「右脇腹が痛い」のは「子宮筋腫」が原因？医師が徹底解説！

右脇腹が痛いで、身体はどんなサインを発している？Medical DOC監修医が主な原因や考えられる病気・何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

監修医師：
中川 龍太郎（医療法人資生会 医員）

「右脇腹が痛い」症状で考えられる病気と対処法

右脇腹が痛い症状では、臓器の位置関係から肝臓や胆嚢の病気が考慮されがちですが、それ以外の臓器の影響という場合もあります。どんな場合に病院受診を行う必要があるのか解説していきます。

横になると右脇腹が痛い症状で考えられる原因と対処法

横になると右脇腹が決まって痛くなる症状のことを指します。このような場合、肋間神経痛の可能性が考えられます。肋間神経痛とは、胸や背中を走る肋間神経の走行に沿った、痺れるようなピリピリとして痛みが出る病気です。脊椎病変や帯状疱疹、狭心症や気胸、胆石症、肋骨骨折などさまざまな病気に伴って見られる症候性肋間神経痛と、これらの原因がない特発性肋間神経痛の2つに大別されます。
対応としてまずすべきことは、脇腹に痛みを引き起こしている他の病気がないか調べることです。もし他に疾患があれば、そちらを治療することが第一優先になります。仮に何も器質的疾患が見つからなかった場合は、痛み止めの内服や神経ブロック（麻酔を肋間神経に効かせることで痛みを取り除く）といった治療手段があります。
特発性肋間神経痛ならば緊急性はありませんが、痛み自体が生活の質を下げるため、症状が持続する際は一度医療機関を受診しましょう。受診すべき診療科は一般内科や麻酔科（ペインクリニック）です。特に神経ブロックに関しては、ペインクリニックを受診することを勧めます。

右脇腹が痛く下痢の症状で考えられる原因と対処法

右脇腹の痛みが続き下痢も伴っている場合、虫垂炎の可能性が考えられます。虫垂は、腸管の中の盲腸という部分から伸びた細い管状の構造のことを指します。この虫垂の内部で細菌感染が起こり、炎症を起こした状態が虫垂炎です。一般的には“盲腸”と言われています。
虫垂炎の特徴は、全体的な腹痛から徐々に右下腹部に痛みが移動する、という点です。全ての虫垂炎でこのような痛みの位置変化が起こるわけではありませんが、特徴的な所見とされています。また嘔気嘔吐や下痢、食欲不振、発熱を伴うこともあります。
　虫垂炎を放置していると腹膜炎という重篤な病態を引き起こす可能性があり、ここまで至ると緊急性は高く、救命センターなどの受診も検討する必要があります。
ただ症状がそこまで強くなくても、様子を見ていて自然に治ることはまずない疾患ですので、早めに受診してください。受診すべき診療科は消化器外科です。症状が軽い場合は日中に受診しましょう。

右脇腹が痛く便秘の症状で考えられる原因と対処法

右脇腹が痛く便秘が続く場合、腸閉塞の可能性があります。
腸閉塞は、便が通っていく腸管が、腫瘍や炎症、手術後の癒着などによって通過できなくなってしまい、腸管が閉塞してしまう状態のことを指します。消化した食べ物が流れていかなくなるため、小腸・大腸の中が糞便でいっぱいになり、腸管壁が引き伸ばされることで痛みを生じます。特に右脇腹に多いというわけではなく、腹部の正中や左側でも起こります。
このような症状が現れた際は一度消化器内科を受診し、検査を受けましょう。問診、聴診、触診や画像検査で調べることが一般的です。緊急性はありませんので日中に受診するようにしてください。

