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「お腹がピクピクするのに痛くない」のは「自律神経失調症」が原因?医師が解説!

「お腹がピクピクするのに痛くない」のは「自律神経失調症」が原因?医師が解説!

お腹がピクピクするのに痛くないとき、身体はどんなサインを発している?Medical DOC監修医が主な原因や考えられる病気・何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

郷 正憲

監修医師
郷 正憲(徳島赤十字病院)

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徳島赤十字病院勤務。著書は「看護師と研修医のための全身管理の本」。日本麻酔科学会専門医、日本救急医学会ICLSコースディレクター、JB-POT。

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「お腹がピクピクするのに痛くない」症状で考えられる病気と対処法

お腹がピクピクするのに痛くないという症状を経験したことはありませんか。痛みがないので大丈夫と思いながらも、何か良くない病気ではないのかと不安になる気持ちもあるでしょう。では実際にどのような病気や症状で お腹がピクピクするのに痛くないような症状が出てくるのでしょうか。

運動後にお腹がピクピクするのに痛くない症状で考えられる原因と治し方

主に運動したときにおこってくるような痙攣の原因は、筋肉が張っていることによります。いわゆる筋肉が「つった」状態です。こむら返りとも言います。
筋肉は収縮したり緩んだりを繰り返すのですが、この運動は、脳からの命令を筋肉が受け取ることで行われます。しかし、強い疲労がおこっていると、うまく命令を受け取ることができず、過度に収縮した状態が継続してしまうのです。筋肉が強く収縮した状態が続くことで、ガクガクと痙攣するような動きが起こってきます。通常は痛みを伴いますが、痛みを伴わずに痙攣することもあり、このような反応が腹筋に起こってくるとお腹がピクピク動いた状態が見られるようになるのです。特に腹筋は、臍の下に発達しています。ですので、下腹部におこる事が多くなります。時折、腹斜筋と言って腹部の横の方を支える筋肉に痙攣が起こり、右下や左下の腹部がピクピクと動く事もあります。
筋肉がつった状態では、筋肉を伸ばすのが治療になります。腹筋を伸ばすのはなかなか難しいですが、のびの姿勢をしてぐっと背中にそるような姿勢を取るとある程度伸ばすことができます。
一方で、脳からの情報が異常となり筋肉の痙攣が起こることもあります。脳からの情報が異常になると言っても怖い病気である事はほとんど無く、ほとんどの場合はストレスによります。ストレスによって脳の活動に異常が起こり、筋肉への命令が異常となってぴくつきが出てきます。
基本的には様子を見ていれば改善してきます。しかし、筋肉がつる場合は後述の様な電解質異常や脱水が隠れている場合がありますので、繰り返す場合は内科か整形外科を受診すると良いでしょう。

喉の渇きがあって、お腹がピクピクするが痛みはない症状で考えられる原因と治し方

筋肉の痙攣は脱水の際によく起こる症状であり、喉の渇きも伴う場合は脱水症が考えられます。筋肉は血液を非常に多く必要とします。特に激しい運動の後などは、筋肉の繊維に損傷が出ている事も多く、修復しようとしてより多くの血液が必要です。しかし、そんなときに脱水の状態になってしまうと、血液の流れが悪くなり、筋肉を修復するために必要な成分が十分に筋肉に届かず、修復が行われなくなってしまいます。筋肉の修復が行われない状態で放置されると、筋肉は異常な動きをしやすくなります。それにより、筋肉が痙攣を起こしてくることで腹部がピクピクしてくる症状が見られるようになるのです。
大きな筋肉全体が痙攣を起こすと前述のように筋肉がつったような状態になりますが、筋肉の一部だけが損傷を治せずダメージがたまっているだけの状態であれば、その部分だけが震えるような症状で治まる事もあります。このような場合には、脱水の改善に伴い症状が治まる事も多くありますので、先ずは水分補給をしましょう。水分を十分にとっても改善がない場合には内科を受診することをお勧めします。

