FOLLOW US

目次 -INDEX-

  1. Medical DOCTOP
  2. 症状から調べる
  3. 胃・腸・肛門
  4. 「大人が元気なのに下痢が続く」のは「大腸がん」や「過敏性腸症候群」が原因?

「大人が元気なのに下痢が続く」のは「大腸がん」や「過敏性腸症候群」が原因?

「大人が元気なのに下痢が続く」のは「大腸がん」や「過敏性腸症候群」が原因?

大人が元気なのに下痢が続くとき、身体はどんなサインを発している?Medical DOC監修医が主な原因や考えられる病気・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

佐藤 浩樹

監修医師
佐藤 浩樹(医師)

プロフィールをもっと見る
北海道大学医学部卒業。北海道大学大学院医学研究科(循環病態内科学)卒業。循環器専門医・総合内科専門医として各地の総合病院にて臨床経験を積み、現在は大学で臨床医学を教えている。大学では保健センター長を兼務。医学博士。日本内科学会総合専門医、日本循環器学会専門医、産業医、労働衛生コンサルタントの資格を有する。

「大人が元気なのに下痢が続く」症状で考えられる病気と対処法

体は元気なのにもかかわらず、下痢の状態が続いてしまうことはありませんか?この症状の原因はたくさんありますが、胃や腸といった消化管の病気が関わっているケースもあります。どのような場合に何科を受診すれば良いのかについて解説します。

大人が元気なのに下痢が続く症状で考えられる原因と対処法

体は元気なのに、お腹の違和感と下痢が続く場合は、過敏性腸症候群などの病気が疑われます。
過敏性腸症候群は、通勤や通学の途中、人前で発表するときなど、ストレスがかかりやすい状況でお腹の違和感や下痢などの症状が起こりやすいとされています。お腹の違和感以外にも腹痛や便秘などの症状が出る場合があります。また、症状も軽い人を含めると人口の10%はこの過敏性腸症候群とされています。
症状が軽い場合は、生活習慣の改善を行いながら様子を見ることもあります。症状が強い場合は整腸剤などの飲み薬を使い、必要であれば抗うつ薬や抗不安薬などを用いる場合があります。
主な診療科は、消化器内科です。過敏性腸症候群以外の病気がないことを確認する意味でも、採血検査や便潜血検査、大腸内視鏡検査(大腸カメラ)などの検査を行います。過敏性腸症候群には緊急性はないため、日中に病院を受診しましょう。

大人が元気なのに下痢が続いて腹痛がある症状で考えられる原因と対処法

体は元気なのに、腹痛と下痢が続くような場合は食中毒などが疑われます。
食中毒は、細菌やウイルス、あるいはアメーバなどの寄生虫が原因となり、腹痛や下痢の症状が起こります。これら症状以外にも、発熱や吐き気、便に血が混じる症状が出る場合もあります。
軽症の場合は水分補給を十分に行い、自然に回復するのを待ちます。発熱に対して解熱剤を使ったり、お腹の調子を整えるために整腸剤を使ったりして経過観察をします。自分で水分補給ができないなど症状が強い場合は、水分補給のために点滴で治療を行います。
食中毒は一般的な内科でも対応できますが、他の消化器系の病気と鑑別するため、消化器内科であれば望ましいでしょう。自分で水分補給ができるほど症状が軽い場合は緊急性がないため、日中に病院を受診しましょう。水分がとれない、症状が続くなど、症状が激しい場合はできるだけ速やかに病院を受診しましょう。

夏に大人が元気なのに下痢が続く症状で考えられる原因と対処法

体は元気なのに、夏になると下痢が続く場合は、お腹の冷えによる下痢である可能性があります。
夏は暑さ対策のため、エアコンや扇風機の風のせいで、お腹が冷えてしまうことがあります。胃腸の血管が収縮してしまい、血液の流れが悪くなります。その結果、胃腸機能が低下し、食べ物が消化されにくくなります。
夏に下痢になりやすい場合はいくつか対策があります。エアコンや扇風機の風に直接当たらないようにし、設定温度は高めに設定するようにします。しかし、公共の場では温度管理ができませんので、カーディガンなど羽織る物を持っておくと、体温調整しやすいでしょう。また、夏は冷たい飲み物を飲む機会も多くなりがちなので、お腹が冷えやすい場合は温かい飲み物や常温の飲み物に変えると良いでしょう。
お腹の冷えによる下痢は軽症なことも多いので、上に書いた対応で症状は軽くなるでしょう。それでも症状が続いてしまう場合は、一般的な内科を受診しましょう。その際は、他の消化器系の病気と鑑別するため、消化器内科であれば望ましいでしょう。

