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「お腹周りが急激に太る」のは「子宮筋腫」や「卵巣腫瘍」が原因?医師が解説!

「お腹周りが急激に太る」のは「子宮筋腫」や「卵巣腫瘍」が原因?医師が解説!

お腹周りが急激に太ったとき、身体はどんなサインを発している?Medical DOC監修医が主な原因や考えられる病気・何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

丸山 潤

監修医師
丸山 潤(医師)

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群馬大学医学部卒業。群馬県内の高度救命救急センター救急科及び集中治療科に2022年まで所属。2022年より千葉県の総合病院にて救急総合診療科および小児科を兼務。乳児から高齢者まで幅広い患者層の診療に努める。
【保有資格】
医師/医学博士/日本救急医学会救急科専門医/日本集中治療医学会集中治療専門医/DMAT隊員/日本航空医療学会認定指導者(ドクターヘリの指導者資格)/JATECインストラクター/ICLSインストラクター

「お腹周りが急激に太った」症状で考えられる病気と対処法

お腹周りが急激に太ったことを気にしていませんか?食べ過ぎて太ったと思い込んでいる方も少なくありませんが、実は病気が隠れていることもあります。あまりに急激にお腹周りだけ太った場合は、食べ過ぎ以外にも原因があるかもしれないと考えることが重要です。ここでは、お腹周りが急激に太ったと感じるおもな原因について説明します。

お腹周りが急激に太った症状で考えられる原因と対処法

お腹周りが急激に太ったと感じる原因として、甲状腺機能低下症やクッシング症候群が考えられます。

甲状腺機能低下症

甲状腺機能低下症とは、甲状腺ホルモンの働きが通常よりも低下した状態のことです。代謝が悪くなって体重が増加したり、むくみや疲労感、無気力などの症状が見られたりします。40歳以上の女性に多い病気です。発症の原因ははっきりとはわかっていませんが、甲状腺ホルモンを補充する治療によって症状を改善できます。緊急性はありませんが、悪化すると認知機能や精神面にも影響を及ぼすため、早めに内科を受診しましょう。

クッシング症候群

クッシング症候群とは、副腎で分泌されるコルチゾールの働きが過剰になる病気のことです。副腎の良性腫瘍や下垂体腫瘍、肺がんなどが発症の原因となります。クッシング症候群になると、手足は細いのにお腹周りだけ太りやすいことが大きな特徴です。また、顔が丸くなったり背中の上部に脂肪がついたりする症状もよく見られます。クッシング症候群を放置すると、重篤な感染症や心血管疾患のリスクを上げることがあります。手足は痩せているのにお腹だけ出てきたり顔が丸くなってきたりなどの症状が出たら、早めに内科や内分泌代謝科を受診してください。

女性でお腹周りが急激に太った症状で考えられる主な原因と対処法

女性でお腹周りが急激に太った場合は、子宮筋腫や卵巣腫瘍、多嚢胞性卵巣症候群などの婦人科系疾患が考えられます。

子宮筋腫

子宮筋腫は、子宮にできる良性腫瘍のことです。珍しい病気ではなく、30歳以上の女性の20~30%で見られます。月経量が多くなったり月経痛がひどくなったりなどの症状が代表的です。とくに症状がない場合は治療の必要はありません。生活に支障が出ている場合は、薬を使って子宮筋腫を小さくしたり手術で取り除いたりします。

卵巣腫瘍

卵巣腫瘍は、卵巣に腫瘍ができる病気のことです。通常、卵巣は2~3cmほどしかありませんが、卵巣腫瘍ができると30cmを超えることもあります。お腹が張って苦しくなったり下腹部痛や頻尿などの症状が出たりします。

多嚢胞性卵巣症候群

多嚢胞性卵巣症候群は、両側の卵巣が肥厚したり多嚢胞化したりする病気です。卵巣が腫れて大きくなるため、お腹周りが急激に太ったように感じることがあります。卵胞の成長が途中で止まることが原因で、ゴナドトロピン分泌異常や男性ホルモン過多が要因と考えられています。月経周期の異常や不妊がよく見られる症状です。
子宮筋腫や卵巣腫瘍、多嚢胞性卵巣症候群はいずれも緊急性が高いものではありませんが、がん化したり不妊の原因になったりするため、早めに婦人科を受診するようにしましょう。

