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「生理前に眠い」原因とは?【医師解説】

生理前に眠い時、身体はどんなサインを発しているのでしょうか?Medical DOC監修医が考えられる病気や何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

楯 直晃 医師

監修医師
楯 直晃 医師(リアラクリニック)

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2013年 熊本大学病院 初期臨床研修医
2015年 熊本大学病院 総合診療専門修練医
2018年 国立熊本医療センター 救急集中治療部医員
2020年 リアラクリニック名古屋院院長
2021年 メディカル・テート株式会社 CEO

救急科専門医、抗加齢医学専門医、プライマリケア認定医、内科認定医、産業医、健康スポーツ医、医療経営士、禁煙サポーター、日本産婦人科学会会員、厚労省緊急避妊研修修了、厚労省緩和ケア研修修了

「生理前に眠い」症状で考えられる病気と対処法

「生理前になるとやたらと眠くなる」「寝ても寝ても眠い」といった症状はなぜ起こるのでしょうか。生理前になると眠気以外にも身体のだるさなど、実に日本人女性の約70~80%が生理前に何らかの症状を自覚しているとされています。今回は、その中の症状のひとつである「生理前の眠気」について考えていきましょう。

生理前に眠い症状で考えられる原因と対策

生理開始の3~10日前くらい前から身体的かつ精神的にもさまざまな症状があらわれることがあります。これを月経前症候群(PMS)といいます。
本記事のテーマである「生理前の眠気」は月経前症候群の症状のひとつです。眠いといった症状に反して、眠れないなどといった睡眠障害がみられることもあります。ある調査では、約41%の女性が生理に関連して睡眠に変化があると報告されています。そのうち、日中に強い眠気のある月経関連過眠症は、約43%になります。

生理前に眠く、だるい症状で考えられる原因と対策

女性の身体はとてもデリケートです。そのデリケートな身体を健やかに保つために2種類の女性ホルモン「エストロゲン」と「プロゲステロン」が大きく関わっています。周期的に訪れる月経周期の中でこれらの女性ホルモンは交互に増減を繰り返しています。女性ホルモンの分泌は、脳や神経からの指令によりコントロールされているため、睡眠不足やストレス、不規則な生活などのちょっとしたことでも女性のホルモンバランスは乱れます。
その乱れにより、生理不順や生理痛、不正出血、自律神経失調症、月経前症候群などといったさまざまな症状があらわれてくることがあります。生理前のだるさが続く場合は、内科や婦人科への相談を検討しましょう。

生理前に体温が37度前後で眠い症状で考えられる原因と対策

女性の身体は1ヶ月の間で体温が高い時期(高温期)と低い時期(低温期)に分かれます。排卵日を境に、排卵前は低温期、排卵後は高温期に変わります。排卵日から生理開始までの14日程度は高温期で黄体期とも呼ばれます。高温期の体温は個人差がありますが、体温37度前後になることもあります。高温期は低温期に比べると約0.3~0.6度基礎体温が上昇するため、生理前になると微熱がある、身体がほてっていると感じる方もいらっしゃいます。
この体温上昇と深く関わっているのは、女性ホルモンの一種であるプロゲステロンです。黄体期(高温期)には、黄体ホルモンであるプロゲステロンが多く分泌されます。そしてプロゲステロンの働きによって体温が上昇します。生理前の眠気やだるさの原因は、このプロゲステロンによる体温上昇によるものとされています。

ピルを飲んでいて生理前に眠い症状で考えられる原因と対策

ピルは、エストロゲンとプロゲステロンの2種類のホルモンが配合された薬です。ピルを服用している方で、副作用によりまれに眠気がでる場合があるといわれています。解熱剤や抗アレルギー薬で眠気を感じる薬があるのと同様、ピルの服用により眠気がでている可能性があります。眠気を強く感じるときは、車の運転は避けるようにしましょう。また眠気がおさまらなかったり、生活に支障をきたすようであれば婦人科に相談してみましょう。

生理前で眠いのに寝れない症状で考えられる原因と対策

人間の体温は、一日の中で変化します。特に睡眠中は体温が低くなり、体温が低いと睡眠の質が向上するとされています。しかし、黄体期(高温期)に多く分泌されるプロゲステロンには、基礎体温を上昇させるものの、一日の中で体温の変化を起こしにくくさせる作用があります。
そのため、本来であれば体温が低くなる睡眠中も体温は高いままとなります。すると、生理前である黄体期は眠いのに寝れない、といった症状が現れる場合があります。そのため、睡眠が浅くなり、活動中している日中に眠く、身体がだるいといった症状がみられるようになります。

すぐに病院へ行くべき「生理前に眠い」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

生理前で眠く不正出血を伴う場合は、産婦人科へ

生理前の症状と妊娠初期にみられる症状は大変似ています。生理前の高温期であれば生理開始とともに体温は下がりますが、妊娠をすると通常よりも長く高温期が続きます。また妊娠初期には着床出血といって出血が起こる場合もあります。出血の色には個人差がありますが、出血量は生理の出血に比べ少なく、出血期間は着床出血の方が短いのが特徴的です。出血期間は1~2日ほど、長くても3~4日ほどになります。出血量がいつもの生理と同じかそれ以上の量であったり、長い間出血が続いたりする場合には、何かほかの異常が起こっている可能性も考えられます。早めに婦人科を受診するようにしましょう。

