｢むちうち｣の整骨院での治療(施術)の流れや期間･効果､交通事故後の注意点を知りたい

椿原先生

「むちうち」は、急激な外からの衝撃によって、首がむちのようにしなって起こるケガです。正式には首に起こる捻挫ということで「頚椎（けいつい）捻挫」といわれています。

椿原先生

そうですね。車の追突・衝突で強い衝撃がかかると、首や体が前後に振られますよね。このとき「首の正常な可動域」、つまり「通常はこのくらいまで曲がる」という範囲をこえて前や後ろにしなってしまうと、さまざまな症状を引き起こします。

椿原先生

むちうちのよくある症状としては「首の痛み」がありますが、ほとんどの場合それだけではありません。首がしなった時に、まわりの筋肉も強く引っ張られるため、「肩や背中のコリ」を感じることも多く、さらには靭帯や神経を損傷している可能性もあります。むちうちによって靭帯や神経を損傷すると、手足のしびれや頭痛、倦怠感など、痛み以外にも様々な症状が出現します。 症状は非常に多岐にわたっており、「頭痛」や「吐き気」などの不定愁訴（ふていしゅうそ）を訴える方も多くいらっしゃいます。

椿原先生

交通事故に遭った時のむちうちの特徴として「症状があとから表れやすい」ということがあります。ほとんどの人は、交通事故で脳がパニック状態になり、アドレナリンが分泌されています。そうするとアドレナリンには痛覚を麻痺させる作用があるので、その時にはあまり痛みを感じていないのです。そのため、交通事故直後に痛みがないからといって「むちうちになっていない」と安心することはできません。

椿原先生

症状の程度に関わらず、すぐに受診してください。交通事故で、事故の責任が相手にあるときには、症状に対する整骨院・接骨院の施術料金を損害賠償で賄えるのですが、損害賠償を請求するためにも、医師の診断が必要なのです。交通事故と痛みの因果関係を明確にしなければならないからです。

椿原先生

そうですね。先ほども述べたように、むちうちは、後から症状が出現する可能性が高いのです。特に交通事故の場合は、最初に「症状なし」とされてしまうと、その後に症状が出てきても、事故との因果関係を証明しにくくなるため、自己判断せずになるべく早く医療機関で診てもらっておいた方が安心です。

椿原先生

X線をはじめCT・MRIなどの検査機器を用いて、骨に異常はないか、目立った外傷がなくても体の中で出血していないかなどを調べてもらいます。病態がわかったうえで、必要があれば処置や治療を行ってくれます。しかし、痛みなどに対しては、薬の処方のみ、という場合が多いようですね。

椿原先生

痛みに対しては、その方の状態や訴えをみながら、鎮痛効果の高い手技療法、物理療法によるリハビリテーションを提案していきます。また、経過を見ながら運動療法も徐々に追加し、痛みなく動かせるようにサポートしていきます。病院と整骨院、両方に通院する方も多くいらっしゃいますよ。

椿原先生

先ほども申し上げた通り、症状がごく軽度でもなるべく早く医療機関で診てもらってください。医師の診断がつけば、事故を起こした相手に損害賠償請求もできます。

椿原先生

そうですね。「整形外科と整骨院どっちがいい？」と聞かれることもあるのですが、それぞれ役割が異なりますので、目的によって使い分けてください。繰り返しになりますが、整骨院や接骨院と、整形外科とを並行して通院することもできます。

椿原先生

基本的にはそうですが、「すべてのケースにおいて自己負担ゼロ」というわけではありません。さきほど、事故の責任が相手にあるときには、整骨院・接骨院の施術料金を損害賠償で賄えるという主旨のことを言いましたが、過失の割合で争いが起こることもあるからです。まずは保険会社担当者に確認することをお勧めします。

椿原先生

はい。整骨院・接骨院の中には、当院のように、提携している弁護士事務所を紹介してくれるところもありますので、困った時などは利用してみても良いかと思います。押さえていただきたいポイントとしては、保険に入る際、「弁護士特約」というものに入っておくと良いでしょう。入っておくと、被害者が、賠償請求などを弁護士に委任する際の費用や、法律相談費用等が補償されます。

椿原先生

むちうちは、事故後にしっかりとした治療をしないとつらい症状が残ることも多く、また病院から処方される痛み止めの薬や、湿布だけでは、症状が良くならないケースもみられます。交通事故治療では、整形外科医院と整骨院は同時期に並行して通えますので、上手に通院してリハビリ期間中に治していけるようにしましょう。なによりも事故が起きないことが大切ですので、交通安全を心がけて運転してください。