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『嘔吐で胃液しか出ない』時の原因・対処法はご存知ですか?医師が徹底解説!

『嘔吐で胃液しか出ない』時の原因・対処法はご存知ですか?医師が徹底解説!

胃液しか出ない嘔吐で、身体はどんなサインを発している?Medical DOC監修医が主な原因や考えられる病気・何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

鶴 昌太

監修医師
鶴 昌太(医師)

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2009年福岡大学医学部卒業。飯塚病院初期研修医、ERとICUを中心に約10年間勤務。救急専門医、集中治療専門医。飯塚病院退職後、離島・僻地医療に携わったあと、現在は二次病院のICUに勤務しつつ、慢性期病院の外来や病棟業務を行っています。急性期と慢性期の両方の視点から、最適な医療を提供できるよう心掛けています。

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「嘔吐で胃液しか出ない」症状で考えられる病気と対処法

誰しもが一度は嘔吐を経験したことがあるでしょう。嘔吐の苦しさやきつさは、どんな人にとっても非常に辛いものですが、嘔吐時に身体はどのようなサインを発しているのでしょうか?特に胃液しか出ない場合、どのような原因が考えられ、どのように対処すれば良いのでしょうか?この記事で、詳しく解説します。

嘔吐で胃液しか出ない症状で考えられる原因と治し方

嘔吐の原因は、消化管の異常が最も一般的です。具体的には急性胃炎などが考えられますが、消化管以外の原因による嘔吐もあります。嘔吐で胃液しか出ない場合、アルコール過剰摂取、ストレス、薬の副作用などが原因となることがあります。
この症状の特徴は、嘔吐物が無色または黄色の液体で、食事をしていない場合でも嘔吐することです。繰り返し嘔吐する場合は、脱水症状を起こす可能性があります。症状を軽減するには、何も食べずに数時間安静にして休むことが重要です。喉が乾いてきたら、少量の水分をゆっくり飲みましょう。お腹が空いてきたら、お粥などを少しずつ食べましょう。脂っこい食べ物やアルコールは症状を悪化させる可能性が高いため、避けるべきです。
これらの処置を行っても症状が改善しない場合は、内科もしくは消化器内科のある病院を受診しましょう。嘔吐物に血が混じったり、便の色が黒く変化したりした場合は、出来るだけ早く受診するようにしてください。

嘔吐で胃液と血が出る症状で考えられる原因と対処法

吐いた胃液に血が混じっている場合、食道や胃から出血している可能性があります。考えられる病気としては、逆流性食道炎、マロリーワイス症候群、胃潰瘍などがあります。腹痛や胸焼けを伴うことがあります。
血が混じった嘔吐の原因としては、ストレス、アルコール、薬剤などがあります。まずできる対処法は、これらを避けることです。軽症の場合は内服薬のみで治療できることもありますが、重症の場合は内視鏡での治療が必要となる可能性があります。そのため、消化器内科がある病院を速やかに受診することをお勧めします。稀なケースでは、最も重度の場合に手術が必要となることがあります。吐いた血の量や色などの情報がわかれば、診断の手助けになりますので、覚えておくか、嘔吐物の写真を撮って病院で伝えましょう。

頭痛がして嘔吐で胃液しか出ない症状で考えられる原因と対処法

頭痛と嘔吐が同時に起こる場合、消化管ではなく、脳に何らかの異常があるかもしれません。
例えば脳出血、髄膜炎、片頭痛、脳腫瘍などが考えられます。すぐにできる対処法は、静かな場所で安静にすることです。
頭痛や嘔吐が改善しない場合や、意識がもうろうとしてきた場合などは、速やかに病院を受診しましょう。脳神経内科や脳神経外科、頭部CTが撮影可能な病院を選ぶことが望ましいです。

