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「涙袋が腫れる」原因と対処法をご存知ですか?医師が徹底解説!

涙袋が腫れた時、身体はどんなサインを発しているのでしょうか?Medical DOC監修医が考えられる病気や何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

村上 友太 医師

監修医師
村上 友太 医師(東京予防クリニック)

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医師、医学博士。福島県立医科大学医学部卒業。福島県立医科大学脳神経外科学講座助教として基礎・臨床研究、教育、臨床業務に従事した経験がある。現在、東京予防クリニック院長として内科疾患や脳神経疾患、予防医療を中心に診療している。
脳神経外科専門医、脳卒中専門医、神経内視鏡技術認定医。日本認知症学会、抗加齢医学会、日本内科学会などの各会員。

「涙袋が腫れる」症状で考えられる病気と対処法

涙袋が腫れる症状で考えられる病気には、細菌感染によるもの、アレルギー、皮脂腺の詰まりなどさまざまな可能性があります。なかには感染力が高いものや緊急性が高いものもあり、注意が必要です。症状から考えられる病気とその対処法についてご紹介します。

涙袋が腫れる症状で考えられる原因と治し方

まぶたの一部が赤く腫れ、軽めの痛みや痒みを伴うのがこの症状を指します。このような場合、麦粒腫などが疑われます。

麦粒腫(ばくりゅうしゅ)

麦粒腫は、「ものもらい」や「めばちこ」とも呼ばれます。まつげの近くにある汗腺や皮脂腺に細菌感染が起きることが原因で発症します。細菌が原因ですが、他人にうつることはありません。抗菌薬の点眼や内服が主な治療法です。また、汚い手で目をこすったりしないように注意することも重要です。症状がひどくなる前に眼科を受診しましょう。

突然、涙袋が腫れる症状で考えられる原因と治し方

突然、まぶたが腫れ、赤みやかゆみを伴うような症状を指します。このような場合、接触性皮膚炎などが疑われます。

接触性皮膚炎・かぶれ

接触性皮膚炎は「かぶれ」とも呼ばれ、原因物質に対するアレルギーやそれ自体の刺激が原因となり症状を引き起こします。多くの場合、化粧品や目薬が目の周りの皮膚の接触性皮膚炎の原因となります。
すぐできる処置は、患部を触らないようにし、熱いお湯での洗顔は避けることです。治療には、原因物質の特定とその除去が大切です。そのため、医療機関ではパッチテストを行うこともあります。症状が目の周りだけでなく体の他の部分に現れたり、息苦しさを感じたりする場合は、すぐに眼科を受診しましょう。

涙袋が腫れて赤い症状で考えられる原因と治し方

​涙袋が腫れて赤い、痛みがある、涙や目やにが出るなどの症状を指します。このような場合、涙のう炎などが疑われます。涙のうとは、目から排出された涙が流れ込む器官です。

涙のう炎

涙のう炎とは、涙のうから鼻へと続く管がふさがることにより、感染が起きる病気です。アレルギーや鼻の手術、外傷などが原因となります。抗菌薬による治療を行いますが、根治する(根本から治療する)には手術で涙の流れる道を再建する必要があります。症状が気になる場合には眼科を受診しましょう。

片目の涙袋が腫れる症状で考えられる原因と治し方

片方の涙袋が腫れている症状を指します。このような場合、麦粒腫や霰粒腫などが疑われます。麦粒腫はまつ毛付近の皮脂腺や汗腺に細菌感染が起き、痛みや腫れを引き起こす病気です。霰粒腫は皮脂腺が詰まることにより腫れや赤くなるなどの症状が現れる病気です。通常痛みを伴いません。軽度の霰粒腫には、温めたタオルなどをまぶたに10分ほど押し当て、マッサージをしましょう。詰まりを和らげ、早く回復することがあります。治らない場合は、切開して内容物を排出する必要があるため、眼科を受診しましょう。

涙袋が腫れてかゆい症状で考えられる原因と治し方

涙袋が腫れてかゆいという症状を指します。このような場合、アレルギー性結膜炎などが疑われます。

アレルギー性結膜炎

アレルギー性結膜炎は、免疫が過剰に反応してしまうことにより涙やかゆみ、腫れなどを引き起こす病気です。スギ花粉などの季節性のものと、ハウスダストやホコリなど通年性のものがあります。症状を抑えるには、アレルギーの原因物質の特定と除去が大切です。スギ花粉が原因の場合は、ゴーグルで目を保護することや、防腐剤フリーの人工涙液で花粉を洗い流すことも効果があるとされています。症状がひどい場合は眼科を受診しましょう。

