腰痛の原因は筋力不足!? 細身の男性・女性の腰痛持ち必見
腰痛に運動や筋トレは有効なのか。むしろ、安静の必要性を訴える人もいるようだ。この矛盾に対し、「shinjukuの鍼灸整骨院」の柔道整復師、鈴木謙士先生は、「鍛えるべき筋肉の種類が違う」と言う。そこで、同グループの効果的なトレーニング方法について解説していただいた。
監修柔道整復師:
鈴木 謙士(shinjukuの鍼灸整骨院 院長)
1987年2月生まれ 神奈川県出身、神奈川柔道整復専門学校卒業。専門学校在学時より、整骨院に勤務。高校時代にテニス部に所属し、チームメイトの怪我に対して何か出来ないかとテーピングに興味を持ち、この道を目指す。
腰痛の根本原因は、筋力不足!?
編集部
腰痛の根本原因が筋力不足というのは本当ですか?
鈴木先生
両者には、密接な関係があると考えています。別の記事で、「血流の悪さ」と「姿勢の悪さ」が腰痛を起こすメカニズムについて取り上げてきましたが、実はこれらも筋力不足と結び付いているのです。
編集部
どういう仕組みなのでしょう?
鈴木先生
例えば「血流の悪さ」は「冷え」に置き換えられますよね。体の熱は、主に筋肉で作られているのです。「冷え」が筋肉量の少ない女性に多いのも、うなずける話でしょう。他方、「姿勢の悪さ」は、体を支える筋肉と関係してきます。
編集部
筋肉にも種類があるのですか?
鈴木先生
はい。体を動かす筋肉を「アウターマッスル」、体を支える筋肉を「インナーマッスル」と呼ぶことがあります。姿勢が悪いということは、「インナーマッスル」が衰えているということ。『本来インナーマッスルで支えるべき役割をアウターマッスルでカバーしようとして、オーバーワークを起こす』のです。これが腰痛の典型的なパターンだと考えています。
編集部
運動は腰痛に逆効果という声もありますが?
鈴木先生
運動の内容によります。一番良くない運動は体を支える筋肉「インナーマッスル」が少ない、もしくは機能してない状態で体を動かす筋肉「アウターマッスル」を動かす内容です。オーバーワークを加速してしまいますからね。『インナーマッスルとアウターマッスルのバランス』が大切です。ここを間違えると、腰痛が悪化しかねません。また、「体を動かす筋肉」が凝り固まることで思うように動かせず、ケガや事故の原因になることも考えられます。
腰痛改善の為の筋トレ
編集部
先生の所では、どのようなトレーニングをおこなっているのですか?
鈴木先生
まず、みなさんの「やりたいこと」を伺います。腰痛のために我慢しているような内容です。例えば、山登りがしたいとか、犬を散歩に出してあげたいとか。そのような出口設定に向けて、トレーニング内容を一緒に組み立てていきます。
編集部
一般的なジムの指導とは、大きく違っていますね?
鈴木先生
そうですね。整骨院の役割としてその方のコンディショニングを考えての回答となります。ジムでの主な目的は筋肥大や筋出力または筋持久力でしょう。しかし、当グループでは最初に、関節の可動域、神経の反射、筋肉の持久力の3点を診ます。パフォーマンスを最初は求めず、まずはコンディションの調整からスタートするわけです。先ほど伺った「やりたいこと」によってレベルは変わってきます。
編集部
さきほどインナーマッスルの話が出ていましたが?
鈴木先生
はい。コンディションの調整とともに、EMSを使ってインナーマッスルを鍛えていきます。テレビなどで良く見る、おなか回りに貼って筋肉をピクピク動かす機器のことです。当院では病院でも使用しているEMSを提供しています。
こんな人にオススメ、インナーマッスルを鍛えよう
編集部
細身の人は、インナーマッスルを鍛えたほうがいいのでしょうか?
鈴木先生
一概には言えません。例えば、インナーマッスルが鍛えられていて代謝も多いから太らないという方。いわゆる食べても太らないタイプは、細身でも大丈夫でしょう。最も危険なのは、インナーマッスルも含めた筋力不足の方が、高負荷を与えるトレーニングでいきなり「ムキムキマッチョ」を目指すパターンです。事故やケガの元になりかねませんから、当グループでまずは下準備をされてることをお勧めします。
編集部
ほかにも、お勧めしたいタイプの人はいますか?
鈴木先生
筋力が落ちてくるご高齢の方ですね。転倒やつまずき事故などを考えると、インナーマッスルの強化が欠かせないと思います。トレーニングに年齢の上限はないと考えています。
編集部
予防や健康維持といった目的にも効果的だと?
鈴木先生
その通りです。はじめはベースを作る為に少しお時間をいただきます。その後は月に一回くらいの頻度で通っていただいて、細かな指導・管理のもとにトレーニングを続けてください。また、EMSは電極を付けているだけなので、サボってしまうタイプの方でも安心して続けられます。
編集部
家庭でできるようなインナーマッスルの鍛え方はありますか?
鈴木先生
では、二つご紹介しましょう。一つは「プランク」というポーズです。腕立て伏せの姿勢で、肘を床へつけたまま体をまっすぐに維持します。もう一つは、立った状態で片方の足を伸ばしたまま、平行になるまで上げるホーズ。前後交互におこなってください。これらは、やればやるほど効果的です。
編集部
最後ですが、腰痛で悩む方へアドバイスを
鈴木先生
何より、今の環境を変えましょう。腰痛の悩みで訪れる方は、旅行に行けないとか、薬に頼りたくないとか、何かしらの不満を抱えています。その不満は、現状の環境にいる限り取り除けません。私たちと質の高いコミュニケーションを計り、共通のゴールに向かって、一歩一歩改善していきましょう。
編集部まとめ
先生の考える筋トレは、目に見えない「インナーマッスル」の強化を軸としていました。また、具体的な出口設定をしてから取り組むというスタイルも、なじみやすいのではないでしょうか。良く言われる「健康と運動」の関係が、よりはっきりつかめてきたようです。
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