二日酔いで胃液しか出ない嘔吐をした症状で考えられる原因と対処法

アルコールが体内に入ると、肝臓でアセトアルデヒドという物質に代謝されます。このアセトアルデヒドが二日酔いの症状を引き起こします。二日酔いの症状には吐き気、頭痛、胃痛、倦感感、意識障害などがあります。
通常、アセトアルデヒドはさらに代謝され、無毒な物質になった後に呼吸や汗、尿を通じて体外に排出されます。しかし、アルコールを過剰に摂取すると肝臓がアセトアルデヒドを代謝しきれず、血液中の濃度が上昇し、二日酔いの症状が現れます。また、アルコールによる直接的な胃粘膜へのダメージも、二日酔いの原因となります。
対処法としては、まずは飲酒を止め、可能な限り水分補給を行うことが重要です。水分を摂ることでアセトアルデヒドの血中濃度が低下し、症状が緩和されます。症状が改善傾向であれば、必ずしも病院受診は必要ありません。ただし、吐き気が強くて水分摂取ができない場合や、頭痛が非常に強い場合、症状が数時間以上持続する場合は、内科の病院を受診しましょう。

薬剤の副作用で胃液しか出ない嘔吐をした症状で考えられる原因と対処法

薬剤を服用した後に胃液のみを嘔吐することがあります。これは、薬剤が胃の粘膜を刺激する、薬が脳の嘔吐中枢に作用するなどの原因が考えられます。黄色や透明な胃液のみが出ることが多いですが、腹痛や下痢などの症状を伴うこともあります。症状が現れた場合、まず安静にして症状を落ち着け、少量ずつ水分を摂取して脱水を防ぎましょう。
吐き気・嘔吐を起こしやすい薬剤には、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)や抗がん剤、抗生物質などがあります。嘔吐を引き起こした可能性がある薬剤の服用を一時的に中止し、医師に相談してください。服用している薬の種類、量、飲んだタイミングや具体的な症状などの情報を整理しておきましょう。
薬剤による嘔吐は基本的には重症化しませんが、症状が長く続く場合や重度の場合は、別の原因の可能性があるので注意が必要です。薬を処方した病院に問い合わせるか、内科や消化器内科を受診しましょう。

ストレスで胃液しか出ない嘔吐をした症状で考えられる原因と対処法

ストレスによる自律神経の乱れ、ホルモン分泌の変化、胃粘膜の炎症などが原因で、嘔吐することがあります。食欲不振や胃の不快感、頭痛、めまいなどを伴うこともあります。特定のストレス要因と関連した症状の悪化が特徴的です。
この症状が現れた場合は、まず深呼吸をして気持ちを落ち着け、静かな場所で休息をとりましょう。ストレスの要因を特定し、一時的にその状況から離れることも考えましょう。
ストレスによる胃液の嘔吐は、適切なストレス管理と生活習慣の改善により軽快が期待できます。自分なりのストレス解消法を見つけることや、定期的な運動や十分な睡眠、バランスの取れた食事など、健康的な生活習慣を心がけることが重要です。一人で抱え込まず家族や友人に相談したり、必要に応じてカウンセリングなど専門的なサポートを受けたりすることも効果的です。
一般的に緊急性は低いですが、機能性ディスペプシアや過敏性腸症候群などの消化器疾患が関与していることがあります。これらの病気はしばしばストレスや自律神経の失調が原因で発症します。症状が長く続く場合は、心療内科や消化器内科を受診しましょう。

乗り物酔いで胃液しか出ない嘔吐をした症状で考えられる原因と対処法

乗り物酔いは、車、電車、船などの乗り物での移動中に起こる嘔吐やめまいなどの症状です。乗り物の揺れや動きにより、視覚情報と前庭器官(内耳にある平衡感覚を司る器官)からの情報のズレが生じます。脳がこのズレを処理しようとする過程で、自律神経系のバランスが崩れ、嘔吐中枢が刺激されることで症状が現れます。症状が現れた場合、まずは窓を開けて新鮮な空気を吸いましょう。視線を地平線や遠くの固定点に向けるのも有効です。長時間の読書やスマートフォンの使用は避けましょう。吐き気や嘔吐がひどい場合は安静にして、乗り物酔い止めを服用するのも効果的です。また、乗り物に乗る前は十分な睡眠をとり、暴飲暴食を避けて体調を整えておくことも重要です。
通常、乗り物酔いは深刻な病気ではなく、乗り物から降りれば自然に回復します。しかし、症状が長時間続く場合や日常生活に支障を来たす場合は医療機関を受診しましょう。耳鼻科や内科を検討してください。