大人がお酒を飲んだら元気なのに下痢が続く症状で考えられる原因と対処法

大人がお酒を飲んだ後、体調は良いのに下痢になる場合があります。
これはお酒に含まれるアルコールが刺激になり、その刺激により下痢になることがあるからです。また、お酒を飲む際は食べる量も増えていることもあります。そうすると、腸で水分がきちんと吸収されないまま排便されるため、下痢になることも考えられます。
お酒を飲んだ後の下痢は、通常1-2日で治ることが多いです。そのため、心当たりがあれば病院を受診する必要はありませんが、それ以降も症状が続く場合は、まず一般的な内科を受診しましょう。その際は、他の消化器系の病気と鑑別するため、消化器内科であれば望ましいでしょう。

すぐに病院へ行くべき「大人が元気なのに下痢が続く」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

下痢に血がまじる場合は、消化器内科へ

下痢の症状に加えて、その下痢に血がまじる場合は、消化器内科を受診するのが望ましいです。
下痢に血がまじる場合は、肛門の粘膜が便で切れて発症する裂肛(いわゆる切れ痔)のことも多いです。しかし、中には大腸がんや潰瘍性大腸炎などの病気が隠れている恐れがあります。
大腸カメラなど検査を行う必要があるため、消化器内科が望ましいですが、なければ内科を受診するようにしましょう。
なお、小さなお子さんや高齢者、持病(心臓病や糖尿病、腎臓病など)がある方は、これらが当てはまらなくても、早めに受診してください。

受診・予防の目安となる「大人が元気なのに下痢が続く」症状のセルフチェック法

  • 大人が元気なのに下痢が続く以外に下痢に血がまじる症状がある場合
  • 大人が元気なのに下痢が続く以外に吐き気や嘔吐、発熱などの症状がある場合
  • 大人が元気なのに下痢が続く以外に尿が少ないなどの脱水症状がある場合

「大人が元気なのに下痢が続く」の症状が特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「大人が元気なのに下痢が続く」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

過敏性腸症候群

過敏性腸症候群は、通勤や通学の途中、人前で発表するときなど、ストレスがかかりやすい状況でお腹の違和感や下痢などの症状が起こりやすいとされています。お腹の違和感以外にも腹痛や便秘などの症状が出る場合があります。
症状が軽い場合は、生活習慣の改善を行いながら様子を見ることもあります。症状が強い場合は整腸剤などの飲み薬を使い、必要であれば抗うつ薬や抗不安薬などを用いる場合があります。
主な診療科は、消化器内科です。緊急性はないため、日中に病院を受診しましょう。

潰瘍性大腸炎

潰瘍性大腸炎は、大腸の粘膜に炎症が起こることにより、下痢や腹痛、便に血が混ざるなどの症状が現れる病気です。
明らかな原因は分かっていませんが、遺伝や食生活、免疫に異常が起こることで発症すると考えられています。潰瘍性大腸炎の治療は主に薬物治療です。薬物治療で十分な効果がみられない場合には手術を行うことがあります。下痢や腹痛、便に血が混ざるなどの症状が続けば、内科や消化器内科を受診するのが良いでしょう。

クローン病

クローン病は、小腸や大腸などの粘膜に、慢性的な炎症を引き起こす病気です。原因は明らかになっていませんが10~20歳代で発症する方が多く、主に小腸や大腸に炎症が現れます。一般的な症状は、腹痛と下痢です。しかし、口から肛門までの全ての消化器官に炎症を引き起こす可能性があるため、症状は人によって大きく異なります。治療は炎症や過剰になった免疫反応を抑える薬物治療を中心に行います。場合によっては手術などを行います。症状があれば、内科や消化器内科を受診するのが良いでしょう。

