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「生理前や生理中に足が痛い」原因はご存知ですか?考えられる病気も医師が解説!

「生理前や生理中に足が痛い」原因はご存知ですか?考えられる病気も医師が解説!

生理前や生理中に足が痛いとき、身体はどんなサインを発している?Medical DOC監修医が主な原因や考えられる病気・何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

喜多村 麻梨子

監修医師
喜多村 麻梨子(医師)

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滋賀医科大学卒業。天理よろづ相談所病院より初期研修を経て、総合内科診療に深く携わる。
形成外科を経て美容医療の可能性を見出し、産後も美容診療に携わりながら幅広く活躍している。現在は美容医療の枠にとどまらず予防医学の啓蒙・執筆活動に従事し活躍の幅を広げている。

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「生理前や生理中に足が痛い」症状で考えられる病気と対処法

生理前になると、ふくらはぎや太ももなどの足に筋肉痛や関節痛のような痛みを感じるのはなぜでしょうか?症状の原因はいろいろありますが、最も考えられる病態としては、ホルモンバランスの変化によるPMS(月経前症候群)の症状です。どんな場合に病院受診を行う必要があるのか解説していきます。

生理前や生理中に足が痛い症状で考えられる原因と対処法

足が痛いという症状は生理前、月経前症候群(PMS)の症状が考えられます。排卵から生理が始まるまでの期間にホルモンバランスが崩れ、体が水分を溜め込みやすい状態になります。リンパの流れが滞ったり、排出されるべき水分が細胞内に溜まったりして体がむくみやすくなることで、ふくらはぎや太ももなどの足に全身の痛みや関節痛が起こるとされています。人によって、また年齢によっても、肩、背中、ひじ、手首、股、ひざ、足首など痛む部位が異なり、自覚症状はさまざまです。
すぐできる対策は、生理前だけでなく普段から体の中に水分を溜め込まないよう、水分・塩分を摂りすぎないことです。また、下腹部や腰周り、足などを中心に温めることやマッサージで血行を良くすることも、関節痛などの症状を緩和させます。
生理前の一時的な症状であれば問題ありませんが、足のだるさが続いており、日常生活に支障がある場合や、痺れやむくみを伴う場合はPMS以外のその他の病気の可能性もあります。まずはかかりつけの医療機関を受診しましょう。

生理前や生理中に足のふくらはぎが痛い症状で考えられる原因と対処法

生理前にふくらはぎが痛い場合、その原因には月経前症候群(PMS)の他にも下肢静脈瘤なども考えられます。

下肢静脈瘤

下肢静脈瘤とは、脚の血を心臓に戻すための静脈が異常に広がってしまう病気です。特に、ふくらはぎや太ももの静脈がこの状態になることが多いです。この病気は、静脈内の血液を逆流させないための弁が正常に働かなくなることで発生します。その結果、血液が静脈内で滞ったり、逆流したりしてしまうのです。下肢静脈瘤が進行すると、足が重たく感じたり、膨らんだ静脈が痛みを伴ったりすることがあります。また、静脈弁の部分がコブのように見えてしまうため、整容面でもご本人にとって大きな問題となることがあります。
下肢静脈瘤の発症予防や悪化の予防策は、適度な運動により脚の筋力を高めることです。ふくらはぎの筋肉による「血を心臓へ戻すポンプ機能」が高まり、血流を良くすることができます。また、食事面では塩分や油分を控え、バランスのとれた食事をとることで、血流改善や静脈への負担を軽くすることができます。長時間の立ち仕事や座り作業は脚のむくみの原因の一つです。休み時間に軽い運動をしたり、足を上げて休ませたりすることを心がけてください。どうしても立ち仕事が多い方は、弾性ストッキングを利用すると脚の血行を補助し、下肢静脈瘤の発生や悪化を防ぐことができます。
下肢静脈瘤ができてしまった場合は、注射やカテーテル治療など専門的な治療が必要になるケースがあります。血管の盛り上がり、脚の重だるさ、ほてりなどの症状を伴う場合は、早めにお近くの循環器内科を受診しましょう。

