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「めまいと吐き気」がする原因はご存知ですか?医師が徹底解説!

「めまいと吐き気」がする原因はご存知ですか?医師が徹底解説!

めまいと吐き気がする時、身体はどんなサインを発しているのでしょうか?Medical DOC監修医が考えられる病気や何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

中川 龍太郎医師

監修医師
中川 龍太郎(医師)

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名古屋大学医学部卒業、名古屋大学医学部附属病院、江南厚生病院などで眼科医として勤務経験を持つ。患者の笑顔を見ることを何よりの喜びと思っている。日本眼科学会所属。現在は医学の発展に貢献できるよう、また目の前の患者にひたむきに向き合うため日々邁進中。

「めまいと吐き気」で考えられる病気と対処法

めまいがして吐き気がするという症状は、比較的頻繁に見られます。症状の原因は多くありますが、基本的にはめまいがあるために吐き気を催すことがほとんどです。そのめまいの原因は大きく分けて脳神経系と耳鼻科系に分かれます。どんな場合に病院受診の必要があるか解説していきます。

めまいと吐き気の症状で考えられる原因と対処法

めまいと吐き気が見られる場合、非常に頻度の多い病気として良性発作性頭位めまい症が疑われます。良性発作性頭位めまい症は、寝た状態から上体を起こしたり、寝返りや上を向いた時などに景色がぐるぐる回るめまい(回転性めまい)を起こす病気のことを言います。
詳しくは後述しますが、原因は耳の奥にある平衡感覚を司る三半規管の異常と考えられています。すぐにご自身でできる対処法は、左か右のどちらかを下にして30分から1時間程度安静にすることです。それでもめまいが改善しない場合は耳鼻咽喉科もしくは内科を受診しましょう。

めまいと吐き気・頭痛の症状で考えられる原因と対処法

めまいと吐き気に加えて、頭痛(特に頭の後ろ側)といった症状が突然見られた場合、小脳出血が疑われます。脳には部位によって様々な機能がありますが、小脳は体のバランス調整という役割があります。小脳出血ではこれらの機能が損なわれるため、頭痛に加えてめまいやそれに伴う吐き気も生じるようになります。
ご自身でできる処置はなく、安静に、そして速やかに救急要請する必要があります。受診すべき診療科は脳神経外科や救命医療センターです。小脳出血は、出血の程度にもよりますが命に関わる疾患ですので、非常に緊急性が高いです。遠慮せずに速やかに医療機関を受診してください。

めまいと吐き気・冷や汗もかく症状で考えられる原因と対処法

めまいと吐き気に、さらに冷や汗もかく症状が見られた場合、迷走神経反射が疑われます。
迷走神経反射とは、副交感神経の代表的な神経である迷走神経が、一時的に過剰な緊張をきたすことによって起こる反射のことです。急激な心拍数の減少や血圧の低下、さらには、脳への血流が低下するという状態に陥ります。そのために、めまいや立ちくらみ、冷や汗をかく、失神する(意識を失う)ことがあります。
詳しくは、後述しますが、精神的ストレスや肉体的ストレスなど、いろいろなことが原因になり得ます。対処法はストレス要因をできるだけ解消するようにして、しっかりと休養することです。頻繁に繰り返す場合は一般内科や心療内科を受診するのも良いでしょう。

ストレスでめまいと吐き気がする症状で考えられる原因と対処法

ストレスでめまいと吐き気がする場合は、原因となる病気は数多くありますが、耳鳴りや難聴、耳が詰まったような感覚(耳閉感)が伴った場合はメニエール病が疑われます。
詳しくは後述しますが、内耳(耳の奥にある側頭骨という頭蓋骨の側面に埋もれている部分)を満たす内リンパ液が過剰になってしまった状態(内リンパ水腫)が原因と考えられています。ご自身でできる対処法は、できるだけストレス要因を解消することです。症状が繰り返す場合は、耳鼻咽喉科を受診しましょう。メニエール病は命に関わるわけではありませんが、日常生活の質を著しく低下させる病気ですので、早めの受診を検討しましょう。

すぐに病院へ行くべき「めまいと吐き気」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

めまい・吐き気に加えて、呂律困難、歩けないという症状の場合は、脳神経内科・脳神経外科・救急科へ

景色が回るようなめまいではなく、ふわふわと浮いたようなめまいと吐き気に加えて、うまく話せない(呂律困難)、まっすぐ歩けない(歩行障害)といった症状は突然出現した場合は、小脳梗塞の可能性があります。この場合は一刻も早く治療を開始することが望まれます。
日中であれば脳神経内科・脳神経外科のある病院を受診してください。夜間ならば救急車も要請しましょう。

受診・予防の目安となる「めまいと吐き気」のセルフチェック法

  • ・めまいと吐き気以外に頭痛がある場合
  • ・めまいと吐き気以外に難聴、耳鳴りがある場合
  • ・めまいと吐き気以外に呂律困難、歩行障害がある場合

「めまいと吐き気」症状が特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「めまいと吐き気」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