感染性胃腸炎

感染性胃腸炎は、細菌やウイルス(コロナウイルスなど)、あるいはアメーバなどの寄生虫が原因となり、腹痛や下痢の症状が起こります。これら症状以外にも、発熱や吐き気、便に血が混じる症状が出る場合もあります。
軽症の場合は水分補給を十分に行い、自然に回復するのを待ちます。発熱に対して解熱剤を使ったり、お腹の調子を整えるために整腸剤を使ったりして経過観察をします。自分で水分補給ができないなど症状が強い場合は、水分補給のために点滴で治療を行います。
感染性胃腸炎は一般的な内科でも対応できますが、他の消化器系の病気と鑑別するため、消化器内科であれば望ましいでしょう。

大腸がん

大腸がんは、大腸(結腸・直腸)に発生するがんです。早期の段階では自覚症状はほとんどありません。進行すると便に血が混じる、体重が減る、食欲が低下するなどの症状が出ます。内科や消化器内科を受診するのが良いでしょう。大腸がんの治療は、抗がん剤や手術などを行います。

虚血性腸炎

虚血性大腸炎は、大腸の粘膜に慢性的な炎症が生じ、びらんや潰瘍といった病変が生じる病気です。腹痛や下痢、便に血が混じるなどの症状が現れます。症状はさまざまで、良くなったり、悪くなったりを繰り返したり、症状が続いたりする場合もあります。治療は薬物治療ですが、薬物治療が十分でなければ、大腸を摘出する手術を行うこともあります。下痢に腹痛を伴ったり、便日が混じったりする場合は、内科の中でも消化器内科を受診するのが望ましいです。

「大人が元気なのに下痢が続く」症状の正しい対処法は?

下痢をしている時は、体内の水分とナトリウムやカリウムなどの電解質が失われます。そのため、下痢をしている時は、スポーツドリンクや経口補水液などで補給することが重要です。また、消化の良い炭水化物をしっかり食べるようにしましょう。
下痢に対する市販薬はいくつかのタイプがあります。医師が処方する腸のぜん動運動を抑える成分が含まれているものもあります。飲みなれていない市販薬を飲むときは、必ず注意書きを読みましょう。薬を飲んだ後に、尿が出にくくなる、口が渇くなどがあれば、市販薬を飲まずに病院を受診してください。
また、下痢のときには下痢止めを飲まない方が良いと思っている方もいます。たしかに、食中毒は腸の中にある毒素を早く取り除くため、腸のぜん動運動を止めるべきではない場合もあります。しかし、そうでない場合は、下痢の症状がある間は体力を消耗し、脱水などの症状が悪化する場合もあります。市販薬は適切に使い、しっかり対処する必要があります。

「大人が元気なのに下痢が続く」ついてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「大人が元気なのに下痢が続く」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

下痢の時の水分補給には何がいいですか?

佐藤 浩樹医師佐藤 浩樹医師

下痢をしている時は、体内の水分とナトリウムやカリウムなどの電解質が失われます。そのため、下痢をしている時は、スポーツドリンクや経口補水液などで水分や電解質を補給しましょう。

下痢の時の食事はどうすれば良いですか?

佐藤 浩樹医師佐藤 浩樹医師

おかゆやよく煮込んだうどん、味噌汁など、消化の良い炭水化物をしっかり食べるようにしましょう。また、コーヒーや炭酸飲料、アルコール類は、おなかに刺激を与えるので控えるようにしましょう。

まとめ

下痢の症状が出る病気はいくつもあります。飲み過ぎや食べ過ぎなど軽い場合も多いですが、中には治療しないと症状が改善しない場合もあります。便に血がまじる、吐き気や嘔吐などの症状がある場合は、内科や消化器内科を受診するようにしましょう。

「大人が元気なのに下痢が続く」症状で考えられる病気

「大人が元気なのに下痢が続く」から医師が考えられる病気は6個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

下痢が生じる病気の多くは消化器疾患です。そのため、消化器内科の受診が理想的ですが、近くに消化器内科がなければ内科を扱っている医療機関を受診して相談するのが良いでしょう。

「大人が元気なのに下痢が続く」に似ている症状・関連する症状

「大人が元気なのに下痢が続く」と関連している、似ている症状は6個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 便に血がまじる
  • 吐き気がある
  • 嘔吐がある
  • 発熱がある
  • 食欲が下がる
  • 便秘がちである

下痢の症状が改善しない場合や、便に血がまじるなど他の症状を伴う場合は、消化器系の疾患が疑わしい場合があります。上記の症状がないかどうかも確認するのが良いでしょう。

この記事の監修医師

元気なのに下痢が続く 大人に関連する記事