すぐに病院へ行くべき「嘔吐で胃液しか出ない」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

症状 考えられる疾患 受診すべき科
激しい頭痛、意識障害、けいれん 脳出血、髄膜炎 内科、もしくは神経内科
激しい腹痛、大量吐血、黒色便 胃潰瘍穿孔、腹膜炎、虫垂炎 内科、もしくは消化器内科
発熱、悪寒、体の震え 感染症、虫垂炎 内科、もしくは消化器内科

受診・予防の目安となる「嘔吐で胃液しか出ない」ときのセルフチェック法

  • ・嘔吐で胃液しか出ない以外に激しい頭痛や意識障害、けいれんを伴う場合
  • ・嘔吐で胃液しか出ない以外に激しい腹痛や大量の吐血、黒色便を伴う場合
  • ・嘔吐で胃液しか出ない以外に発熱や悪寒、体の震えを伴う場合
  • ・症状が長く続き、安静にしても改善しない場合
  • ・脱水症状があり、吐き気が強くて水分を摂取できない場合

「嘔吐で胃液しか出ない」症状が特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「嘔吐で胃液しか出ない」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

虫垂炎(盲腸)

虫垂は、大腸の入り口にある盲腸の先についている管状の突起です。お腹の中の右下あたりに存在し、この虫垂に感染を起こしている状態が虫垂炎、いわゆる盲腸です。虫垂炎を起こすと、みぞおちや臍の周りに腹痛が生じ、時に胃液しか出ない嘔吐を伴い、痛みの場所がだんだんお腹の右下に移動します。手術の適応となる場合が多く、軽症であれば抗菌薬のみで治療することもあります。治療が遅れ虫垂が破れると、菌や炎症物質がお腹の中にばら撒かれ、腹膜炎という重篤な状態になります。
虫垂炎を疑う症状があれば、できるだけ速やかに消化器内科または外科を受診しましょう。確定診断はCTで行う場合が多く、CT撮影できる病院がよいです。

胃潰瘍

『潰瘍』とは、皮膚や粘膜が深く傷ついている状態を意味します。胃は、胃酸という強い消化作用を持つ酸を分泌しています。胃酸の役目は食べたものを溶かして消化することですが、自分の胃粘膜まで溶かしてただれさせてしまうことがあり、これが胃潰瘍です。ストレスやピロリ菌感染により、胃粘膜を防御する働きが弱まることで起こることが多いです。食後にみぞおちのあたりや背中が痛くなり、胸やけがでることが多いです。
 対処法としては、まずできる限りストレスを減らすようにしましょう。痛みが強い時は、胃酸の分泌を促進するようなもの(酒、たばこ、コーヒー、脂っこいたべもの、辛いたべもの)を控えましょう。症状が改善しない場合は消化器内科を受診しましょう。胃酸の分泌を抑える薬で治療を行い、内視鏡検査で潰瘍の程度を評価し、ピロリ菌陽性であれば除菌療法を行います。出血量が多い場合は内視鏡で止血術を行う場合もあります。

急性胃腸炎

急性胃腸炎は、ウイルスや細菌の感染によって起こる、胃腸の粘膜の炎症です。「お腹の風邪」と言われることもあります。腹痛、嘔吐、発熱、下痢などが症状です。感染以外には、ストレスや薬、アレルギー、食べ物が原因となります。
対処法は、おかゆなどの消化によいものを食べて、適切に水分を摂取することです。これだけで良くなることも多いですが、嘔吐や下痢が続くと脱水症状を起こすので、そのような場合は内科を受診しましょう。吐き気止めや整腸剤で対症療法を行い、必要に応じて点滴をします。

