「頭が一瞬ズキッとする」症状の原因と対処法・市販薬を医師がご紹介!
頭が一瞬ズキッとする時、身体はどんなサインを発しているのでしょうか?Medical DOC監修医が考えられる病気や何科へ受診すべきか・治し方などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。
監修医師:
村上 友太 医師(東京予防クリニック)
脳神経外科専門医、脳卒中専門医、神経内視鏡技術認定医。日本認知症学会、抗加齢医学会、日本内科学会などの各会員。
「頭が一瞬ズキッとする」症状で考えられる病気と対処法
不意にズキっとする頭痛があると心配になりますよね。「いつも右側が痛むのに、そのうち左側が痛くなり、今度は後ろ側が痛いな…」ということもあるでしょう。
頭痛症状の診断は痛む場所や特徴から
頭痛は、「痛む場所」や「どんな痛みか」などの症状の特徴を捉えた上で、画像検査結果なども加味して総合的に診断します。痛む場所によって想定される病気が明確に判断できるというわけでもありません。対処法から考えると、痛む場所よりは、痛みの強さや頻度などのような症状に注目するとわかりやすいかと思います。
多くの方が経験するような軽度の頭痛であれば、ストレスや疲れなどが原因であり心配はいりません。一方で、一瞬でも「意識を失うほどの激痛」である場合は、くも膜下出血などの緊急疾患の可能性もあり、注意が必要です。
今回は、よく遭遇する頭痛の原因となる病気や対処法について解説していきます。
頭が一瞬ズキッとする・一時的な頭痛症状で考えられる原因と治し方
頭のどこかの部位が一瞬ズキッと痛むような頭痛症状のことを指します。
このような場合は、どのような頭痛の症状であるのかによって対処法が異なります。
我慢できる程度の軽度の頭痛のみであれば、ストレスや疲れなどが原因であることが多く、心配は不要です。その場で少し体を休めて特に問題なさそうであれば、普段通りの生活を過ごして良いと思います。十分な睡眠時間をとることなどの生活習慣の改善や、ストレスを軽減できるように対策することから始めましょう。
一方で、これまで経験したことのないような突然の激痛であれば、くも膜下出血などの緊急性の高い疾患である可能性もあります。後ほど詳しく説明しますが、すぐに脳神経外科を受診することが勧められます。
頭が一瞬ズキッとする症状が続く・繰り返すときに考えられる原因と治し方
一瞬ではなく、ズキッとする頭痛が繰り返す、ガンガンするような頭痛が続くことがあります。このような場合は、群発頭痛や片頭痛などの可能性があります。
群発頭痛
群発頭痛は、片側の眼周囲から前頭部、側頭部にかけての激しい頭痛が、数週から数ヵ月に渡って続きます。夜間や睡眠中に頭痛発作がおこりやすく、頭痛発作時に眼の充血や流涙、鼻汁(鼻水)や鼻閉(鼻づまり)などの症状を伴うことが多いと言われます。若年から中年の男性に多く、1年に1−2度の頻度で起こります。
発症の原因ははっきりしませんが、飲酒で発作が誘発されることがあるため、群発期間は禁酒が勧められます。また、十分な睡眠時間を取ることや、節酒や禁煙などの生活習慣の改善によって、頭痛発作は減るといわれています。
片頭痛
片頭痛は、片側あるいは両側がズキンズキンと拍動するような頭痛が特徴的で、若い女性に多く発症する病気です。視界にギザギザした光が見える、閃輝暗点(せんきあんてん)という症状が前兆として出る場合もあります。軽度の痛みであれば市販の薬を飲んで対応できますが、寝込んでしまうほどの強い痛みで、吐き気や嘔吐なども現れて、トリプタン製剤などの処方薬が必要になる場合もあります。
一瞬の頭痛に留まらずその後も頭痛が続く場合には、脳神経内科や脳神経外科を受診することをお勧めします。
左側や右側の側頭部が一瞬ズキッとする症状で考えられる原因と治し方
側頭部やこめかみ、額や目の付近などがズキっとする、ピリピリするような頭痛が現れることがあります。
このような場合は、帯状疱疹などが疑われます。
帯状疱疹(たいじょうほうしん)
帯状疱疹は、水ぼうそうを発症する水痘帯状疱疹ウイルスによる病気で、疲れや免疫力が低下したときに発症します。両側ではなく、左側か右側のどちらかに出現するのが特徴で、頭痛だけではなく、赤いボツボツや水ぶくれが出現します。額やまぶた周辺に症状が現れますが、皮膚病変が目に近い場合には、結膜炎や角膜炎などを発症する可能性があるため、早めに眼科で治療を行う必要があります。
皮膚症状が出てから72時間以内に抗ウイルス薬による治療を開始すると治りやすいので、早めに受診しましょう。目周囲に症状がなくて受診する診療科に迷う場合には、脳神経内科や脳神経外科を受診しましょう。
前頭部が一瞬ズキッとする症状で考えられる原因と治し方
顔や額、頬などに痛みを感じることがあります。下を向く動作で頭が痛くなることもあります。このような場合、副鼻腔炎が疑われます。
副鼻腔炎(ふくびくうえん)
副鼻腔炎は、鼻水や鼻詰まりなどを伴う風邪症状の際に出現します。鼻の奥にある空洞(副鼻腔)に液体が溜まって炎症が起こる(副鼻腔炎)と、頬を叩くと痛みが強くなります。