全身がだるくてお腹がピクピクするのに痛くない症状で考えられる原因と対処法

全身がだるくてお腹がピクピクするのに痛くない場合、体内の電解質が乱れている可能性があります。筋肉が収縮するときには様々な電解質が関与してきます。
血液中の電解質の濃度と、筋肉の細胞内の電解質の濃度の差によって筋肉が動く信号が働く様になっているからです。
ですので、血液中の電解質が低下してしまうと、筋肉内の電解質の濃度との差が小さくなり、筋肉が収縮しようにもできなくなってしまい、ピクピクと動くような状態になってしまうのです。
このような現象を起こす電解質異常としては、低カリウム血症、低マグネシウム血症、低カルシウム血症などがあります。
自分自身どの電解質に異常があるのかを判断するのは困難ですから、前述のような脱水改善を試みても症状が続く場合は内科を受診して電解質を調べてもらいましょう。

すぐに病院へ行くべき「お腹がピクピクするのに痛くない」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

何日にもわたって筋肉のピクピクが続く場合は、内科へ

基本的に、電解質異常や脱水があったとしても1日生活をすれば改善してくるものです。しかし、数日経っても症状が継続しているという事はそれ以外の原因があるか、もしくは電解質異常や脱水を来すような内科的疾患を持っている可能性が考えられます。
身体所見から推察することはなかなか難しいので、数日続いた場合には念のため病院を受診しておくといいでしょう。診療科は非常に難しいので、まずは一般的な内科を受診すると良いでしょう。

受診・予防の目安となる「お腹がピクピクンするのに痛くない」ときのセルフチェック法

症状 考えられる疾患 受診する診療科
食前や食後に症状が強くなる 胃痙攣 消化器内科を受診
めまい、立ちくらみ、
寒気など全般的な体調不良
自律神経失調症 一般内科を受診
便秘、あるいは下痢を伴う 過敏性腸症候群 消化器内科を受診
筋力低下、足のむくみなどを伴う 甲状腺機能低下症 代謝内分泌内科を受診

「お腹がピクピクするのに痛くない」症状が特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「お腹がピクピクするのに痛くない」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

胃痙攣

胃けいれんは、胃を作る筋肉が異常に収縮して緊張することでおこってくる症状の事です。ほとんどの場合は痛みを感じるのですが、まれに、痛みを感じることなく痙攣のみが起こってくる事があります。このような場合には収縮を感じる事でお腹がピクピクしているように感じる事があるのです。胃けいれん自体は食前や食後におこり、暫く経つと自然に治りますが、再発を繰り返すこともあります。
原因としてはストレスが最も多いものになりますから、ストレスを改善することが必要になります。また、胃の何らかの病気を伴っている場合があります。食事に伴って症状がある場合、一度は消化器科を受診しておくことをお勧めします。

自律神経失調症

腹部の内臓は自律神経によってコントロールされています。しかし、疲労やストレスなど、体に負担がかかってしまうと自律神経の働きに異常が生じ、様々な内臓機能に異常を来してきます。また、内臓だけではなく筋肉の収縮にも異常が生じることがあり、筋肉の痙攣として感じる事があるのです。
基本的には安静にする事で症状は治まってきます。しかし、なかなか収まらない場合は何らかの疾患が潜在している可能性もありますから、一般的な内科を受診して診察を受けましょう。何も異常が無い場合は漢方薬が効果的な場合があります。漢方専門医に相談するのも良いでしょう。

過敏性腸症候群

腸は常に蠕動をしているものですが、何らかの原因で蠕動が強くなったり、あるいは弱くなってしまったりして症状が起こってくるのが過敏性腸症候群です。この中でも蠕動が強くなった状態の時には腹部のぴくつきという症状を感じる場合があります。過敏性腸症候群が起こると、便の出方に異常が出てきます。下痢になる場合もありますし、便秘になる場合もあります。また、出勤しようとしたときなどストレスがかかる場面で症状が起こりやすいと言う特徴もあります。
基本的にはストレスを除去する対応が良いのですが、なかなか難しいものです。過敏性腸症候群専用の内服薬もありますから、症状が合致すると思われる場合には消化器内科を受診して相談しましょう。

甲状腺機能低下症

甲状腺というのは、首にある組織で、甲状腺ホルモンというホルモンを分泌します。甲状腺ホルモンは体の活力を出すためのホルモンであり、また電解質を調節する効果もあります。
甲状腺機能低下症はこの甲状腺ホルモンの分泌量が減少する病気です。これにより、倦怠感や電解質異常、さらに足のむくみなどが出現してきます。電解質異常から筋肉の痙攣が起こってくることもあります。このような症状がある場合には、早期に内分泌内科を受診してホルモンの検査をしてもらいましょう。

「お腹がピクピクするのに痛くない」ときの正しい対処法は?