機能性ディスペプシア

ディスペプシアとは、消化不良を意味するギリシャ語です。胃に炎症や潰瘍などの明らかな異常がないのに、胃痛や胃もたれ、腹部膨満感などを生じる病態を機能性ディスペプシアと言います。2013年に正式な診断名として認可された新しい病気です。ストレス、睡眠不足、疲労などにより、胃の機能が低下したり、胃酸が多く分泌されることが原因で起こります。
自分でできる対処法は、ストレスの解消など、生活習慣の改善です。機能性ディスペプシアの診断は、超音波や内視鏡の検査で異常がないことを確認することが必要ですので、消化器内科を受診しましょう。症状によって、腸の動きを改善させる薬や、胃酸の分泌を抑える薬を使用します。

膵炎

膵臓は、お腹の上の方にある臓器で、胃の後ろ側にあります。食べ物を溶かす消化酵素や、血糖値を下げるインスリンを分泌する臓器です。膵炎は膵臓に炎症が起きた状態で、上腹部痛や背部痛、嘔気、発熱を起こします。原因としては、アルコールと胆石が最も多いです。状態が悪化すると、血圧が下がり、意識障害を起こすなど、危険な状態になります。
痛みの位置が胃に近いこともあり、症状のみでは胃炎と間違われることもあります。診断には超音波検査、CTが必要になりますので、消化器内科を受診しましょう。飲酒歴、胆石の治療歴がある人は特に注意してください。自分で対処するのは難しく、入院のうえで絶食、点滴投与などを行います。

逆流性食道炎

通常、食道と胃の境目は筋肉(下部食道括約筋)で閉まっており、食べ物を飲み込む際にはこの筋肉が緩んで食道から胃に移動します。しかし、何らかの原因で筋肉のしまりが悪くなると、食道に胃酸や食物が逆流し、食道の粘膜に炎症を起こします。これが逆流性食道炎です。加齢や肥満による食道括約筋の緩みが主な原因で、暴飲暴食やストレスなども影響を与えることがあります。
症状には、呑酸(胃酸が喉まで上がってくる感覚)、胸焼け、喉の痛み、飲み込みにくさ、咳、食べ物が食道に詰まる感覚などがあります。対処法は生活習慣の改善で、例えば食事の内容を見直し、脂っこい食べ物や酸っぱい食べ物を避ける、食後すぐに横にならないことなどが推奨されます。胃酸分泌を抑制する薬剤や、胃粘膜を保護する薬剤も有効です。
逆流性食道炎は、放置すると食道粘膜の炎症が悪化したり、合併症を引き起こしたりする可能性があります。胸焼けが頻繁に起こる、痛みが激しい、または食べ物の飲み込みに問題がある場合は、消化器内科を受診しましょう。

感染性腸炎

感染性腸炎は、細菌やウイルス、寄生虫などの病原体が腸に感染し、炎症を引き起こす病気です。下痢、腹痛、発熱、嘔吐などの症状を引き起こします。主な原因は汚染された食品や水の摂取で、感染者の便や嘔吐物に触れた手を介しての感染もあります。ノロウイルスやロタウイルス、カンピロバクター、サルモネラ菌、大腸菌、アメーバなど様々な病原体が関与しています。
脱水症状を防ぐため水分や経口補水液の摂取が必要ですが、嘔気が強い場合は飲水が困難なため、病院を受診して点滴が必要になります。解熱剤や整腸剤、病原菌の種類によっては抗生物質を使用することもあります。
感染した病原体の種類によって症状の程度や期間は異なりますが、脱水症状が強い、強い腹痛がある、血便がでるなどの症状があれば、内科や消化器内科を受診しましょう。特に乳幼児や高齢者は、脱水症状になりやすく重症化しやすいので注意してください。

