陣内先生
妊娠に気づいたタイミングとその時の心境について教えてください。
西山さん
1人目の子の妊娠に気づいたのは、夢の中で通りすがりのおばさんに引き止められて、「妊娠してるよ」って言われたことがきっかけでした。
陣内先生
その時の心境はどうでしたか?
西山さん
妊娠が発覚して、自分自身はすごくうれしかったのですが、世の中的には色んな報道が出たり、「できちゃった婚」というスタートラインに立ったりしたわけで、すごい複雑な心境だったことを覚えています。
陣内先生
うれしい反面、複雑な心境だったということですね。
西山さん
はい。素直にうれしいって声に出せなかったし報告の仕方を考えなければならなくて、正直しんどかったので、すごいよく覚えています。
陣内先生
なるほど、西山さんのように自分が看板となる仕事をされている人は、特にそうですよね。
西山さん
女性として、小さい頃から子どもを持つことや産むことが憧れであった反面、こういう苦しさも待ってるんだなって思いました。
陣内先生
西山さんは、表に出るお仕事をされていますが、妊娠とともに変化していく体のことで苦労したことはありますか?
西山さん
当時は、モデルの仕事をメインでやっていたので、仕事ってこれからどうなっていくんだろうっていう心配事のほうが大きかったですかね。
陣内先生
なるほど。つわりや腰痛、お腹が大きくなるといった身体的な変化よりも、仕事に対する心配事の方が大きかったのですね。
西山さん
そうですね。あまり体型の変化はありませんでした。周りの人の中でも妊娠を経験している人がいなかったので、誰も話を聞ける人がいなかったので余計不安だったことを覚えています。
陣内先生
そうですね。女性の社会進出が増えている一方、妊娠や出産のタイミングを測ることは難しいので、躊躇してしまう人は多いようです。西山さんのようにロールモデルや先輩がいないと、さらに不安になりますよね。
西山さん
情緒って表に出ないじゃないですか。もっと女性が感情を吐き出せる場所や、気持ちに寄り添ってもらえる場所が見つかりやすくなると良いですよね。
陣内先生
パートナーの存在はどう感じましたか?
西山さん
パートナーにとっても初めてのことだったので、体と心の状態を相手に伝えることさえ難しいと感じました。特に私は体型もすぐに変わるわけじゃなかったので、大丈夫でしょうっていう反応でしたね。不安を包み込んで欲しいというのが本音でしたが、そばにいてくれるだけでもありがたかったですね。
陣内先生
出産方法は帝王切開や無痛分娩などさまざまありますが、西山さんの出産方法と選んだ理由があれば教えてください。
西山さん
私は昔ながらの産婆さんのイメージが憧れとしてあったので、自然分娩を選びました。 女性として生まれて、出産を経験できるのであれば、経験できることは経験してから選択したいという思いが強かったですね。1人目は悩まず自然分娩でした。2人目の時に選ぶ機会もあった訳ですが、2人目の子にとっては初めての命だし、同じ思いで産んであげたいなと思い、2人目の時にも自然分娩を選びました。
陣内先生
なるほど。出産の違いや共通点、エピソードなどがあれば教えてください。
西山さん
私は体質的に切迫早産のようで、妊娠8カ月でピークが来て、出産まで1~1カ月半くらい病院で過ごしました。1人目の時はとにかく不安で、子どもの命と母体を守るために入院しなさいと言われたら、それに従うしかありませんでしたね。仕事を空けることに対する理解への不安を残したまま、入院生活が始まったのを覚えています。
陣内先生
入院すると24時間の点滴をする場合もありますよね。体調はどうでしたか?
西山さん
その時は、SNSの発信や読書など病室で出来ることをしようと思っていました。でも点滴が始まった瞬間、震えと動悸などの副作用があって、入院に慣れるのが精一杯でした。
陣内先生
切迫早産になる予兆や自覚症状などはありましたか?
西山さん
なかったです。お腹が固いとか頸管が短いとは言われていたけど、初めての妊娠だったのでこんなものなんだろうと思っていました。誰かと違う行動をしている訳でもなかったので、特に原因はわかりませんでした。
陣内先生
切迫早産が発覚したきっかけは妊婦健診ですか?
西山さん
そうですね。
陣内先生
西山さんのように自覚症状がないケースも多く、医学的な判断をするためにも妊婦健診は定期的に来てもらうことが大事です。幸い、安静と点滴による管理で、お子さんは正期産だったんですよね?
西山さん
はい。2人とも自然分娩で無事に正期産でした。
陣内先生
2人目の出産の時は、上のお子さんとは離れ離れですよね?
西山さん
長女には酷でしたね。1人目の時は、自分とだけ向き合えばよかったけど、2人目の時は、上の子がまだ2歳ぐらいで、それまでずっと一緒にいたわけですし、東京の家にいても私を探して、夜中に玄関から出ようとしていたみたいです。最終的には私の実家で入院期間を過ごしてもらいました。
陣内先生
なるほど。その子にとっても試練でしたね。
西山さん
自分よりも優先して考えることが、長女のことになりますよね。毎日夜になると涙が出てきました。家に帰った日も、緊張した目で私を見てくる我が子に涙が出たのを覚えています。分娩の時は、長女が見守ってくれて、臍の緒も切ってくれました。
陣内先生
その子の頑張りもあったから、西山さんも頑張れたんですね。
西山さん
初めての妊娠や出産だと、私も分からないことだらけでした。妊娠中に気をつけるべきことや、先生が特に伝えたいことはなんですか?
陣内先生
ひとまずちゃんと妊婦健診に来ていただきたいです。それで、自分では気づけないような症状や徴候を拾い上げることが可能となります。採血や尿検査、超音波検査などで、お母さんと赤ちゃんの状態を経時的にフォローすることが、妊娠管理においては特に重要です。
西山さん
自分では判断できない体の中の状態だからこそ、定期的な妊婦健診にちゃんと通うことが大事なんですね。