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「頭がスッキリしない」のは「うつ病」や「脳腫瘍」が原因?医師が徹底解説!

「頭がスッキリしない」のは「うつ病」や「脳腫瘍」が原因?医師が徹底解説!

頭がスッキリしないとき、身体はどんなサインを発している?Medical DOC監修医が主な原因や考えられる病気・何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

中川 龍太郎医師

監修医師
中川 龍太郎(医師)

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名古屋大学医学部卒業、名古屋大学医学部附属病院、江南厚生病院などで眼科医として勤務経験を持つ。患者の笑顔を見ることを何よりの喜びと思っている。日本眼科学会所属。現在は医学の発展に貢献できるよう、また目の前の患者にひたむきに向き合うため日々邁進中。

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「頭がスッキリしない」症状で考えられる病気と対処法

「頭がスッキリしない」という悩みは誰もが抱えたことがあるかと思います。そのため、「頭がスッキリしない」症状を訴えても、それは病気ではなく本人の甘え・怠けと捉えられることも珍しくありません。しかし、背景には病気が隠れていることもしばしば見られます。どのような病気が考えられるか、以下で解説していきます。

毎日頭がスッキリしない症状で考えられる原因と対処法

毎日頭がスッキリせず、体のだるさ、重たさがあり活動できない状態のことを指します。こういった場合、うつ病を発症している可能性があります。他には興味・喜びの喪失、短期間での体重減少・増加、食欲減退・増加、疲労感、気力減退、思考力や集中力の減退などが見られます。重症例では自殺念慮(自殺したいという思い)、自殺企図(自殺を計画する、実行しようとする)が見られる場合もあります。
ご自身で何だかスッキリしないと感じてから、徐々にいろいろな行動ができなくなってしまう場合が多いです。その時にはもう本人の意思のみでは改善できないことがほとんどで、周囲の方が気づき対応していくことが重要です。特に自殺をほのめかす発言などが見られた場合は、早急に医療機関を受診する必要があります。
受診すべき診療科は精神科、心療内科です。医師のカウンセリングなどを経て診断され、治療は抗うつ薬などの内服が行われます。

寝ても頭がスッキリしない症状で考えられる原因と対処法

十分に寝たはずなのに頭がスッキリしない、体がだるいといった症状を指します。こういった場合、睡眠時無呼吸症候群の可能性が考えられます。睡眠時無呼吸症候群とは、その名の通り睡眠中に無呼吸状態が見られる疾患です。1日の中で最も体を回復させる睡眠時に、低酸素状態になってしまうため、疲れはなかなか取れず、起床時や日中にも眠気や疲労感を引き起こす事態を招きます。原因は、肥満やアルコール摂取による舌根沈下(舌の根元の部分が垂れ下がり、空気の通り道を塞ぐこと)であることが多いです。
睡眠時無呼吸症候群は、無呼吸状態が続くため、心血管系に大きな負担をかけます。結果として高血圧や心不全のリスクを上昇させ、最終的な死亡リスクも上昇する恐ろしい病気です。日中に眠気を感じて頭がスッキリしない、朝に起きられない、疲れが取れない、または家族から睡眠中のいびき、無呼吸を指摘された場合は、一度医療機関での精査を勧めます。
受診すべき科は呼吸器内科です。睡眠時ポリソムノグラフィーという、寝ている間にどれくらいの無呼吸や低酸素状態があるかを見る検査を行うのが一般的です。緊急性はないので日中に受診しましょう。

頭がスッキリせず眠い症状で考えられる原因と対処法

頭がスッキリせず眠気が持続する症状のことを指します。このような場合、睡眠障害に陥っている可能性があります。睡眠障害とは、何らかの原因で睡眠に問題がある状態のことを指します。睡眠障害は大きく7つの系統に分類されます。

  • 1.不眠症
  • 2.睡眠関連呼吸障害群(閉塞性睡眠時無呼吸症候群など)
  • 3.中枢性過眠症群(ナルコレプシー、特発性過眠症など)
  • 4.概日リズム睡眠-覚醒障害群(睡眠相後退型、 交代勤務型など)
  • 5.睡眠時随伴症群(夢中遊行、レム睡眠行動障害など)
  • 6.睡眠関連運動障害群 (レストレスレッグス症候群など)
  • 7.その他の睡眠障害