メニエール病

メニエール病は難聴や耳鳴り、耳が詰まったような感覚(耳閉感)といった聴覚の症状と、めまいを繰り返す病気です。鼓膜よりもさらに奥、側頭骨という頭蓋骨の側面に埋もれている部分を内耳と言い、この内耳を満たす内リンパ液が過剰になってしまった状態(内リンパ水腫)が症状の原因とされています。しかし、なぜこの内リンパ水腫が起こるのかは判明していません。めまい発作の頻度は年に数回から週に数回と様々です。環境のストレスがめまい発作の原因となることも知られています。
 ご自身でできる対処法は、めまいが起きてしまった時にとにかく安静にすること、予防としてできるだけストレス要因を解消することです。ただし症状が繰り返す場合は、医療機関を受診しましょう。何度もめまい発作を繰り返していると、聞こえづらさ(難聴)やバランスが取れない・ふらつく(平衡障害)といった症状は出現し、回復しづらくなります。
主な診療科は耳鼻咽喉科です。メニエール病は命に関わるわけではありませんが、日常生活の質を著しく低下させる病気です。何度かめまい発作を繰り返した場合は、早い日程で医療機関を受診するようにしましょう。

迷走神経反射

迷走神経反射とは、副交感神経の代表的な神経である迷走神経が、一時的に過剰に緊張してしまうことによって、急激に心拍数が減少したり血圧が低下してしまい、脳への血流が低下することで起こる反射のことです。脳血流が低下してしまうために、めまいや立ちくらみ、失神(意識を失うこと)を起こすことがあります。
長時間立っている状態や座っている状態で過ごすこと、寝不足・不眠や疲労、恐怖といった精神的・肉体的ストレス、人混みや閉鎖空間などの環境が続いてしまうと、過度な緊張状態が生じます。このような緊張状態では交感神経が主に働いていますが、身体は通常通りに戻そうとして、反対の作用を持つ副交感神経が過剰に緊張してしまうことになります。その結果、心拍数の減少、血圧の低下が起こってしまいます。迷走神経反射は健康な人でもなることがある病気です。対処法はストレス要因を出来るだけ解消し、十分な休養を取ることです。一度経験しただけでは病院受診の必要はありませんが、頻繁に繰り返す場合は一般内科や心療内科の受診を検討しましょう。

良性発作性頭位めまい症

良性発作性頭位めまい症は、特定の体の動作(寝てる状態から上体を起こす、寝返り、上を向いた時など)によって景色がぐるぐる回るようなめまい(回転性めまい)やぐらぐら揺れるようなめまい(動揺性めまい)を起こす病気のことを言います。この時に、難聴や耳鳴り、耳閉塞感などの聴覚の症状は見られないことが特徴です。
耳の奥、内耳という部分には耳石器(重力や体の向きを感じ取る器官)があり、ここから剥がれおちた耳石が、平衡感覚を司る三半規管に入り込んでしまうことが原因とされています。なぜ耳石が剥がれ落ちるのか詳しい原因はわかっていません。
すぐにご自身で出来る対処法としては、左か右のどちらかを下にして30分から1時間程度安静にすることです。改善がなければ反対側を下にして、同じ時間安静にしましょう。自然に耳石が三半規管から出る可能性があります。それでもめまいが改善しない場合は医療機関を受診しましょう。受診するべき診療科は、耳鼻咽喉科もしくは内科です。治療はEpley法という耳石を正しい位置に戻す方法や、吐き気止め、めまい止めの内服薬を使うことが多いです。もし嘔吐を何度も繰り返してしまう場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

「めまいと吐き気」を催すときの正しい対処法は?

車酔いに対しての市販薬は、一部効果がある場合もありますが、これまでに解説してきた疾患では、あまり効果がないかもしれません。またこれをすれば良くなるというツボや民間療法も効果は乏しいと考えられます。基本的には横になって安静にすることが重要です。
しかしそれでも症状がおさまらない場合は医療機関を受診しましょう。

「めまいと吐き気」についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「めまいと吐き気」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

突然めまい・吐き気・冷や汗が起きたら何科の病院に行くべきですか?

中川 龍太郎医師中川 龍太郎(医師)

迷走神経反射の可能性に加えて、そのほかに小脳梗塞、小脳出血といった緊急性の高い疾患を除外する必要があります。耳鼻科よりも、一般内科や救急外来を受診する方が良いでしょう。

ふわふわした眩暈と吐き気があるのですがメニエール病でしょうか?

中川 龍太郎医師中川 龍太郎(医師)

めまいの性質(ふわふわした感じ、景色がぐるぐる回るなど)は患者さんごとの主観によるところが大きく判断基準にはなりません。もし耳鳴りや難聴などの聴覚症状がないのであれば、メニエール病の可能性は低いと思われます。

まとめ

めまいと吐き気は多くの方が経験する症状だと思います。様々な原因があり、中には重篤な病気も隠れています。その中で特に「突然」「これまで経験のない」めまいや吐き気を自覚された場合は要注意です。その際は早急に医療機関を受診するようにしてください。

「めまいと吐き気」で考えられる病気と特徴

「めまいと吐き気」から医師が考えられる病気は5個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedicalDOCの解説記事をご覧ください。

脳神経系の病気

めまいと吐き気の症状がある場合には、脳神経系か耳鼻科系の病気が関わることが多いです。

「めまいと吐き気」と関連のある症状

「めまいと吐き気」と関連している、似ている症状は10個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedicalDOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

「めまいと吐き気」の症状のほかに、これらの症状がある場合、「良性発作性頭位めまい症」「メニエール病」「小脳梗塞」「迷走神経反射」などの疾患の可能性が考えられます。
複数併発している場合は、なるべく早く医療機関への受診をおすすめします。

この記事の監修医師