ早く涼しい場所へ避難し服をゆるめて体を冷やし、可能であれば水分・塩分を摂取しましょう。もし意識障害などがあればすぐに救急車を呼びましょう。

緊張すると汗・冷や汗が止まらない症状で考えられる原因と治し方

緊張すると汗、冷や汗が止まらない症状で考えられる原因は、緊張性発汗です。

緊張性発汗

精神的な緊張により手のひらや足の裏、脇の下に大量に汗をかくのが特徴です。精神的に緊張すると、手に平や足の裏などに汗をかくのは自然なことです。しかし、滴り落ちるほどの大量の汗が出たり、手に持つ書類に汗じみができる、手の汗のせいで握手がしづらいなど日常生活に支障があるのであれば、医療機関での治療の対象となることもあります。手のひらや足の裏の発汗は掌蹠多汗症、脇の下の発汗は腋窩多汗症と呼ばれることもあります。治療法は、汗腺を塞いで汗の分泌を抑える塩化アルミニウムを患部に塗る方法などがあります。日常生活で困っているようであれば皮膚科を受診しましょう。

すぐに病院へ行くべき「汗が止まらない」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

意識が朦朧とするなど意識障害を伴う場合は、救急科へ

意識障害、尿量の減少、脈拍異常、皮膚の蒼白や冷や汗などの症状が出た場合は、ショックの可能性があります。ショックとは、脳や腎臓などの重要な臓器への血液の流れが不足する状態のことです。命に関わる状態ですので、すぐに医療機関を受診しましょう。ショックの原因には心筋梗塞やアナフィラキシーショック、熱中症などによる脱水、薬物の副作用などです。主な診療科は救急科、内科です。

「汗が止まらない」症状が特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「汗が止まらない」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

バセドウ病

バセドウ病とは、甲状腺ホルモンが過剰に分泌される病気です。甲状腺ホルモンは体の代謝を司る働きをもつホルモンであり、過剰に分泌されることによって、新陳代謝が盛んになり、汗が異常に多い、暑がり、動悸、指の震え、体重減少などの症状が現れます。バセドウ病は20-30代の若い女性に多く見られます。発症の原因は詳しくわかっていませんが、なりやすい体質を持つ人がウイルス感染やストレス、妊娠や出産などをきっかけに発症すると考えられています。
バセドウ病は自力で対処することは難しいため、疑わしい症状がある場合は早めに内分泌内科を受診しましょう。甲状腺ホルモンの合成を抑える薬を内服するなどの薬物療法、放射線療法、甲状腺の摘出手術などの治療を行います。治療を行わないと、心房細動や心不全などが生じるリスクが高くなると言われていますので放置しないようにしましょう。

更年期障害

更年期障害とは、40歳代以降に見られるさまざまな体調の不良や情緒不安定などが、日常生活に支障をきたしている状態のことです。男女どちらにも起こるといわれています。
女性は、40-50代で閉経を迎える時期に起こりやすくなりますが、その閉経期前後にエストロゲンという女性ホルモンは急激に減少します。これに加え加齢による身体的な変化や精神状態、職場や家庭の人間関係などの社会的因子が複合的に関与することが発症の原因となると考えられています。のぼせ、顔のほてり、脈が早くなる、異常な発汗、頭痛、めまい、イライラ、不眠などの症状が現れます。
男性は、30歳以降テストステロンという男性ホルモンの分泌が減少し始め、40歳代後半で症状が現れることがありますが、女性に比べ分泌量の変化が緩やかであるため気づかれないことも多いようです。倦怠感、意欲低下、性機能の低下、不眠などの症状が現れます。
対処法は、生活習慣の改善が重要です。バランスの良い食事を心がけることです。適度な運動も大切で、ウォーキングや水中歩行などの有酸素運動は自律神経のバランスを整えます。それでも症状が良くならない場合は、ホルモン剤や漢方薬などで治療することもあります。日常生活に支障がある場合は早めに婦人科や泌尿器科、内科を受診しましょう。

多汗症

多汗症とは、必要な量以上の汗をかいてしまい日常生活に支障が出る状態を指します。
全身に大量の汗をかく「全身性多汗症」と、手のひらや足の裏など体の一部に大量の汗をかく「局所多汗症」があります。
全身性多汗症の原因には、感染症や内分泌異常、神経疾患などの可能性が考えられます。
局所多汗症の原因は、外傷や腫瘍などの可能性があります。疑わしい場合は皮膚科で検査を受けましょう。
ただし、全身性多汗症、局所多汗症いずれも原因がわからないことも少なくありません。治療法は、脇や手のひら、足の裏に20〜30%塩化アルミニウム溶液を1日1回塗るなどの方法です。多汗症の原因が、感染症や内分泌異常など他の病気である場合は病院受診が必要です。咳や熱がある、足が痺れる、体重が急激に減少したなどの症状がある人は、早めに内科を受診しましょう。また、日常的に薬を服用している方は、薬の副作用の可能性もあるので、処方している医師に相談しましょう。

「汗が止まらない」ときの市販薬や漢方はある?

