「気持ち悪い」症状の原因・対処法はご存知ですか?【医師監修】
「気持ち悪くて起き上がれない」「吐き気や下痢などの胃腸症状がある」という方は、何らかの原因で胃腸の機能が低下している可能性があります。
但し、女性の場合は妊娠の可能性も考える必要があります。心当たりがある方はまず、妊娠の検査をしましょう。妊娠の可能性がない場合、胃腸の機能が低下していると考えられます。
細菌やウイルスへの感染・ストレス・薬の副作用などによっても、胃腸の不調が現れることも考えられるでしょう。
例えば、環境の変化や暴飲暴食など明らかに思い当たるような原因があるのであれば、ストレスへの対処・休息・食生活の見直しなどで症状が改善することもあります。
今回は、気持ち悪いと感じる原因・気持ち悪い症状を引き起こす病気・対処法について詳しく解説します。
監修医師:
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)
気持ち悪いと感じる原因
では、気持ち悪いと感じる原因にはどのようなものがあるのでしょうか。冒頭でもお伝えしたように、女性の場合は妊娠によるつわりで、気持ち悪さを感じている可能性もあります。
ここでは、気持ち悪い状態を引き起こす主な原因3つについて解説します。
食べすぎ・飲みすぎ
食べすぎ・飲みすぎは、胃腸の炎症を引き起こす原因となります。胃腸に負担がかかり機能が低下することで、吐き気や気持ち悪さを感じることもあるでしょう。食生活を振り返ってみて思い当たるようであれば、意識的に胃腸を休めるようにしてください。
消化の良い食べ物をゆっくりとよく噛んで食べるように心がけると良いでしょう。特に、辛い物・脂っこい物・アルコールなどは胃腸の不調を引き起こす原因となります。症状が改善するまでは控えるようにしてみてください。
緊張・ストレス
身体が過度な緊張やストレスにさらされた場合、自律神経が乱れて吐き気などの症状が現れることがあります。例えば、強い悲しみ・怒り・恐怖などを感じた際に自律神経の調整がうまくできなくなってしまうことがあるのです。
また、ストレスは負の感情を抱いた時のみに感じるわけではありません。楽しい・嬉しいと感じる出来事があったときにも身体にとってはストレスがかかります。普段とは違うイベントや生活の変化があった際には自律神経が乱れやすくなるため注意しましょう。自律神経がうまくコントロールできなくなったときには、以下のような症状が現れることもあります。
- 動悸
- めまい
- 頭痛
- 胃痛
- ふるえ
- のどのつまり
これらの症状に伴って不安・抑うつ・睡眠障害などがみられる場合には、うつ病などの可能性も考えられます。つらい症状が続く場合には、無理をせずに医療機関へ相談してみてください。
薬の副作用
内服している薬の副作用によって吐き気が引き起こされることがあります。また、吐き気以外には以下のような胃腸症状が現れることも考えられるでしょう。
- 食欲不振
- 嘔吐
- 下痢
何らかの薬を内服した後に気持ち悪さを感じた場合には、薬の副作用である可能性も否定できません。薬の内服を続けるのではなく、まずは医師や薬剤師に相談することが大切です。また、薬の飲み合わせによって副作用が出やすくなることもあります。
多剤を併用する際には、現在服用している薬を医師や薬剤師に伝えるようにしてください。用法・用量を守って服用することも重要です。
気持ち悪い症状を引き起こす病気
食習慣やストレスなどの原因以外にも、気持ちわるい症状を引き起こす病気が考えられます。ここでは、4つの病気について解説していきましょう。
胃腸炎
胃腸炎とは、細菌やウイルスへの感染によって胃腸に炎症が引き起こされる病気のことです。胃腸炎は炎症性の疾患ですので、気持ち悪さ以外にも様々な症状が現れることが多いです。例えば、以下のような症状が考えられます。
- 発熱
- 胃やお腹の痛み
- 吐き気
- 嘔吐
- 下痢
- 倦怠感気
胃腸炎は何らかの細菌やウイルスへの感染によって引き起こされることが多いですが、辛い物やアルコールなどの刺激物の過剰摂取や暴飲暴食などによっても引き起こされます。
吐き気が酷く水分を摂取できなかったり嘔吐や下痢を繰り返しているような場合には、脱水症状が引き起こされることがありますので注意しましょう。ご自身でこまめに水分摂取できない場合には医療機関へ受診するようにしてください。
逆流性食道炎
逆流性食道炎とは、その名の通り、胃液が逆流することによって食道に炎症が引き起こされる病気のことです。主な症状は以下の通りです。
- 胸やけ
- 胃もたれ
- 酸っぱい液が上がってくる
- 胸やみぞおち付近の痛み
- お腹の張り
- ゲップの回数が増える
- のどや耳の違和感
- 声のかすれ
- 慢性的な咳
- 飲み込みにくい