食後に右脇腹が痛い症状で考えられる原因と対処法

食後に右脇腹が痛い症状の場合、胆石発作の可能性があります。胆石及び胆石発作についての詳細は後述しますが、胆石という石が食事の際に胆嚢の出入り口に詰まってしまい、右腹痛や右肩甲骨あたりの痛み、発熱などをきたす状態が胆石発作です。多くの場合、急性胆嚢炎という病気になっていることが多く、抗生物質の投与や重症度によっては外科手術も必要になる疾患です。
受診すべき診療科は消化器内科や消化器外科です。腹痛が非常に強く、歩くだけでもお腹に響いたり、腹壁がカチカチに硬くなっている場合は、重篤な可能性が高いため、すぐに医療機関を受診してください。

男性で右脇腹が痛い症状で考えられる主な原因と対処法

男性で右脇腹が痛くなる場合、尿路結石の可能性が考えられます。尿路結石とは、尿路が結石で詰まってしまった状態です。特徴的な症状は、急に引き起こされる激しい背中や腹部、鼠蹊部の痛みです。あまりの痛みに嘔吐してしまう方もおられます。
ご自身でできる対処法は、痛み止めの内服と水分摂取です。ロキソニンなどの非ステロイド性抗炎症薬で痛みを和らげて、排尿によって自然に排石されるのを待ちます。ただし、あまりに結石が大きい場合は後述する方法で、積極的に結石を除去することがあります。
これらの方針決定には泌尿器科医の診断が必要となりますので、速やかに医療機関を受診しましょう。尿路結石だけでは緊急性はないため日中の受診でも構いません。

女性で右脇腹が痛い症状で考えられる主な原因と対処法

女性で右脇腹の痛みがある場合、子宮筋腫の可能性が考えられます。子宮筋腫については後に詳しく説明しますが、子宮に筋腫という良性腫瘍ができる病気です。無症状のことも多いですが、月経時の出血量が増えることで貧血になり、強い月経痛を伴うこともあります。特に右側の痛みが多いというわけではありませんが、女性であれば鑑別に上がる疾患です。
　受診すべき診療科は産婦人科です。症状が軽い場合は経過観察で問題ありませんが、ふらつきや強い月経痛で悩まれる場合は、早目に受診しましょう。緊急性はありませんので日中に受診してください。

帝王切開後に右脇腹が痛い症状で考えられる原因と対処法

帝王切開後に右脇腹が痛い場合、特に術後1週間以内など間もない場合は、術後感染の可能性が考えられます。いかなる手術においても感染というリスクは必ずあります。帝王切開においても同様です。術後の感染で特徴的な症状は、発熱や術後にどんどん強くなる痛み、腫れや赤み、熱感などです。手術を行なった部分で感染が起こった場合、原則的には再手術して感染部分を除去する必要があります。
例えば帝王切開を受けて退院後に上記の症状が出現した場合は、速やかに手術を受けた病院に連絡、緊急受診する必要があります。術後感染が起きていると緊急性も高いですので、時間帯や休日関係なく受診するようにしてください。

すぐに病院へ行くべき「右脇腹が痛い」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

腹痛が激しく、歩けない症状の場合は、消化器外科・救急科へ

右脇腹の痛みが激しく、痛みのために歩けない状態は、急性腹症という重篤な状態が疑われます。急性腹症の場合、放置しておくと命に関わる危険な状態です。躊躇せずに救急要請し、消化器外科や救命救急センターのある病院を受診することを勧めます。

受診・予防の目安となる「右脇腹が痛い」ときのセルフチェック法

• ・右脇腹が痛い以外に下痢症状がある場合
• ・右脇腹が痛い以外に便秘症状がある場合
• ・右脇腹が痛い以外に発熱症状がある場合

「右脇腹が痛い」症状が特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「右脇腹が痛い」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