と分類され、それぞれに応じた対応が必要になります。治療法も様々であるため専門医を受診することをお勧めします。
受診すべき診療科は精神科や心療内科です。

頭がスッキリせず体がだるい症状で考えられる原因と対処法

頭がスッキリせずに体全体にも倦怠感を自覚する状態を指します。このような場合、自律神経失調症が疑われます。
私たちの体内では、交感神経と副交感神経という2種類の神経(自律神経)の働きのバランスが重要であることが知られています。具体的には、運動時には筋肉に十分量の血液を送るために心臓の鼓動を早くする、食後に胃腸の働きを活発にする、ホルモンの分泌を適切にコントロールするなどといった全身的な役割を、自律神経は担っているのです。自律神経失調症はこれらがうまく機能しないために、頭がスッキリしない、めまい、動悸、倦怠感などの全身的な症状が出現します。
自分ですぐにできる対応は、休息をとること、規則正しい生活を心がけること、ストレスを解消することです。これで症状が和らぐことが多いのですが、それでも症状がなかなか改善しない場合は一般内科や心療内科への受診をお勧めします。

頭がスッキリせずめまいがする症状で考えられる原因と対処法

頭がスッキリせず、めまいが伴う状態のことを指します。こういった症状の場合、起立性調節障害の可能性が考えられます。一般的にこの病気は寝ている状態、座っている状態から起き上がる時に脳血流が低下してしまうことで生じます。ホルモンバランスの乱れや精神的、社会的なストレスから自律神経の働きがうまくいかず、起床時に血圧の調節障害を引き起こされると考えられます。
対処法としては、規則正しい生活とストレスを溜めないことを意識して、自律神経の働きを正常に戻すことが重要です。めまいが改善せず社会生活に支障をきたすようであれば、一度病院受診を検討しましょう。受診すべき診療科は内科や心療内科、耳鼻咽喉科です。緊急性はないので日中に受診してください。

頭がスッキリせず気持ち悪い症状で考えられる原因と対処法

頭がスッキリせず、気持ち悪さや吐き気を伴う症状を指します。このような場合、脳腫瘍の可能性が考えられます。脳腫瘍に特徴的な症状は、気持ち悪さ、嘔吐の他に、頭痛やてんかん発作、物が二重に見える(複視)などです。吐き気や頭痛に対して、吐き気止めや鎮痛薬が一時的に効くものの、効果は限定的です。脳腫瘍には良性のものと悪性のものがありますが、その判別は症状や身体診察のみでは困難です。また放置していて自然に良くなるケースは少ないため、早急に精密検査を受ける必要があります。
受診すべき病院はCT検査やMRI検査が可能な大規模の病院、診療科は脳神経外科もしくは脳神経内科を受診するようにしましょう。緊急性はありませんが、嘔吐などの症状の頻度が急速に増加している場合は、早めの日程で医療機関を受診しましょう。

寝起きに頭がスッキリしない症状で考えられる原因と対処法

寝起きに頭がスッキリしない症状の場合、概日リズム障害が考えられます。これは睡眠と覚醒のリズムが障害された状態のことを指します。端的にいうと、体が捉える昼と夜との感覚が逆転してしまっている状態です。睡眠の質自体は問題ないことが多く、いったん寝てしまえば長時間の睡眠になることが多いです。入眠が遅いために、結果として寝起きに朝がスッキリしない状態に繋がります。
原因は、この睡眠・覚醒のリズムを形成する体内のホルモンの乱れです。治療は、体内時計の位相調節のため、高照度光療法やメラトニン、ビタミンB12などの投与が行われます。緊急性はありませんが、適切な対応が必要な疾患です。ご自身での生活習慣の改善で良くなることもありますが、なかなか改善しない場合は医療機関を受診しましょう。受診すべき診療科は精神科や心療内科です。

すぐに病院へ行くべき「頭がスッキリしない」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

頭がスッキリせず、ふらついて転倒してしまう場合は、内科へ

頭がスッキリせずふわふわした感じがする、フラつく、転倒するといった症状の場合、貧血の可能性があります。これまでご紹介した病気はストレスや睡眠の質などが重要でしたが、一方で生活リズムが整えば自然に治ることもあるものでした。
しかし貧血は放置していても良くなることはまずありません。貧血になる原因は様々ですので、一度は医療機関(内科)を受診しましょう。

受診・予防の目安となる「頭がスッキリしない」ときのセルフチェック法

  • ・頭がスッキリしない以外に日中に強い眠気がある場合
  • ・頭がスッキリしない以外にふらつき、転倒してしまう場合
  • ・頭がスッキリしない以外に気持ち悪さ、嘔吐がある場合

「頭がスッキリしない」症状が特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「頭がスッキリしない」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

自律神経失調症

自律神経失調症とはその名の通り、自律神経の働きがうまくいかない状態です。そもそも自律神経とは交感神経と副交感神経の2種類に分かれます。私たちの体は、この2つの神経のバランスによって、運動時に心臓の鼓動を早くして筋肉に大量の血液を送る、食後に胃腸の働きを活発にする、ホルモンの分泌をコントロールするなど、様々な役割を無意識に行なっています。これがうまくいかないために、朝起きられない症状や、めまい、動悸、息切れ、倦怠感や食欲不振などの症状が出現します。
すぐにできる対応は、いったんしっかりと休息をとり、その上で規則正しい生活を心がけることやストレスを除去することです。
それでも症状が改善しない場合は一度医療機関の受診を勧めます。受診すべき診療科は一般内科や心療内科です。