気持ち悪さに加えて、酸っぱい液が上がってきたりゲップの回数が増えるなどの特徴的な症状がみられる場合には逆流性食道炎が疑われます。胃液が食道を越えて喉のあたりまで上がってくるような場合には、喉の違和感や声のかすれなどもみられるようになります。
放置してしまうと様々な症状が現れるようになりますので、できるだけ早い段階で受診するようにしましょう。
機能性ディスペプシア
機能性ディスペプシアとは、検査をしても胃に病変が見当たらないにもかかわらず、胃痛や胃の不快感などを覚える病気のことです。
近年、機能性ディスペプシアと診断されている方は多く、日常生活における様々な要因が複雑に絡み合って発症しているといわれています。具体的には、以下のようなものが発症の原因だと考えられています。
- 不眠
- 喫煙
- 飲酒
- 細菌やウイルス
- 遺伝子
- 胃の形
- 胃酸
症状の強さや持続期間は人によって様々です。気持ち悪い症状が続くようであれば、一度詳しい検査をすることがおすすめです。
嘔吐反射
嘔吐反射とは、何らかの刺激によって吐き気が誘発される反応のことです。嘔吐反射は病気ではありませんが、嘔吐反射が起きやすい方もいます。例えば、歯科受診で口の中を触られた際に反射的にえずいてしまうような場合です。嘔吐反射自体は、危険なものから身を守ろうとする生体の防御反応ですが、不安や恐怖などによって起こるものもあります。これを「異常絞扼(こうやく)反射」といいます。
嘔吐反射は、口の中でも特に口の奥の方に刺激があった場合に吐き気を催しますが、異常絞扼(こうやく)反射の場合には実際に触れていなくても吐き気を催すのが特徴です。つまり、口を触られそうになっただけでも吐き気をもよおしてしまいます。
この症状は心理的な要因が大きいため、リラックスしたり他のことを考えたりすることで症状が軽減できることもあるでしょう。歯科受診などで嘔吐反射に不安を感じている場合には、事前に医師に相談してくと安心です。
気持ち悪いときの対処法
気持ち悪い状態のとき、少しでも症状を和らげたいと感じる方は多いでしょう。ここからは、症状を改善するためにご自宅でできる対処法をご紹介します。具体的には、以下のようなものが挙げられます。
- 消化の良い食事を心がける
- 規則的な時間に食事を摂る
- 辛い食べ物を避ける
- アルコールやカフェインを控える
- 十分な休息をとる
- ストレスを発散する
気持ち悪さを感じるときには、できるだけ胃腸に負担をかけないような食事を心がけるようにしましょう。暴飲暴食は避け、消化の良いものを食べるようにすることをおすすめします。また、食事の際にはよく噛んで食べることも大切です。さらに、食事は毎日できるだけ決まった時間に食べるようにすると胃腸への負担を軽減できるでしょう。
例えば、朝と昼は食事を摂らずに夜のみ大量に食事を摂るなどは、胃腸に大きな負担となります。その他、辛い物・アルコール・カフェインなどは胃腸へ負担がかかりやすく、吐き気を増強してしまう可能性があります。
気持ち悪さや胃の不快感などを覚えるときには、刺激物は避けて身体を休めることが重要です。日常的に何らかのストレスを感じている場合には、ストレス解消を図ったりストレスの原因を取り除くことも心がけましょう。それでも症状が改善しないような場合には我慢せずに医療機関へ相談してください。
すぐに病院に行った方が良い「気持ち悪い」症状は?
- 高熱や嘔吐、激しい腹痛、下痢などがある場合
- 激しい胸痛、息苦しさ、冷や汗がある場合
- 意識障害がある、けいれんしている、ひどいめまいがある場合
これらの場合には、すぐに病院受診しましょう。
行くならどの診療科が良い?
主な受診科目は、内科、消化器内科、婦人科です。
問診、診察、血液検査、尿検査、画像検査(レントゲン、CTなど)、心電図検査、超音波検査などが実施される可能性があります。場合によっては、上部消化管内視鏡検査や頭部画像検査なども追加されます。
病院を受診する際の注意点は?
持病があって内服している薬がある際には、医師へ申告しましょう。
いつから、どのような症状があるか、きっかけに心当たりがあるかなどを医師に伝えましょう。
治療をする場合の費用や注意事項は?
保険医療機関の診療であれば、保険診療の範囲内での負担となります。
まとめ
「気持ち悪くて食欲がない」「気持ち悪くてベッドから起き上がれない」などの症状は、非常につらいものです。
そのため、早めに原因を明らかにして対処することをおすすめします。
例えば、仕事が忙しく休む時間をあまり取れない方や暴飲暴食をしてしてしまった方などは、休息を優先したり消化に良い食事を心がけるようにしましょう。
また、気持ち悪い症状を引き起こす病気として「逆流性食道炎」なども考えられます。
気持ち悪さに加えて、ゲップの回数が増えたり酸っぱい液が上がってくるなどの症状がある場合には、一度詳しい検査を受けるようにしてみてください。