副鼻腔炎自体は対処療法で治ることも多いのですが、顔や額の痛みが出現しているときは、重症の細菌感染による副鼻腔炎である可能性があるので抗生剤を内服して治療することがあります。症状が改善しない場合は、内科や耳鼻科を受診しましょう。
後頭部が一瞬ズキッとする症状で考えられる原因と治し方
後頭部や耳の後ろ、頭頂部などがズキッと痛む、差し込むように痛むことがあります。また、首を動かす動作がきっかけで後頭部や首の後ろ側が痛むことがあります。このような場合、後頭神経痛や椎骨動脈解離などが疑われます。
後頭神経痛(こうとうしんけいつう)
後頭神経痛は、頭の後ろ側を中心に広い範囲に走行する後頭神経が、何らかの刺激を受けて痛みを発します。そのため、後頭部や側頭部・耳の後ろなどの部位に、ズキズキ、ピリッとした痛みが現れます。肩こりや首こりは誘因の一つとして考えられています。
軽度のズキッとする痛みのみで終わる場合には、市販の痛み止めを内服して様子を見ていても良いと思いますが、強い痛みを感じてその後も続くようであれば、早めに脳神経内科や脳神経外科を受診してください。
すぐに病院へ行くべき「頭が一瞬ズキッとする」に関する症状
ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。
経験したことのない突然の激しい頭痛は、脳神経外科へ
経験したことのない突然の激しい頭痛があり、意識を失う、吐き気や嘔吐がある場合には、くも膜下出血が疑われます。くも膜下出血は重篤な病気で、最善の治療を行っても、後遺症なく社会復帰できる人は、わずか3割程度です。
発症した場合には緊急で治療する必要があるので、休日夜間問わず、すぐに脳神経外科を受診してください。
「頭が一瞬ズキッとする」症状が特徴的な病気・疾患
ここではMedical DOC監修医が、「頭が一瞬ズキッとする」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
緊張型頭痛
緊張型頭痛は、最も頻度が高い慢性頭痛です。10代から50代の女性に多くみられます。典型的には頭全体や後頭部、後頚部が締め付けられる感じや、重く感じるような頭痛が出現します。ズキッとするような痛みという表現をする方もいます。頭痛の強さや頻度は個人差が大きく、日常生活への影響には差があります。多くの場合は、軽度から中等度の痛みで、日常生活に支障はあっても寝込むほどではありません。ときどき起こる場合(反復発作性)と、毎日のように起こる場合(慢性)という頻度の違いもあります。発症の原因は、肩こりや首こり、ストレスなどが多いといわれています。
緊張型頭痛の対処法
まずは、十分な休息や睡眠を取るなど生活習慣の改善やストレスの軽減などを行いましょう。薬物療法には、鎮痛薬が中心ですが、筋緊張を和らげる筋弛緩薬、心を落ち着かせる抗不安薬などを使うことがあります。市販の鎮痛薬でも効果はあるため、内服しても頭痛が落ち着かない場合には脳神経内科や脳神経外科への受診を検討しましょう。
くも膜下出血
くも膜下出血は、女性に多く、発症すると半数以上の方は介護を要するか致命的になるという重篤な病気です。典型的には、これまで経験のない突然の激しい頭痛が現れます。吐き気や嘔吐、意識消失を起こすこともあります。発症の原因のほとんどは、脳動脈瘤の破裂です。家族内で発症することが多く遺伝子異常も見つかっていますが、動脈瘤の発生には遺伝子異常以外にもさまざまな要素が関与しています。
治療は、脳動脈瘤の再破裂を予防する外科手術から始まります。また、発症後2週間までは脳血管攣縮という脳梗塞をきたす病気になる可能性があり、発症後1-2ヶ月程度には水頭症という高次脳機能障害をきたす病気になる可能性もあるため、さまざまな困難が待ち受けています。脳ドックなどで脳動脈瘤が見つかった場合には、脳動脈瘤の形状によりますが、発症の予防目的に手術を行うという治療もあるので、複数の脳神経外科医に相談するのが良いでしょう。
くも膜下出血を発症した場合は、緊急で治療を行うしかありません。突然の激しい頭痛を感じたら、すぐに脳神経外科を受診しましょう。
脳動脈解離(椎骨動脈解離)
椎骨動脈解離は、発症頻度は高くありませんが、後頭部や後頚部の激痛が起こる病気の一つです。きっかけのない場合もありますが、スポーツやマッサージなど首を曲げる動作が原因で発症することがあります。背骨(椎骨)の中でも、特に首の骨(頸椎)の部分には、椎骨動脈という脳組織へ血流を送る血管があります。その血管の壁が引き裂かれる(解離する)と強い痛みを生じます。頭痛のみですむこともありますが、くも膜下出血や血流が悪化から脳梗塞を発症することがあります。
これらは致命的な病気なので、緊急で治療する必要があります。首を動かした際に急激な痛みや神経症状の出現があった際には、すぐに脳神経内科や脳神経外科を受診してください。
「頭が一瞬ズキッとする」症状の正しい対処法や薬の使用方法は?