「生理前に眠い」症状が特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「生理前に眠い」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

PMS(月経前症候群)

PMSとは、月経前症候群とも呼ばれ、生理前3~10日の間続く精神的あるいは身体的症状で、生理開始とともに症状は軽快ないし消失するものをいいます。原因ははっきりと解明されておりませんが、女性ホルモンであるエストロゲンとプロゲステロンの変動が関与していると考えられています。この2つのホルモンは1ヶ月の生理周期の間に急激に変動します。特に生理前の黄体期後半にこの2つのホルモンが低下することにより、様々な症状があらわれると考えられています。
しかし、脳内のホルモンや神経伝達物質はストレスなどの影響を受けるため、PMSの症状は、女性ホルモンの低下だけが原因ではなく、多くの要因が関連しているといわれています。自分でできる対応策としては、不規則な生活習慣であればそれを見直すことや運動習慣をつけることなどです。

「生理前に眠い」ときの正しい対処法は?

PMSの症状はライフスタイルも深く関わっています。対策・対処法としては、規則正しい生活を送るように意識し、昼夜の生活にメリハリをつけるようにしてみましょう。日中には光をしっかり浴びて、軽い運動やウォーキングをするなど、ストレス解消や気分転換を行うことも大切です。
基礎体温とあわせて睡眠症状も日記のように記録し、月経周期と睡眠症状の関連をみてみるのも良いでしょう。偏った食生活は症状を悪化させる場合があります。チョコレートやお菓子など甘いものばかりを摂取する、パンやご飯など炭水化物ばかりを摂取する、といった偏食は避けるようにし、大豆や豆腐などの豆類や野菜、果物などバランスの良い食事を摂るようにしましょう。
マグネシウムを豊富に含むほうれん草や栄養価の高いブロッコリーなどおすすめです。また塩分の摂りすぎや、たばこ・アルコールといった嗜好品の過剰摂取にも注意が必要です。
改善傾向にない場合には、内科、産婦人科、心療内科、精神科を受診し相談しましょう。だるさの他にみられる症状があれば、内科や産婦人科を、心理的な要素の関与の有無などがあれば心療内科や精神科での治療が優先される可能性があります。症状に応じて薬物治療も行いますので、症状が改善せず生活に支障をきたすような場合には、早めに受診されることをお勧めいたします。

「生理前に眠い」についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「生理前に眠い」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

生理前になるとしっかり寝ても眠さが取れません。治療方法はありますか?

楯 直晃 医師楯 直晃 医師

日中あまりにも眠気が強い場合は、寝たほうがいいこともあります。もし日常生活に支障をきたすような場合は、症状を緩和させるために薬を服用することも選択肢のひとつです。漢方薬や低用量ピルなどや、場合によっては少量の抗うつ剤が症状を軽減させることもあります。ひとりで悩まずに内科や婦人科、心療内科に相談してみましょう。

強い眠気はPMSの症状のひとつでしょうか?

楯 直晃 医師楯 直晃 医師

PMSの症状のひとつに、眠気はあります。そのほかに、情緒不安定、イライラ感、緊張、抑うつ、不安、集中力の低下、身体のむくみ、体重増加、吐き気、めまいなどがみられる場合があります。

生理前に眠い症状は生活習慣が原因でしょうか?

楯 直晃 医師楯 直晃 医師

食事や睡眠などの生活習慣を見直すことで改善の余地はあります。また日頃から症状日記をつけることをお勧めします。ご自身の症状を理解し、症状があらわれるタイミングを把握することで、対処しやすくなります。またご自身の体調リズムを知ることで、リラックス時間やリフレッシュ時間をつくる等セルフケアをしてあげるようにしましょう。

生理前に眠い症状を予防する食事があれば教えて下さい。

楯 直晃 医師楯 直晃 医師

PMSの症状のひとつとして考えられる眠気ですが、PMSの症状を軽減させるために、マグネシウムやカルシウムを積極的に摂取し、カフェイン、アルコール、喫煙は控えたほうがよいでしょう。マグネシウムは海藻、ナッツ類などに多く含まれます。カルシウムは牛乳や乳製品、豆腐や油揚げなどの大豆製品に多いです。一度に摂取できる量には限りがあるので、毎日一食ずつバランスよく摂取することが大切です。

まとめ

生理は女性の生涯において、かなりの期間で付き合っていかなければいけないものですから、できるだけご自身を労わってあげましょう。
毎月起こる不調だからと安易に考えず、生理前に眠いなどPMS(月経前症候群)の症状で生活に支障をきたす場合は、お近くの病院に相談することも検討してください。

「生理前に眠い」で考えられる病気と特徴

「生理前に眠い」から医師が考えられる病気は10個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

内科の病気

婦人科の病気

日常生活に支障をきたすような眠気が続くような場合には一度婦人科への受診を検討しても良いでしょう。

「生理前に眠い」と関連のある症状

「生理前に眠い」と関連している、似ている症状は18個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

「生理前に眠い」他に、これらの症状が見られる際は、「月経前症候群」「更年期障害」「自律神経失調症」などの病気の存在が疑われます。
複数の症状がある場合やなかなか治らない場合は、早めに医療機関への受診を検討しましょう。