男性でお腹周りが急激に太った症状で考えられる主な原因と対処法

男性でお腹周りが急激に太った場合は、脂肪肝や前立腺肥大症などが考えられます。

脂肪肝

脂肪肝とは、肝臓に中性脂肪が過剰に溜まった状態のことです。女性よりも男性のほうが脂肪肝になりやすいことがわかっています。摂取エネルギーと消費エネルギーのバランスが取れていれば、中性脂肪が溜まることはあまりありません。しかし、バランスが崩れたりアルコールをたくさん飲んだりすると蓄積しやすくなるのです。人によっては、疲れやすくなったり肩がこったりなどの脂肪肝による自覚症状が見られます。食事療法や運動療法を行ったり、禁酒をしたりすることで肝臓に溜まった中性脂肪を減らすことが可能です。緊急性はあまり高くないものの、放置しておくと動脈硬化のリスクが高まったり肝硬変や肝臓がんへ進行したりすることがあるため、早めに内科や消化器内科を受診しましょう。

前立腺肥大症

前立腺肥大症は、前立腺が肥大する病気のことです。年齢とともに発症する方が増え、80歳の男性のうち約90%が前立腺肥大症だと言われています。前立腺肥大症になる原因ははっきりとはわかっていないものの、男性ホルモンの働きが関与しているという説が一般的です。前立腺の肥大が進んでもお腹周りが急激に太ることはありませんが、肥大した前立腺が尿道を圧迫することで尿閉を起こすと、溜まった尿によってお腹が張ることがあります。前立腺肥大症の進行状態によっては、尿閉を起こして緊急処置が必要になるケースもあるため、早めに泌尿器科を受診して適切な治療を受けるようにしてください。

すぐに病院へ行くべき「お腹周りが急激に太った」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

月経過多や不正出血などの症状がある場合は、婦人科へ

婦人科疾患を患うと、お腹周りが急激に太ったように感じることがあります。月経過多や不正出血がある場合は、子宮筋腫が疑われるので注意しましょう。ほかの病気が原因でも月経過多や不正出血が起こることはありますが、子宮筋腫が進むとお腹周りだけ太ったように感じることがあります。月経過多や不正出血により重度の貧血を起こすこともあるため、早めに婦人科を受診しましょう。また、子宮筋腫以外に卵巣腫瘍にも注意したいものです。腫瘍が小さいうちは無症状のこともありますが、症状が進むと腹水が溜まったり腫瘍が破裂したりすることもあります。腹部膨満感や下腹部痛、頻尿などがあり、お腹周りが急激に太ったと感じる場合も早めに婦人科を受診してください。

受診・予防の目安となる「お腹周りが急激に太った」ときのセルフチェック法

  • お腹周りが急激に太った以外に月経過多の症状がある場合
  • お腹周りが急激に太った以外に尿が出にくくなる症状がある場合
  • お腹周りが急激に太った以外に疲れやすい症状がある場合

「お腹周りが急激に太った」症状が特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「お腹周りが急激に太った」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

子宮筋腫

子宮筋腫は決して珍しくない病気です。子宮に良性の腫瘍ができる病気で、がんとはまた違う腫瘍として知られています。子宮筋腫ができる原因ははっきりとはわかっていませんが、卵巣から分泌される女性ホルモンの影響が大きいと考える説が有力です。そのため、閉経後は自然と子宮筋腫は小さくなっていきます。とくに症状がない場合は、治療の必要はありません。しかし、月経量が多くなったり、不妊や腰痛、頻尿などの症状が出たりしている場合は、症状に応じて治療を行います。薬を使って子宮筋腫を小さくしたり、手術で取り除いたりする方法が一般的です。手術をする場合は、子宮を取ってしまう子宮全摘術を行う場合もあれば、筋腫だけ取る筋腫核出術を行う場合もあります。月経量が多く悩んでいる方、腰痛や頻尿などの症状がある方は婦人科を受診しましょう。

卵巣腫瘍

卵巣腫瘍は、卵巣に発生した腫瘍のことです。腫瘍が大きくなると、通常の卵巣の大きさの約10倍近くにもなることがあります。卵巣腫瘍ができる原因は未だはっきりとわかっていません。腫瘍が小さいうちは症状がないことが多いですが、大きくなると茎捻転を起こしたり、強い下腹部痛が出たりすることがあります。治療法は手術療法を行うことが原則です。腫瘍が悪性の場合は抗がん剤を使った化学療法が行われることもあります。お腹が張って苦しい方、下腹部痛がある方は婦人科を受診して適切な治療を受けましょう。