子供・赤ちゃんの涙袋が腫れる症状で考えられる原因と治し方

赤ちゃんに涙袋が腫れる、赤くなる、涙が多いなどの症状が見られることがあります。このような場合、新生児涙嚢炎(るいのうえん)などが疑われます。目の内側から鼻にかけての涙の通り道が先天的に詰まってしまっていると涙がうまく排出されず、涙のうという涙の溜まる袋に細菌感染が起き、炎症を起こします。抗菌薬の点眼やマッサージを行い経過をみたうえで、よくならない場合は手術療法も検討します。
特に赤ちゃんや子どもは治療が遅れると視力に大きな影響を及ぼします。症状がある場合は必ず眼科を受診されることをお勧めします。

すぐに病院へ行くべき「涙袋が腫れる」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

涙袋が腫れて強い痛みがある場合は、眼科へ

痛みが強い、まぶたや目の周りが腫れる、目が赤くなる、物が二重に見えるなどの症状がある場合は眼窩蜂窩織炎(がんかほうかしきえん)という病気の可能性があります。眼窩とは眼球が収まっている空間のことで、眼窩内や眼の周囲の組織に感染が起こるのが眼窩蜂窩織炎です。鼻の周りの副鼻腔から波及した感染や、動物や昆虫による刺し傷などから発症することもあります。
十分な治療を行わないと失明に繋がることもある恐ろしい病気ですので、腫れに加え痛みが強い場合はできるだけ早く眼科を受診しましょう。

「涙袋が腫れる」症状が特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「涙袋が腫れる」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

ものもらい・麦粒腫

ものもらいは、麦粒腫とも呼ばれます。まぶたの一部が赤くなり腫れ、痛みを伴う病気です。まぶたの裏側にできることもあります。発症の原因は、まつ毛付近の汗腺や皮脂腺に細菌感染が起きるためです。手指についた細菌がものもらいの原因になることがあるので、汚い手で目の周りを触らないよう気をつけましょう。
数日で自然治癒することもありますが、眼科を受診して治療した方が確実でしょう。抗菌薬の内用、点眼などの治療法があります。再発をくり返す場合は糖尿病や免疫不全の可能性があるため注意が必要です。

涙嚢炎(るいのうえん)

涙囊炎とは、目から鼻に流れる涙の通り道の途中にある涙嚢という涙をためておく袋が炎症を起こす病気です。涙の通り道(涙道)の一部が詰まってしまうことが原因と考えられています。涙が出る、目やに、涙袋のあたりが腫れる、赤くなる、痛みが出るなどの症状が現れます。
治療法には、抗菌薬の投与、涙管チューブの挿入などの手術療法が選択されます。涙囊炎は再発を繰り返しやすい病気ですので、疑わしい場合は早めに眼科を受診した方がいいでしょう。

結膜炎

結膜炎とは、結膜に炎症が起きる病気です。結膜とは、白目とまぶたの裏側を覆っている半透明の膜です。細菌やウイルスによる感染や、アレルギーが原因となる場合もあります。
アレルギー性結膜炎は、かゆみ、結膜の充血、涙目などが主な症状ですが、かゆみを紛らわせようと目をこすったりするとまぶたが腫れることもあります。スギ花粉などが原因となる季節性アレルギーと、ダニやハウスダストなどが原因となる通年性アレルギーがあります。いずれもアレルギーの原因となる物質を特定して除去することが大切です。
花粉対策には、外出時には眼鏡やゴーグルを使用すること、防腐剤の入っていない人工涙液で眼表面に付着した花粉を洗い流すことが有用とされています。自分で対策しても症状が治らない場合は眼科を受診しましょう。

流行性角結膜炎・はやり目

流行性角結膜炎とは、アデノウイルスというウイルスによって引き起こされる角結膜炎です。大変感染力が高いため、はやり目とも呼ばれます。急に白目が真っ赤になり、大量の目やにがでるなどの症状が現れます。流行性角結膜炎の治療には、炎症を抑えたり、細菌の感染を予防するための点眼薬などを使用します。流行性角結膜炎は感染力が大変高いため、もしかかった場合は学校や仕事を休むなど他の人に移さないようにすることが大切です。
手で目をこすらない、手や顔を拭くタオルを他の人と分けるなどにも気をつけましょう。医療機関では検査キットを使うことで、流行性角結膜炎かどうか調べることができます。疑わしい場合は必ずすぐに眼科を受診しましょう。

「涙袋が腫れる」ときに使用しても良い目薬・正しい対処法は?