急性胃炎

急性胃炎は、胃の粘膜に急性の炎症が起こる疾患です。上腹部痛、吐き気、嘔吐、胸やけなどの症状があります。過度の飲酒や不適切な食事(特に辛い物、脂っこい物、酸っぱい物などの刺激物)は炎症の原因となります。非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)やストレス、細菌やウイルス感染も炎症に関与しています。軽症例が多く、安静、絶食または胃に負担をかけない食事(消化の良い食品を少量ずつ)、水分補給で改善することが多いですが、重症例では病院受診が望ましいです。点滴による脱水の補正や、胃酸分泌を抑制する薬や胃粘膜を保護する薬で治療します。強い胃痛、吐血、便の色が黒い、症状が数日たっても改善しない場合などは内科や消化器内科を受診しましょう。

慢性胃炎

慢性胃炎とは、胃の粘膜が慢性的に炎症を起こす病気です。急性胃炎と病態はほぼ同じですが、異なるのは症状の程度と持続期間です。慢性胃炎は数週間から数か月、あるいは年単位で胃の粘膜が炎症を持続する状態です。上腹部痛、嘔気、食欲不振など症状は急性胃炎に似ていますが、通常はより軽度で慢性的に症状が続きます。症状が軽度の場合、自覚症状がないこともあります。最も多い原因は、ヘリコバクター・ピロリ菌の感染です。長期間にわたる不適切な食生活や飲酒、薬剤、ストレスなども発症の原因になります。
慢性胃炎は放置すると、胃粘膜の萎縮や貧血を引き起こすことがあります。特に、ヘリコバクター・ピロリ菌は胃癌のリスク因子となるため、抗生物質による除菌療法と定期的な検査が重要です。対症療法としては、急性胃炎と同様に、点滴や酸を抑える薬剤を使用します。症状が軽微でも、長期間持続する場合は消化器内科を受診しましょう。

胃・十二指腸潰瘍

胃・十二指腸潰瘍は、胃や十二指腸の粘膜に深い傷(潰瘍)ができる病気です。この病気は、胃や十二指腸の粘膜が、自己の胃酸やペプシンなどの消化液によってダメージを受けることで発症します。上腹部の痛みが最も一般的で、嘔気や嘔吐、食欲不振なども起こります。最も多い原因はヘリコバクター・ピロリ菌感染で、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の長期使用、ストレス、喫煙、暴飲暴食も危険因子です。
治療法は、原因がヘリコバクター・ピロリ菌感染であれば、除菌療法が必要です。他の治療法には、食事や飲酒などの生活習慣の見直しや、ストレス管理、禁煙、NSAIDsの使用中止などがあります。症状の強さに応じて酸分泌抑制薬や、粘膜保護薬も使用します。適切な治療で治癒する場合が多いですが、放置すると、胃や十二指腸に穴が開いたり、大出血したりすることがあります。腹痛が激しい場合や長く続く場合、吐血や黒色の便が出ると危険なサインです。このような症状が現れたら、消化器内科を受診しましょう。最重症例では手術が必要になることもあります。

胃がん

胃がんは、胃の粘膜に発生する悪性腫瘍です。日本人に最も多いがんの一つであり、近年は減少傾向にあるものの、死亡率は依然として高いです。初期段階では無症状のことが多く、進行すると胃の不快感や痛み、嘔気、嘔吐、食欲不振、体重減少、貧血など様々な症状が出現します。
発症する原因は、ヘリコバクター・ピロリ感染、胃潰瘍、慢性胃炎、肥満、喫煙、塩分の過剰摂取など様々です。遺伝的要因もあり、家族や親族に胃癌の方がいる場合は要注意です。治療は、がんの進行具合によって異なります。初期段階では内視鏡的切除が可能な場合もあり、進行がんの場合は手術、化学療法、放射線療法が組み合わされることが多いです。
早期発見が重要です。上記の症状が持続する場合は消化器内科を受診しましょう。特に家族に胃がんの既往がある場合や、ヘリコバクター・ピロリ菌の感染が確認されている場合は特に注意しましょう。初期は症状に乏しいため、職場の健康診断や人間ドックを定期的に受けることも重要です。

腸閉塞(イレウス)