甲状腺機能低下症

甲状腺機能低下症は、甲状腺ホルモンの働きが低下した状態のことです。甲状腺ホルモンは正常に分泌されているものの働きが悪い場合と、そもそも分泌量が低下している場合とがあります。甲状腺自体に原因がある原発性甲状腺機能低下症の多くは橋本病です。自己免疫疾患の一つとして知られており、自身の免疫が甲状腺を攻撃することで発症します。甲状腺の機能には異常がない中枢性甲状腺機能低下症は、下垂体や視床下部の機能低下が原因です。疲労感、むくみ、体重増加、無気力、傾眠などの症状が見られます。甲状腺機能低下症は、甲状腺ホルモンを補充する治療を行うことが基本です。気になる症状がある場合は内科を受診しましょう。

脂肪肝

脂肪肝は、肝臓に中性脂肪が溜まった状態のことです。肝細胞の30%以上に中性脂肪が溜まると脂肪肝と診断されます。脂肪肝になる原因としては、アルコールの飲み過ぎや過食が代表的です。このほかステロイド剤の服用や栄養障害、糖尿病なども原因となります。疲れやすい、肩がこる、頭がぼーっとするなどの症状が続く場合は、血液検査を受けて肝臓の機能を調べてもらいましょう。気になる症状があるときは、内科や消化器内科を受診してください。

「お腹周りが急激に太った」ときの正しい対処法は?

お腹周りが急激に太った場合は、何か病気が隠れていないかをまずは疑いましょう。ただ単に皮下脂肪がついただけのケースもありますが、病気が原因となっていることも珍しくありません。次のような症状がある場合は、病気が隠れている可能性があります。

  • お腹周りだけ太ってきた
  • 月経量が多い
  • 月経痛がある
  • お腹が張って苦しい
  • 尿の出が悪い
  • 疲れやすい
  • 食べる量が変わらないのに体重が増える

皮下脂肪が溜まっているだけの場合は、防風通聖散などの市販薬が有効ですが、それ以外の原因が考えられるときは市販薬では対処できません。早く治したい場合は、まず原因を明らかにするためにも医療機関を受診しましょう。

「お腹周りが急激に太った」についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「お腹周りが急激に太った」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

お腹周りが急激に太ったのですが病気ですか?

丸山 潤医師丸山 潤(医師)

病気の可能性も否定できません。子宮筋腫や卵巣腫瘍、甲状腺機能低下症などの病気が原因となっていることもあるため、気になる方は早めに医療機関を受診してください。

ストレスが原因でお腹周りが急激に太ることはありますか?

丸山 潤医師丸山 潤(医師)

ストレスでお腹周りが急激に太ることがあります。ストレスを溜め込むと、食欲を増進させるホルモンの分泌量が増えて食事量が増加しやすいためです。

お腹周りが急激に太ったときは何科の病院を受診したらよいですか?

丸山 潤医師丸山 潤(医師)

子宮筋腫や卵巣腫瘍が疑われるときは婦人科、甲状腺機能低下症が疑われるときは内科や前立腺肥大症が疑われるときは泌尿器科を受診しましょう。

まとめ お腹周りが急激に太ったときは婦人科疾患や甲状腺機能低下症などに注意 

お腹周りが急激に太ったときは、婦人科疾患を発症していたり甲状腺機能低下症になっていたりする可能性があります。太っただけだと思って放置する方もいますが、何かしらの病気が原因である可能性もあるため、早めに医療機関を受診して相談しましょう。適切な治療を受けることでお腹周りのサイズも元に戻すことができます。

「お腹周りが急激に太った」症状で考えられる病気

「お腹周りが急激に太った」から医師が考えられる病気は6個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

泌尿器科系の病気

食べ過ぎによってお腹周りに脂肪がついただけであれば緊急性はありません。明らかにお腹だけ出ていたり月経痛や疲労感などほかの症状も伴ったりする場合は、病気が隠れている可能性があります。

「お腹周りが急激に太った」に似ている症状・関連する症状

「お腹周りが急激に太った」と関連している、似ている症状は13個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

これらの症状がある場合も、子宮筋腫や卵巣腫瘍、甲状腺機能低下症などの病気がある可能性があります。心当たりがないのに体重が急激に増えた場合は、腎臓病の可能性もあるため、早めに医療機関の受診を検討しましょう。

この記事の監修医師