医療機関をすぐに受診できない場合、原因がわかっていれば市販の目薬も有用でしょう。
麦粒腫(ものもらい)は、まぶたの近くに起こる細菌感染が原因ですので、抗菌成分を含む目薬を選びましょう。市販薬で手に入るものとしては、ロート抗菌目薬iなどがあります。薬剤に対してアレルギーがある場合は、使用を控えましょう。また、使用してみて症状が悪化した、アレルギー反応が出た場合はすぐに使用を中止して医療機関を受診しましょう。
放置して自然治癒するかどうかは、原因によります。軽度の霰粒腫、麦粒腫は自然治癒することもありますが、涙囊炎は治療が必要です。
コンタクトレンズを装着するときは手指を清潔に保ちましょう。化粧をする時に手に化粧の成分が着いてしまうので、化粧の前にコンタクトレンズを装着した方がいいでしょう。疲労はむくみを発生させやすいので、疲労がたまらないよう睡眠を十分にとり、バランスの良い食事を心がけましょう。

「涙袋が腫れる」についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「涙袋が腫れる」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

涙袋が腫れるのは、コンタクトレンズやメイクが原因ということはありますか?

村上 友太(むらかみ ゆうた)医師村上 友太(むらかみ ゆうた)医師

コンタクトやメイクが原因で目の周りに腫れを引き起こす可能性は十分にあります。
コンタクトやメイクの刺激で炎症が起きる接触皮膚炎、目の付近を触る手などから細菌感染を起こす麦粒腫、メイクの物質が原因となるアレルギー性結膜炎などが考えられます。

ストレスで涙袋が腫れるときの対処法を教えてください。

村上 友太(むらかみ ゆうた)医師村上 友太(むらかみ ゆうた)医師

ストレスで涙袋が腫れる場合は、血液やリンパの流れが滞り、まぶたや目の周囲に水分が溜まっている可能性が考えられます。睡眠を十分にとりましょう。また野菜や果物に含まれるビタミンC、魚介類に多く含まれるビタミンB12はストレス予防に効果がある栄養素と言われています。積極的に取り入れてみましょう。

目の下の涙袋が虫刺されのように腫れたときは何科の病院にかかるべきですか?

村上 友太(むらかみ ゆうた)医師村上 友太(むらかみ ゆうた)医師

眼科を受診しましょう。虫刺されのほか、霰粒腫や麦粒腫の可能性があります。

涙袋が腫れて涙嚢炎と診断された場合どのような治療方法がありますか?

村上 友太(むらかみ ゆうた)医師村上 友太(むらかみ ゆうた)医師

涙嚢炎の治療法は基本的には手術になります。最初は抗菌薬を使用し、症状が落ち着いた後、涙管チューブ挿入術などの涙道再建手術を行います。

まとめ

涙袋が腫れる原因は、感染による炎症や皮脂腺の詰まり、アレルギーなど様々です。自然治癒するものもありますが、放置すると悪化して切開や手術が必要になることもあります。症状がひどくなる前に医療機関を受診し、適切な対処を心がけましょう。

「涙袋が腫れる」で考えられる病気と特徴

「涙袋が腫れる」から医師が考えられる病気は17個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

眼科の病気

皮膚科の病気

内科の病気

全身性の病気が原因のこともありますが、症状が気になった際には眼科で受診して相談することをお勧めします。

「涙袋が腫れる」と関連のある症状

「涙袋が腫れる」と関連している、似ている症状は9個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

「涙袋が腫れる」他に、これらの症状が見られる際は、「涙のう炎」「麦粒腫(ものもらい)」「眼窩蜂窩織炎」「流行性角結膜炎」「眼瞼炎」などの病気の存在が疑われます。
複数の症状がある場合やなかなか治らない場合は、早めに医療機関への受診を検討しましょう。

この記事の監修医師