腸閉塞(イレウス)とは、何らかの原因で腸の中がつまってしまう、または腸の動きが悪くなってしまう病気です。これにより、食物や消化液などの腸内容物の通過が妨げられ、腹痛、嘔吐、便秘、腹部膨満など様々な症状を引き起こします。進行例では、嘔吐時に胃液だけでなく、腸液や糞便様の液体を吐き出すこともあるのが特徴です。原因は、過去の腹部手術による組織の癒着や、悪性腫瘍や腸管内の異物による閉塞、ヘルニア、腸捻転など様々です。腹部の炎症や神経の問題で、腸の動きが低下して起こる場合もあります。腸閉塞は自然に改善するのは難しく、絶食と輸液管理、チューブによる減圧など入院加療が必要になることが多いです。閉塞の原因を除去する手術を行う場合もあります。
重症例では、腸が壊死してしまい、緊急手術が必要になることがあります。上記の症状が続く場合、特に腹部手術歴やイレウスの既往がある方は要注意です。特に、糞便様の嘔吐は腸閉塞の特徴的な症状で、通常の胃炎とは明確に異なります。この症状がある場合は緊急性が高いため、直ちに消化器内科、または外科を受診しましょう。症状が急激な場合は救急外来を受診してください。

「嘔吐で胃液しか出ない」の正しい対処法は?

1. 症状の落ち着かせ方:
数時間安静にして休むことが大切です。喉が乾いてきたら、少量の水分をゆっくりと飲みましょう。お腹が空いてきたら、お粥などの消化しやすい食事を少しずつ摂りましょう。脂っこい食べ物やアルコールは避けましょう。
2. 症状別の対処方法と注意点:
・嘔吐で胃液しか出ない場合: アルコール過剰摂取、ストレス、薬の副作用などが原因となることがあります。水分補給や休息、消化しやすい食事を摂ることが重要です。
・嘔吐で胃液と血が混じる場合: 食道や胃からの出血の可能性があるため、早急に医師の診察を受ける必要があります。
・頭痛がして嘔吐で胃液しか出ない場合: 脳に異常がある可能性があるため、神経内科や脳神経外科の受診が必要です。
・二日酔いで胃液しか出ない場合: アルコールの摂取過剰による二日酔いの症状であり、休息と水分補給が重要です。もちろん飲酒は控えてください。
3. 吐いた後の正しい対処法:
口をすすいでリフレッシュしましょう。まだ吐きそうな場合、仰向けに寝ると、吐物を誤嚥する可能性があるので、横向きに寝るか座って休みましょう。
4. 市販薬の使用について:
症状によっては市販薬の使用が適している場合もありますが、副作用や適応症状に注意が必要な場合もあり、医師や薬剤師の指示に従った方が安全です。市販薬を使用する場合は、記載されている正しい用法・用量を守りましょう。
5. 体を温めたり冷やしたりしたほうが良いのか:
一般的には温かい飲み物や温めた布でお腹を温めることが快適に感じる場合が多いですが、個人の好みや体調により冷やす方が良い場合もあります。
6. おすすめの食事や飲み物はあるか、水分補給のポイント:
胃を刺激しない、消化しやすい食事を摂ることが重要です。お粥やうどん、ゼリーなど柔らかい食品がおすすめです。水分補給も欠かさず行いましょう。少量ずつ飲み、こまめに摂ることがポイントです。
7.睡眠やストレス緩和やリラックスのアドバイス:
十分な睡眠をとることで回復力が高まります。ストレスを溜めすぎないような適切なストレスケアや、リラクゼーションの方法を取り入れることが大切です。自分に合った方法を見つけましょう。
8. 早く治したい時はどうしたら良いのか:
症状が長く続く場合や、自分で応急処置をしても改善しない場合は、医師の診察を受けましょう。医師に症状や経緯を詳しく伝え、適切な診断と治療を受けることが重要です。

以上が「嘔吐で胃液しか出ない」症状に対する正しい対処法の一般的な指針ですが、個人の状態によって異なる場合があります。症状が続く場合や心配な場合は、医療機関で適切な診断と治療を受けるようにしましょう。何科に行ったらよいかわからない場合は、救急病院の受診を検討してください。

「嘔吐で胃液しか出ない」症状についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「嘔吐で胃液しか出ない」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

胃液しか出ないのに吐いてしまう症状はすぐ病院に行くべきですか?