生理前や生理中に足の太ももが痛い症状で考えられる原因と対処法

生理前に太ももが痛い場合、その原因には月経前症候群(PMS)の他にも閉塞性動脈硬化症なども考えられます。
年齢を重ねると、血管は硬くなったり詰まったりすることがあります。手足の血管でこの動脈硬化や閉塞が進行すると、閉塞性動脈硬化症という病気になります。50歳以上の男性に多い病気で、肥満や高血圧、糖尿病、喫煙などの生活習慣も関係しています。
症状は、血流が悪くなり、手足が冷たく感じたり、しびれたりすることが特徴です。病気が進行すると、歩いているときに突然太ももやふくらはぎが痛くなることもあります。これは「間歇性跛行」と呼ばれる症状で、病気が進行している警告信号と言えます。更に進行すると安静時でも痛みが出るようになり、最悪の場合、手足の皮膚が壊死してしまうこともあります。
治療には、まず肥満や高血圧、糖尿病などの生活習慣病をきちんと管理することが大切です。喫煙は特に血管に悪影響を及ぼすので、禁煙が強く推奨されます。薬を使って血流を良くしたり、定期的な運動をしたりすることも予防・症状改善の手助けになります。手足が冷たく感じる、しびれを感じる、歩くときに脚が痛くなるなどの症状が出た場合は、早めに循環器内科を受診することをおすすめします。

生理前や生理中に足がだるく痛い症状で考えられる原因と対処法

生理前や生理中に足がだるく痛い場合、その原因には月経前症候群(PMS)の他にも甲状腺機能低下症なども考えられます。

甲状腺機能低下症

甲状腺機能低下症は、甲状腺がうまく機能せず、甲状腺ホルモンが不足する病気です。無気力や疲労感、むくみ、寒がり、体重増加、動作の鈍さ、記憶力低下、便秘などの症状が現れます。女性に多く見られ、年齢とともに発症しやすい傾向があります。原因はさまざまで、橋本病と呼ばれる自己免疫疾患が最も一般的です。他にも甲状腺に直接原因がある場合や、脳や下垂体に問題がある場合もあります。
治療は合成ホルモンの薬を服用して不足したホルモンを補う方法が一般的です。適切な治療を行うことで、症状の改善や健康な体を取り戻すことができます。足がだるい、元気がない、体重が増えたと感じるなどの症状があれば、早めに内分泌内科を受診しましょう。

すぐに病院へ行くべき「生理前や生理中に足が痛い」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

症状が長引く、足の太さや色・温かさが左右で異なる場合は、内科へ

生理前の足のだるさは、PMS(月経前症候群)によるもので、月経の開始とともに消えることが多いとされています。しかし、一緒に現れる症状によっては注意が必要です。足のだるさの原因となる主な病気には、前述したように、甲状腺機能低下症、下肢静脈瘤、閉塞性動脈硬化症なども考えられます。
甲状腺機能低下症では、疲れやすさ、まぶたや顔の腫れ、体重増加、声のかすれ、体や足のむくみ・だるさなどの症状が現れます。
下肢静脈瘤では、ふくらはぎの静脈がこぶのように盛り上がったり、クモの巣のような形に浮き上がったりします。
閉塞性動脈硬化症では、足がだるい、足がつりやすいなどの症状が現れます。
その他にも、子宮内膜症や子宮筋腫などの婦人科系の疾患により、足の痛みが生じることがあります。一時的な症状であれば問題ないですが、足のだるさが続いており、日常生活に支障がある場合や、痺れやむくみを伴う場合は近くの内科を受診しましょう。

受診・予防の目安となる「生理前や生理中に足が痛い」ときのセルフチェック法

  • 生理前や生理中に足が痛い以外にむくみがある場合
  • 生理前や生理中に足が痛い以外にイライラや気分の落ち込みがある場合
  • 生理前や生理中に足が痛い以外に体重の増減がある場合