すぐに医療機関を受診できない場合、症状を和らげるために市販薬を使用するのもいいでしょう。更年期障害が原因の発汗であれば、いくつかの漢方薬が効果的であるといわれています。
比較的体質虚弱で疲労しやすく、不安・不眠などの精神症状もある人は加味逍遥散(かみしょうようさん)を、体力中等度以上でのぼせ傾向にあり下腹部に抵抗・圧痛がある人は桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)を選択するといいでしょう。服用後、だるさ、むくみ、吐き気、かゆみなどの症状が出た場合は服用を中止し医療機関に相談しましょう。

「汗が止まらない」ときの正しい対策・対処法は?

更年期障害が原因の場合は、自律神経が乱れていることが予想されます。体温調節を空調に頼るとさらに自律神経が乱れてしまうかもしれないので、できるだけ衣服を1枚薄くするなどの方法で対処しましょう。また、首回りを冷やすといいでしょう。ウェットティッシュやハンカチに包んだ保冷剤などを使いましょう。
水分については喉が乾く前に補給しましょう。ビールなどアルコール飲料では逆に水分が尿で失われてしまうので、やめた方が良いでしょう。

「汗が止まらない」についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「汗が止まらない」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

汗が止まらない症状は熱中症が原因ということは考えられますか?

村上 友太(むらかみ ゆうた)医師村上 友太(むらかみ ゆうた)医師

暑い環境化で汗が止まらない場合は熱中症の可能性も考えられます。涼しい場所に移動して、体を冷やしましょう。

運動後に汗が止まらない症状の原因と対策を教えてください。

村上 友太(むらかみ ゆうた)医師村上 友太(むらかみ ゆうた)医師

運動後は体温が高くなりますが、私たち人間は体温を一定に保つ必要があるので、汗をかいてその気化熱を奪うことで体温を下げようとする働きが備わっています。発汗は体温を下げようとする働きなので、運動後に上がった体温が下がりやすいよう工夫しましょう。汗を拭き取り汗の出る穴が塞がらないようにし、衣服は吸汗透湿性の素材のものを選びましょう。

女性の汗がなかなか止まらない症状は何科に相談したら良いですか?

村上 友太(むらかみ ゆうた)医師村上 友太(むらかみ ゆうた)医師

女性の汗がなかなか止まらない症状で考えられるのは、20-30代に多いバセドウ病、40-60代に多い更年期障害などです。バセドウ病は内科、更年期障害は婦人科です。

汗が吹き出してなかなか止まらない症状と自律神経には関係がありますか?

村上 友太(むらかみ ゆうた)医師村上 友太(むらかみ ゆうた)医師

汗の分泌抑制は自律神経が行なっており、関係があります。自律神経の乱れになるのは、ストレス、更年期障害などが知られています。

妊娠後期や臨月中に汗が止まらない場合どのようなことが原因でしょうか?

村上 友太(むらかみ ゆうた)医師村上 友太(むらかみ ゆうた)医師

妊娠中はホルモンバランスが変化し、汗をかきやすくなることがあります。妊娠後期は体の脂肪が増え、代謝が上がり汗の量が増えることも考えられます。妊娠とは関係ない甲状腺の病気や感染症でも汗を大量にかくことがありますので、心配な場合は医師に相談しましょう。

まとめ

体温調節のために汗は誰でもかくものですが、大量の汗は病気のサインである可能性もあるため注意が必要です。また、汗が多いというだけでは病院を受診しようと思えないかもしれませんが、多汗によって生活に支障があるのであれば、治療の対象となりえます。治療後に不安症や対人恐怖症、QOL(生活の質)が改善したという報告もあります。ただの汗だと放置せず、適切な対処・治療を行いましょう。

「汗が止まらない」で考えられる病気と特徴

「汗が止まらない」から医師が考えられる病気は24個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

皮膚科の病気

  • 局所多汗症
  • 掌蹠多汗症
  • 腋窩多汗症
  • 頭部、顔面多汗症
  • 手掌多汗症

循環器内科の病気

呼吸器内科の病気

  • 結核

内科の病気

脳神経内科の病気

精神科の病気

  • 不安障害

婦人科の病気

原因は非常に多いため、診断するためには病歴や既往歴などをしっかりと医師に伝えることが重要になると考えられます。

「汗が止まらない」と関連のある症状

「汗が止まらない」と関連している、似ている症状は3個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

「汗が止まらない」他に、これらの症状が見られる際は、「更年期障害」「バセドウ病」「原発性多汗症」などの病気の存在が疑われます。
複数の症状がある場合やなかなか治らない場合は、早めに医療機関への受診を検討しましょう。