うつ病

うつ病とは精神疾患の一つです。症状として抑うつ気分や興味・喜びの喪失、短期間での体重減少・増加、食欲減退・増加、疲労感、気力減退、思考力や集中力の減退などが見られます。重症例では自殺念慮(自殺したいという思い)、自殺企図(自殺を計画する、実行しようとする)が見られる場合もあります。
うつ病を発症している場合は、上記の症状のために「何も行動できない、考えられない」状態であることが多く、ご自身で何か対応するというのは非常に難しい病気です。そのため、周囲の方が異変に気づき、対応していくことが重要になります。特に自殺をほのめかす発言などが見られた場合は、早急に医療機関を受診する必要があります。
受診すべき診療科は精神科、心療内科です。医師のカウンセリングなどを経て診断され、治療は抗うつ薬などの内服が行われます。

アルツハイマー型認知症

アルツハイマー型認知症は脳内の大脳皮質、海馬、前脳底部といった部位で神経細胞が壊死し、シナプスという情報伝達に必要な細胞も減少する病気です。特徴的な症状は物忘れ、記銘力(新しく体験したことを、覚えて保持する能力)低下、失語(言葉を理解できない、話せない)、遂行機能障害(仕事や家事など物事を順序立てて実行できない)といったものがあります。またこれらの物忘れを、本人はちょっと間違えただけだから、と取り繕うことも特徴的です。
アルツハイマー型認知症患者の脳細胞のどのような変化が起こっているか、といった部分は解明が進んでいますが、完治する治療法は確立されていません。認知機能低下の進行を遅らせる効能のある治療薬は、病状が進行した段階には効果が不十分であることが多いため、早期発見、早期治療が重要です。
対処法は、周囲の人が物忘れの多さに気づいた段階で、病院受診をすることです。精神科・心療内科などは認知症に対しても専門的に行う診療科ですので、これらを受診してください。

「頭がスッキリしない」ときの正しい対処法は?

ご自身でまず試していただきたいのは、ストレスの除去と睡眠時間の確保です。これによって自律神経失調症や睡眠障害に対して、一定の改善が見込まれる場合があります。これらを試しても効果がない場合は、一度医療機関を受診しましょう。

「頭がスッキリしない」症状についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「頭がスッキリしない」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

頭がもやもやしてすっきりしないのは何かの病気でしょうか?

中川 龍太郎医師中川 龍太郎(医師)

全てが病気というわけではありません。健康な方でも日々の体調変化の中で、そういった症状が出ることはあります。しかし何らかの病気が隠れているケースもありますので、長期間悩んでおられる時は、一度病院受診を勧めます。

慢性的に頭がスッキリしないときは何科に行けばいいですか?

中川 龍太郎医師中川 龍太郎(医師)

まずは内科で何らかの疾患がないか、検査を受けることをすすめます。

頭がスッキリしないのですがストレスが原因ですか?

中川 龍太郎医師中川 龍太郎(医師)

ストレスが原因のこともありますが、貧血や睡眠時無呼吸症候群など内科的な疾患が原因のこともあります。

まとめ

これまでご紹介した病気の中で、特に重要な病気は、「貧血」「うつ病」「脳腫瘍」です。これらはどれも命に直結する病気で、しかも自分自身では気付きにくいためです。早期発見のためには、長く続く症状がある際は一度検査を受けてみることが重要です。ただ頭がスッキリしないだけでは受診のハードルが高いと思いますが、ふらつきや転倒、嘔吐、そして抑うつ症状や自殺企図などが見られた場合は、必ず病院を受診してください。

「頭がスッキリしない」症状で考えられる病気

「頭がスッキリしない」から医師が考えられる病気は8個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

循環器系の病気

呼吸器系の病気

精神科系の病気

神経系の病気

頭がスッキリしない原因は、呼吸器や脳神経、精神的な問題まで様々です。生活に支障をきたしている場合は一度病院受診を検討してください。

「頭がスッキリしない」に似ている症状・関連する症状

「頭がスッキリしない」と関連している、似ている症状は11個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

「頭がスッキリしない」症状の他にこれらの症状がある場合も「貧血」「うつ病」「睡眠障害」「睡眠時無呼吸症候群」「自律神経失調症」「起立性調節障害」「脳腫瘍」「アルツハイマー型認知症」などの疾患の可能性が考えられます。
症状が辛い場合にはなるべく早く医療機関への受診をお勧めします。