「生理前や生理中に足が痛い」症状が特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「生理前や生理中に足が痛い」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

PMS(月経前症候群)

月経前症候群(Premenstrual syndrome; PMS)は「月経前3~10日に起こる精神的あるいは身体的症状で、月経発来とともに消退するもの」と定義されています。代表的な症状は、精神症状ではイライラや情緒不安定、抑うつ気分や自己評価の低下などで、身体症状では乳房が張る感じ、腹部膨満感、むくみ、だるさ、頭痛、腹痛などです。
PMSの原因は解明されていませんが、症状が月経周期と同期して出現することから、卵巣ホルモンが関わっていると考えられています。
精神症状が強い場合は、外に出るのが嫌になって会社に行けなくなったり、感情のコントロールができなくなって親しい人との間にトラブルを起こしてしまったりなど、仕事や人間関係にも影響を及ぼすことがあります。このような重症の場合は、月経前不快気分障害(Premenstrual dysphoric disorder; PMDD)と呼ばれますが、女性の社会的立場にも影響を与えるので問題は深刻です。
PMSは、日常生活に支障がない場合には、治療の必要がなくセルフケアが有効と言われています。ビタミンやミネラルを多めに摂取するような食事と、適度な運動をこころがけ、日々の疲れをためない生活を送りましょう。特に自身の月経サイクルを理解し、月経前は心身の疲労を避け、自分にあったリラクゼーション法(アロマセラピーやマッサージなど)で身体をほぐし、血行の改善をはかりましょう。
自身での改善が難しい場合には、婦人科にて薬物療法を行います。漢方薬やホルモン療法、向精神薬など選択肢は多いので、婦人科で相談して自分の症状にあった治療法を見つけるのが良いでしょう。

月経困難症

月経困難症は月経とともに症状が強く出現する病気です。月経時あるいは月経直前より始まる強い下腹部痛や腰痛が主な症状ですが、その他にも、腹部膨満感、嘔気、頭痛、疲労・脱力感、食欲不振、イライラ、下痢および憂うつがみられます。原因は、子宮の中(内膜)から出されるプロスタグランディンという物質がさまざまな臓器の平滑筋という筋肉を収縮させることである、と言われています。
月経困難症は、特定の疾患のない「機能性月経困難症」と、子宮内膜症などが原因となる「器質性月経困難症」に分けられます。
機能性月経困難症は、初めての月経(初潮)から2-3年経った頃より始まることが多く、月経の1日目から2日目あたりの出血量が多い時期に症状が強く現れます。10代-20代の若い方に多く、強い痛みは1-2日程度のことがほとんどです。
器質性月経困難症は、子宮筋腫や子宮内膜症、子宮形態異常などの病気を伴う月経困難症をいいます。多くは月経の4-5日前から月経後まで続く持続性の鈍痛です。
自分でできる対処法は、月経時のお腹や腰の保温、十分な栄養摂取や睡眠などリラックスできる環境を整えることです。痛みが強い時には、痛み止め(非ステロイド系消炎鎮痛剤)の服用も有効です。しかし、痛みが強くなってから服用すると効果が少なく、さらに吐き気がある場合には服薬できない状況となるために、月経開始予定日から1日3回など定時で服用しましょう。
月経予定日を知るには、基礎体温表などを用いてご自身の月経周期と症状をともに記録しておくとよいでしょう。薬の飲み方も指導してもらえますので、毎月つらい月経痛がある場合は、産婦人科を受診してご相談ください。

「生理前や生理中に足が痛い」の正しい対処法は?