お腹がピクピクするのに痛くないときには、前述のようにさまざまな原因が考えられます。
しかし、痛みがない場合には基本的に1日以内に対処を行わなければならない重篤な疾患という事はほとんどありません。ですので、先ずは安静にし、水分をしっかり取りましょう。電解質異常があるかもしれませんので、スポーツドリンクを用意できる環境であればスポーツドリンクを飲むのが良いでしょう。
体が熱を持っている場合は冷やすように、逆に体が冷えている場合には温めるようにしましょう。正常な体温が体にとってのストレス緩和に役立ちます。
これらの処置を行っても症状が治まらない場合でも、焦る必要はありません。しっかりと睡眠を取って、体をゆっくり休めましょう。数日経っても症状が継続する場合や、他の症状が出現した場合には病院を受診するようにしてください。

「お腹がピクピクするのに痛くない」症状についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「お腹がピクピクするのに痛くない」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

お腹がピクピクして痛みはないときは何科の病院を受診すべきですか?

郷 正憲医師郷 正憲医師

お腹がピクピクするのに痛くないときには、どの臓器の影響であるのか見当がつかないと思います。他の症状がある場合には、その症状に見合った病院を受診すると良いでしょう。例えば、消化器症状(胃腸のトラブル)があるなら消化器科、倦怠感があるなら内分泌内科などです。
しかし、見当がつかないのであれば、お近くの一般的な内科を受診しましょう。先ずは電解質の確認をして、必要に応じて専門家に紹介してくれるはずです。

下腹部がピクピク痙攣します。痛みはなくても危険な状態でしょうか?

郷 正憲医師郷 正憲医師

下腹部がピクピクするという症状は筋痙攣の特徴的な症状です。他の症状がなければ特に焦る必要はありません。安静にして経過を見ましょう。

胃が脈打ってピクピク痙攣しているのですが何が原因でしょうか?

郷 正憲医師郷 正憲医師

胃けいれんの症状かもしれませんね。食事の前後に症状が起こっているのであればよりその可能性が高くなります。消化器内科への受診をお勧めします。

痛くないのにお腹がピクピクするのはストレスが原因ですか?

郷 正憲医師郷 正憲医師

痛くないのにお腹がピクピクするときに考える内臓疾患を前述しましたが、胃けいれん、自律神経失調症、過敏性腸症候群はストレスが原因でおこってくる病気です。そのため、ストレスによって痛くないのにお腹がピクピクすることは非常に多くあります。また、筋痙攣もストレスによって起こってくる事も多くあります。
もし症状に思い当たることがあるのであれば、なるべくストレスを避けるようにしましょう。

まとめ お腹がピクピクするのに痛くないのはストレスの可能性あり

多くの病気を列挙しましたが、痛みを伴わず筋肉が痙攣する原因として最も多いのはストレスです。内臓が原因であっても、脳の命令に原因があっても、ストレスの改善に伴って症状が改善してくることがほとんどです。
まずはゆっくり休んで、ストレスを改善する事を心がけてみましょう。他の症状がある場合や、数日続く場合は病院を受診するようにしましょう。

「お腹がピクピクするのに痛くない」症状で考えられる病気

「お腹がピクピクするのに痛くない」から医師が考えられる病気は7個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

整形外科系の病気

  • 筋痙攣

消化器系の病気

お腹がぴくぴくする症状は気になりますが、それだけでは大事には至りません。その他の症状が伴っている場合は、早めに医療機関を受診するようにしましょう。

「お腹がピクピクするのに痛くない」に似ている症状・関連する症状

「お腹がピクピクするのに痛くない」と関連している、似ている症状は6個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

「お腹がピクピクするのに痛くない」症状の他にこれらの症状がある場合でも「筋痙攣」「電解質異常」「甲状腺機能低下症」「自律神経失調症」「脱水症」「胃けいれん」「過敏性腸症候群」などの疾患の可能性が考えられます。食前や食後に症状が強くなる場合や、筋力低下や足のむくみなどを伴う場合には、早めの医療機関への受診を検討しましょう。