鶴 昌太 医師鶴 昌太 医師

胃液しか出ない嘔吐は、一般的には軽症であることが多いです。それでも原因がはっきりしない場合や症状が長く続く場合は、医療機関を受診することをおすすめします。特に以下の場合には速やかに医師の診断を受けるべきです。
・嘔吐物や便に血が混じっている場合
・強い腹痛や発熱、体の震えなど、胃液しか出ない嘔吐以外の症状が現れている場合
・意識レベルが低下したり、激しい頭痛やめまいがある場合

吐き気がして嘔吐しても胃液しか出ません。対処法を教えてください。

鶴 昌太 医師鶴 昌太 医師

しばらくの間、食事と水分の摂取を控えて休むこと。数時間は絶食し、水分補給は少量ずつゆっくりと行います。お腹が空いてきたら、お粥など消化のしやすい食事を少しずつ摂取します。脂っこい食べ物やアルコールは避けましょう。

胃液しか出ない嘔吐はストレスが原因なのでしょうか?

鶴 昌太 医師鶴 昌太 医師

胃液しか出ない嘔吐の原因はさまざまです。ストレスが関与することもありますが、他にもアルコール過剰摂取や薬の副作用などが原因となることがあります。嘔吐が続く場合や心配な場合は、医師に相談し、適切な診断と治療を受けることをおすすめします。

まとめ 胃液しか出ない状態で嘔吐してしまうときは軽症の場合が多い

・胃液しか出ない嘔吐は、一般的には軽症の場合が多いです。ただし、嘔吐が続く場合や、他の症状が現れる場合は、医療機関を受診することが重要です。
・胃液しか出ない嘔吐が起きた場合は、しばらくの間、食事と水分の摂取を控えて休むことが大切です。数時間の絶食を行い、少量ずつゆっくりと水分補給を行いましょう。また、消化のしやすい食事を摂ることや、脂っこい食べ物やアルコールの摂取を避けることも重要です。
・水分補給は胃液しか出ない嘔吐でも重要です。喉が乾いたら少量の水分をゆっくりと摂るようにしましょう。ただし、一度に大量の水分を摂取するのではなく、少量ずつ摂ることがポイントです。吐き気が強くて水分を飲めない、水分を飲んでも吐いてしまう場合は無理して飲まず、もう少し休んで様子を見るか、医療機関を受診してください。

上記の対処法で胃液しか出ない嘔吐による症状を和らげることができます。しかし、症状が長く続く場合や心配な場合は、医療機関で適切な診断と治療を受けることをおすすめします。
個人の状態によって異なる場合がありますので、医師のアドバイスを受けることが大切です。適切に対処し、早い回復を目指しましょう。

「嘔吐で胃液しか出ない」症状で考えられる病気

「嘔吐で胃液しか出ない」から医師が考えられる病気は14個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

循環器科の病気

消化器科の病気

婦人科の病気

泌尿器科の病気

代謝・内分泌科の病気

  • 糖尿病性ケトアシドーシス

脳神経内科・脳神経外科系の病気

多くの場合には消化管の異常が考えられますが、ストレスなどの精神的な問題を含め、いろいろな疾患が影響することもあります。

「嘔吐で胃液しか出ない」に似ている症状・関連する症状

「嘔吐で胃液しか出ない」と関連している、似ている症状は816ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

「嘔吐で胃液しか出ない」症状の他にこれらの症状がある場合でも「心筋梗塞」「心不全」「急性胃炎」「胃潰瘍」「虫垂炎」「膵炎」「妊娠」「子宮内膜症」「尿路結石」「糖尿病性ケトアシドーシス」「脳出血」「頭部外傷」「てんかん」「髄膜炎」などの疾患の可能性が考えられます。激しい頭痛や意識障害、けいれんを伴う場合や、激しい腹痛や大量の吐血、黒色便を伴う場合、発熱や悪寒、体の震えを伴うなどの場合には、早めに医療機関を受診しましょう。