胆石症

胆石とは、胆汁を貯蔵する臓器である胆嚢の中に発生した石のことで、これ自体が病気という訳ではありません。脂っこい食事をした際に胆汁が必要になるため、胆嚢から胆汁と一緒に胆石が出ていきますが、小さい胆石であれば特に問題にはなりません。しかし胆石のサイズが大きくなると、胆汁と一緒に出るときに胆嚢の出口に嵌まり込んでしまうことがあります。これを胆石発作と言い、右側腹部や右側の肩甲骨に痛みが出る場合があります。さらに発熱も出現すると、細菌感染を起こした急性胆嚢炎という状態が考えられます。
受診すべき科は消化器内科です。胆石のみであれば石を溶かすための内服薬を服用するか、体外から衝撃波で砕く治療などがあります。もし胆嚢炎まで至っていれば抗菌薬の投与で治療されます。また何度も胆石発作を繰り返す方は予防的に胆嚢を摘出する手術なども検討されます。右側のお腹や背中、肩のあたりが繰り返し痛くなる方は、一度受診を検討しましょう。

尿路結石

尿路結石とは、腎臓から尿管、膀胱、尿道という“尿路”の途中で石が詰まってしまい、激しい痛みを引き起こす疾患です。多くは尿管という細い管のところで詰まってしまうことが多く、男性に多いです。これは結石の成分となるシュウ酸を、男性ホルモンが増加させるためと考えられています。
症状に対する対処法は、まずは痛み止めの内服です。お手持ちにロキソニンなど非ステロイド性抗炎症薬がある場合はそれを内服します。結石は10mm以下の場合は、基本的に痛み止めで対応して自然に排石されるのを待ちます。結石の大きさが10mmを超えるものは、体外衝撃波結石破砕術や経尿道的結石破砕術などを用いて、積極的に結石を除去することがあります。
これらの判断は専門の医師の診断が必須となりますので、速やかに医療機関を受診しましょう。受診すべき診療科は泌尿器科です。尿路結石だけでは緊急性はないため日中の受診でも構いません。ただし、発熱や悪寒戦慄が伴った場合は、結石の関与した複雑性尿路感染という状態に陥っており緊急性が高くなります。その際は夜間休日問わず医療機関を受診しましょう。

子宮筋腫

子宮筋腫はその名の通り子宮に発生する腫瘍です。悪性ではありませんが、過多月経や月経通などの月経異常やそれに伴う貧血と、腹部の圧迫感や下腹部痛などが生じることがあります。年齢的に更年期障害の一つだろうと自己判断して、病院を受診されない方がおられますが、お腹の張りは更年期障害に特有の症状というわけではないので、医療機関の受診を勧めます。
受診すべき診療科は産婦人科です。内診や超音波検査、CT・MRIなどの画像検査で診断に至ります。無症状の場合は定期的にサイズをチェックするだけで問題ありませんが、日常生活に影響を及ぼす場合は、子宮摘出術などが検討されます。貧血で、ふらつきや転倒する頻度が増加している際は、すぐに医療機関を受診しましょう。

「右脇腹が痛い」ときの正しい対処法は？

これまで紹介した中でご自身が対処できる疾患は、肋間神経痛くらいです。そしてこの疾患も他に痛みの原因となる疾患がないことを確認していることが前提となります。
ご自身で対処しようとせず、早めに医療機関を受診することを勧めます。

まとめ

右脇腹の痛みとなると、臓器の位置としては肝臓や胆嚢が候補に上がりますが、それ以外の臓器でも右側で異常があれば、右脇腹の痛みとして現れることは多々あります。いずれにせよ、非常に強い痛みが生じている場合はすぐに医療機関で検査すべき病気ばかりですので、躊躇せずに受診してくださいね。

「右脇腹が痛い」症状で考えられる病気

「右脇腹が痛い」から医師が考えられる病気は7個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

腹部の痛みの最も強い場所が時間経過によって移動することもあります。痛みの性状やともに現れている症状などが診断のヒントになります。

「右脇腹が痛い」に似ている症状・関連する症状

「右脇腹が痛い」と関連している、似ている症状は7個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

右脇腹が痛い症状以外に、これらの症状を認める際には「急性虫垂炎」「胆石発作」「尿路結石」「肋間神経痛」などの可能性があります。
症状を複数併発している場合は、なるべく早く医療機関への受診をおすすめします。