緊張型頭痛や片頭痛の場合には、市販の鎮痛薬を使うことは一定の効果があると思います。
ロキソプロフェンが有効成分であるロキソニンが、病院ではよく処方されます。市販薬では、ロキソニンSが同じ成分なので有効性が期待できます。
頭痛の対処法
ストレスや疲れなどによって頭痛症状が出現することが多いので、頭痛の直し方は、まず休んで様子を見るのが良いと思います。これ以上我慢できないと感じた際に鎮痛薬を服用してみましょう。日頃から十分に休息や睡眠時間をとって、体に負担のならない生活を過ごすことが望まれます。
緊張型頭痛の対処法
緊張型頭痛の方の多くは肩こりや首こりがあるので、肩や首のこりをほぐすことは効果的です。激しい運動ではなく、ラジオ体操程度の負荷で良いでしょう。また、市販されている首回りを温めるグッズも効果的だと思います。
鎮痛薬を使用しても効果がない場合や、激しい頭痛があって吐き気も伴う場合には、医療機関の受診を検討しましょう。
「頭が一瞬ズキッとする」症状についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「頭が一瞬ズキッとする」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
頭が一瞬ズキッとする症状の予防方法を教えて下さい。
村上 友太(むらかみ ゆうた)医師
日頃からストレスや疲れをためないように、睡眠時間を十分にとって規則正しい生活を送ることが予防になると思います。
こめかみが一瞬ズキッとする頭痛が続いています。偏頭痛でしょうか?
村上 友太(むらかみ ゆうた)医師
片頭痛の可能性もあると思います。脳神経内科や脳神経外科、頭痛外来などで一度相談されてみても良いと思います。
頭が一瞬ズキッとするのは肩こりが原因ということはありますか?
村上 友太(むらかみ ゆうた)医師
あります。肩こりなどが関係する頭痛として、緊張型頭痛や後頭神経痛などが知られています。
子供が頭が一瞬ズキッと痛むと訴えている場合、何科にかかるべきでしょうか?
村上 友太(むらかみ ゆうた)医師
15歳未満の場合には、まずは、小児科で相談してください。
頭が一瞬ズキッとするのと、血管がピキっとするのは重い疾患の前兆でしょうか?
村上 友太(むらかみ ゆうた)医師
表現の仕方の問題ですが、血管がピキッとする感覚を感じると言われる患者さんは多くいらっしゃいませんので、なんとも言えません。
まとめ
頭痛にはいろいろな痛み方がありますが、多くの場合は我慢できる程度で、必要な時に鎮痛薬を内服することで落ち着くと思います。
一瞬ズキッとする頭痛の場合も、軽度の痛みであれば心配する必要はありません。しかし、突然の激しい痛みの場合には、緊急度の高い病気が原因であることも考えられます。これはおかしいなと思った際には、医療機関を受診することをお勧めいたします。
「頭が一瞬ズキッとする」で考えられる病気と特徴
「頭が一瞬ズキッとする」から医師が考えられる病気は13個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedicalDOCの解説記事をご覧ください。
内科の病気
- 副鼻腔炎
- かぜ症候群
皮膚科の病気
頭痛の正確な診断は難しく、鎮痛薬を内服するような対症療法になってしまうこともありますが、頭痛の症状が長く続く場合には隠れた病気が見つかる場合もあるため、一度精査を受けることをお勧めします。
「頭が一瞬ズキッとする」と関連のある症状
「頭が一瞬ズキッとする」と関連している、似ている症状は7個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedicalDOCの解説記事をご覧ください。
「頭が一瞬ズキッとする」症状の他に、これらの症状がある場合「緊張型頭痛」「片頭痛」「群発頭痛」「くも膜下出血」「帯状疱疹」などの疾患の可能性が考えられます。
突然の激しい頭痛症状が見られる場合は、すぐに医療機関へ受診することをおすすめします。
・慢性頭痛の診療ガイドライン 2013