生理前の3~10日の間続く一時的な症状である場合は、PMS(月経前症候群)の可能性が高いです。足のむくみを予防する為に、生理前だけでなく普段から体の中に水分を溜め込まないよう、水分・塩分を摂りすぎないようにしましょう。カルシウムやマグネシウムを積極的に摂取し、カフェイン、アルコール、喫煙は控えたほうがよいと言われています。特にカフェインは、交感神経を刺激し体を興奮させる作用があるので、不眠やイライラ、頭痛を引き起こしやすくなりますので控えてください。夕方以降に水分やアルコールを摂りすぎないよう心がけましょう。症状が重い場合には、仕事の負担を減らすことが重要です。
また、背骨や骨盤などの歪みがあるとその周囲の筋肉が固まってしまいます。このような不調は自分ではなかなか気づかないものですが、筋肉が固まってしまうと、血管が圧迫されて血液の流れが悪くなり、筋肉痛や、その他のPMS(月経前症候群)の症状を引き起こします。
骨格上の問題を解消したり、下腹部・腰周り・足などを中心に温めることやマッサージで血行を良くしたりすると、筋肉痛や関節痛などの症状が軽減されます。入浴中のマッサージや、アロマオイルを使ったマッサージは、精神面のリラックス効果も期待できます。
足の痛みが強い場合には、市販の鎮痛剤の使用も考慮しましょう。「イブプロフェン」「アセトアミノフェン」「ロキソプロフェン」などの成分が入っている鎮痛剤は生理前の痛み・関節痛などに効果があります。痛みが出る前に服用しておくとよいでしょう。
上記のような対策をしても症状が治らない場合は、まずは近くの内科を受診しましょう。

「生理前や生理中に足が痛い」症状についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「生理前や生理中に足が痛い」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

生理前や生理中に足が痛くなるのですが対処法はありますか?

喜多村 麻梨子医師喜多村 麻梨子(医師)

普段の生活で、足全体のマッサージや体を温めること、ウォーキングなどの軽い運動をすることを積極的に取り入れましょう。
特にデスクワークの人は、長時間同じ姿勢でいたり、運動不足だったりすると、血液が滞りむくみの対象になります。仕事中もずっと同じ姿勢にならないように、こまめに体を動かす工夫をしてください。

生理前や生理中に足が痛いときに避けた方が良いことはありますか?

喜多村 麻梨子医師喜多村 麻梨子(医師)

長時間同じ姿勢で仕事を行うことは避けるようにしましょう。
また、塩分の摂り過ぎやミネラルの摂取不足は、体に水分を溜め込みやすくなり、むくみにつながります。栄養バランスも注意して食事を取るのが良いでしょう。

まとめ 生理前や生理中に足が痛くなるときは適切な食事と適度な運動で予防

「生理の前になると足がだるくてつらい」という症状はホルモンバランスの変化による月経前症候群が原因であることが最も考えられます。症状が軽い場合はセルフケアが有効です。ビタミンやミネラルを積極的に摂取することと、適度な運動をこころがけ、日々の疲れをためない生活を送りましょう。
「足がだるいなと思っていたら、全身だるくなってきた」「片方の足だけがだるく、むくんでいるように見える」など症状が月経前や月経中以外にも起きている場合には、別の原因が考えられますので、まずは近くの医療機関を受診しましょう。

「生理前や生理中に足が痛い」症状で考えられる病気

「生理前や生理中に足が痛い」から医師が考えられる病気は7個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

内分泌系の病気

生理前の一時的な症状であればしだいに改善することが多いのですが、生理後も続く場合や、何らかの他の症状も伴っている場合には、病気が隠れている可能性があります。

「生理前や生理中に足が痛い」に似ている症状・関連する症状

「生理前や生理中に足が痛い」と関連している、似ている症状は5個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

「生理前に足が痛い」ほかに上記のような症状がある場合、「月経困難症」「月経前症候群」「甲状腺機能低下症」「下肢静脈瘤」「閉塞性動脈硬化症」などの疾患の可能性が考えられます。一時的な症状であれば問題ありませんが、足のだるさが続いており、日常生活に支障がある場合や、しびれやむくみを伴う場合は近くの医療機関を受診しましょう。